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技術革新のスピードが増す現代では、大学においても最新のICT環境の整備を加速させる必要性が高まっています。東京電機大学では、ICT部門の稼働負荷と業務品質への課題感から「情報システムトータルコーディネート業務」をNTT東日本へ依頼。一体となってICTの環境整備を進めています。中長期情報インフラ整備計画では全学生のパソコン必携化を前提とした「BYOD(Bring Your Own Device)ファースト」を掲げ、それを実現する施策として2020年3月、日本の大学では初めてZoomを全学導入し、全学コミュニケーション基盤を構築しました。その直後にコロナ禍に見舞われ、世界中が混沌とした状況の中、東京電機大学では中止となった卒業式、入学式に代え、オンライン卒業式、オンライン入学式を開催しました。それが可能だったのも先進的な中長期情報インフラ整備計画を進めていたからこそ。東京電機大学総合メディアセンターの高橋陽子事務部長、米村修課長、加藤貴仁課長に話をうかがい、その内容に迫ります。
Index

Summary
――東京電機大学様の特徴や強みを教えてください。
米村氏:本学は1907年に東京・神田に創立された電機学校が前身です。現在は理工系総合大学として、あらゆる分野の最先端技術の教育研究活動を展開しています。創立以来、「実学尊重」を建学の精神として掲げ、実験・実習科目に力を入れてきました。ものづくり教育の充実のために、学生が安全講習を受けたのちに工作機械を自由に使える「ものづくりセンター」も設置しています。
最近は人工知能(AI)やサイバーセキュリティの分野にも力を入れています。2017年にはシステムデザイン工学部も新設しました。学生の多くは専門分野を活かした技術職として就職しており、企業からも高い評価を得ています。
――2019年度よりNTT東日本に「情報システムトータルコーディネート業務」をご依頼いただいておりますが、それまで情報システムの管理・運営にはどのような課題があったのでしょうか。
高橋氏:情報システムは既存のものを定期的に更新するだけのルーティンになっていました。新しいシステムを入れたくても、そもそも何が最適かを見極めるのは容易ではありません。しかし次々と新しいICT技術が登場する昨今、やはり本学も先端の技術動向を取り入れながらICT環境を構築していくべきではないかという思いが強まりました。それにはNTT東日本のような知見の広い会社のサポートが必要だと考え、依頼した次第です。

東京電機大学 総合メディアセンター
事務部長 TDU-CSIRT(CSIRT長)
高橋 陽子氏

東京電機大学 総合メディアセンター
(運用担当)
課長 加藤 貴仁氏
――数ある業者からNTT東日本にご依頼いただいた理由を教えてください。
高橋氏:NTT東日本はマルチベンダーなので、中立的な立場でコストや仕様に関して多角的な提案をしてもらえることが大きな理由です。特定のメーカーに頼っていると、なかなか新たな提案をもらいにくいことがありますが、いろいろ比較検討したうえで取捨選択していきたかったのです。
NTT東日本には過去に、ポートフォリオシステムやネットワーク更改の仕様策定コンサルティングを依頼したことがあり、短期間で期待以上の仕様書を作ってくれた実績があります。ヒアリング能力の高さやプラスアルファの提案力はわかっていたので、安心して任せられました。
――「情報システムトータルコーディネート業務」として、具体的にどこまでの業務範囲を想定していますか。
高橋氏:ある程度の方向性を示すだけのシンプルなコンサルティングではなく、大学と一体となって本学の考えに沿った提案やアドバイスをくれる会社を探していました。NTT東日本には、中長期計画のコンセプトの策定から短期調達計画の支援、システム構築まで幅広く一緒に動いてもらっています。
コロナ禍の今は当たり前になっていますが、本学では以前から「どこでも授業」や「どこでもワーク」を実現したいと思っていました。「実学尊重」を大切にしていますが、たとえば台風で休講になるとその後の調整が大変です。また、すでに一部の学部では学生個人のパソコンを使ったBYOD方式の授業をしていましたが、CAD等の専門的なソフトウェアを利用する授業を行う場所がパソコン教室に限られていたので利便性向上が課題でした。
中長期計画の策定においては、そうした本学の思いをNTT東日本に伝え、共に検討を進めました。2019年度には「BYODファースト」を打ち出し、それを実現する具体的な施策として、全学コミュニケーション基盤を構築しました。これは教職員・学生の全員がZoomアカウントを保持し、授業や会議などに幅広く使っていこうというものです。
――Zoomの全学導入は日本の大学としては初めての事例です。採用から導入までの経緯を教えてください。
米村氏:他大学との会合でZoomを知る機会があり、手軽に使えて高品質だと魅力を感じていました。ただ、導入には類似サービスとの比較が不可欠だったので、NTT東日本に協力を依頼しました。提示された比較検討資料は非常にわかりやすいもので、改めてZoomの妥当性を確認できました。
実は当初、学内において全学コミュニケーション基盤の必要性をなかなか理解してもらえませんでした。Zoomを導入すれば、BYOD形式の授業のみならず、オンライン授業や会議、アクティブラーニングなどあらゆる場面で活用できます。NTT東日本はそうしたユースケースを説明する資料も用意してくれたので、学内の説得に役立ちました。
構築時も手厚く支援いただき、課題であったセキュリティの担保も、二要素認証に利用していたクラウドサービスと連携することで解決できました。運用方法も一緒に検討し、学生のZoomのアカウントIDを学籍番号と紐づけることで授業の出欠確認も簡便化できています。
――全学コミュニケーション基盤としてZoomを導入したことによる、これまでの成果を教えてください。
加藤氏:当初の計画では、各教室のAVシステムをZoomに置き換えるところから始める予定でした。180名用の大教室では、教室の中央に補助ディスプレイを設置していますが、後方の生徒はそれでも見えにくい状況でした。そこでZoomを介して教員の資料を学生のパソコンやスマートフォンに出力できるよう環境整備を進めていました。

Zoomでのオンライン授業の様子。
新年度から対面授業で運用を始めようとした矢先にコロナ禍に見舞われたのですが、すでにZoomを導入していたのでオンライン授業にもすぐ対応できました。NTT東日本からはミーティングIDの払い出し方法など運用に関するアドバイスもあり、学生・教員向けのZoom説明会も全面的にサポートしていただき助かりました。
11月中旬からは、同じ授業を対面で受講する学生とオンラインで受講する学生が混在するハイブリッド型授業を開始しました(※現在は一時停止中)。このときもNTT東日本の協力のもと、多種のウェブカメラを設置して映り方を調整したり、長期的な接続テストを実施するなど、万全の準備を整えトラブルなく開始できました。
授業の収録も簡単にできるようになりました。以前は配信用の教材コンテンツは、スタジオで大がかりな収録機材を使って制作していましたが、Zoomを使えば教員が自宅で収録できます。本学でのZoomの使用は今回が初めてですが、不具合やわからないことがあってもNTT東日本がZoom社に丁寧に確認してくれるので不安なく使えています。
高橋氏:実は、一番初めに困ったのが卒業式でした。2020年3月にZoom導入をしたタイミングで新型コロナウイルスの感染が拡大し、Zoomで卒業式をやれないだろうかという話になったのです。急な話で対象人数も多いのでNTT東日本に相談すると、Zoom社と連携して必要なIDを調達するなど迅速に調整してくれたので、3月半ばにはZoomのウェビナー機能を使ったオンライン卒業式を開催できました。オンライン卒業式には1000人近くが参加し、「Zoomでこういうことができるんだ」という学内の認知を高めるきっかけにもなりました。4月にはオンライン入学式も開催しています。

授業以外では、学内の会議もオンラインが主流になり、会議室不足の解消や参加率向上につながっています。多くのセミナーや講習会がオンラインで開催され、学生の間では部活のミーティングなどコロナ禍でのコミュニケーションツールとして活用されています。
――「情報システムトータルコーディネート業務」に対する評価と今後の展開について教えてください。
米村氏:Zoomの導入のほかにも、さまざまなシステムの更改の都度、仕様策定から導入作業までサポートしてもらえているので、情報システムの管理・運営の稼働負荷の軽減につながっています。
高橋氏:NTT東日本に「情報システムトータルコーディネート業務」を依頼していなければ、ここまでスムーズに環境整備を進めてこられたかはわかりません。すごく力になっていますし、感謝しています。担当者の人柄もよく、意見のキャッチボールがスムーズなので、大学に寄り添った提案や先を見据えた提案をいただけています。
大学のシステム構築だからといって、他大学の事例だけを参考にしても限界があると思います。その点、NTT東日本は大学に加えて多様な企業の導入事例の経験があるので、その知見も活かした提案をしてくれていると感じます。埼玉データセンターにも見学へ行きましたが、セキュリティも強固で信頼感が増しました。現在、テレワークによる教職員の働き方改革を推進するため、業務パソコンのシンクライアント化を進めているのですが、NTT東日本にも事例を聞いて参考にしています。
コロナ禍によって、数年先だと思っていたことが、すでに今やってきている状況なので、今後の中長期計画はさらに先を見据えていく必要があります。なかなか先が見通せない状況ではありますが、その中でも、時代の先端をいくような戦略を打ち出して進んでいきたいです。NTT東日本にも引き続き、大学の思いを具現化するさまざまな提案やサポートを期待しています。


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