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「日本の医療体験を、しなやかに。」をミッションに掲げる医療系スタートアップ企業、株式会社カケハシ。調剤薬局で働く薬剤師にとって大きな負担になっている「薬歴」記入業務の効率化と患者に対する服薬指導の質の向上を実現する、クラウド型電子薬歴システム「Musubi」(ムスビ)を提供しています。Musubiの利用開始時には薬局のレセプトコンピューターへ接続する必要があり、現地での導入設置作業が必須です。受注拡大に伴い、少ない社員で全国の薬局を飛び回る体制に限界を感じたカケハシは、NTT東日本の「BPOソリューション」を採用し、導入設置作業を委託。全国規模で安定した作業を行える体制を整えました。数あるネットワークキャリアからNTT東日本を選んだ理由や今後の展望について、カケハシの代表取締役CEO 中川貴史氏とテクニカルサポートの櫻木基充氏にうかがいました。
Index
株式会社カケハシ

Summary

株式会社カケハシ 代表取締役CEO 中川 貴史氏
――会社の事業内容を教えてください。
中川氏:従来のクラウド型電子薬歴の先をいく薬局体験アシスタントサービス「Musubi」を中心としたサービスを展開しています。薬局では調剤や服薬指導の内容を記録する「薬歴」作成が、薬剤師の大きな負担になっています。Musubiを使えば、服薬指導と同時に薬歴の下書きが自動で作成され、今まで服薬指導とは別に数時間かかっていた薬歴記入の業務負担を大幅に削減できます。さらにMusubiが患者さんの健康状態や生活習慣に合わせた服薬指導や健康アドバイスを自動提示することで、患者さんへのより良い指導やコミュニケーションも可能になります。
近年、薬局は早く正確に薬を渡すだけでなく、病気の予防指導など患者さんに付加価値を提供することが求められつつあります。それを実現させるのがMusubiであり、カケハシです。Musubiは2週間に1度のペースでの改修や機能追加などアップデートをしています。また、Musubiと連携する2つのサービスとして、LINE(スマートフォンアプリ)で薬局と患者さんをつなぐ「Pocket Musubi」、Musubiデータを活用して薬局経営を支援する「Musubi Insight」もリリースしました。
――サービスに対する薬局からの反響はいかがですか。
中川氏:2017年のリリース当初からサービスの目新しさが話題となり、多くの薬局から問い合わせをいただきました。現在、毎月10%以上の割合で導入店舗数が増えています。エリアは北は北海道から南は沖縄まで、運営形態は家族経営の小さな薬局から大手薬局チェーン店まで幅広く、あらゆる薬局にご利用いただけるサービスへと進化しました。
当社の営業活動やMusubiのオンボーディング(導入支援)はすべてオンラインですが、唯一、現地に足を運ばなければならないのが、導入設置作業です。Musubiの利用開始時には、薬局のレセプトコンピューター(診療報酬を請求するための基幹システム)への接続が必要なのですが、レセプトコンピューターは基本的にオンプレミスのローカルサーバー上で動くため、現地での作業が必須。受注拡大に伴い、設置人員不足が課題となっていました。
櫻木氏:導入設置作業は私を含め5人の社員で担当していました。毎月20日ほどの営業日で約100件を対応するわけですから、文字通り、チーム全員が全国を飛び回っている状態。同日に九州から東北へ移動するなど、かなりタイトなスケジュールをギリギリで回していました。
実は約2年前に、導入設置作業を他社へアウトソーシングしたこともあったのです。ただ、そのときの委託先の作業員は単純な機器の設置と設定はできるものの、その前提となるネットワークの現状を調査するスキルを持ち合わせていませんでした。薬局のネットワークは複数の会社が増築工事を繰り返して継ぎはぎだらけだったり、ケーブルがスパゲティ状態に絡んでいたりすることも珍しくありません。個人薬局ではネットワーク構成図が管理されていないことも多く、「ルーターはどこですか?」と聞いても「わからないから探しておいて」と逆にお願いされることも。Musubiの導入設置作業には、どんな状況でも的確に対応できるスキルや経験、ネットワークの知識が欠かせません。結局、現地のネットワーク調査まで任せられなかったので、そのときのBPO契約は短期で終了し、再び少人数の自社チームで作業を回していました。
――そうした状況のなか、NTT東日本のBPOソリューションを採用し、2021年5月からは導入設置作業を委託していただいています。決め手は何だったのでしょうか。
中川氏:まず大きかったのが、北海道から沖縄まで全国津々浦々をカバーできる体制を備えていたことです。案外、全都道府県で対応してくれるという会社は少ないのです。そして実際に作業にあたる方々が、現地のネットワーク調査までできる高いスキルを持っていたこと。NTT東日本は我々の課題に真摯に向き合ってくださり、堀井さんが「私たちは現地のネットワーク調査もできますから、大船に乗った気持ちで任せてください」と言ってくれたのも心強かったです。
櫻木氏:そもそも現地のネットワーク調査まで「やります」と言ってくれたのはNTT東日本だけでした。さきほどもお話したとおり、薬局のネットワークは継ぎはぎ状態であることも多く、それを的確に把握して対応できるのは、日本有数のネットワークキャリアであるNTT東日本以外にはおそらくないだろうという結論に社内で至り、委託を決めました。

株式会社カケハシ テクニカルサポート
櫻木 基充氏
中川氏:今回、スタートアップ企業の速度に合わせて動いてくれたので、スピード感が課題になることはありませんでした。稟議も早かったですし、短納期の作業にも対応してくれています。Musubiは受注後スピーディーに設置する流れなので、短期間での作業員の確保や調整が必要です。全国に短納期で対応できる人員を抱えているのはNTT東日本の規模だからでしょう。ときには直前のスケジュール変更など無理なお願いをすることもありますが、柔軟に対応いただけて助かっています。
複雑な業務を依頼するので信頼できる会社と連携したいという思いが強く、価格を最優先にはしていませんでしたが、結果的に予算許容内で実現できました。大企業の強みを享受しつつ、スタートアップ企業の速度で連携できていることに非常に満足しています。
櫻木氏:提案から導入まで3~4か月。そのあいだに15回ほど打ち合わせを重ね、複雑なオペレーションもきっちり手順書に落とし込んでくれました。コロナ禍ということもあり、実際に現地で説明する機会は1~2回しかなかったのですが、少ないチャンスで仕組みを理解し、さらにそれを社内で正確に展開してくれたことには感動しましたね。説明の機会が大阪にしかなく、堀井さんが二つ返事で大阪まで出向いてくれたのもありがたかったです。初回の導入設置作業は4店舗同時でしたが、すべて無事成功したときは、思わず「よし!」と声が出ました。
――現在、連携はどの程度進んでいますか。
櫻木氏:2021年5月より連携をスタートし、現在、月によっては約5割のお客さまの導入設置作業をNTT東日本に委託することもあります。実際の作業の様子を見ると、ルーターの設置や配線の取り回しも丁寧かつ整然としていて、作業の完成度の高さに驚きました。トラブルやミスがあっても、すぐにその場で原因を追究し、改善へとつなげてくれるので、安心して作業を任せられています。NTT東日本のブランドイメージもあるので、ロゴの入った制服の作業員が赴くことで、現場に安心感も生まれているかもしれません。

NTT東日本へ導入設置作業を委託してから、これまで社員1人あたり平均1日4件担当していたのが2件になり、労力はかなり減りました。今後は委託率をさらに高めて、さらにチームメンバーの作業負荷軽減を図り、お客さまのアフターフォローにより注力していきたいと思っています。全国で設定作業をしていると、既存のお客さまからのお問い合わせや障害の即時対応が難しいことがあり、イレギュラーな事態に対処できる余剰が必要だと常々感じていました。その部分のスピード感を高められたらと思います。
――今後の展望をお聞かせください。
中川氏:カケハシの強みは、クラウド技術をベースにしたソフトウェア開発です。ハードウェアの設定やオンプレミスのネットワーク構築は必要な業務ですが、カケハシにとってそれ自体は強みではないため、力を入れたい領域ではありません。現在、NTT東日本に委託しているのはMusubi導入時の現地調査と導入設置作業ですが、将来的には機器調達やキッティング、保守対応なども委託し、我々は強みであるソフトウェア開発によりフォーカスしていきたいと考えています。


カケハシ様との協業において、今後はハードウェアの調達・キッティング・保守と提携範囲を広げていけるよう、柔軟に対応できるスキームを鋭意構築し、カケハシ様の素晴らしい提供価値を、より多くの薬局さまや患者さんに届けられるよう尽力していきます。
当社は、日本そして世界をより豊かにしていくために革新的な発想と技術で社会にイノベーションを起こし続けるベンチャー企業が、極めて重要な役割を担っていると考えています。今回はカケハシ様における事業スケール課題と、当社が持つハードウェア・ネットワークに関する知見や全国メッシュの拠点および人的リソースがマッチしたところから提携がスタートしましたが、当社はこのスキームに囚われず幅広い業種のベンチャー企業さまとの提携を通じて、ベンチャー企業さまのスケール・多くの社会課題解決を実現し、三方良しとするための提供価値を今後も創出していきます。
NTT東日本 バリューパートナー部 企画・支援グループ 推進・支援担当 板垣佑弥

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