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Index
京王電鉄株式会社

Summary
――アドインテのビーコン(電波受発信機)「AIBeacon」を導入された背景を教えてください。
辻󠄀氏:2019年秋頃に京王グループのショッピングセンターから「自社施設にどのエリアからどのようなお客さまを呼び込めているのか確認したい」という相談があったことがきっかけです。検討を進めるなかで、顧客動線を分析してマーケティング施策に生かすことは、多様な業態を展開する京王グループ共通の課題だと捉え、顧客動線分析に取り組むことにしました。
NTT東日本からは、そのようなタイミングでAIBeaconの提案を受けました。私自身もセミナーでAIBeaconの存在を知り、興味を持ったところだったので、前向きに検討をはじめました。
間宮:数年前にも一度、NTT東日本から別のビーコンサービスを提案し、京王電鉄様と実証実験をしたことがありました。しかし、当時のサービスはビーコンの信号を受け取るのに専用端末が必要で、実用に足るものではなく、導入には至りませんでした。パートナー企業であるアドインテのAIBeaconは、専用端末の代わりにスマートフォンで信号を検知でき、かつ検知精度も非常に高いため、京王電鉄様のニーズを満たせると考えて、改めて提案した次第です。

京王電鉄株式会社 経営統括本部 デジタル戦略推進部 企画担当 課長補佐 辻󠄀 尚宏氏
――AIBeaconの導入の決め手になったのはどのような点でしょうか。
辻󠄀氏:顧客動線分析が可能な複数のサービスを比較した結果、フロア単位の動線分析を行うにはビーコンがベストという結論に達しました。いくつかの施設では定期的に、人力による来館者数調査を実施していましたが、集計に時間がかかり、人件費もかかっていました。GPS位置情報データを活用した動線分析はフロア単位の分析ができないため、駅ビルなどには適しません。カメラによる分析もテストしましたが、ちょうどコロナ禍でマスク着用が広まった頃で、顔認識や属性の推定がうまくできないという問題がありました。
アドインテのAIBeaconは、検知率の高さが際立っていました。場所によってはスマートフォンユーザーの7~8割を検知できたため、マーケティング施策に必要なデータは十分集められるだろうと判断しました。また、収集したデータを可視化するダッシュボードをカスタマイズ可能な点も評価しました。京王グループの業態は多岐にわたり、参照したいデータもそれぞれ異なるため、カスタマイズできるか否かは重要です。
そしてもう一つ、収集・分析データを活用したオンライン広告配信に活用できることも決め手になりました。現状、京王グループの広告は、新聞への折り込みチラシや交通広告など紙媒体が主流です。今後は本当に必要な人や興味のある人にピンポイントで届けられるオンライン広告にも取り組んでいく必要性を感じていたため、AIBeaconをその足がかりにしたいと思ったのです。

株式会社アドインテ セールスプランニングDiv. 山際 伸太朗氏
――実際、どのような場所に導入し、どういうふうに活用していますか。
辻󠄀氏:2020年夏に、AIBeaconの端末およそ200台を京王グループのショッピングセンターやスーパー、駅、飲食店、書店、屋内遊戯施設などに設置し、データ収集・分析を実施しました。事前準備としては、高精度なデータを取得するのに理想的な設置場所の検討や端末の初期設定があります。現地での設置自体は、コンセントに差し込むのみで、電気工事も不要なため、手間も費用もかかりませんでした。
導入の結果、これまでわからなかった顧客の動線や属性の実態を把握することができました。今後は、店舗の改装や商業施設のテナント入れ替えといったタイミングで再度データを収集・分析し、今回の分析結果と比較することで、よりよい店舗づくりやマーケティング施策に役立てていく予定です。現在は、次の活用のステップとして、広告配信への取り組みを推進している最中です。
――具体的にどのような広告配信を考えていますか。
間宮:まずAIBeaconの機能として、AIBeaconに接触したタイミングで、自社アプリへクーポンやお知らせをプッシュ通知で送ることができます。また、AIBeacon への接触情報を用いて、SNS広告を配信することも可能です。お客さまとのリアルなオフラインのタッチポイントを生かして、オンラインでも新たなタッチポイントを持てることになります。

NTT東日本 ビジネスイノベーション本部
第二バリュークリエイト部
主査 間宮 瑛
辻󠄀氏:まずは自社アプリである「京王アプリ」へクーポンやキャンペーンのお知らせをプッシュ通知することを検討しています。京王グループの有益な情報を必要なタイミングで、必要なお客様に提供可能だと考えています。
まずモデルづくりに向けて、NTT東日本からの提案で、本事例のURLをプッシュ通知で配信することになりました。通知の効果を定量的に評価できれば、事業を加速させられると思います。
――AIBeacon含めたICT活用について、今後の展望をお聞かせください。
辻󠄀氏:コロナ禍でお客さまの行動が一変しました。外出自粛の影響もあって、タッチポイントが減少している今だからこそ、リアルな場で得られるデータを生かさない手はありません。直接お客さまと接するオフラインの場が多いことは、京王グループの大きな強みです。グループの百貨店やホテルなどとも連携すると共に、ゆくゆくは沿線価値向上や新たな収益源につなげていきたいと考えています。京王グループとしても、NTT東日本やアドインテに相談しながら、AIBeaconなどさまざまな技術を活用したタッチポイント強化のためのICT施策を推進していきたいです。
山際氏:効果的なオンライン広告配信にはある程度の母数が必要ですので、トラフィックが多い駅は、広告配信には非常に適したロケーションです。さらにオフライン空間があると連携の引き出しも多くなります。たとえば当社では小売店向けにPOSデータと連携した広告配信メニューも作っています。今後は京王電鉄様ともこれまでになかったような新しい広告配信メニューを作っていけたらと考えています。
AIBeaconの精度はWi-Fiに依存するため、ギガらくWi-Fiなどを扱うNTT東日本とは相性がよい商品です。AIBeaconは、人流が活発な駅や商業施設のほか、観光マーケティングを推進する地方自治体など多様な場所で活用できます。地方創生、地域活性化に力を入れているNTT東日本と連携することで、幅広い業態の課題解決に貢献していきたいと考えています。

NTT東日本 ビジネスイノベーション本部
第二バリュークリエイト部
笠原 修哉
笠原:京王電鉄様には今後AIBeaconを、沿線のお客さまにとって魅力的なコンテンツを配信するプラットフォームとして、より幅広く活用いただきたいと思います。NTT東日本としては、安定したICTインフラを提供することを一番のミッションに掲げつつ、引き続きさまざまなアイデアを提案しながらサポートしていきます。
間宮:NTT東日本は特定のプロダクトやサービスに縛られる必要がないことが強みのひとつです。お客さまの課題や状況に合わせて、ベストなプレイヤー、ソリューションを紹介し、通信インフラも含めてワンストップでご提案してきました。今後も京王電鉄様、アドインテ、NTT東日本の3社でプロジェクトを発展させながら、京王グループのお客さまにより価値のあるサービスを提供するお手伝いをさせていただければと思います。



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