手取りを増やす!社宅貸与と住宅手当で、従業員の所得増へ

  • 人材不足解消
  • 職場のネットワーク環境の整備
  • 光回線(フレッツ光)
  • リモートワーク
  • 人材不足
公開日
2026-02-20

選挙における争点の一つとなっていた「手取りを増やす」施策。
消費税の軽減や社会保険料の抑制、いわゆるパートの「年収の壁」など、物価高の状況を背景に、さまざまな論点が議論されています。そうした中で、社宅貸与によって従業員の手取りを増やすという考え方が、近年、新たな潮流として注目されつつあります。

今回は、社宅貸与と手取りの関係について論じていきます。

住宅手当にも、所得税がかかる?!手当で支給するより、借り上げのほうが手取りが増える

例えば、家賃が5万円の部屋を、借りようとします。この場合、会社が5万円でその部屋を借り上げ、社員が居住するという、いわゆる「法人契約」の賃貸形態が一般に用いられることがあります。

これは、住宅手当には所得税が課されるという税制上の仕組みが関係しています。
あまり知られていないことですが、住宅手当は給与と同様に「現物支給による利益供与」とみなされるため、所得税の課税対象となるのです。所得税とは、給与や賞与など、個人の所得に対して課せられる税金です。毎月の月給や賞与だけでなく、住宅手当についても同様に所得税がかかります。

一方で、交通費については取り扱いが異なります。
出張時の移動にかかる交通費や、通勤のために支給される通勤交通費(通勤手当などの名目で支給されるもの)は、原則として取得税がかかりません。これらは業務の一環として行っていることなので、会社における「必要経費」に該当すると考えられているためです。
イメージ:法人契約ってどういうこと?
ところが、業務の一環として転勤となり、やむなく部屋を借りたとしても、現金支給された住宅手当には、原則として取得税がかかります。
国税庁の公式見解でも、住宅手当が給与に上乗せされる場合は課税対象となると、取得税法第28条に明示されています。
イメージ:課税/非課税区分

住宅手当の支給を受けると、社会保険料の算出基準にもなり、手取りが減ります

社会保険料は、「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」といった項目があります。

健康保険は、病気やケガをした際に、病院などで支払う医療費の自己負担を軽減する制度です。自分自身はあまり病院にかからなくても、社会全体で支え合う仕組みとなっており、重い病気やケガを負った人の医療費もカバーしています。一般に、保険料は労使折半で、会社側も同額を保険組合に支払っています。
この保険料の算出基準となる年収には、住宅手当が含まれます。

厚生年金保険は、老後の生活を支えるための制度です。少子高齢化の進行により、現役世代の負担は年々増加しています。
保険料は標準報酬月額 × 18.3%(全国一律)で、こちらも労使折半となっており、この標準報酬月額には住宅手当が含まれます。

介護保険は、40歳から64歳までの人を対象とした制度で、要介護状態になった際に介護サービスを利用するための保険です。
健康保険料に上乗せして徴収される仕組みのため、その算出根拠にも住宅手当が含まれます。

雇用保険は、失業時の生活保障などを目的とした保険です。
労働者負担分は0.55%ですが、こちらについても保険料の算定対象には住宅手当が含まれます。

なお、社会保険とは別に労災保険があります。
これは、業務中や通勤中の事故・病気に対する補償制度で、全額が事業主負担となるため、従業員の手取り額には影響しません。



住宅手当vs社宅で28万円も年間差が出る

2025926日に公表された国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」によれば、日本の全体の平均年収は478万円です。

仮に年収500万円とすると、所得税は約118,000円・住民税は約241,000円・社会保険料は約750,000円で、手取りは、約3,891,000円となります(家族構成や自治体にもよります)。税金と社会保険で、ざっと110万円かかるのですから、消費税と同様に選挙でも論点となります。

一般に「家賃は年収の20%が目安」と言われます。そこで、年間100万円の家賃の部屋に住むケースを想定してみましょう。仮に会社から年間100万円の「住宅手当」が支給されたとします。
この場合、課税や社会保険料の算定基準は、「年収500万+住宅手当100万」の600万円となります。
その結果、所得税は約184,000円・住民税は約306,000円・社会保険料は約900,000円で、残りは、約4,610,000円。しかし、100万円は家賃として、大家さんに支払いますので、残りは、約3,610,000円となります。なんと28万円損をしてしまうのです。

一見すると、従業員にとって「給与が増えた」ように感じられる住宅手当ですが、実際は税金負担の増加増につながり、手取りを押し下げる可能性があるというわけです。

■年収500万円・家賃年間100万円のケースでの「住宅手当」と「社宅貸与」の手取りの差

イメージ:住宅手当と社宅貸与の手取りの差

社宅が減少する中、部屋だけを企業が借り上げる「借り上げ社宅」が増加

では、現在も世の中に社有社宅は多く残っているのでしょうか。結論から言えば、社有社宅は年々大きく減少しています。

社有社宅は、建物の老朽化に伴う修繕や建て替え、固定資産税の負担など、企業側にとって維持コストが大きいという課題を抱えています。
そのため、2000年以降、バブル崩壊を契機に多くの社有社宅が売却されました。

特に大手企業ほど社宅制度の見直しが進み、2008年に労務行政研究所が実施した「社宅・寮、住宅融資制度に関する実態調査」によれば、従業員数1,000人以上の企業において、独身寮は58.4%、社宅は64.2%が統合・廃止されています。

こうした背景を受けて近年増えているのが、民間の賃貸住宅の一室を企業が借り上げ、従業員に貸与する「借り上げ社宅」という形態です。企業は不動産を保有するリスクやコストを抑えつつ、従業員に対して住居支援を行うことができるため、社有社宅に代わる現実的な選択肢として定着しつつあります。

「インターネット無料」の賃貸物件であれば、さらに手取りが増える

このように社有社宅や借り上げ社宅は、住宅手当よりも従業員の手取りが増えます。
しかも、その建物がインターネット無料であれば、インターネット代を居住者は払う必要がなくなります。

■年収500万円のケースで「インターネット無料付き社宅貸与」と「社宅貸与」の手取りの差

イメージ:インターネット無料付き社宅貸与と社宅貸与の手取りの差

自分でインターネットを引けば、毎月5,000円前後のインターネット代がかかりますが、建物設備としてインターネット無料であれば、その分、「さらに手取りが増える」というわけです。

インフレが進み、物価が高騰する中、国は「物価上昇分の給与アップ」を国に呼びかけていますが、これはあくまで呼びかけです。企業が賃金アップをしていくためには、絶え間ない生産性の改善が望まれます。
と考えると、企業側も、従業員の手取りを増やしていく方向で、所有社宅の建設や、設備強化を図るとともに、借り上げ社宅でのインターネット無料物件の選択など、様々な施策が求められているのです。

写真:執筆:上野 典行(うえの のりゆき)

執筆:上野 典行(うえの のりゆき)

【プロフィール】プリンシプル住まい総研 所長

1988年慶應義塾大学法学部卒・リクルート入社。リクルートナビを開発後、住宅情報タウンズ・住宅情報マンションズ編集長を歴任。現スーモも含めた商品・事業開発責任者・ディビジョンオフィサー・賃貸営業部長に従事。2012年1月プリンシプル住まい総研を設立。All Aboutガイド「賃貸」「土地活用」。日管協・研修副委員長・中国ブロック副ブロック長。全国賃貸住宅新聞連載。全国で、講演・執筆・企業コンサルティングを行っている。

関連サービス

集合住宅向け 全戸一括 光回線インターネットサービス フレッツ光 全戸加入プラン

<集合住宅オーナー・管理会社さま、宿泊施設運営企業さま、社宅・寮管理者向け>
4部屋以上の集合住宅・宿泊施設を対象に、全部屋分のフレッツ光を一括でご契約いただくプランです。

関連サービスに関するお問い合わせ・資料のダウンロード

お客さまの物件に適したインターネット環境をご提案いたします