
「生成AIの利用ガイドライン」制作者に聞く
生成AIのリスクを回避しながらビジネスに採り入れる方法とは
テクノロジーでビジネスの現場が変わる!(第97回)

文章を入力するだけで画像を作れる「画像生成AI」は、ビジネスシーンでも重宝します。無料で試せるサービスから有料版まで、特徴と注意点を解説します。
Summary

「生成AIの利用ガイドライン」制作者に聞く
生成AIのリスクを回避しながらビジネスに採り入れる方法とは
Index
生成AIを使って、イラストや写真風の画像を作成したことがある人は多いかもしれません。近年は、文字で命令文(プロンプト)を入力するだけで、その内容に沿った画像を作れるサービスが登場しています。
AIによる画像生成は、ビジネスシーンでも重宝します。これまではデザイナーや制作会社に依頼していたビジュアル制作の一部を、担当者自身が短時間で試せるようになったため、SNS投稿や広告に使用する画像、社内で方向性をすり合わせるためのラフ案なども、以前より簡単に作れるようになりました。
最近では、画像生成に特化した生成AIサービス、いわゆる「画像生成AI」も登場しています。無料で利用できるものから、商用利用・法人利用を意識した高機能なサービスまで、選択肢は広がっています。
こうした画像生成AIサービスは、ビジネスシーンでどのように利用するのがよいのでしょうか。本稿では、主なサービスの特徴や、業務利用で注意すべきポイントを解説します。
画像生成AIの中には、無料で始められるサービスが存在します。その代表例が「Canva(キャンバ)」です。

Canvaはプレゼン資料、SNS投稿、バナー、チラシなどを作成できるデザインツールで、画像生成機能も組み込まれています。Canvaの発表によると、2025年時点で月間利用者数は2億6000万人に達しています。
Canvaの強みは、画像を生成するだけでなく、資料やSNS投稿、広告バナーなどの完成形まで同じ画面で作れる点にあります。生成した画像をテンプレートに配置し、文字入れ、色調整、レイアウト変更まで続けて行えるため、別のデザインソフトに移す手間がありません。画像生成単体のサービスというより、生成した素材をそのまま実務用のデザインに落とし込める点が特徴です。
Canvaには有料版もありますが、無料版でもCanva上の無料素材やテンプレートを使ってデザインを作成できます。有料版では、使える素材やテンプレート、ブランド管理、チームでの共同編集など、選択肢が広がります。
Canvaに関連するサービスとして、同じく画像・動画の生成に対応したAIサービス「Leonardo.Ai」があります。Canvaは2024年にLeonardo.AIの買収を発表しており、Canvaの画像生成機能の一部にもLeonardo.AiIのモデルが使われています。こちらも無料での使用が可能ですが、無料版で作成した画像データは他のユーザーにも公開されます。
広告やWebサイトなど、社外に出る制作物に使うなら、商用利用や学習データに関する説明が明確な有料サービスが選択肢になります。
代表格がAdobe Fireflyです。AdobeはFireflyについて、企業が広告やWebサイトなどの公開物にも使いやすいよう、学習データの権利面に配慮していると説明しています。つまり、AIの学習に使う素材として、権利者から許諾を得たものや、著作権保護期間が満了したものなどを利用することで、生成した画像を商用利用した際に権利トラブルのリスク低減を意識して設計している、ということです。
Fireflyは、PhotoshopやIllustrator、Adobe Expressとの連携も強みであり、既存の制作フローに組み込みやすいサービスです。Firefly上ではGoogleやOpenAIなど他社製のAIも選択できますが、商用利用する場合はそれぞれの提供元が示す条件を確認する必要があります。

「Ideogram」も、商用利用が可能なサービスです。同サービスは画像内の文字表現を強みとして打ち出しており、ポスターや告知画像、SNS投稿のように、文字とビジュアルを組み合わせた制作に向いています。
このほか「Midjourney」は、多くのユーザーを持つ画像生成AIです。コミュニケーションサービス「Discord」上のコミュニティは、2,000万人を超える規模と報じられています。このサービスは会社の規模によって必要となる有料プランが変わる点が特徴で、年間の総収入が一定規模を超える企業は、上位の有料プランが必要と説明されています。
これらのサービスは、いずれも簡単なプロンプトで、用途に応じた画像をすばやく生成できる点が特徴です。しかし、何でも使い放題というわけではありません。
特に注意したいのが、商用利用条件の確認です。無料プランに限らず、有料サービスでもプランや機能によって利用条件は異なるうえ、規約が更新されることがあります。無料枠で生成した画像の公開範囲や、他ユーザーによる利用の可否はサービスによって異なるため、自社の商品やサービスに使用する場合は、必ず最新の利用規約を確認すべきです。
権利侵害のリスクも注意すべき点のひとつです。生成AIで作った画像でも、既存のキャラクター、著名人、企業ロゴに似ていれば、著作権、商標権、肖像権のトラブルにつながる恐れがあります。画像生成AIをめぐっては、学習データや生成物の類似性をめぐる訴訟も起きています。公開前に人の目で問題がないかを確認するプロセスは欠かせません。
このほか、情報漏えいについても注意が必要です。画像生成AIに、未公開のデザインや顧客資料、人物写真を含む画像をアップロードすると、情報管理上の問題が生じる恐れがあります。入力した画像がどのように扱われるのかを事前に確認すべきです。
画像生成AIは、使い方を誤ると権利侵害や情報漏えいのリスクを招きます。しかし、用途ごとにサービスを使い分け、入力してよい情報や公開前の確認フローを定めておけば、制作スピードやコスト削減に大きく貢献します。なお、利用規約や商用利用条件、データの取り扱い方針は変更される場合があるため、利用にあたっては各サービスの最新情報を確認することが重要です。
大切なのは、画像生成AIを「どの業務で、どのサービスを、どこまで使うのか」を決めておくことです。ルールを整えたうえで活用すれば、画像生成AIは企業のコンテンツ制作を支える有力な武器になり得るでしょう。

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