VMwareライセンスは何が変わった?Broadcom買収後の変更点と企業がとるべき対応を解説

2023年のBroadcomによるVMware買収以降、「VMwareライセンスは今後どうなるのか」「このまま更新して本当に問題ないのか」と不安を感じている企業は少なくありません。
実際、ライセンス体系は一度購入すれば使い続けられ、別途保守を更新する従来の永続ライセンスモデルから大きく転換され、サブスクリプション化やCPUコア単位課金など、これまでと同じように更新判断を行うことが難しくなっています。そのため、次回の更新時の費用がどの程度になるのか見通しを立てづらい状況に直面している担当者もいるでしょう。
一方で、ライセンス価格の上昇を理由に脱VMwareを検討しても、長年使い続けてきた仮想基盤や運用体制への依存は大きく、簡単に移行を決断できないのが現実です。
本コラムでは、VMwareライセンスがどのように変わったのかを詳しく解説します。そのうえで、コストや基盤設計にどのような影響が出るのかを掘り下げ、「このまま継続する場合」「別の選択肢を検討する場合」のそれぞれで、何を基準に判断すべきかを解説します。
目次:
- 1. VMwareライセンス変更の経緯と背景
- 2. VMwareライセンスはどう変わった?
- 2-1. サブスクリプションモデルへの全面移行
- 2-2. CPUコア単位課金への変更
- 2-3. エディション体系の再編(VCFへの集約傾向)
- 2-4. Workstation Pro/Fusion Pro の無償化
- 3. VMwareライセンス変更が企業に与える主な影響
- 3-1. コスト構造の変化(サブスクリプション化・コア課金の影響)
- 3-2. ハードウェア構成の見直し(コア課金が設計判断に与える影響)
- 3-3. 検証・小規模環境での無償ESXi廃止による運用負荷
- 3-4. 契約・運用プロセスの変更
- 4. Broadcom定義のセグメント別に見るVMwareエディションの位置づけ
- 4-1. Commercialセグメント(VVF・VCFを選択できる)
- 4-2. Strategic/Corporateセグメント(VCFのみが選択肢となる)
- 5. VMware継続と脱VMwareを比較する4つの選択肢
- 5-1. 最小構成でのVVF継続(コスト最適化)
- 5-2. VVF・VCFを前提とした基盤再設計
- 5-3. 一部ワークロードをクラウドへ移行するハイブリッド構成
- 5-4. 他社HCI/ハイパーバイザーへの段階的移行
- 6. VMwareライセンス変更に対して企業がとるべき対応
- 6-1. 現行ライセンス・保守期限・契約更新タイミングの見える化
- 6-2. 新ライセンス体系での概算見積もり取得と予算インパクトの把握
- 6-3. 本当に必要な機能の棚卸しと削減余地の整理
- 6-4. 脱VMwareを含めた代替案の比較検討
- 6-5. 段階的な移行ロードマップと外部パートナー活用
- 7. ライセンス変更を踏まえた選択肢「地域エッジクラウド」とは
- 8. まとめ
1. VMwareライセンス変更の経緯と背景
BroadcomによるVMware買収を受け、VMwareのライセンス体系は、従来の前提を大きく変える形で更新されました。
もっとも大きな変化は、永続ライセンスの販売終了と、サブスクリプションモデルへの全面移行です。これまで主流だった「買い切り型ライセンス+保守(SnS:Subscription and Support)」は提供されなくなり、今後は契約期間を前提としたサブスクリプションのみが選択肢となります。
すでに永続ライセンスを保有している企業であっても、保守更新や契約更改のタイミングでは、従来モデルの延長だけでなく、新しいライセンス体系への移行も含めて検討する必要が出てきます。
今回のライセンス変更は、仮想化基盤の調達方法や運用の前提だけでなく、今後もVMwareを使い続けるのか、別の基盤を含めて考えるのかという判断に直結する変更です。
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2. VMwareライセンスはどう変わった?
Broadcomによる買収以降、VMwareのライセンス体系は、契約形態・課金単位・製品構成のいずれもが見直されました。主な変更点は、次の4つです。
- サブスクリプションモデルへの全面移行
- CPUコア単位課金への変更
- エディション体系の再編(VCFへの集約傾向)
- Workstation Pro / Fusion Proの無償化
以降では、それぞれの変更点について詳しく解説します。
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2-1. サブスクリプションモデルへの全面移行
Broadcomによる買収以降、VMwareの永続ライセンスは新規販売が終了し、ライセンス形態はサブスクリプション契約に統一されました。
すでに永続ライセンスを保有している場合でも、保守更新が終了しているため、サポートを継続するには新たにサブスクリプション契約を結ぶ必要があります。
これまで保守費用だけを前提に更新してきた企業では、契約更新のタイミングでこれまで想定していなかった追加コストが発生する可能性があり、更新の進め方や予算の組み方そのものを見直す必要が出てきます。
2-2. CPUコア単位課金への変更
ライセンスの算定方法は、従来のCPUソケット単位から、物理CPUのコア数ベースへと変更されました。
VMwareのライセンスはコア数ベースで算定され、各CPUにつき最低16コア分のライセンスが必要です。そのため、コア数の少ないCPUを搭載したサーバーであっても、一定量のライセンス費用が発生します。
なお、Broadcom移行期には販売情報が先行して伝わった時期もあり、制度と販売条件が混同されていました。以下に、その経緯を時系列でまとめます。
| 期間 | 内容 |
|---|---|
| 2023年11月 | BroadcomによるVMwareの買収が正式に完了 |
| 2024年〜 | CPUコア単位課金へ移行。最低16コアルール継続。 |
| 2025年3〜4月 | 販売パートナー向けの価格・注文ルールにおいて、「1注文あたり最低72コア(MOQ)」とする情報が流通 |
| 2025年4月10日頃 | 72コア最小購入に対する反発が報じられ、算定ルールとしては「16コア/CPUが継続」することが確認された |
しかし、算定ルールそのものは一貫して「1CPUあたり最低16コア」が適用されています。
2-3. エディション体系の再編(VCFへの集約傾向)
VMwareの製品ラインナップは再編され、上位エディションはVCF(VMware Cloud Foundation)とVVF(VMware vSphere Foundation)を軸とした構成に集約されました。そのため、従来のようにvSphere(仮想化基盤)・vSAN(分散ストレージ)・NSX(ネットワーク仮想化)を個別に組み合わせて選択する形は、基本的に想定されていません。
vSphere Enterprise Plus(旧ライセンス体系における最上位エディション)を利用してきた企業では、契約更改のタイミングで、VVFとVCFのいずれで契約を継続するかを判断する必要があります。
| 項目 | VVF (VMware vSphere Foundation) |
VCF (VMware Cloud Foundation) |
|---|---|---|
| vSphere(仮想化基盤) | 含まれる | 含まれる |
| vSAN(分散ストレージ) | 含まれる(0.25 TiB/コア) 容量超過時は追加ライセンス |
含まれる(1 TiB/コア) |
| 外部ストレージ | 利用可能(SAN/NAS) | 利用可能(SAN/NAS) |
| ネットワーク | 既存物理NW | NSXを含む |
| 想定する利用 | 既存構成を活かした仮想基盤運用 | VMwareで基盤全体をまとめて管理 |
2026年1月時点の調査情報です。
この再編により、vSphere・vSAN・NSXを個別に組み合わせて選択することはできなくなり、これらをまとめて利用する場合はVCFを選ぶ形になりました。
2-4. Workstation Pro/Fusion Pro の無償化
VMware Workstation Pro(Windows/Linux)および VMware Fusion Pro(macOS)は、個人利用・業務利用を問わず無償で提供されています。学習用途や個人での検証に限らず、企業内での業務利用や商用開発においても、ライセンス料なしで利用可能です。
従来提供されていた有償サブスクリプションの販売は終了しており、現在はBroadcomのポータルからダウンロードすることで、Pro版相当の機能を利用できます。
なお、2024年以前に有償契約を結んでいた場合は、契約期間中に限り、従来どおりサポートが継続されます。一方で、契約満了後に新たに有償サポートを契約することはできません。無償提供されているバージョンには、新規の有償サポートは付属しない点には注意が必要です。
3. VMwareライセンス変更が企業に与える主な影響
ライセンス体系が刷新されたことで、従来の予算枠や管理方法のままではインフラを維持できなくなるケースが増えています。コスト面はもちろん、運用継続の可否に関わる主要な影響として、次の4点を押さえておく必要があります。
- コスト構造の変化(サブスクリプション化・コア課金の影響)
- ハードウェア構成の見直し(コア課金が設計判断に与える影響)
- 検証・小規模環境での無償ESXi廃止による運用負荷
- 契約・運用プロセスの変更
3-1. コスト構造の変化(サブスクリプション化・コア課金の影響)
VMwareがサブスクリプションモデルへ移行したことで、ITコストの発生の仕方が、従来とは大きく異なる形になりました。
これまでは、永続ライセンスを導入時に購入し、以降は比較的抑えた保守費用を支払う運用が一般的でした。一方、現在は契約期間に応じて毎年費用が発生するため、継続的に利用する限り支出が続く前提となります。
この違いは、単年度の予算だけでなく、5年・10年といった中長期の総コストに直接影響します。とくに、VVFやVCFのように複数機能を含むエディションでは、利用しない機能が含まれていても費用が発生するため、従来より単価が上昇する可能性があります。
3-2. ハードウェア構成の見直し(コア課金が設計判断に与える影響)
CPUコア単位課金への変更により、サーバーに搭載するCPUコア数が、そのままライセンス費用に反映されるようになりました。
従来は、CPUソケット数を最小限に抑えたうえで、高コア数のCPUを選定することで、サーバー台数を減らしつつ性能を確保する設計が多くとられていました。この場合、ライセンス費用はソケット数に基づいて算定されるため、高コアCPUを選んでもライセンス費用が増えることはありませんでした。
しかし現在は、CPUのコア数そのものが課金対象となるため、高コアCPUを選択すると、その分ライセンス費用も増加します。その結果、従来と同じ設計を採用した場合、ライセンス費用が想定以上に増加することがあります。特に中〜大規模のサーバーでは、CPU性能を優先して高コアモデルを選択した結果、ハードウェア更新費用を上回るライセンス費用が発生することもあるでしょう。
今後の更改では、CPUの性能やコア数だけを見るのではなく、構成ごとに必要なライセンスコア数を算出し、サーバー費用とライセンス費用を合算した総額で比較することが求められます。
3-3. 検証・小規模環境での無償ESXi廃止による運用負荷
無償版ESXi(VMwareのハイパーバイザー)の提供終了は、本番環境以外にも影響を及ぼしています。これまで、検証環境や部門内サーバー、PoC(概念実証)用途として、無償ESXiを利用してきた企業は少なくありません。
今後は、こうした環境についても商用ライセンスを割り当てるか、別の基盤へ移行するかの判断が必要になります。無償版では公式サポートや継続的なセキュリティ更新が提供されないため、長期的な利用にはリスクが伴います。
そのため、企業としては社内のESXi環境を把握し、用途や重要度に応じて対応を分ける必要があります。重要な検証環境には有償エディションを割り当て、簡易検証や一時利用に限られる環境はHyper-V(Microsoftのハイパーバイザー)やProxmox(仮想化基盤ソフト)などへ切り替える、といった形で基盤を使い分ける運用が現実的です。
3-4. 契約・運用プロセスの変更
VMware製品のライセンス管理やサポート窓口は、現在Broadcom Support Portalに統合されています。
この移行により、ライセンス情報が正しく引き継がれていない、管理権限が不足していて製品をダウンロードできない、といったトラブルが発生することがあります。更新直前にこうした問題が判明すると、ライセンス発行が間に合わず、運用に支障が出るおそれがあります。
また、一部の製品では認証方法や手続きの流れが変更されており、従来と同じ手順では対応できない場合もあります。そのため、更新期限を迎えてから対応するのではなく、事前にポータルへアクセスし、ライセンスの表示状況や管理権限を確認しておく必要があります。
4. Broadcom定義のセグメント別に見るVMwareエディションの位置づけ
Broadcomは、顧客を「Commercial」と上位区分の「Strategic/Corporate」に分けています。この区分はユーザー側で選べず、Broadcom側で割り当てられます。また、区分ごとに購入できるエディションが決まっており、自由に選べません。
自社がどのセグメントに属するかによって、選択できるエディションや契約条件、契約や更新の窓口(直接契約か、パートナー経由か)が大きく変わります。
以降では、それぞれのセグメントでどのエディションが選択肢となるのかを順に見ていきましょう。
4-1. Commercialセグメント(VVF・VCFを選択できる)
日本国内の企業の多くは、Commercialセグメントに分類されます。このセグメントでは、従来どおり販売代理店やSIerを通じた購入・契約が可能です。
選択肢としては、VVFとVCFのいずれかを要件に応じて選択できます。VVFは、vSphereを中心とした仮想基盤を運用する場合の選択肢となります。一方、VCFは、vSANやNSXを前提に、インフラ全体をソフトウェアで統合管理したい場合の選択肢となります。
まずは販売パートナーに確認し、自社がCommercialに該当するかを把握したうえで、必要な機能とコストを比較することが重要です。
4-2. Strategic/Corporateセグメント(VCFのみが選択肢となる)
グローバル規模の戦略顧客(Strategic)や、一定以上の規模を持つ企業(Corporate)に分類される場合、製品の選択肢は大きく制限されます。
このセグメントでは、フルスタック構成(仮想化からネットワーク等を一括で含む構成、いわゆるVCF)のみが案内され、VVFを含む他エディションは選べません。
VCFは、vSAN・NSX・Aria(運用管理プラットフォーム)などを含む包括契約が前提となります。そのため、本来必要な機能レベルより上位の構成を購入することになり、結果として従来の構成と比べてライセンス費用が大きく増加するケースがあります。
また、契約形態もBroadcomとの直接契約、もしくは限定された認定パートナー経由へ切り替わる場合があります。
Strategic/Corporateに該当する場合は、VCFを前提に基盤を拡張するのか、他社基盤への移行を検討するのかといった、費用と運用負担を含めた判断が求められます。
5. VMware継続と脱VMwareを比較する4つの選択肢
VMwareのライセンス変更を受け、企業が取り得る対応は一つではありません。継続を前提に条件を見直すケースもあれば、一部を切り出して移行する判断も現実的な選択肢になります。
本章では、VMwareを使い続ける場合と、段階的に離れる場合の両方を含めた4つの代表的な選択肢を紹介します。
- 最小構成でのVVF継続(コスト最適化)
- VVF・VCFを前提とした基盤再設計
- 一部ワークロードをクラウドへ移行するハイブリッド構成
- 他社HCI/ハイパーバイザーへの段階的移行
5-1. 最小構成でのVVF継続(コスト最適化)
現実的かつリスクを抑えやすい選択肢として、運用を大きく変えずにVMwareを継続する判断がまず検討されます。
他社基盤への移行は、ライセンス費を下げられる余地がある一方で、検証工数や学習コスト、移行時の停止対応など、表に出にくいコストが発生します。これらを含めて比較すると、一定の値上げを受け入れても、継続の方が総費用を抑えられるケースは少なくありません。
具体的には、従来のvSphere Enterprise PlusからVVFへ移行し、構成を最小限に保つ形が現実的です。その際、重要となるのがハードウェアの選定です。
CPUコア単位課金では、コア数がそのままライセンス費に反映されます。単純に多コアCPUを採用するとコストが膨らむため、クロック性能とコア数のバランスを踏まえたCPU選定が求められます。vSphereを中心とした構成に絞り、vSANは最小限の利用にとどめたうえで、多コアCPUを避けた中コア・高クロック構成を採用することで、ライセンス数を抑えることが可能です。
5-2. VVF・VCFを前提とした基盤再設計
VMwareのライセンス変更を契機に、既存構成を見直し、基盤全体を更新する選択肢もあります。
VVFやVCFには、vSANや運用管理機能が含まれているため、従来どおり外部ストレージを使った3Tier構成(サーバー/ストレージ/ネットワークを分ける構成)を維持すると、契約上は利用しない機能を含んだ形になり、コスト効率が下がる場合があります。
そこで、外部ストレージの保守更新や更改のタイミングにあわせて、サーバー内蔵ディスクを活用したHCI(ハイパーコンバージドインフラ)構成へ切り替える判断が現実的になります。これにより、外部ストレージの保守費用に加え、設置スペースや電源・冷却といった周辺コストを削減できます。
結果として、ライセンス単価の上昇分を、外部ストレージや周辺設備にかかる費用削減と相殺しながら、全体コストを抑えた構成へ見直す判断が可能になります。
なお、HCI構成が現実的かどうかは、契約エディションとデータ容量によって異なります。
VVFでは、標準で利用できるvSAN容量が1コアあたり0.25TiBに限られるため、データ量が多い環境では追加のvSANアドオン費用が発生します。
その場合は、外部ストレージの保守費用と比較したうえで、どちらが有利かを確認する必要があります。一方、VCFでは1コアあたり1TiBのvSAN容量が含まれるため、外部ストレージを廃止したHCI構成への移行が現実的になりやすいケースが多くなります。
5-3. 一部ワークロードをクラウドへ移行するハイブリッド構成
CPUコア単位課金では、オンプレミス側で稼働させるVMwareホスト数やCPUコア数が、そのままライセンス費用に影響します。そのため、VMware基盤上で運用するワークロードを意図的に絞ることが、コスト調整の一つの手段になります。
具体的な方法として、オンプレミスとクラウドを併用する構成が考えられます。すべての仮想マシンをVMware基盤に集約するのではなく、役割や利用特性に応じて配置を分けます。たとえば、開発・検証環境、利用頻度の低い業務サーバー、バックアップ用途などはクラウドへ移行し、オンプレミス側には低遅延や高可用性が求められる基幹系システムを残します。
こうした切り分けにより、VMware上で必要となるホスト数やCPUコア数を抑えつつ、オンプレミス環境の安定性を維持できます。
5-4. 他社HCI/ハイパーバイザーへの段階的移行
将来的な価格改定や提供方針の変更リスクを避けるため、VMwareへの依存度を下げる選択肢を検討する企業も増えています。その一つが、他社HCIや別のハイパーバイザーへ移行する判断です。移行先としては、Nutanix AHV(Nutanixのハイパーバイザー)、Microsoft Hyper-V(Microsoftのハイパーバイザー)、KVMベースの基盤(Linux系で広く使われるハイパーバイザー)などが挙げられます。
しかし、ライセンス費用を大きく抑えられる可能性がある一方で、運用手順の変更や管理ツールの切り替え、担当者の習熟といった負荷は避けられません。現実的な進め方は、一度に切り替えるのではなく、影響範囲の小さいシステムから段階的に移行することです。
実運用を通じて適合性を確認しながら、数年単位での移行計画を立て、基幹系システムを含めた最終的な方針を判断する必要があります。
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6. VMwareライセンス変更に対して企業がとるべき対応

VMwareのライセンス変更への対応は、更新期限が迫ってから判断するのではなく、現状把握・見積もり取得・選択肢の比較・移行計画の検討といった工程を、契約期間を踏まえて早い段階で進めていくことが重要です。
ここでは、情報システムの担当者が社内説明まで含めて進めやすいように、実務で押さえるべき対応を5つのステップに分けて紹介します。
6-1. 現行ライセンス・保守期限・契約更新タイミングの見える化
最初に着手することは、更新判断に必要な情報をそろえることです。VMwareの契約は、更新期限が近づいてから動くと選択肢が急に狭くなり、見積もり取得や社内決裁が間に合わなくなるおそれがあります。
確認すべき主な項目は、次のとおりです。
- 利用中の製品とエディション(例:vSphere/vCenter:vSphereの管理サーバー/vSAN/NSX など)
- 契約の終了日(保守・サブスクの期限)と更新単位
- 対象ホスト台数、CPU型番・コア数
- 本番/DR(災害対策・待機環境)/検証など、環境ごとの利用範囲
- 購入経路(直販/代理店)と契約主体
まずはBroadcom Support Portalにログインし、契約期間や権利情報が表示されるかを確認します。もし、表示の情報が不足している場合は、実際に契約を手配した購入元(メーカー直販の担当者または販売代理店)に早めに確認をしましょう。
更新期限までの残り期間によって、優先順位も変わります。期限が近い場合は更新手続きを先行し、時間が取れる場合は代替案の比較や基盤再設計を並行して進めるのが現実的です。
6-2. 新ライセンス体系での概算見積もり取得と予算インパクトの把握
現行契約の内容を把握できたら、次に必要なのは新ライセンス体系を前提とした概算見積もりの取得です。更新時期がまだ先であっても、コア単位課金への移行やサブスクリプション化の影響により、構成を変えていなくても費用が大きく変わるケースがあります。
見積もりを進める際にまず確認すべきなのは、自社がどのセグメントに分類され、どのエディション(VVF/VCF)が購入可能かという点です。この区分はポータル上で明確に判別できない場合も多く、利用者側の判断だけで進めると、実際には選択できない前提で試算してしまう恐れがあります。
そのため、Broadcomまたは販売パートナーに対し、自社のセグメント区分と購入可能なエディションを明示的に確認したうえで、見積もりを進めることが重要です。
また、コア数を基にした費用算定では、次の点で誤解が生じやすくなります。
- 課金は物理CPUのコア数単位で行われ、1CPUあたり最低16コア分のライセンスが必要となる点
- CPUの型番やコア構成によって、必要ライセンス数や単価が変わる場合がある点
- 契約期間(1年・3年など)によって、総額と年あたりの負担が大きく変わる点
このため、見積もり時には最新の販売条件を前提に確認することが欠かせません。これらを自社だけで正確に積み上げるのは難しいため、早い段階で販売パートナーに構成情報を共有し、概算の価格レンジを把握する進め方が現実的です。
6-3. 本当に必要な機能の棚卸しと削減余地の整理
VVFとVCFのどちらを選ぶべきかは価格差そのものではなく、利用する機能の範囲で判断する必要があります。
現在のVMwareライセンス体系では、従来のStandardやEnterprise Plusは販売終了しており、実質的な選択肢はVVFまたはVCFに限られます。そのため、これまで個別に選択していた機能も、あらかじめ組み込まれた形で提供されます。
両者の違いは、含まれる機能の広さです。VVFはvSphereを中心とした基盤領域をカバーするのに対しVCFにはNSXを含むネットワーク仮想化や、より広い運用・自動化の範囲が含まれます。
たとえば、NSXを使った高度なネットワーク制御を行っていない環境や、フルスタックのクラウド基盤を前提としていない構成では、VCFの追加分が活かされないケースも少なくありません。マイクロセグメンテーションを運用していない、ネットワーク仮想化を導入する予定がない場合、VCFに含まれる機能は使われないままコストとして残ることになります。
そのため、運用の実態と今後の計画を踏まえたうえで、「VVFで足りる範囲」と「VCFが必要になる場面」を分けて確認することが重要です。使う予定のない領域まで含めて上位版を選ぶと、毎年のライセンス費用だけが積み上がっていきます。
6-4. 脱VMwareを含めた代替案の比較検討
ライセンス費用の上昇を受け、VMwareを継続するか、他の基盤へ移行するかを検討する場面が増えています。代替案を検討する際は、単純な金額差だけでなく、移行に伴う作業量や影響範囲まで含めて比較する必要があります。
他社のハイパーバイザーへ移行する場合、ライセンス費用を抑えられる可能性がある一方で、次のような対応が発生します。
- 新基盤での検証や設計のやり直し
- 運用手順や障害対応フローの見直し
- バックアップ、監視など周辺ツールの再選定
- 切り替え時の停止調整や業務影響への配慮
これらは切り替え作業だけで終わるものではなく、運用が落ち着くまでの間、一定の負荷として残る点に注意が必要です。
そのため、VMwareを継続する場合と移行する場合を比較する際は、初期費用だけでなく、更新サイクルや運用体制の変化を見込んだ数年単位(目安として5年程度)の視点で、総コスト、作業量、リスクを並べて確認することが欠かせません。
結果として、環境規模が大きい・運用がすでに定着している・バックアップや監視など周辺ツールとの結びつきが強い場合には、VMwareを継続した方が全体の負担が小さくなるケースもあります。一方で、特定のワークロードを切り出せる・影響範囲を限定できる場合には、一部から段階的に移行する進め方が現実的な選択となることもあります。
6-5. 段階的な移行ロードマップと外部パートナー活用
VMwareの新ライセンス体系では、契約単位や販売条件が従来と変わり、見積や更新の場面で確認すべき項目が増えています。この状況で自社判断だけで進めると、実際には購入できない組み合わせを前提に試算してしまったり、サブスクリプションの更新条件や期限の違いを見落としたまま手続きを進めてしまったりするリスクがあります。
そのため、Broadcom移行後のライセンス運用に実際に関与してきた外部パートナーと確認を重ねながら進めることで、コア数の算定条件、SKU(見積・発注に使う製品コード)の選択可否、更新期限や契約上の制約といった見積や更新時に判断を誤りやすい点を、事前に洗い出すことができます。
こうした確認を行ったうえで、次に重要になるのが移行を進める順番です。対応の進め方としては、すべてのシステムを一度に切り替える必要はありません。本番環境は安定稼働を優先し、まずは影響範囲の限定されたシステムや検証環境で対応を進めることで、想定外の課題や追加作業が発生する箇所、継続的に運用負荷が増える点を事前に洗い出すことができます。
こうして見えてきた差分をもとに、VMwareを継続する場合、部分的に切り出す場合、他基盤へ広げる場合それぞれについて、コストや作業量、運用面の影響を比較したうえで、最終的な方針を決めていく進め方が現実的です。
7. ライセンス変更を踏まえた選択肢「地域エッジクラウド」とは
VMwareのライセンス変更を受け、継続か脱却かの判断に悩む企業は増えています。移行コストや運用変更のリスクを考えると、当面はVMwareを使い続けたい一方で、ライセンス価格の上昇やハードウェア保守、データセンター運営の負担が重くなっているのも事実です。
こうした状況で検討対象になりやすいのが、既存のVMware環境を大きく変えずに運用形態だけを見直す選択肢です。NTT東日本の「地域エッジクラウド タイプV」は、VMware技術を活用した基盤を国内データセンターで提供する国産クラウドで、既存のvSphere構成や運用を大きく変えずに移行できます。
また、閉域網接続や国内での運用を前提としているため、通信経路やデータの置き場所に制約がある企業でも検討しやすい選択肢となります。地域エッジクラウドは、VMwareを直ちに手放すのではなく、将来の選択肢を見極めるための中間的な着地点として、有力な選択肢といえます。
8. まとめ
BroadcomによるVMwareのライセンス体系変更を受け、従来と同じ前提でオンプレミス環境を維持し続けることは、費用面・運用面のいずれにおいても現実的な負担が増えています。
一方で、業務やシステムの事情から、VMware基盤を短期間で手放す判断が難しい企業も少なくありません。「継続か脱却か」という二択だけでは、どちらにも踏み切れない状況に置かれるケースも少なくありません。
地域エッジクラウド タイプVは、NTT東日本が管理する国内データセンター上でVMware基盤を提供し、閉域ネットワーク接続にも対応したクラウドサービスです。監視や故障時対応など、オンプレミスで発生していた基盤運用の一部を運用メニューとして利用でき、既存のVMware環境を維持したまま運用負担を見直せます。
「VMwareはすぐにやめられないが、オンプレミス運用をこのまま続けるのは厳しい」という方は、ぜひ地域エッジクラウド タイプVをご検討ください。
- 本コラムに記載されてる会社名、サービス名、商品名は、各社の商標または登録商標です。
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