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Foundry IQ徹底解説~エージェント時代の次世代RAG基盤~(Microsoft Ignite 2025参加レポート)

Microsoft Ignite 2025において「Foundry IQ」が、「a unified knowledge layer for agents(エージェントのための統一された知識レイヤー)」として発表されました。これは 企業向けAIエージェントの開発・運用における最大の課題である「知識の統合」を解決するための新しいレイヤーとして位置付けられたサービスです。従来、AIエージェントは個別のRAGパイプラインやベクトルDBを組み合わせる必要があり、開発コストやガバナンスの複雑さが問題でしたがFoundry IQの登場により、Azure AI Searchを基盤に、Microsoft 365(Work IQ)、Fabric IQ、カスタムアプリ、Webなど複数のデータソースを統合し、単一のAPIでアクセス可能な「統合ナレッジベース」を容易に構築することが可能になります。

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1. Foundry IQとは?

Foundry IQは、Microsoft Foundryの中核コンポーネントとして位置づけられた「統合ナレッジレイヤー」です。Azure AI Searchを基盤に構築され、企業内外のデータソースを統合し、AIエージェントに対して一貫した知識アクセスを提供します。従来のRAG構成では、開発者が個別にデータ接続・インデックス化・権限管理を行う必要がありましたが、Foundry IQはこれらを標準化し、単一のAPIで利用可能にします。さらに、セルフリフレクション検索や検索推論努力(Retrieval Reasoning Effort)といった高度な機能により、エージェントは複数ソースからの情報を統合し、より正確な回答を生成できます。

2. 主な機能と特徴

Foundry IQを一言でいうと、これまでプロジェクトごとに構築していたRAGのデータ接続やベクトル化、アクセス制御などをうまい具合に一括してFoundry IQ側で引き取ってくれるというサービスです。

主要な機能としては以下のような機能が紹介されました。

(1) Knowledge Bases
複数のエージェント/アプリが 単一 API でグラウンディングでき、データツール同士をシームレスに接続します。
(2) Indexed+Federated Sources
Azure Blob/OneLake/SharePoint(インデックス/リモート)/Web グラウンディングなどに自動接続。取り込み・チャンク・ベクトル化・レイアウト認識エンリッチは Azure AI Search がワンフローで処理します。
(3) Agentic Retrieval Engine
クエリ計画、質問分解、ハイブリッド検索、セマンティック再ランク、回答合成までをAIが自己反映的に実行。Retrieval reasoning effort を調整し、レイテンシと品質のトレードオフを制御可能にします。
(4) Enterprise-grade Security
ドキュメントレベル ACL、Foundry Control PlaneDefender/Entra/Purview などと連動することでガバナンスや情報セキュリティを強化することも可能。

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3. Foundry IQがもたらす影響

上述の通り、Foundry IQ は RAG の重心を「乱立する個別パイプライン」から「再利用可能なナレッジベース」へシフトします。開発者はKnowledge Base を作り、Blob/OneLake/SharePoint/Web などを接続するだけで、取り込み~エンリッチ~埋め込み~ハイブリッド検索までが Azure AI Search により自動化されます。検索実行時は 自己反映型の Agentic Retrieval がクエリ分解・再書き換え・マルチソース探索・再ランク・不足検知の追撃検索を行い、必要時は 回答合成 も実施してくれる優れものです。実際にMicrosoft の公式情報ではKnowledge Bases の採用で従来手法比 平均 +36% の応答関連性向上 したとも報告されています。

また、情報セキュリティ/ガバナンス面は ドキュメントレベル ACL、既存権限モデル整合、ユーザー毎トリミング、ネットワーク分離 に加え、Foundry Control Plane や Agent 365 といったガバナンス/セキュリティ関連サービスとも連携が可能となっており、乱立するAIエージェントの運用管理の効率化や高度化も可能です。

これまでエンジニアによる細かなRAGのチューニングや、煩雑な権限周りの設定などが大幅に効率化/自動化できるようになりそうです。

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4. まとめ

私自身はFoundry IQの発表を受け、従来のRAGを活用したAIエージェントの構築/運用が革新的に効率化されると感じました。(ブレイクアウトセッションでも”次世代RAG基盤”と銘打っていただけあります)。Foundry IQを活用することで構造化データも非構造化データであっても自動で統合し、AIエージェント向けの統合的なRAG基盤を人の手間を極力かけずに用意することができるようになります。用途に応じた細かな手動でのチューニングの必要性はまだまだ残るとは思いますが、近い将来RAG構築にあたってはもはや人間が介在する必要がなくなる日も来るのかもしれません。

5. 参考記事一覧

  • Microsoft 365およびその他のMicrosoft 商標は、Microsoft Corporationの米国及びその他の国における登録商標または商標です。

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