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位置情報可視化システムで
グローバルスキーリゾートの使命感をサポート
「スキーに親しむ子どもたちの安全と笑顔を守る!」

日本ハーモニー・リゾート株式会社(以下、日本ハーモニー・リゾート)様は、北海道のニセコアンヌプリ山の裾野に開発された4つのスキーリゾート「ニセコユナイテッド」の1つ、ニセコHANAZONOリゾートの運営会社です。同社が運営するニセコ・インターナショナル・スノースポーツ・スクール(NISS)では、子ども向けスキースクールに位置情報可視化システムを導入。生徒の安全確保と保護者の安心感を支援し、万が一の緊急事態でも初動対応を格段に迅速化しました。この取り組みは、インバウンド需要に湧く国内スキーリゾートからも大きな注目を集めています。今回は、その取り組みの経緯について、3名のご担当者にお話をうかがいました。

日本ハーモニー・リゾート株式会社

  • 日本ハーモニー・リゾート株式会社日本ハーモニー・リゾート株式会社

日本ハーモニー・リゾート ハリス氏(前列、左から1番目)、日本ハーモニー・リゾート 湯谷 祥子氏(後列、右から2番目)、NTT東日本 北海道事業部 ビジネスイノベーション部 バリュークリエイトグループ バリュークリエイト担当 営業担当課長代理 山下 芳智(後列、左から1番目)、NTT東日本 北海道支店 第一ビジネスイノベーション部 テクニカルソリューション担当 主査 石川 秀一(後列、右から1番目)。そしてNISSのインストラクターの皆さま

導入いただいたソリューション

位置情報可視化システム一式(システムインテグレーション)、ギガらくWi-Fi、など

ソリューション導入効果

  • 子どもたちの位置を3D地図上で仮想化しインストラクターとパトロール隊の負担が軽減、保護者も安心
  • 侵入禁止エリアへの立ち入りを自動的に共有できるようになった
  • 緊急事態発生時の初動対応がわずか1分程度で完了するようになった

NTT東日本選定のポイント

  • 最適な位置情報可視化技術を体験イベントで知り、その有効性を確信したこと
  • 機能強化のリクエストにも柔軟に対応してくれ、システムインテグレーション力の高さを認識できたこと
  • システムインテグレーションのほか、インフラ整備などの面でもノウハウを持つベンダーであること

ICTが子どもの安全を見守る間は
保護者も安心してスキーを楽しめる

――NTT東日本は、この度の位置情報可視化システムの導入においてプロジェクト全体を構想し、システムインテグレーションと保守を担い、またスキーセンターやレストランにはギガらくWi-Fiを導入しました。位置情報システムを必要とした理由についてお聞かせください。

ペパード氏:スキーリゾートとしての「ニセコ」ブランドは既に世界レベルのスキー場として広く知られており、良質のパウダースノーを求めて世界中からスキーヤーやスノーボーダーが集まっています。特に海外からのご家族連れのお客さまが多く、長期滞在されリピーターとなり、繰り返し来訪され子どもにパウダースノーでスキーを上達させたいというニーズがあります。そうしたお客さまのニーズに対し、当社のNISSでは、日本ならではの「おもてなしサービス」に加え、安心・安全・信頼のあるリゾートにしていきたいという思いもあり、まずは子ども向けスキースクールでの道迷いや迷子を防止するGPSトラッキング技術を使ったシステムを導入したいと考えていました。

スキースクールはアウトドアでの活動なので、天候に左右され、迷子や怪我のリスクもゼロではありません。そのためICTを活用して、より安全な環境で子どもたちをお預かりできれば、保護者も安心してスキーを楽しんでいただけます。また、安全・安心面を強化することで、道内他の子ども向けスキースクールに対してビジネス面での差別化が図れます。

実はオーストラリアのスキー場では既にGPSを活用した位置情報システムが子どもたちの安全確保のために使われていますが、電波の規格がオーストラリア仕様なので日本のスキー場で活用することはできません。ITベンダーに依頼してスクラッチで開発しようとしましたが、これも上手くいきませんでした。そんな中、ニセコモイワスキー場でGPSの位置情報可視化実験をしていると知り、近くなので実際に現地に見学行ったところ、「これは使える」と確信しました。

日本ハーモニー・リゾート株式会社
花園事務所
スノースポーツ ディレクター
アンドリュー・ペパード 氏

端末の位置情報は3D地図上に表示し
直感的かつリアルタイムに把握

――NTT東日本の位置情報可視化システムに注目したポイントについてお聞かせください。

ペパード氏:位置情報可視化システムは「TREK TRACK」(※1)を活用してNTT東日本が構築してくれました。小型の端末がGPSで取得した位置情報を、基地局を通じて収集し、パソコンやスマートフォンから3D地図上で確認できるので、管理本部がリアルタイムに生徒たちとインストラクターの位置を把握できるようになっています。携帯電話の会話で確認し合うよりも、立体的な地図画面で位置関係を可視化する方が正確であるほか、端末は低消費電力で通信距離も半径10km以上と広範囲をカバーするので、電波が届かないということはほとんどありませんし、軽量なので生徒たちが首からぶら下げてもあまり負担になりません。

また、位置情報可視化システムの3D地図にはGeofence Maker(※2)という機能が搭載されており、生徒が侵入禁止エリアに入ったら、インストラクター全員のスマートフォンに緊急メッセージが入るようになっています。救出が必要になった場合のことも想定し、インストラクターがボタンを押したら瞬時にパトロール隊と情報共有できるよう機能強化をリクエストしたところ、NTT東日本はすぐに対応してくれました。そうした柔軟性の高さも評価のポイントでした。

日本ハーモニー・リゾート株式会社
花園事務所
ユキ スーパーバイザー
クリストファー・ハリス 氏

※1:株式会社博報堂アイ・スタジオが提供するGPS(Global Positioning System;全地球測位システム)とLPWA(Low-Power Wide-Area Network;低消費電力で広域をカバー可能なIoT向け無線通信技術)を使ったB2C 向けの安心・安全提供ソリューション。小型端末、LPWAゲートウェイ(基地局アンテナ)、管理システムで構成。

※2:地図上の任意の範囲に仮想のフェンスを設定することで、そのエリアを出入りする端末のデータを収集。設定したフェンスの中に入った人数などのデータはリアルタイムで管理者に通知され、多角的なデータの分析・解析が可能。

――現在、位置情報可視化システムをどのように運用されているのかお聞かせください。

ハリス氏:NISSでは、子ども向けプログラム(Yuki Galaxy)に参加する生徒たちを1組最大7人のグループになるよう、スキーのスキル別に6つのクラスに分け、それぞれのクラスに適切なインストラクターを配属します。上級クラスの生徒たちはもはや斜面を怖がることもなく、どうしても自由行動をしてしまうため、位置情報可視化システムの端末をネックストラップホルダーに入れて身につけるよう指導しています。各インストラクターとはすぐに連絡できるようにしており、万が一何か生じた際には状況を判断し、緊急ボタンを押すなど必要な行動をおこなってパトロール隊に支援を要請するなど、緊急事態フローに従って運用されます。

ペパード氏:位置情報可視化システムの運用を開始したのは2018年12月。端末は100台導入しました。最初は一部の機能にバグがあり、位置情報に多少のずれが生じていたましたが、2019年11月にバージョンアップした新端末に総入れ換えを行ってもらったところ、極めて高い位置検出精度を実現できました。開発と運用に当たっては、NTT東日本の担当者だけでなく、博報堂アイ・スタジオの方も東京から何度も来ていただき、こちらの要望を親身に聞いて反映いただいたことで、今は全く問題なく運用できている状況です。両社のパートナーシップを強く感じました。

日本ハーモニー・リゾート株式会社
花園事務所
ヒラフ スーパーバイザー
湯谷 祥子 氏

緊急事態発生時の情報共有が
1分程度で完了

――位置情報可視化システム導入後に得られた効果やメリットについてお聞かせください。

ハリス氏:これは何か問題が発生した時に活躍するシステムなので、使わないことが望ましいのですが、仮に生徒たちの誰かがコース外の林の中に行ってしまい、万一怪我をしてしまったことを想定すると、迅速に対応できる体制が整ったことを非常に心強く感じています。何かあったときの保険としては現状のところ最良の施策だと思っています。

湯谷氏:位置情報可視化システムでは、緊急時にデバイスIDから担当インストラクター名や、スキースクールのグループ名、緯度・経度による正確な現在位置などの情報を確認することができます。実際に、2019年の年末に1人の生徒の姿が見えなくなってしまったことがありました。そのグループはインストラクターに引率されながらリフトでゲレンデの中腹まで上ったものの、何人かの生徒は怖がって滑り下りられない状況になってしまいました。そのため、インストラクターは再びリフトに全員を乗せて下ろそうと予定変更を検討していたところ、一人の生徒がいつの間にか姿が見えなくなってしまったのです。担当インストラクターがすぐ緊急ボタンを押したことにより、本部側ではそのグループの位置情報だけをピックアップして3D地図上に表示し、単独行動している生徒の位置を把握しました。その生徒がゲレンデを下りた位置を確認できたので、中腹で生徒たちを待機させながら捜索を続けるか判断に迷っていたインストラクターは、安心して生徒たちをリフトに乗せて下山。一方、事務所にいたクリス(ハリス氏)はすぐにその生徒を迎えに行き、下りてきたグループに無事合流させることができました。位置情報可視化システムの精度が去年より格段に向上してくれたおかげで、事故になることもなくその日は楽しくスキースクールを続けることができました。

生徒が身につける端末。小型・軽量・薄型なので子どもたちが首にかけても負担になりません。

ペパード氏:大きなトラブルは発生していませんが、仮に生徒がゲレンデで怪我をした場合、従来はインストラクターがスマートフォンで報告していましたが、電波がつながりにくい場所にいる時は、管理本部が事故の発生を知り、およその位置を知るまでに、長い時は30分程かかることもありました。現在は、現場のインストラクターが自身の端末と生徒の端末の緊急ボタンを連続で押すことで、2つのエマージェンシーコールが送られると、緊急事態を確定させ、通報から共有までのタイムラグは1分とかかりません。その後は位置情報に従ってパトロール隊が現場に駆け付けることができるので、インシデント対応が非常に迅速化されました。これが最大の効果ですね。

インストラクターは生徒とともにゲレンデに出てしまうと一人でさまざまな作業を求められるので、大きなプレッシャーの中、役割を果たしています。こうした最新技術によって遠隔からより多くのサポートをすれば、インストラクターの負担を軽減できるので、マネージャーとしても非常に助かっています。

――今後どのような展開を想定しているかお聞かせください。

ペパード氏:ゲレンデに隣接する大規模ホテルが2020年1月に開業し、お客さまの数も増えることが予想されるので、NISSのレッスンの規模や種類も増えていくでしょう。今後は、子ども向けプログラムだけではなく、大人向けプログラムやプライベートレッスンにもこの位置情報可視化システムを活用していくことも計画しています。また、バージンスノーを楽しむバックカントリー(スキー場管理区域外)ツアーなどの導入も検討されているので、旅行傷害保険と位置情報可視化システムを組み合わせた形での運用も視野に入れています。

湯谷氏:インフラに強いNTT東日本がその技術力を発揮して、ニセコユナイテッドの広い範囲にアンテナ基地局を設置してくれたので、バックカントリーツアーなどの導入も安全に実現できるでしょう。今後もこの位置情報可視化システムを活用して、スタッフ全員がハッピーにスキーレッスンを担っていけると思います。引き続きNTT東日本の末永いサポートに期待しています。

真紅のスキーウェアは歴史あるNISSのインストラクターの証。優しくてユーモアたっぷりの先生は子どもたちからも大人気です。

*上記ソリューション導入時期は2018年12月です。

*文中に記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、全て2020年1月時点(インタビュー時点)のものです。

*上記事例はあくまでも一例であり、すべてのお客さまについて同様の効果があることを保証するものではありません。

日本ハーモニー・リゾート株式会社
企業名 日本ハーモニー・リゾート株式会社
本社 北海道虻田郡倶知安町字岩尾別328-36
設立 2004年7月28日
事業概要 日本ハーモニー・リゾートは、北海道・札幌の南、約100kmに位置するニセコ連山の東端にそびえるニセコアンヌプリ山の裾野に開発されたニセコHANAZONOリゾートの運営会社です。同社が運営するニセコ・インターナショナル・スノースポーツ・スクール(NISS)は、“英語で学べるスキースクール”として15年以上の歴史を持つ、国内最初のインリゾートスキースクールです。子ども向けプログラム、大人向けプログラムのほか、プライベートレッスン、グループレッスン、ニセコペアレンツプログラム(生徒がレッスンしている間、その保護者を対象に楽しく滑っていただくプログラム)など豊富なメニューを用意しています。

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