COLUMN
テレワークの効果とは?導入が進む社会的背景や導入のポイントも解説
テレワークという言葉がよく聞かれるようになった昨今、テレワークの導入に成功し、コスト削減や社内の業務改革の達成などといった事例も挙がってきています。自社でもテレワークを導入し、同様のコスト削減や社内の業務改革を達成したいとお考えの方も多いことでしょう。しかしながら、実はテレワークの効果に関して詳細に把握している人は少ないのではないでしょうか。
そこで今回はテレワークの効果について、テレワーク導入が進む社会的背景や導入のポイントなども交えてお伝えしていきます。
テレワークの意味をおさらい
テレワークは、情報機器を活用して、オフィス以外の場所でもオフィス在席時と同様の勤務を可能にすることを指します。テレワークには主に3種類の働き方があります。
- 在宅勤務:従業員の自宅で業務対応
- モバイルワーク:カフェや顧客先などで業務対応
- サテライトオフィス勤務:他のオフィスや遠隔勤務用の施設で業務対応
テレワークとはどのようなものなのか詳しく知りたい人は「快適なテレワーク環境構築にクラウドは効果的!必要性・活用法を解説」のコラムをご覧ください。
テレワークの効果
日本テレワーク協会は、テレワークの効果・メリットを次のように3つのカテゴリに分けて提唱しています
出典:日本テレワーク協会 「テレワークを導入する効果」
1. 社会におけるテレワークの効果
2. 企業におけるテレワークの効果
3. 従業員におけるテレワークの効果
カテゴリの内容を一つずつみていきましょう。
社会におけるテレワークの効果
社会におけるテレワークの効果には、労働人口減少の緩和や地域活性化、交通量削減、災害時の帰宅困難者軽減などの効果があります。
少子高齢化による労働人口減少の暖和
「次世代育成支援対策推進法」の中で、テレワークは少子高齢化社会における労働人口減少の対策として明記されています。次世代育成支援対策推進法とは、次世代の社会を担う子供が健やかに生まれ、育成される環境の整備を行うことを目的とした法律です。高齢者・障がい者・地方移住者の雇用創出などにより労働人口減少に歯止めをかける狙いがあります。
地域活性化
サテライトオフィス設置などで、地域で使われていない建屋をオフィスとして使用することにより、地域の活性化が狙えます。地方への移住促進による過疎地の人口増加や地方でのビジネス創出による地域経済への貢献などが期待されています。
交通量の削減による混雑緩和や環境負荷の軽減
テレワークで通勤が減ると単純に通勤時間帯の交通量が削減され、公共交通機関の混雑緩和などに大きく寄与します。車での通勤が減ることにより、温室効果ガス排出量の削減などで環境への負荷も軽減されます。
災害時の帰宅・出勤困難者の軽減
テレワークで自宅や自宅近隣のサテライトオフィスなどでの勤務が可能になることにより、大規模地震などの災害が発生した際に帰宅困難者や出勤困難者を減らす効果が期待できます。
企業におけるテレワークの効果
企業におけるテレワークの効果には、働き方改革による経営改善や生産性の向上、優秀な人材確保などの効果があります。
働き方改革による経営改善・ダイバーシティ経営推進
働き方改革とは、働く人々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で選択できるようにするための改革です。テレワークにより出社が必須ではなくなることで、個々の都合に合わせた柔軟な働き方が可能となり、新しく柔軟な働き方を取り入れていることによって、企業イメージの向上も図れます。また多様な人材の能力が最大限発揮できる機会を提供するダイバーシティ経営を推進できます。
生産性の向上
外出時に自社に戻らなくても顧客先やカフェなどで業務を継続でき、出社しなくても業務が進められるようにすることで生産性が上がり、従業員の自律や管理職の管理能力向上で組織の力が高まっていきます。
優秀な人材確保、流出防止
従業員に柔軟な働き方ができる場を提供し、人材の確保とともに流出を防ぎます。定年による高齢退職者や育児・介護などによる退職者にテレワークを適用することで、労働意欲のある優秀な従業員を勤続させられます。
事業継続性の確保
事業継続計画(BCP)と呼ばれる言葉は各社の事業活動においてキーワードになっています。BCPとは災害時やパンデミック時などでも事業を継続できるように準備をすることです。テレワークを実施することで、未曽有の事態でも、オフィス外で事業を継続できるようになります。
オフィスコスト削減
デスクの配置数を実人数の一定割合のみ準備して共有することで、オフィスが占有するスペースを縮小し、フリーアドレス方式を採用することで柔軟なオフィスの使用ができます。自宅をベースとして営業活動を実施し、資料の置き場や会議の場所として小規模なサテライトオフィスを設置することで、大きなコスト削減に成功した事例もあります。
テレワークでは、ドキュメントは電子ファイル化されている必要があるため、ペーパーレス化を推進することにより、コスト削減とともに環境へ寄与。紙情報が電子データ化されることで共有しやすくなります。保管スペースの節約にもつながります。
従業員におけるテレワークの効果
従業員におけるテレワークの効果には、ワークライフ・バランスの向上や育児・介護中の就業継続、居住場所の選択肢拡大などがあります。
ワークライフ・バランスの向上
通勤時間の削減により余暇時間が創出され、従業員のワークライフ・バランスが向上することで優秀な社員が勤続するようになります。特に都市部においては混雑した公共交通機関での通勤による疲労の軽減が大きな効果として期待大です。両親のどちらかが在宅勤務をすることにより、子供の安全が確保されるなどの効果もあります。また単身赴任であっても、一部の就業日に自宅で仕事でき、家族と一緒に過ごす時間を確保可能です。
育児・介護中の仕事(就業)継続
出産・育児・介護あるいは配偶者の転勤などによる退職・離職を防げます。特に「M字型カーブ」と呼ばれる30~34歳女性の年代層での出産・育児による離職が問題点として挙げられていますが、テレワークの導入でM字型カーブの改善にも寄与します。
居住場所の選択肢拡大
オフィスに通勤する機会が少ないテレワーク(主に在宅勤務)で仕事をするようになれば、通勤や本社等への移動時間の長さは大きな支障にはなりません。都会の雑踏を離れて、郊外や地方都市に居住したいと考えている人にとっては、最適な働き方です。
テレワークの導入が進む社会的背景
テレワークの導入が進む背景には、明確な効果だけではなく、社会的な時勢もあります。ここではその社会的な背景についてみていきましょう。
コロナ禍による緊急事態宣言での出勤者7割削減要請
緊急事態宣言により、内閣府から2020年4月に出勤者7割削減の要請が発令されました。この要請に対応するために各社で急速にテレワークの導入が進んでいます。
労働人口の減少対策
今後は少子高齢化社会に突入するといわれており、どの企業も人材の確保が急務です。結婚や妊娠、育児、介護での離職や休職を防ぐためにテレワークの導入が推進されています。
通勤に対する見直し
特に首都圏では通勤時の公共交通機関の混雑や、それに伴うストレスの心理的負担が顕著にあるため、従業員の体力的・精神的な負担を軽くし、仕事に取り組みやすい環境の創出を各社が推進中です。通勤を極力減らすことで、台風や大雨、地震などの災害時にも従業員の安全を確保でき、また通勤時間を業務や余暇にあてて、労働生産性向上を図っています。
通信環境やクラウドサービスの進化
Web会議システムやVDIシステム、オンラインストレージなどのツールの普及やクラウドで利用できるサービスの低価格化などで、テレワークが実施しやすくなりました。光回線の普及などにより、テレワークに十分な通信環境を備える家庭や建屋が増えたことも要因です。
テレワーク導入のポイント
総務省・経済産業省・厚生労働省・国土交通省の4省が所管する「一般社団法人 日本テレワーク協会」のWebサイトによると、下記4つの観点から導入を始めるように記載があります。
- 基本方針の決定
- テレワーク導入による社内ルールの見直し
- テレワーク環境の整備
- テレワーク浸透のための社内意識改革
テレワークの導入方法についてより詳しく知りたい人は「知らないと損をする!テレワークの導入方法について解説」のコラムをご覧ください。
もちろん、テレワークは導入することが目的でなく、現場の業務に組み込まれて従業員が違和感なく働けるようになることで、はじめて業務効率化などが達成できます。現場での使い方を十分に想定したうえで適切なテレワーク導入をしていきましょう。
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