
AWSとは?自社でクラウドを本格導入する時に困らない為の初心者向け早わかりガイド
CRMとは、「顧客情報を集約・活用し、顧客との良好な関係性を構築・維持すること」及びそのためのシステム・ツールのことを指します。
このツールとしてのCRMについて、
「どのようなものなんだろう?」
「本当にビジネスに役立つのだろうか?」
と疑問をお持ちなのではありませんか?
確かに顧客との関係性をわざわざツールを使って管理するというのは、イメージがつきにくいことかと思います。たったそれだけのことで、自社に利益がもたらされるとも思えませんよね。
しかし実は、その「たったそれだけのこと」を軽視していると、新規顧客はどんどん獲得しづらくなってしまいます。それだけでなく、既存顧客についても他社に流出しやすくなる恐れがあります。
というのも、顧客情報をきちんと把握できていなければ的確なコミュニケーションを取ることは難しく、その関係性も進展しづらいからです。
こういったことを理解して、顧客を獲得・維持していくために、今回は次のようなことをお話しします。
本記事の内容 |
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CRMやCRMツールがどういったもので、どのように役立つのかがお分かりいただける内容となっています。
早速読み進めていきましょう。
CRMは、Customer Relationship Managementの略称で、直訳すると「顧客関係管理」を意味します。
これをもう少し詳しく説明すると、冒頭でもお伝えした通り、「顧客情報を集約・活用し、顧客との良好な関係性を構築・維持すること」と言うことができます。
最近では、そのためのツールをCRMと呼ぶことも多いです。
ここではツールとしてのCRMについて、
といったところを説明します。
CRMツールで行うのは、顧客と良好な関係性を築くための「顧客情報の集約・管理」です。
具体的には以下のような情報がCRMに集約されます。
CRMで管理する顧客情報例 |
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こうした顧客に関するあらゆる情報をCRMツールで一元的に管理することで、関係者はいつでも顧客の最新の状況を把握でき、自社と顧客が良い関係性を構築するための土台ができるのです。
あなたの友人やパートナーは、あなたの趣味・価値観についてある程度把握してくれていて、だからこそ安心して気兼ねなく付き合えているはずです。
企業と顧客の関係もそれと似ていて、顧客のことをきちんと把握することは、良いお付き合いの基本となります。
つまり、CRMツールで行っているのは<顧客情報の集約=良い関係性の土台作り>と言えるのです。
ではなぜ、CRMにより顧客情報を管理し、良好な関係性を築く必要があるのでしょうか?
それは、顧客と企業(業者)の良い関係性が、製品やサービスの付加価値となり得るからです。
このことを分かりやすくするために、顧客の立場になって考えてみましょう。
例えばあなたの会社で求人広告を出すために、いつも的確な対応をしてくれる信頼の厚いA社と熱意はあるけど対応に違和感のあるB社に見積もりを取ったとします。A社もB社も知名度のある求人媒体で、効果に差は無さそうです。さらに両社の見積もりも、A社が1万円ほど高いだけで大差ありませんでした。
あなたはA社とB社のどちらに発注したいでしょうか。いつも求めている対応が返ってくるA社ではありませんか?
このように、製品・サービスの品質や価格に大きな差が無い場合、企業(業者)との関係性が購買や発注の決め手となる場合もあるはずです。
多くの産業が成熟し、品質での差別化が難しくなっている現代の日本では、こうした付加価値の創出にも注力しなければ新規顧客の獲得や既存顧客の流出を回避することが難しくなってくるでしょう。
だからこそ、付加価値として顧客と良い関係性を結ぶことは企業にとって重要であり、そのためにはCRMは欠かせない存在なのです。
CRMをビジネスにうまく活用するために大切なことは、管理する顧客情報を根拠とした行動を取ることです。
このことで顧客はあなたの会社に「自分(自社)のことをよく理解してくれている」という印象を持ち、それが結局あなたの会社の利益に繋がるのです。
ここでは、具体例を用いて説明します。
CRMの活用例① 顧客の求める対応を先回り |
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チェーン展開するホテルにAさんから宿泊予約が入る。 予約が入った際に、ホテル側がCRMツールでAさんの情報を確認すると、高所恐怖症であることが記録してあった。また前回別店舗で宿泊した際には、それを理由に低層階の客室を希望していたことも分かったので、ホテル側はあらかじめAさんに2階の客室を割り当てることができた。 |
CRMで管理される顧客情報に基づいて行動すれば、この例のように顧客の求める対応を先回りして行うことができます。こうした対応は顧客満足度を向上させ、リピート率・LTV(顧客生涯価値)にも反映されるはずです。
CRMの活用例② 顧客ニーズにマッチした提案 |
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広告制作会社Bでは、CRMに集約した取引情報から、あるクライアントが大体4ヶ月に1度の周期で新商品を発売していることが分かった。 これまでB社では、このクライアントから販促用のチラシやリーフレットの制作を受注していたが、素材となる商品の撮影データ・パッケージのデザインデータなどはクライアントから支給されていた。 B社はこうした素材の撮影やデザインもまとめて受注したいと考え、クライアントが新商品の開発中であろうタイミングで「撮影・パッケージデザイン〜販促物制作をワンストップで行う」という旨の提案を行った。 |
顧客情報から顧客の動きや状況を読み取り、それを営業活動に反映させることで、このような顧客のニーズに合った提案を最適なタイミングで実施することが可能です。
顧客の求めるものを、必要としているタイミングで案内できれば、クロスセル・アップセルに繋がりやすくなります。
CRMの活用例③ 顧客の経緯を把握した窓口対応 |
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Webサイトの制作を行うC社に、商談を実施したものの受注には至らなかった見込み顧客から電話で問い合わせが入った。その内容は、以前商談を行ったコーポレートサイトのリニューアルについて、再度打ち合わせをしたいというものだった。 この顧客の営業担当は外出中だったが、CRMに顧客情報が登録されていたので、問い合わせ窓口でもそれまでの経緯を把握し、行き違いのないスムーズな対応ができた。 |
CRMで管理される顧客情報は部署をまたがって共有することができるため、この例のように営業担当が登録した顧客情報を閲覧しながら問い合わせ窓口が顧客対応を行う、といったことも可能です。
顧客と直接的に関係を構築する営業以外の従業員も、顧客情報に基づいて初期対応・代理対応を行えば、顧客にストレスを感じさせることなく、機会損失の防止にもなるはずです。
このように、管理している顧客情報に基づいて行動することで、CRMがビジネスに活きてくるのです。
CRMと類似するツールに、MAやSFAといったものがあります。
ここからは、そうした類似ツールとCRMとの違いについて説明します。
そもそもCRM・MA・SFAは、以下のようにそれぞれ活用する目的が異なるツールです。
目的 |
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CRM |
顧客との良好な関係性の構築・維持 |
MA |
見込み顧客の獲得・育成 |
SFA |
営業活動の支援・効率化 |
CRMとMA・SFAのこうした違いについて、それぞれ見ていきましょう。
MAはMarketing Automationの略で、マーケティング活動の一部を自動化できるツールのことです。
MAの活用目的は、自社の製品やサービスに関心がありそうな見込み顧客を獲得し、そうした見込み客を育成して商談の機会を得ることにあります。
そのために、見込み顧客に関する情報をツール内で管理し、適切なタイミングでメール配信などのアクションを行います。
このように、実際にツールで行うことには似ている部分もありますが、CRMの目的は「良好な顧客関係を構築・維持すること」ですから、両者の目的は明確に異なっています。
また、目的の違いから、対象となる顧客層にも違いが出てきます。
MAは、基本的に見込み顧客を対象に活用されますが、CRMでは既存顧客やすでに面識のある見込み顧客がメインの対象となります。
MAとCRMにはこうした違いがあるため、ツールの仕様や細かい機能面での違いも出てくるのです。
SFAはSales Force Automationを略した言葉で、営業活動の支援・効率化を目的としたツールのことを言います。
つまりSFAも、CRMとは活用目的が異なっているのです。
ただ、実はSFAとCRMのツールで実際に行うことは非常に似通っていて、この2つに関しては線引きがあいまいになってきています。
というのも、SFAでは営業活動を支援するために「営業活動に関わる情報全般」を管理するのですが、このSFAで管理する情報とCRMで管理する「顧客に関するあらゆる情報」が、同じ内容であるケースが多いからです。
例えば、商談の内容についての情報は、SFAの観点から言えば「営業活動に関する情報」ですし、CRMの観点で言えば「顧客に関する情報」です。
SFAとCRMでは、対象となる顧客の層も共通しているため、尚更この傾向が強いのです。
そのため、CRMと呼ばれるツールがSFAとしても使われていたり、CRM/SFAとまとめた形でツールになっている場合もあります。
ここまでで、CRMの「顧客との良好な関係性のために、顧客情報の集約・管理を行う」という役割は把握していただけたかと思います。
次に気になってくるのが、具体的にどういった機能によってその役割を果たしているのかというところですよね。
そこでここでは、CRMに備わっている基本的な機能として以下の4つをご紹介します。
一つずつ見ていきましょう。
顧客の基本情報管理機能は、CRMの機能の中でも最も基本的なものと言えます。
この機能によって管理する具体的な情報は以下の通りです。
◆ 顧客名・担当者名
◆ 担当者の部署・役職
◆ 住所・連絡先
◆ 購入/取引履歴
◆ 流入経路/接触履歴
こうした基本的な顧客情報を登録・参照でき、属性別に顧客を抽出できることがこの機能の特徴です。
これは例えば次のような状況で役立ちます。
基本的な情報の他に、営業活動や対応状況といった顧客とのコミュニケーション内容を管理する機能もあります。
この機能は、「良好な顧客関係の構築・維持」を目的とするCRMの要とも言えるものです。
具体的には次のような情報を蓄積していきます。
◆ 商談の内容・状況
◆ 打ち合わせ・電話・メールでの重要なやり取り
◆ 顧客の要望・相談の内容
◆ やり取りした資料(見積もり、請求書、提案書、発注書など)
こうした情報を顧客ごとに管理し共有できることは、次のような場面で役立ちます。
問い合わせ管理機能は、製品やサービスを提供した後のカスタマーサポートに役立つものです。
顧客と良い関係性を築くには、取引が終わった後のアフターケアも欠かせませんから、これも重要な機能です。
具体的には、以下のような問い合わせの内容やそれに対する回答・対応を記録し共有することができます。
◆ 商品やサービスに関する質問と回答
◆ クレーム内容と回答・対応
◆ 修理・サポートの依頼内容と対応
こうした内容を管理し、問い合わせの窓口担当だけでなく、修理や対面サポートの担当部署、本社などと共有することで以下のような利点が生まれます。
CRMの中には、メール配信機能を備えたものも多いです。
この機能は、CRMに情報を登録してある顧客に対して情報を一斉配信する時などに便利です。
また、顧客の基本情報管理機能では属性ごとに顧客を抽出することができるので、属性の異なる顧客に対して別のメールを配信することもできます。
こうした機能により、次のような情報配信がスムーズに行えるのです。
ご紹介したようなCRMのさまざまな機能は、顧客と良い関係性を築くために大いに役立つものです。
ただ、実はそういった機能を備えたCRMを導入することには、他にも次のようなメリットがあります。
一つずつ説明しますね。
一つ目のメリットは、顧客に関するあらゆる情報をCRMのツール内に集約し、その情報を部署内や社内で共有できることです。
CRMを導入していないと、顧客情報は点在していたり営業担当者だけが把握しているといった状態になりがちです。これは以下のような問題の要因となってしまいます。
顧客情報が点在または営業担当者に集中していると… |
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一方、CRMを導入すれば顧客情報はCRMに集約され、共有可能な状態で管理することができるため、こういった問題の大幅な改善が見込まれるのです。
顧客の状態を可視化できるという点もCRMを導入するメリットです。
すでにお伝えしているように、CRMでは顧客に対する営業活動や対応状況も管理することができます。こういった情報を逐一記録していくことで、顧客が今どのような状態にあるかを客観的に把握しやすくなるはずです。
その結果、
といったことが顧客情報から読み取れるようになり、的確な営業戦略の立案に大いに役立つのです。
CRMをうまく活用することは、さまざまな業務の効率化に繋がります。
例えばCRMで顧客情報を一元管理することで、次のようなことが可能になります。
このようにCRMの活用方法次第で、作業時間を短縮したり、不要な業務を削減できるのです。
その分、営業担当者なら顧客とのコミュニケーションに時間を割けますし、マーケティング担当者なら新たな施策立案に注力することができますよね。
業務効率の向上は企業の収益に直結する要素の一つですから、これは大きなメリットと言えるはずです。
CRMは、顧客との接点が多い営業部などで活用される機会が多いですが、実はその他にもさまざまな部署や業務で役立ってくれます。
例えば、カスタマーサポートの業務では、顧客情報を参照しながら対応を行うことで質の高いサポートを提供できますし、マーケティング部であれば、顧客全体の属性や購入履歴を分析することで見込み顧客への的確なアプローチを行えるでしょう。
また、顧客の取引状況や購買傾向といった情報は「今後どの事業に注力すべきか」「どういった商品やサービスを開発すべきか」といった経営判断にも役立ちます。
このように、CRMは多様な業務において非常に有用なものです。導入すれば全社的な業務改善にも一役買ってくれるはずですよ。
CRMを使うことで、営業部の上司やマネージャーは営業担当者に的確なサポートを行いやすくなります。
これは、先にお伝えしたように「顧客の状態を可視化できる」ためです。
CRMで管理する顧客情報から顧客の状態を把握できるのは、営業担当者だけではありません。CRMを確認すれば、上司やマネージャーも顧客が今どのような状況にあるのか知ることができます。
そのため、顧客の状況に応じた適切な対応や提案について、より実のあるアドバイスをしやすくなります。
経験の浅い営業部員であれば、顧客の状態は把握できていても正しく次の一手を打てるとは限りませんよね。
CRMを導入すれば、そのような育成中の営業部員を正しい方向に導きやすくなるのです。
CRMを導入するメリットが分かり、自社にも導入してみたいと感じられているかもしれませんね。
ただその前に、CRMの導入・活用における課題についても知っておく必要があります。それが次の2点です。
導入した後で
「こんなはずじゃなかった…」
ということのないように、それぞれしっかり把握しておきましょう。
CRMを導入し、日々運用していくためにはどうしても費用がかかってきます。
そのため、導入時には自社で捻出できる予算に見合ったCRMツールを選定する必要があります。
導入・運用にかかるコストはもちろん各CRMによって違うのですが、その費用の目安を把握するために注目すべきポイントは「CRMの形態」です。
CRMは、独自開発型・パッケージ型(ソフトウェアをインストールして利用するタイプ)・クラウド型という3つの形態に大別でき、必要コストもこの形態に応じて大きく変わってきます。
参考までに2つのサービスを記載します。
導入コスト |
運用コスト |
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Salesforce |
導入要件によって異なる |
Essentials:3,300円税込 (1ユーザー/月) Professional:9,900円税込(1ユーザー/月) Enterprise:19,800円税込 (1ユーザー/月) Unlimited:39,600円税込 (1ユーザー/月) |
Hubspot crm |
無料 |
Starter:5,400円税込 (1000コンタクト/月) Professional:96,000円税込(2000コンタクト/月) Enterprise:384,000円税込 (10000コンタクト/月) |
こちらの表を見ていただければ分かるように、利用する人数や使いたい用途によって費用が変わってきます。
また、自社の事業や業務に合わせてCRMを開発する独自開発型や仕様をカスタマイズしやすいパッケージ型では、導入だけで多額の費用がかかります。運用コストについても、クラウド型より高額になる場合があります。
一方でインターネットなどの接続ネットワークを経由して利用するクラウド型のCRMは、導入コストが非常にリーズナブルです。月々の運用コストはCRMの利用者数に応じて変動しますが、ボリュームディスカウントがあるケースも多く無制限に増額していくということは無いでしょう。
いずれの形態にしても、CRMの導入・運用にはこうした費用がかかってきます。このことは事前に把握し、ツールを選ぶ際にはコスト面についても検討するようにしてくださいね。
CRMに限った話ではありませんが、新しいシステムの導入や運用には労力がかかるものです。
CRMの導入・運用に当たっては、例えば次のような対応が必要となります。
通常業務に加えてこういったことも行うとなると、なかなか大変ですよね。
少しでもこの負担を軽減させるためには、CRM導入に向けて動き出す前に人員を確保したり、余裕のあるスケジュールを組むことが大切です。
CRMの運用が軌道に乗るまでの人的コストをしっかりと把握し、それに応じて導入・運用を進めるようにしましょう。
CRMを導入・運用する際の課題についてお話ししましたが、こうした課題を乗り越えて運用が軌道に乗ってくると、あなたの会社でも次のような成果が期待できます。
それぞれ具体的に見ていきましょう。
CRMを活用することは、実は営業部門全体のスキルアップに効果を発揮します。
CRMで管理する顧客情報を通して、優秀な営業部員がどのような営業活動を行っているか把握できるからです。
顧客に対する営業活動や対応状況についての情報が管理できることはすでにお話しした通りですが、このような情報は言い換えれば「営業担当の行動履歴」でもあります。
つまりCRMには、売り上げトップの営業部員の行動も記録されているのです。
そのような言わばお手本となる行動を参考にして他の営業部員も営業活動を行うことができ、自然とレベルの高い営業スキルが身に付きます。
その結果、営業部署全体のスキルアップに繋がるのです。
CRMは活用している部署や会社の生産性向上にも貢献します。
CRMの導入により、商談などの報告にかかる時間が短縮したり、顧客情報の管理業務のムダを削減できたりと、業務が効率化することはすでに説明した通りです。
効率化が進むと、各従業員は売り上げに直結する業務に時間が割けるようになります。
そうすると、従業員の総労働量は従来のまま、売り上げ創出のための業務量は増やすことができますよね。結果的に売り上げも伸びていくでしょう。
つまり、CRMの活用により業務の効率化が進んだ結果、同じリソースでより大きな利益を獲得できるという図式が成り立つのです。
CRMの活用によって、LTVの向上も期待できます。
LTV(顧客生涯価値)
▶︎一社(一人)の顧客が生涯に渡ってもたらしてくれる利益のこと
CRMで管理している顧客情報からニーズを読み取り、ニーズにマッチした商品の提供や提案・対応を行っていけば、顧客満足度が上昇することは容易に想像できますよね。
高い水準で顧客満足度を保ち、良好な関係性を維持することで、顧客は離れにくくなるものです。
顧客があなたの会社の顧客であり続けてくれる間は、購買や取引が繰り返され、その分LTVも向上していくはずです。
CRMはこれまでにご紹介したように、業務面・事業面で多くのメリットや成果を期待できるツールです。
こうしたメリットや成果を見れば、CRMが収益を伸ばしていくために不可欠な存在であることがお分かりかと思います。
特に、CRMの活用によって期待できる、営業部門全体のスキルアップ・生産性向上・LTVの向上 という3つの成果は全て企業の収益アップに直結します。
また、CRMを活用して構築した良好な関係性やその上に成り立つ対応・コミュニケーションは、顧客にとって製品やサービスの付加価値となります。
こうした付加価値を提供できるかどうかは、新規顧客の獲得・既存顧客の維持に大きく影響しますし、顧客を獲得・維持することも企業の収益拡大には欠かせませんよね。
このように、CRMの活用は収益アップに必要な要素であり、企業は積極的にCRM導入を検討すべきなのです。
ここからは、実際にCRMを導入した企業の事例をご紹介します。
ご紹介する企業がどのような課題を抱え、CRMによってその課題をどう改善していったのか、参考にしてみてくださいね。
まずご紹介するのは、戸建て住宅の建設・販売を手がけるA社での導入事例です。
CRM導入以前、A社ではWebサイトの管理者側と営業所でそれぞれ顧客情報を管理していましたが、CRMを導入してこの状況を改善することで成約率を向上させることに成功しました。
事例① 見込み客へのタイムリーなフォローで成約率向上 |
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導入背景 |
Webサイト管理者側 ▶︎Webサイト上のカタログ請求などを通して流入してきた見込み客の情報を管理 営業所側 ▶︎商談や成約に至った顧客の情報を独自に管理 ※両者の顧客情報は共有されていない状態 |
課題 |
◆見込み・商談・成約・入居後 それぞれの段階にある顧客に対して一貫したフォローができない ◆既存顧客のリフォーム案件が他社へ流れてしまう ◆効果的な営業活動ができず、機会損失が発生する |
施策 |
◆Webサイトや営業所を含めたあらゆる顧客接点の情報をCRMに集約し、顧客フォローを強化 ◆見込み〜入居後の各段階にある顧客の情報を一元管理し、適切に対応することで販売機会の損失を削減 ◆キャンペーン毎の見込客獲得率・成約率を分析し、効率的なマーケティング・営業活動を実施 |
効果 |
◎見込み客へのタイムリーなフォローが実現し、成約率が向上(前年比10%増) ◎販売機会損失の削減や効率的なマーケティング・営業活動の実践による販管費削減(前年比20%改善) |
こちらの事例から、CRMで顧客情報を一元管理することや、その情報を分析し読み解くことが、いかに企業の利益に繋がるかが分かりますよね。
出典:F-RevoCRM
次にご紹介するのは、ネットビジネス支援事業を手がけるS社での事例です。
S社ではアウトバウンド型の営業を中心にしていました。
しかし、アウトバウンドの営業効率が低くなり始めていたので、営業方法を変える必要がありました。
CRMを導入することで、自社に興味のある見込み客へ効率的にアプローチできるようになり、新規顧客単価が2倍アップさせることができました。
事例② 若手の受注率向上 |
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導入背景 |
◆「アウトバウンド型」の営業スタイルから「インバウンド型」の営業スタイルに切り替え、新規顧客へ効率的にアプローチしたい |
課題 |
◆アウトバウンド型の営業による、低い営業効率 ◆営業担当者の負担が大きいことによる、精神的な疲弊の深刻化 ◆チームよりも個人依存の業務成果 |
施策 |
◆CRMツールを活用し、見込み客に興味をもってもらえるようなブログやダウンロードコンテンツを作成 ◆ブログやダウンロードコンテンツに訪れた見込み客の情報を整理 ◆整理した情報をもとに、顧客に合わせたメルマガを配信 |
効果 |
◎見込み客を集客するためのブログ制作など、プル型営業への切り替えを実現 ◎自社に興味のある見込み客への営業が可能になり、営業担当者の負担を減少 ◎訪問可能な見込み客数が3件から152件に増加(2015年8月時点) |
CRMの活用を通して顧客一人一人に適切な提案を行い続けたことがこちらの事例と言えます。
CRMの活用で成功した事例をご紹介しましたが、これらの事例のようにビジネス上の成果を得るためにはコツがあります。
それが次の4つです。
一つずつ見ていきましょう。
CRMの導入を成功させるためには、導入目的をできるだけ具体的に定めましょう。
CRMは、営業はもちろん他の業務にも大変役立つツールではありますが、導入するだけで成果が得られるわけではありません。
CRMは目的を達成するための手段の一つであることを念頭に、「何のためにCRMを導入し、どの業務でどんな風に活用するのか」をきっちりと決めた上で導入することが重要です。
導入目的は、以下のような手順で検討していくと良いですよ。
STEP① 課題抽出 |
自社(部署)の課題を洗い出す。 |
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STEP② 導入目的設定 |
CRMの導入・活用によって改善すべき課題を定める。 例)既存顧客からの受注額向上 |
STEP③ プロセス検討 |
課題を解決するために、日々の業務において何を行うべきか、またその中でCRMをどう活用できるか検討する。 例)既存顧客のニーズを引き出す。CRMで管理する過去の対応履歴や訪問時のコミュニケーション内容を部署全体で共有し分析する。 |
STEP④ 評価指標設定 |
STEP③で検討した業務内容を評価するための指標を設定する。この指標はCRM導入後、PDCAを回していくために活用する。 例)週に10件以上の既存顧客訪問 |
導入後、スムーズにCRMを活用していくために、単に目的だけを定めるのではなく「目的をどうやって達成するか」ということも含めて検討してくださいね。
CRMを実際に活用する従業員の意見を尊重することも成果を得るためには重要です。
CRMを活用していくことになる現場の声を聞かないまま導入してしまうと、実務と相性が悪くて活用してもらえないという事態になりかねません。
しかし、CRMは業務の中で使用されて初めてその効果を発揮するものです。
そのため、導入前も運用中も現場とのすり合わせを丁寧に行い、使いやすい仕様や環境を整備するようにしてください。
CRMを導入する際には、いきなり全社で活用し始めるのではなく特定のグループや部署で小規模に活用し始めるのがおすすめです。
どんなに綿密に準備を進めても、新しいツールやシステムの導入にはある程度のトラブルが伴うもの。そのため、最初から全社的にCRMを導入してしまうと、大きな混乱を招く恐れがあるのです。
そうなるとCRMの活用が浸透しづらく、成果を出すのも難しくなってしまいます。
こうした事態を避けるため、まずは小規模単位で導入し、運用が軌道に乗ってきたらそのノウハウを継承しつつ活用範囲を広げる…という風に徐々に規模を大きくしていきましょう。
導入するCRMは、自社に適したものを選ぶようにしましょう。
機能面で不十分なものを選んでしまうと、結局他のソフトやツールを併用することになり、顧客情報をCRM内に集約することが難しくなります。
また機能性を重視して採算度外視で選べば、費用対効果が見合わなくなってしまうでしょう。
CRMを効果的に活用し、導入・運用における負担を軽減するためには、自社の業務内容や規模、予算などを考慮し、条件に合致するCRMを選ぶ必要があるのです。
CRMの選定ポイントについては、続けて詳しく説明しますね。
先ほどお伝えした通り、CRMの導入で成果を得るために自社に適したものを選ぶことは重要です。
そこでここでは、CRMを選定する際にチェックすべきポイントを5点ご紹介します。
順番に説明しますね。
CRMの選定を行う際には、まず自社に適した形態を検討しておきましょう。
CRMには、独自開発型・パッケージ型・クラウド型 という3つの形態があり、それぞれ次のような特徴があります。
独自開発型 |
自社に合わせて開発するタイプ。機能や仕様を自由に構成できる。 開発やサーバーに費用がかかり、導入時のコストは高額。運用にも保守費用などが必要。 |
---|---|
パッケージ型 |
基本的な機能をあらかじめ搭載したソフトウェアタイプ。カスタマイズできるため、自社の要件に合わせやすい。 構築に費用がかかり、導入時のコストは独自開発型ほどではないが高額な傾向。ライセンス費用が必要な場合、運用費も負担になってくる。 |
クラウド型 |
ネットワークを経由してクラウド上で利用するタイプ。基本的な機能は搭載しているが、大きなカスタマイズはできない。ネットワークに接続できれば、どこからでも利用できる。 導入時のコストは独自開発型、パッケージ型より低い傾向。運用費は利用者数に応じて増える。 |
こうした形態だけでも絞っておくと、その後のツールや協力会社選びが少し楽になりますよ。
CRMの機能はしっかりとチェックし、自社の業務とマッチしたものを選ぶようにしましょう。
CRMの中には基本的な機能だけを備えたシンプルなものもあれば、次のような幅広い機能を備えたものもあります。
こうした機能のうち、自社の業務に必要なものを慎重に検討し、不足のないCRMを選ぶようにしてくださいね。
機能だけではなく、操作性も可能な限りチェックしておきましょう。
CRMは日々の業務の中で習慣的に使うツールであるため、使い勝手の良さも重要な選定基準と言えます。
中には導入前に試用できるものもあるので、実際に使ってみて使用感を確認してみると良いですよ。その際には、必ず導入する部署の従業員にも試してもらうようにしてくださいね。
実際の操作感を、CRMを活用していく従業員に確認してもらうことで、「現場の人間が使いやすいCRM」を選ぶことができます。
言うまでもないことかもしれませんが、CRMの導入や運用にかかるコストもしっかりと確認しておく必要があります。
特に独自開発型・パッケージ型のCRMは、要件に応じて費用が大きく変動するため、都度見積もりを取って正確な費用を把握するようにしてください。
クラウド型に関しては、料金体系がシンプルな場合が多いので、取り急ぎWebサイトなどに掲載されている料金案内を参考にしてみても良いでしょう。
導入候補のCRMがある程度決まってきたら、CRMツールを提供するベンダー企業のサポート体制を見比べてみましょう。
CRMの導入時はもちろん、運用を始めてしばらくはトラブルの発生が予想されます。疑問や不明点もどんどん出てくることでしょう。
そんな時にベンダー企業からの手厚いサポートがあれば、安心してCRMを活用していけますよね。
各ベンダー企業がどういったサポート体制を取っているかWebサイトや案内資料で確認するとともに、実際のやり取りでの対応もしっかり見ておくようにしましょう。
移動中や外出先でもCRMを利用されたいという場合は、クラウド上での運用がおすすめです。
もしあなたの会社でCRMをクラウド上で運用することもご検討されているなら、お気軽にNTT東日本までご相談ください。
成果を得るためのCRM導入から運用までを全力でサポートさせていただきます。
NTT東日本には、AWS(Amazon Web Service)※の認定資格を持つクラウドのプロフェッショナルが多数在籍しています。私たちは、そのようなクラウドを熟知したプロによる「課題解決のためのサポート」をご提供します。
※グローバルシェア1位のクラウドサービス提供事業者
こちらに挙げたサポートは一例に過ぎません。この他にも、ご要望に応じて柔軟に対応させていただきます。
また、クラウドのプロだからこそ、あなたの会社にとってクラウド上でのCRM運用がベストソリューションか否かというところを中立的に判断することも可能です。
オンプレミスでのCRM運用とクラウドでの運用、どちらか決めかねているという場合もぜひお話をお聞かせください。
NTT東日本は、長年ネットワーク事業者としても実績を積んできました。
そのため、クラウド運用するCRMを快適に使うためのネットワーク設計・構築についてもしっかりサポートさせていただきます。
一般的なクラウド導入支援事業者がCRMの導入をサポートする場合、サービス範囲がクラウドの構築に限られており、クラウドに接続するためのネットワークやお客さまのLAN環境に関しては知見が無いということも多いです。
クラウドとネットワークをそれぞれ別の企業が構築するといったこともよくあります。
対してネットワーク事業者でもあるNTT東日本では、クラウドとネットワーク両方において専門的な知見があり、どちらの設計・構築もまとめてサポートすることができます。
CRMは習慣的に活用するからこそ意味があるのであり、CRMを快適に使える環境が整備できていなければ成果を得るのは難しいです。
NTT東日本なら、CRMの導入・運用+CRMを快適に利用する環境の構築が一度にまとめて実現できるから、導入したCRMが存分にその効果を発揮できるのです。
このように、NTT東日本であれば<成果を得られるCRM導入・運用>のポイントを押さえたご支援が可能です。
CRMによって改善したい課題があるなら、ぜひお気軽にご相談くださいね。
CRMがどういったもので、ビジネスにどう役立つのかお分かりいただけたでしょうか?
最後に今回の内容をおさらいしておきましょう。
CRMとは…
顧客情報を集約・活用し、顧客との良好な関係性を構築・維持すること
及びそのためのシステム・ツール
CRMでは、「顧客情報の集約・管理」です。
これにより社内の関係者はいつでも顧客の最新の状況を把握でき、自社と顧客が良い関係性を構築するための土台ができるのです。
こうした役割を持つCRMは、以下のような機能を備えています。
CRMを活用することには、次のようなメリットがあります。
一方で導入・運用に当たって以下のような課題もあります。
また、CRMを適切に活用していけば次のようなことが期待できます。
こうした成果を得られることから、CRMは企業の収益アップに欠かせない要素の一つであると言えます。
CRMの活用によってこうした成果を得るためには、
といったことが必要になってきます。
自社に適したCRMを選定するために、次のようなポイントを確認するようにしましょう。
あなたの会社でも、収益向上に向けてぜひCRMを活用してみてはいかがでしょうか。
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