「 ナッジ」を活用した省エネとは?具体例・事例も合わせて解説!
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- 公開日
- 2024-04-10
- 更新日
- 2026-02-18
近年では、ビジネスシーンで「ナッジ」というキーワードが注目されています。このナッジは人に強制や禁止することなく、特定の行動へ誘導する方法であり、さまざまな場面で工夫が施されています。実際に人間は意識して行動するよりも、無意識的な行動の方が実現しやすいため、この心理を利用することにより省エネや節電を実現した例が多いです。例えば企業などで「節電しましょう」と声かけをしても、大きな効果は見込みにくいでしょう。このようなときにナッジを活用することで従業員などの行動が変化し、結果に繋がる可能性があります。そこで今回は、「 ナッジ」を活用した省エネについて解説します。具体例・事例もあわせて紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。
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1:「ナッジ」とは?
ナッジとは英語では「nudge」と書き、「軽くつつく」「行動をそっと後押しする」という意味の言葉です。特にビジネスシーンでは「経済的なインセンティブや行動の強制・禁止をせず、行動の変容を促す戦略や手法」のことです。何かのアプローチにより人の心理に働きかけ、対象の行動が変化するためマーケティングなどに活用されています。
人の行動を変える仕掛
ナッジの代表的な例には、レジ待ちの並び位置に足跡のステッカーを貼ったり、小便器に虫のシールを貼ることで飛び散りを防いだりといったものです。このように小さい工夫が人間の行動に働きかけるため、人の出入りが多い場所などで活用されるケースが多いです。その他にも、企業の従業員に対し省エネ・節電の行動を促すケースもあり注目を集めています。というのも、近年では電気代の高騰などにより積極的に節電に取り組む企業が増えています。しかし、従業員に対し「節電しよう」と声かけをしても大きな効果は得にくいでしょう。そこでこの「ナッジ」を活用することにより、自然に無理なく従業員の行動を変えて節電・省エネを実現しやすくなります。例えば、一人ひとりの行動に得られる効果は小さいものでも、従業員数が多く長期的に実施するものであれば大きな効果を生みます。
2:ナッジの具体例・アプローチ
ナッジによる省エネの具体例にはさまざまな種類があります。先程のトイレの例でいえば、他にも「トイレは綺麗に使いましょう」という張り紙から「いつも綺麗に使っていただいてありがとうございます」という内容に変更したことで、トイレの清潔さが改善された事例があります。他にも下記のような画像の事例もあります。
こちらは電力中央研究所の資料で紹介されている事例になります。左の画像では棚に収納するファイルの背表紙に、一直線になるように斜めの線を入れることで、直線になるように置きたくなる心理から、効率良く整理整頓できるようになりました。右画像は小さい鳥居を設置することにより、ゴミを捨てづらくなり清潔さが保たれるという事例で、電信柱などにも活用されているものです。
営業に関するナッジの活用例
営業の代表的な手法にもナッジが活用されています。いわゆる「松竹梅の法則」と呼ばれるもので、相手にYES・NOを求めるのではなく、価格・品質が分かれた3つのランクの商品を提案することで、その中から選びやすくなるというものです。この方法は人間が提示された選択肢の中から自分に合ったものを選びやすい点を活用しています。YESとNOの2択の場合、NOを選択してしまうことがありますが、3つの選択肢を提示することでNOが選ばれにくくなります。また、最も安い・最も高いという極端な選択肢を避ける極端回避性という心理も働くことから、価格・品質が平均的な中間のプランが最も選ばれやすいです。このことを応用し、最も売りたいプランを中間の選択肢にされることが多いです。
省エネに関する事例
先程と同様に電力中央研究所の事例の中には上のような画像の例があります。電源をOFFにすることで絵が一致することから「思わず消しちゃう照明スイッチ」として実践されています。このような工夫により、そのフロアの電気がつけっぱなしになった状態から、使用者が意識的に電源をOFFにするようになりました。他にも下の画像のような例もあります。
このフロアでは使用者が無意識的に電源をつけてしまう癖があり、明るい日中でも照明を点けていたため電力が無駄になっていました。そこで、簡易的なカバーをスイッチに設置することにより、不必要に電源を点けることの削減に繋がっています。このような仕組みを施すことにより、意識をせずとも節電行動に誘導されます。意識ではなく行動が変わることにより、明確な節電効果が期待できるでしょう。
ポスターの訴求ポイントを変更した事例
ナッジはスイッチなどに工夫を施す以外にも、ポスターなどのテキストメッセージにも応用できます。下記の画像は経済産業省資源エネルギー庁で実証実験で使用されたもので、A~Dの画像でLEDライトの選択率の違いを調べました。
Aは従来通りのポスターであり、C~Dには何かしらの変化を持たせています。このときの各実験によるLEDの選択率は以下のようになりました。メッセージなし:65.1% A:73.0% B:72.0% C:72.3% D:74.2%このようにポスターを掲示することにより、消費者の行動は大きく変化したことが分かります。また、この実験ではそれぞれの条件下で購入した照明器具の平均値を出しており、その結果が次の通りです。メッセージなし:6911円 A:7585円 B:7687円 C:7461円 D:8517円この結果からナッジの仕組みを最も活用しているDのポスターの購入金額が一番高くなりました。消費者に対してこのようなアプローチを実施することにより、製品購入を促進することも可能といえるでしょう。
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3:ナッジによる省エネ促進の事例
国内の事例では
2017年に日本発の大規模ナッジ事業が始まりました。
この事業では環境省や全国のエネルギー事業者5社と日本オラクルが協力してスタートしました。
ノーベル経済学賞の「ナッジ理論」を実践し、全国30万世帯にCO2削減への省エネ行動を奨励したこともあり大きな注目を集めました。もともとナッジを活用した省エネ・CO2の削減の取り組みの関心は高く、地球温暖化対策は社会的なテーマとなっています。
特に家庭や個人の取り組みは影響が大きいものの、結果に結びつけるのは難しいと考えられていました。
そこで先程のポスターの事例のような実証実験を行い、ナッジを活用して省エネを促しました。具体的には次のような異なるメッセージを、各家庭のドアノブにかけ、影響を調査しました。A:「節約しましょう-エアコンを消し扇風機を」
B:「環境に優しく-エアコンを消し扇風機を」
C:「より良い未来のため-エアコンを消し扇風機を」
D:「ご存じですか?ご近所さんはすでにエアコンから扇風機に変えています」
AからCのメッセージではどれも効果は生みませんでしたが、
Dのメッセージが最も効果があったとされています。
これは、
ご近所づきあいがあるエリア・コミュニティにおいて、そこからはみ出したくない・足を引っ張りたくない、といった心理が働いた結果だと考えられています。
他にも、
各家庭の電力状況を調査したレポートを提供するという実証実験を行いました。
その際に、
節電できている家庭と電力・ガス使用量を比較して「あなたのご家庭は2万円も電気・ガス代を高く支払っています」というメッセージを掲示することで大きな効果がありました。
これは、「これだけ得をする」というメッセージよりも「これだけ損している」と言われた方が、損失回避から人はアクションを起こしやすいためです。
このようなナッジを活用した事例が実施され、実際に省エネに繋がる効果が実証されています。
また、この事業では日本市場の特性の1つとして「キャラクター文化が根強い」ことから、イメージキャラクターである「そらたん」を作成。
電力使用量に応じて、そらたんの表情が変わり、それを見て自身の電気・ガスの使い方を省みることができる仕組みも採用しています。
4:まとめ
この記事では、「 ナッジ」を活用した省エネについて解説しました。ナッジは日常の至るところに活用されており、その一つひとつは小さい工夫ですが、影響を受ける人が多くなれば大きな効果を得られるでしょう。実際に、企業によっては小まめに照明の電源をOFFにすることに成功して、高い費用対効果を得ています。コストを抑えつつ節電・省エネを実現したい場合は、ナッジ活用について調べてみると良いでしょう。
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