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板橋区が教育ICTでめざす、学校の未来とは

近年の急速な情報社会化により、ICTを利活用した授業を行うことで、子どもたちの情報活用能力を伸ばすことが急務となっています。東京都板橋区では、2015年度から2018年度の4年間でICT機器を導入する「板橋区教育ICT化推進計画」を策定。区立小中学校全76校に対して、統合型校務支援システムや電子黒板、タブレット端末などの計画的な整備・活用に着手しました。教師と子ども、そして子ども同士でも情報共有することによって、より深い学びが実現されるなど効果は着実に出ていますが、その過程には多くの試行錯誤もあったようです。導入までの取り組みや教育ICTに対する今後の展望などを教育長やご担当者にお聞きました。

板橋区

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(左から順に)NTT東日本ビジネスイノベーション本部 テクニカルソリューション部 第二プロジェクトエンジニアグループ 藤原正登主査、板橋区教育支援センター 新井陽子所長、板橋区教育委員会 中川修一教育長、板橋区教育支援センター 伊藤誠一教育ICT推進係長、NTT東日本東京北支店第二ビジネスイノベーション部 第一バリュークリエイトグループ白井慶子 営業担当主任

導入の目的
スピーディーな構築と充実した研修で授業革新を推進したい
導入ソリューション

「教育の板橋」をつくるため、
ICT環境の強化に着手

――板橋区では「板橋区教育大綱」「板橋区教育ビジョン2025」など、教育に関するさまざまな提言や方針を発表していらっしゃいます。教育に注力されている板橋区にとって、学校教育というのはどのような位置づけなのでしょうか?

中川氏:学校教育の大きな役割は、なんといっても「学力の向上、定着」です。これからの社会に求められる学力とは、単なる知識ではなく、知識を踏まえた上での思考力や表現力なのではないかと思います。こうした力を養うには、子どもたちがアクティブに学ぶ授業が欠かせません。そこで2016年に「とにかく授業を変えよう!」「授業改善ではなく、授業“革新”を実現させよう」と、授業プランニングや教え方の基本姿勢をまとめた「板橋区 授業スタンダード」を作成しました。

――「板橋区 授業スタンダード」とは、どのようなものなのでしょうか?

中川氏:文部科学省の学力・学習状況調査の分析や先進地域の視察を通した考察から、共通する手法を探り出して、5つの条文としてまとめたものです。「授業のはじめに学習のねらいを明確に示す」「必ず授業の振り返りを行う」「子どもがひとりでじっくり考える時間を取る」「子ども同士で学び合う時間を取る」、そして「ICT機器を活用して、分かる・できる・楽しい授業を行う」ことなどを明文化しています。

「ICT機器の活用」について盛り込んだのは、ICTが、私たちのめざす学校教育やアクティブ・ラーニングを行う上で非常に有効なツールだと考えたからです。まずは「ICTを活用して授業を変える!」という意志を示し、区内の学校に周知・共有したいと考えました。

NTT東日本と二人三脚で、
「板橋区教育ICT化推進計画」を実現

――「板橋区 授業スタンダード」の公表に前後する形で、2015年度から2018年度にかけてICT機器を導入する「板橋区教育ICT化推進計画」を実施されたと聞いています。具体的にどのようなことを行ったのでしょうか?

新井氏:「校務支援システムの導入」「電子黒板等のICT機器の整備」「タブレット端末及び無線LANの整備」を行いました。この他に、教師用デジタル教科書の整備、教員研修など、実に13もの業務があり、すべてをたった5人の職員で行わなければならないという現実に大きなプレッシャーを感じたことを覚えています。まず取り組んだのは「授業スタンダード」やさまざまな文書、校長会などの場で、ICT教育の必要性や有効性を伝え、計画について説明し、「ICTの導入が楽しみになる空気づくり」です。その後、システムやICT機器の導入に合わせ、NTT東日本と協力して、76校の小中学校すべてに電話をかけて、工事の日程や、授業などの状況、立ち入りできない区域はないかなどについて細かくヒアリングしていきました。

すべての学校に電話で連絡をするというのはとても大変な作業でしたが、教育委員会が積極的に情報周知をすることで前向きな空気づくりを行い、NTT東日本が細かな連絡や調整を担うことで、トラブルなくスムーズに機器の導入を進めることができました。

――その後、全教員・約1,700名に向けて研修を行ったそうですね。この研修が、とても好評だったと聞いています。どのような内容だったのでしょうか?

中川氏:教員がチームになって教材をつくり、模擬授業を行うという、現場に即した形の研修を行いました。ICT機器の活用法を知るだけでなく、ICTを活かしたカリキュラムづくりや教材づくりを経験することができて、とても参考になった様子です。講義型の研修でなく体験型の研修にすることで、図らずも、児童生徒に先駆けて教員がアクティブ・ラーニングを実践する格好になりました。研修を通して、多くの教員にICT教育の有用性が浸透したと思います。

NTT東日本の方々は、困ったことがあったときはすぐに相談に乗ってくれますし、よく顔を出しては、情報提供をしてくれます。担当者が短期間で変わるようなことがないところもいいですね。継続して同じ方が担当してくださることで、板橋区への理解、知識、信頼関係が積み上がっていると感じます。また、プログラミングの研究授業を行ったとき、NTT東日本の担当者が待機していて、気遣いに驚いたこともありました。他にも、学校の個別要望への対応など、その機動力や人材力は頼りになりました。

ICTは「授業革新」の起爆剤!
子どもたちが学び合う風景が広がる

――現在の活用状況はいかがでしょう?どのようなシーンで活用されていますか?

中川氏:例えば英語の授業では、自分の英語プレゼンテーションを動画で撮影し、レベルアップに活用するなどの使い方をしています。その他、特定のシーンを挙げるのが難しいほど、さまざまな教科・シーンで活用されているんですよ。「使っていない授業はない」と言ってもいいくらい浸透していますね。なにより子どもたちが、タブレット端末を使って楽しそうに教え合い、学び合っている姿が印象的です。子どもが楽しいと教師も楽しい、教師が楽しいと子どもも楽しい、そんな授業が広がっているなと感じました。ICTが、まさに授業革新の起爆剤になっている。ハードが変わるとソフトが変わるのだな、ということを体感しています。

伊藤氏:電子黒板は全普通教室に常設してスイッチひとつですぐ使える環境を整えたため、教員も児童・生徒も、ストレスなくICT機器が使えているようです。こうした「起動の早さ」「手軽さ」も、各校から評価されています。

現在は、NTT東日本がまとめた活用調査レポートをもとに、PDCAサイクルを回しているところです。導入、運用だけでなく、活用、調査、改善までサポートいただけるのは心強いですね。

中川氏:2018年9月に赤塚第二中学校が都内の中学校で初の「学校情報化 先進校」に選ばれました。ICT教育に関する環境整備が遅れていた板橋区でしたが、NTT東日本が板橋区の要望・疑問にこたえてくれたので、ここまで成長できたのです。今後も、研究・検証をともに続け、プログラミング学習の推進、タブレット端末の特別支援教育への適用などの取り組みを行っていきたいと考えています。

*文中に記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、全て2018年12月時点(インタビュー時点)のものです。

*上記事例はあくまでも一例であり、すべてのお客さまについて同様の効果があることを保証するものではありません。

導入ソリューション  校務ソリューション(グループウェア、成績管理、保健管理)、教室ソリューション(授業支援、協働学習支援)、インフラ整備ソリューション(無線LAN、タブレット、電子黒板)
組織概要 昭和7年、東京都板橋区が成立。東京23区の北西部に位置し、北区・豊島区・練馬区のほか、白子川・荒川をはさみ埼玉県と接しています。 区内には、東武東上線・都営三田線・JR埼京線・東京メトロ有楽町線の4本の鉄道路線が走り、主要幹線道路として中山道・川越街道・環状7号線・環状8号線・首都高速5号線が通っており、都心とのアクセスの良い地域です。 また、武蔵野台地北東部と荒川低地をあわせ持ち、豊かな自然環境に恵まれた地域でもあります。
児童生徒数 小学校 23,588人、中学校 9,087人(2018年5月1日現在)

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