
AIで従来型ネットワークを変革するWi-Fiソリューション
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テクノロジーでビジネスの現場が変わる!(第98回)

生成AIやクラウドの活用を支える企業ネットワークは、いまや経営基盤の一部です。国の計画を基に、2030年を見据えた通信基盤の整え方を解説します。
Summary

AIで従来型ネットワークを変革するWi-Fiソリューション
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Index
生成AIやクラウドサービスの利用が進み、企業ネットワークの役割は大きく変わりつつあります。これまでネットワークは、メールやWeb閲覧、社内システムへの接続を支える、「つながればよい」ものとして捉えられがちでした。
しかし現在は、SaaS、Web会議、クラウドストレージ、生成AI、データ分析基盤など、日々の業務のほとんどがネットワークの上で動いています。たとえば生成AIを使う場合も、従業員はクラウド上のAIサービスにアクセスし、資料作成や文章作成、データ分析などを行います。営業部門ではSFAやCRM、マーケティング部門ではMAツールを使うことも一般的になりました。
もしネットワークにトラブルが発生し、通信が遅い、つながりにくい、あるいは拠点によって品質にばらつきがある場合は、従業員が不便になるだけではなく、業務効率や顧客対応に悪影響が生じる恐れがあります。
つまり、企業ネットワークはもはや単なる通信手段ではありません。AIやクラウドを安定して活用するための土台であり、業務品質や競争力を左右する経営基盤の一部ともいえます。

こうした「ネットワーク=経営基盤」という考え方は、国のインフラ政策にも表れています。
総務省は2025年6月、「デジタルインフラ整備計画2030」を公表しました。同計画は、2030年頃を見据え、生成AIや自動運転、遠隔医療、防災など、今後の社会を支えるデジタルサービスを全国で安定して利用できるようにするため、光ファイバー、5G、データセンター、海底ケーブルなどのネットワーク基盤を整備・強化していく国の計画です。
同計画では、デジタル技術を徹底的に活用し、DXを加速するには、それを支えるネットワークなどデジタルインフラの重要性が一層高まっているとしています。一方で、能登半島地震で通信サービスが長時間利用できない事態が生じたため、サイバーセキュリティの確保を含む通信インフラの強靱化が課題として示されています。
同計画のポイントは、大きく3つに分かれています。1つ目が、データセンターや海底ケーブルを地方にも分散させ、地域でデータを活用できる環境を整える「地方創生」です。2つ目が、災害時にも通信機能を維持できる強い通信基盤を築く「国土強靱化」です。3つ目が、オール光ネットワーク、量子暗号通信といった次世代技術を国内で研究開発・社会実装し、海外展開につなげる「国際競争力」です。
これらは単に「回線を増やす」という話ではありません。データセンター、海底ケーブル、光ファイバー、5G、非地上系ネットワークなどを組み合わせ、AI時代に必要なデータ処理と通信を支える基盤を一体的に整備しようとしている点に特徴があります。
同計画において、ネットワークはどのように強化されようとしているのでしょうか? 資料からは次のような方向性が読み取れます。
まずは、「安定してつながる範囲の拡大」です。同計画では、光ファイバーの世帯カバー率99.9%(2027年度末)、5G人口カバー率99%(2030年度末)という整備目標を掲げています。あらゆる社会活動が安定した通信を前提に成り立つ時代を見据え、全国どこでも質の高い通信を利用できる環境を整えようとしています。
次に、「遅延の少ない通信の実現」です。「遅延が少ない(低遅延)」とは、送信されたデータが目的地に届くまでの時間が短縮され、映像や音声のタイムラグが短くなり、ネットワーク経由でもリアルタイムのやり取りがしやすくなることを指します。
同計画では、遅延を抑える次世代基盤として「オール光ネットワーク」が示されています。これは電気処理をできる限り光処理に置き換え、低遅延・大容量・低消費電力の通信を実現しようとする技術です。本格的な普及はこれからですが、自動運転や遠隔医療など、リアルタイム性が求められるサービスの基盤として期待されています。
このほか、「通信インフラの強靭化」も挙げられています。計画では、通信を止めうるリスクとして災害・サイバー攻撃を位置づけており、データセンターや海底ケーブルの地方分散に加え、光ファイバー・モバイルネットワーク・衛星通信といった複数の通信手段の組み合わせにより、一カ所の障害が全体に波及しにくい構成をめざしています。
デジタルインフラ整備計画2030は国のインフラ計画ですが、その考え方には、企業がネットワークを見直す際のヒントも含まれています。
たとえば、「安定してつながる範囲の拡大」という考え方です。クラウドや生成AIを全社で活用する企業にとっては、本社だけでなく、支店、工場、店舗、在宅勤務環境まで含めて、高い通信品質を揃えることがその土台になります。もし一部の拠点でネットワークへのつながりが悪い場合、ビジネスに遅れやトラブルが生じかねません。その際は、Web会議、SaaS、生成AIなどがどの拠点でどれくらい使われているのか、拠点ごとの品質に差はないのかを把握することが、ネットワーク見直しの出発点といえます。
「通信インフラの強靭化」も、企業に当てはまる考え方です。たとえばすべての通信を本社経由に集める構成や、単一回線への依存は、ひとつの通信障害がネットワーク全体に悪影響を及ぼす恐れがあります。しかし、バックアップ回線や接続経路の複線化、業務の重要度に応じた専用線・閉域接続を使い分けることで、障害が発生したとしても、業務を継続することが可能になります。
「遅延の少ない通信」については、オール光ネットワークの本格的な普及がこれからであるため、いますぐ取り入れるというより、将来の選択肢として捉えるのが現実的といえます。工場の設備監視や遠隔からの作業支援など、リアルタイム性が求められる業務を行う企業は、通信遅延が業務の生産性や安全性にどの程度影響するのかを整理し、将来の投資判断に備えておくことが求められます。
同計画は2030年頃を見据え、通信の需要が本格化する前に基盤を整えようとしています。企業においても、生成AIの利用が全社に広がったときの通信量や拠点構成をあらかじめ想定しておくことで、通信の需要が逼迫してから慌てて回線を増強するような事態を避けることが可能になります。
これからの企業ネットワークに求められるのは、「つながればよい」通信ではありません。安定してつながり、遅れずにつながり、障害時にも止まりにくく、そして安全につながることです。AIやクラウドの活用が本格化する前に、自社のネットワークがこれからの業務を支えられる状態にあるか、一度点検しておくべきでしょう。



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