2024年10月から郵送費アップ! 不動産業界で進む IT革命

更新日
2026-01-28

封書の郵便代が30年ぶりに値上げ。 最大で1.3倍の郵便経費アップに。

2024年10月1日(火)から、郵便料金が変更されます。25グラム以下の定形の封書に定める郵便料金の上限額は、84円から110円に値上げされ、26円引き上げとなります。50グラム以下の定形の封書も、現在の94円から16円増の110円に統一し、重量区分がなくなります。はがきも7年ぶりの値上げとなる見込みで、63円から85円に。定形外などの郵便物も3割ほどが基本的に値上げとなります。

背景にあるのは、IT化。郵便でのやりとりよりも、インターネットによるメールのやりとりなどが増え、そもそも郵便の役割が変わってきているのです。日本郵政が14日発表した2023年4〜12月期の連結最終利益は前年同期比41%減の2,219億円。ネット通販による宅配便などの物流が増える一方で、郵便・物流事業を担う日本郵便の取扱量が減り、減収減益となっています。最近では年賀状を出さない方も増えてきました。

イメージ:封書の郵便代が30年ぶりに値上げ。 最大で1.3倍の郵便経費アップに。

日本郵政HPより https://www.post.japanpost.jp/service/2024fee_change/index.html

郵便代の値上げは、 オーナーへの送金明細のコストアップにも

「まあ、なんでも値上げのご時世だから仕方ないか」と収益物件オーナーは受け止められるかもしれません。しかし、管理会社には大きな事業課題です。

例えば、毎月管理会社よりオーナーへ送付される家賃の送金明細。
1万戸の管理会社で、300人のオーナーがいるとします。25gの定形郵便の封筒で送ると、84円×300人=2万5200円。これを12か月送ると、30万2400円/年。これが110円に値上がりするので、39万6000円/年に約1.3倍に経費が増えるというわけです。

自主管理の大家さんであれば、滞納督促のハガキ代や更新のハガキを送ることも多いと思います。こうして経費はあがる一方で、家賃はこれまでのコラムでも連載していますように、新築築浅の首都圏ファミリーでは上がっているものの、なかなか築古・郊外・単身では上がっていないため、収支に影響します。

クレジットカードの明細が「郵送は有料」に。 アプリやWEBがメインに。

すでに、「クレジットカードの明細書」などが、紙からネットに移行しています。「そういえば、カードの支払い明細はオンライン画面で見ている」「なかなかそういうのは年齢的に難しいので、一通数百円の明細書発行手数料を払う事になった」といった話を聞きます。

実は多くのクレジットカード会社では、環境保護のため紙の明細書の郵送を停止し、オンラインでの明細確認を推奨しています。もちろん、郵送費の削減目的もあります。
オンラインでの明細確認は、紙明細より早く情報を入手できたり、過去の明細を探しやすい、場所を選ばずに管理できる等、利用者へのメリットも大きいです。

不動産会社でもいよいよ、ネットによる送金明細発行へ。 一部では、有償で紙の明細書送付に切り替えるところも。

こうした社会情勢ですから、「これまでどおりなんども紙で」「書面で送るからハンコついて返信」というやり取りは、不動産業界でも減っていきます。

ネット化が進んで郵便局が減収減益となり、その解決に郵便代を値上げするので、さらに紙のやりとりは減少傾向となるでしょう。

すでに、ウェルスパーク・GMOリテック・いい生活など複数のIT企業が、「オーナーアプリ」を展開しています。オーナーさんへの毎月の家賃の送金明細書の送付をアプリ経由にすることで、郵送コストが削減されます。

300人のオーナー向けだと、前述したように110円の値上がりで、39万6000円/年の経費。3000人なら年間396万円となれば、それはなんとかコスト削減したいと思うのは当然でしょう。

不動産会社がコスト削減?ではオーナーにはどんなメリットが?

「なるほど企業の郵送費や印刷代が削減か。でもそれは不動産会社の事情だろう。オーナーの我々には、どんなメリットがあるのかね」。こうした質問もよく伺います。

実は、オーナーと管理会社のやり取りがデジタルになっていくことで、オーナーにもメリットはあります。

たとえば、電話での修繕の相談をして、見積書を郵送して、また電話で確認して修繕を行うというケース。「高齢だからアプリなんか無理」と言われるオーナーとの対応ですが、むしろ電話のほうが、聞き取りづらい場合や、内容の伝達が難しい場合もあります。郵送物のやり取りは、アプリや電話と比べて時間もかかりますし、誰が受け取ったか、どこにあるのかよくわからないということもあります。

イメージ:不動産会社がコスト削減?ではオーナーにはどんなメリットが?

また、電話ですと記録が残らず、「明日までと言ったかどうか」など記憶があいまいになる事もあります。電話や対面はアプリのようなデジタルよりも、相手の心情が伝わりやすく、丁寧なやり取りが期待されます。一方で、「故障したから修繕してほしい」などの緊急対応時は、不動産会社もオーナーも冷静さが必要になります。アプリのやりとりで、一呼吸置いて対応したほうが良い場合もあります。

デジタルデータだと、確定申告が簡単。 税理士さんへの経費削減も。

実は、郵送で送られた送金明細などは、税理士さんがもう一度、Excelに打ち込むなどの作業をしています。ご自身で確定申告する場合は明らかに手間。税理士さんに丸投げしている場合は、実際には「入力費」を請求されている事もあります。そもそも送金明細はデジタルデータのほうが紛失しませんし、確定申告などで計算するのも元のExcelデータがあれば簡単なのです。

オーナー側も経費節減や手間削減が可能となります。

イメージ:デジタルデータだと、確定申告が簡単。 税理士さんへの経費削減も。

民法改正で、スピーディに修繕しないと オーナーが損をする。

さらに、電話や紙のやり取りだと、双方不在のケースなどもあり、修理などの判断の連絡でタイムロスが発生します。例えばこの暑い夏にエアコンが壊れた。ではどのメーカーのエアコンで、いくらで修理をするかというやり取りを電話しても不在だったり、なんとか捕まえて、3種類の見積書を送っても受け取りが家族のだれかわからなかったり、などタイムラグが生じてしまう可能性も。そういった行き違いが原因で入居者の不満が増幅してしまうこともあります。

民法改正では、この間の家賃は「当然に減額される」と改定されていて収支の悪化要因となります。また相談している間に我慢できず、入居者が自分で直してしまうと、その高い修理代をオーナーが請求されることがあります。これも民法改正では認められています。

また、昨今では「〇〇ハイツのエアコンまだ直らない。マジ暑いぜ」などと、ネットでつぶやかれてしまう可能性もあります。

こう考えると、郵送代の値上げでいよいよ管理会社→オーナー間のやり取りもIT化されるのが必須。こうした時世に対応して、これまで空室対策として「ネット無料」などのIT化を検討して来たオーナーも、デジタルに少しずつ慣れていく必要が高まってきたのです。

写真:執筆:上野 典行(うえの のりゆき)

執筆:上野 典行(うえの のりゆき)

【プロフィール】プリンシプル住まい総研 所長

1988年慶應義塾大学法学部卒・リクルート入社。リクルートナビを開発後、住宅情報タウンズ・住宅情報マンションズ編集長を歴任。現スーモも含めた商品・事業開発責任者・ディビジョンオフィサー・賃貸営業部長に従事。2012年1月プリンシプル住まい総研を設立。All Aboutガイド「賃貸」「土地活用」。日管協・研修副委員長・中国ブロック副ブロック長。全国賃貸住宅新聞連載。全国で、講演・執筆・企業コンサルティングを行っている。

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