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近年、医療機関では医師の長時間労働が問題視されています。その要因のひとつが電子カルテ記載業務のような膨大な事務作業です。Ubie株式会社では2018年より、AI問診サービス「AI問診ユビー」の提供を開始し、医師業務の負担削減に取り組んできました。しかし、同サービスはパブリッククラウド上で提供されるため、高セキュリティが求められる病院が利用するには多大なコストがかかることが導入の障壁となっていました。そこで「AI問診ユビー」に対し、NTT東日本・NTT西日本が提供するIPv6閉域ネットワークサービス「フレッツ・VPNプライオ」を利用した閉域VPNプランを新設。インターネットを介さない高セキュリティかつ手頃な回線でAI問診サービスの提供が可能になりました。数ある通信事業者からNTT東日本を選んだ理由や今後の展望についてUbieの代表取締役であり医師の阿部吉倫氏とご担当者にうかがいました。
Index

<NTT東日本担当>
(左から)NTT東日本 ビジネスイノベーション本部 地方創
生推進部 担当課長 和田 将人、吉田 哲朗、第四バリューク
リエイト部 椎川 まどか、プロダクトサービス部 石川 佳愛
Summary

Ubie株式会社 共同代表取締役 医師
阿部 吉倫氏
――会社の事業内容や特徴を教えてください。
岡氏:当社は「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」ことをミッションに掲げ、2017年に医師の阿部とエンジニアの久保が共同創業したヘルステックスタートアップです。AIをコア技術として、2018年より医療現場の業務効率化を図るAI問診サービス「AI問診ユビー」を提供しています。2020年からは生活者向けのサービス「AI受診相談ユビー」の提供も開始しました。
「AI問診ユビー」はタブレット上で問診ができるサービスです。約5万件の論文から抽出されたデータに基づいて、AIが患者一人ひとりの症状や地域・年代に合わせた質問を自動で分析・生成。入力データはすぐに医療用語に変換され、カルテに落とし込まれます。2020年5月には問診結果に新型コロナウイルス感染症の疑いが出た場合に、医療機関へアラートを出し患者を個室へ案内する等の院内感染対策が実行できる「COVID-19トリアージ」支援システムも拡張しました。
阿部氏:私が医師として病院で臨床していた際、電子カルテ記載業務にかなりの時間をとられており、医療現場の業務効率に課題を感じていたことが「AI問診ユビー」開発のきっかけです。電子カルテ記載のような事務作業はできるだけ効率化し、医師は患者と向き合う本質的な業務に専念すべきだと考えていました。そんなとき同級生の久保が大学で自動問診の研究をしていることを知り、共同で事業を立ち上げました。
パブリッククラウド上でのAI問診という世の中にない新しいサービスでしたので、提供当初は医療機関への説明や販売にかなり苦労しました。ひとつの転機となったのが、「AI問診ユビー」によって外来の問診時間が約3分の1に短縮できたという成果が、導入した医療機関の先生によって学会で発表されたこと。これにより認知度が向上し、導入数も徐々に増えていきました。
一方で、サービスに魅力を感じながらもネットワークが課題となって導入できない医療機関も多く、拡販はスムーズには進みませんでした。「AI問診ユビー」はパブリッククラウドサービスで提供することで、日々アップデートしながら精度を高めています。しかし、医療機関からパブリッククラウドサービスへ接続するというのはあまり前例がなく、情報セキュリティ面から導入へのハードルが高くなっていました。
樽谷氏:医療機関からはインターネット経由で直接、もしくはインターネットVPNで接続していただいておりしたが、情報セキュリティ上の課題があり、その対応には大きなコストがかかっていました。そもそもインターネットに接続できない医療機関も少なくありませんでした。医療機関は高レベルの情報セキュリティが求められるため、インターネットへ接続するには院内に高額な情報セキュリティ機器を導入しなければならず、その見積もりが1000万円以上など「AI問診ユビー」のサービス利用料の5~10倍になるケースも。もっと手頃な価格で高セキュリティなネットワークを用意できないか、これは喫緊の課題でした。

Ubie株式会社 Technical Account Manager
樽谷 謙二氏
――数ある通信事業者からNTT東日本を選んだ理由をお聞かせください。
阿部氏:もともとのきっかけは、2018年度にNTT東日本のアクセラレータプログラムに参画したことです。「AI問診ユビー」の普及においては中長期的にネットワークがボトルネックになることは予見されていたので、ビジネスパートナーを探していたのです。
具体的な決め手となったのは、通信事業者として誰もが知る企業であり、医療機関側から見ても信頼性が高いこと。加えて、それほどの大企業であるにもかかわらず、スタートアップである当社のビジョンに強く共感し、「AI問診ユビー」を医療業界に対するインパクトが強い尖ったサービスであると高く評価してくれたことです。「高セキュリティな回線を利用したAI問診サービスを手頃な価格で提供したい」という我々の思いを共有しながら、さまざまなフィット感のある提案をしてくれました。さらにスタートアップである当社とのスピード感も合致し、NTT東日本こそがベストパートナーだと考えた次第です。
担当の吉田さんや責任者の和田課長からは、「スタートアップと一緒に新しいサービスを作り上げていくんだ」という強い熱意が感じられ、常に会社単位で協力するという姿勢で対応してくれていたので、強固な信頼関係を築くことができました。

Ubie株式会社 Affection PR
岡 陽香氏
樽谷氏:閉域ネットワークサービスを使いたいとNTT東日本に相談したのは2019年9月ごろ。そこから技術的な部分や価格をどうおさえるか、サービスを全国展開するためにNTT西日本といかに足並みをそろえいくかなどを検討し、12月に閉域VPNプランが完成すると、すぐに販売を開始しました。約3か月のスピードで新プランの実現までこぎつけたのは、2020年2月末までに厚生労働省の「タスク・シフティング等勤務環境改善推進事業」の補助金を利用して「AI問診ユビー」を導入したいという医療機関が多かったからです。
販売と同時に技術検証もスタートしました。当社にとって閉域ネットワークサービスで「AI問診ユビー」へ接続する事例は初めて。NTT東日本とNTT西日本で仕様も違うため、それぞれで検証が必要でした。
技術検証は販売と同時並行で進めましたが、NTT東日本・NTT西日本のみなさんが状況を理解してくださり、優先度を高くして対応してくれたので大変心強く、不安はありませんでした。検証環境もすぐに用意してくれ、実地検証では石川さんらがNTT西日本へも実際に赴いてくれるなど、かなりのスピード感で対応してくれたので、補助金申請を予定していた医療機関への導入も無事に間に合わせることができました。
――閉域VPNプランに対する医療機関からの反響はいかがですか?
樽谷氏:現在まで回線系のトラブルは一度もなく、安定性にもスピードにも非常に満足しています。最近の「AI問診ユビー」の新規販売では、ほぼ閉域VPNプランを利用いただいており、拡販が進んでいます。以前は別のプランを利用していた医療機関が閉域VPNプランへ変更した例もありますし、コストが課題で失注となっていた医療機関に再提案したところ、すぐに導入を決めてくれたケースもあります。現在200を超える医療機関に導入されていますが、医療機関の課題であったコストと情報セキュリティを同時に解決できるこのプランがなければ、ここまで拡販できていなかったかもしれません。2020年度末までに全国で新たに150の医療機関への導入をめざしています。

AI問診ユビーの画面は、ユニバーサルデザインで高齢の方への入力も配慮。
――今後の展開についてお聞かせください。
樽谷氏:今後は病院のみならず、クリニックへの導入も促進していきたいので、クリニック向けのより手頃なプランの検討も進められたらと思っています。現在は閉域VPNプランが主軸ですが、今後のネットワーク技術の進化と共に、同プランに限らず、医療機関が利用するインフラサービス全般において何ができるかということをNTT東日本・NTT西日本と一緒に検討しながら、将来的に長く連携していきたいと考えています。
阿部氏:閉域VPNプランによって、医療機関にとって安心安全なネットワークを手頃な価格で提供できるようになったことは、我々にとって非常に大きな力になっており、今後の事業拡大へ向けて不安がなくなりました。
中長期的にはグローバルも含め、問診が発生しうるあらゆる場所でAI問診サービスを展開したいと考えています。まずは全国で病院とクリニック、そして患者をつなげる地域医療連携によって、医療と人々の医療情報格差を是正し、患者が最適な治療に最速でたどりつける状態を作り上げていきたいと考えています。その実現にはNTT東日本・西日本によるネットワークが欠かせません。今後、医療機関やクリニック以外のお客さまも増えていく中で、お客さまごとの最適なプランをNTT東日本に提案いただき、共に日本の高度医療を支えていきたいと考えています。


NTT東日本 ビジネスイノベーション本部 地方創生推進部 吉田 哲朗

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