COLUMN
テレワークの目的とは?社会的背景やメリット・課題についても解説
新型コロナウィルス感染症の流行もあり、テレワークの導入が各社で加速しています。テレワーク自体を導入するメリットや目的などは以前からさまざまな媒体で見ることが多かったかと思いますが、その時の社会背景などによって異なる記述がなされることも少なくなく、その導入目的に関して混乱されている方もいらっしゃるようです。テレワークには、もちろんコロナ禍における非接触での業務遂行という意味もありますが、その他にも複数の目的があります。
今回は、テレワークを導入する目的や社会的背景、メリット、課題と対策について、あらためてお伝えしていきます。
テレワークを導入する目的
テレワークを導入する目的には、主に次のようなものがあります。テレワークを導入している企業が持つ目的について、総務省が発表している「令和2年版 通信利用動向調査」にアンケートをもとにした各目的の割合が記載されています。その内容も一緒にみていきましょう。
出典:総務省「令和2年版 通信利用動向調査」
BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)への対応
- BCPへの対応を検討することで、災害時やパンデミック時などでも事業を問題なく継続
- オフィスの分散化による、災害時などの迅速な対応
- 2020年は感染症の流行など非常時の事業継続をテレワーク導入目的とする企業が68.3%
働き方改革の推進
- 働き方改革の目的は、多様な働き方を選択できる環境を作ること
- 介護や育児などで離職せざるを得ない従業員や通勤困難な障害者の雇用継続
- 遠方や海外の人員を雇用
- 少子高齢化社会への対応、労働力人口の減少カバー
- 2020年は高齢者、介護育児中の社員などへの対応をテレワーク導入目的とする企業が17%
労働生産性の向上
- 顧客訪問回数や顧客滞在時間の増加
- 迅速、機敏な顧客対応の実現
- 2020年は業務の効率性(生産性)の向上をテレワーク導入目的とする企業が29.7%
ワークライフ・バランスの改善
- 通勤時間の削減による家族と過ごす時間、自己啓発などの時間増加
- 家族が安心して子どもを育てられる環境の実現
- 2020年において日本国民の平均通勤時間は36.5分というデータがあるが、その時間の有効活用
- 特に首都圏では通勤時の公共交通機関の混雑や、それに伴う心身両面での負担の解消
- 2020年は勤務者のワークライフ・バランスの向上をテレワーク導入目的とする企業が28.4%、勤務者の移動時間の短縮・混雑回避が43.1%
コスト削減
- スペースや紙などオフィスコストの削減と通勤移動時間や交通費の削減
- 通勤出社を減らすことで交通費やオフィス設備費を削減
- 2020年はオフィスコストの削減をテレワーク導入目的とする企業が4.5%
テレワークが導入されるようになった社会的背景
テレワークの普及は以前から少しずつ推進されていましたが、オリンピックによる出社制限のために導入を推進したことが転機でした。そこにコロナ禍が発生し、テレワークの普及は急加速していきます。
総務省が発表している「令和2年版 通信利用動向調査」によると、感染症の流行など非常時の事業継続をテレワークの導入目的とする企業は、2020年で実に全体の68.3%にのぼっています。2019年には厚生労働省が「テレワーク宣言企業」の公募を開始したことも拍車をかけました。
IDC Japanが2021年5月に発表した国内テレワーク市場予測によると、2019年のテレワーク導入企業数事績は約60万社(全体の16.2%)だったのに対して、2020年の導入企業数実績は約160万社(全体の42.6%)と3倍近くになっています。
出典:IDC Japan「国内テレワーク市場予測を発表」2021.5.11.
テレワークの効果について詳しく知りたい人は「テレワークの効果とは?導入が進む社会的背景や導入のポイントも解説」のコラムをご覧ください。
テレワーク実施のメリット
国土交通省の「令和2年度版 テレワーク人口実態調査」によると、テレワーク制度を導入する企業の従業員の64.3%が「大変満足」もしくは「やや満足」と回答していました。メリットの主な内容は、「通勤が不要、または、通勤の負担が軽減された」の約74%が最も多く、次いで「時間の融通が利くので、時間を有効に使えた」の約59%、「新型コロナウィルスに感染する可能性がある中で出勤しなくても業務を行えた」の約43%と続きます。ここでは、その他の内容も含めてメリットをみていきましょう。
出典:国土交通省「令和2年度 テレワーク人口実態調査 -調査結果の抜粋-」テレワークの普及度合いと実施実態
優秀な人材の確保
場所に限らず人材を採用できるため、海外や地方などでも優秀な人材を雇用できます。また、育児や介護などによる優秀な社員の離職を防げます。
業務改革のチャンス
多くの場合、テレワーク導入の過程で、必要な資料の電子化や不要な会議の整理の機会が訪れます。タスクを管理する環境や申請などの電子化を進めることになるため、業務改革のチャンスになります。
非常時でも業務を継続できる
自然災害やパンデミックなどの発生時でも企業の業務活動を継続する仕組みを構築できます。近年ではテレワークを導入することにより、新型コロナウィルスを始め、地震、台風などの災害、停電による交通機関の停止などに対応できるようになった企業も多くなってきています。
従業員が余裕をもって働けるようになる
ワークライフ・バランスが改善されるため、従業員の生活に余裕が生まれます。単純に自由な時間が増えるだけでなく、満員電車などの通勤のストレスから解放されることが大きなメリットです。
従業員の仕事の効率が向上する
テレワークにおいては、社員が集中しやすい環境を選んで仕事ができます。また日常の業務においては、自社への戻りなどが不要になることにより、無駄な移動時間を削減して作業時間にあてられます。
地域活性化が推進される
UJIターン・二地域居住や地域での企業等を通じた地域活性化が期待できます。特に都会の喧騒を離れて生活したい従業員にはテレワークが向いているでしょう。
環境負荷が軽減される
テレワークを実施することにより通勤の必要がなくなり、結果として通勤で車を使用する機会が少なくなります。このことにより、CO2の削減など、環境負荷の軽減へ大きく寄与します。
テレワーク導入における課題と対策
テレワークは良い面ばかりではなく、導入における課題も複数存在します。主な課題と対策は次のようなものがあります。
情報共有・管理
遠隔だと、対面で伝えるよりも認識の齟齬が起こりやすいため、連絡を密にして書類を一緒に参照するなどの対応が必須です。情報の管理方法・管理場所についても各社員に周知、徹底が必要で、多くの場合は社内のサーバー上やクラウドサービス上で管理することになります。社内でファイルサーバーを準備したりクラウドストレージを使ったりといった手段で対応していくとよいでしょう。
ファイル共有について詳しく知りたい方は「ファイル共有にはどんな方法がある?ビジネスで利用できるおすすめの方法をシーン別に紹介」のコラムをご覧ください。
セキュリティ対策
社内で管理されていたデータを外部に持ち出すことになる場合もあるため、情報漏洩の対策は必須です。カフェなどの公共の場で仕事をする際は、パソコンの画面を盗み見られるショルダーハッキングや、電話の会話が盗聴される危険についても留意しましょう。どうしてもカフェなどでの作業が必要な場合は、画面の視野角を制限するフィルターを使うなどの対策で乗り切ります。
また無料のWi-Fiは通信を盗聴される危険が大きいため、カフェや駅構内などのWi-Fiは利用せず、自前のモバイルWi-Fiルーターやスマートフォンのテザリングで対応するとセキュリティを高く保てます。BYODなどはやむを得ない場合の利用に留め、極力社内の設備を流用して対応しましょう。
テレワークのセキュリティについて詳しく知りたい方は「快適なテレワーク環境構築にクラウドは効果的!必要性・活用法を解説」のコラムをご覧ください。
勤務管理や人事評価、費用負担などの社内ルール
テレワークを実施すると、オフィスに勤務していた場合と比較して社員の勤務時間が見えづらくなります。各社員が勤務の開始時間・終了時間をチャットやメールで伝える、また社員が使用するパソコンの作業時間を計測できるツールを活用するなど、勤務を管理できる方法の導入が必須です。
また社外で稼働している人の働きは目で確認しにくいため、人事評価がしづらくなります。テレワークをしている社員としていない社員がいる場合は、両者で不公平が出ないようにする評価方法の変更が必要です。
リモートで働く際、社外で稼働する人のインターネット利用料や電話代など、費用負担の分担も考慮する必要があります。機器持ち出し申請ルール策定などと合わせて、社内ルール追加を検討しましょう。
社内ルールの再検討について詳しく知りたい方は「知らないと損をする!テレワークの導入方法について解説」のコラムをご覧ください。
テレワーク環境導入のコスト
テレワーク導入にあたっては、テレワーク用端末や社内データアクセスの仕組みづくり、Web会議ツール、チャットツール、勤務・人事評価等の管理ツール等、ICT導入にコストがかかってきます。
しかしながら、テレワークの実現によるメリットやコスト削減効果を考慮すると、多少コストを要しても導入する意義は十分にあります。特にコストメリットの方が大きい場合は、導入コストについては目をつぶる必要があるでしょう。
従業員の健康管理
テレワーク勤務者とは直接顔を合わせなくなるため、心理的負担や体調の変化に周囲が気づきにくくなります。オフィス勤務者と同じく健康診断の義務付けや、定期的な面談、勤務時間の管理を促す仕組みなどで対策しましょう。
テレワークを実施する目的を理解したテレワーク導入を
テレワークの目的は、働き方改革の推進や労働生産性の向上、ワークライフ・バランスの改善などさまざまです。テレワークを実施することで、優秀な人材の確保や業務改革のチャンスなどメリットも多数あります。反面、セキュリティ対策や社内ルール策定などの課題もでてきますが、前例も既に多く存在するため、問題なく対応はできるでしょう。
テレワークの目的を把握し、方針をはっきりさせてテレワークの導入を推進していきましょう。
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