2025.12.03 ｜ Writer：たかひろ

Microsoft Ignite 2025 Keynote主要メッセージ徹底解説（Microsoft Ignite 2025参加レポート）

2025年11月に開催されたMicrosoft Ignite 2025は、AIエージェント時代の幕開けを告げるイベントでした。来場者数は20,000人、うち日本からの参加者600人。オンライン参加者はなんと20万人以上との発表がありました。

冒頭の基調講演では、業務文脈理解と高度な推論を実現するWork IQやMicrosoft 365 Copilotの進化、企業内AIエージェントの一元管理を実現するAgent 365をはじめさまざまな革新的発表がありました。当日の各発表は、円形の会場の周りに配置された舞台を活用した動きのある演出でした。

この後詳しく解説していきます。

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1. Microsoft Ignite 2025での発表内容のサマリー
2. 発表内容の詳細解説: 2-1. Microsoft 365 Copilot の進化+ Work IQ; 2-2. Agent 365とEntra Agent ID; 2-3. Foundry IQ / Fabric IQ; 2-4. Windows Agentic OS
3. 今後の展望: 3-1. AIガバナンスの標準化; 3-2. マルチモデル戦略; 3-3. OSレベル統合; 3-4. 情報セキュリティとAIの融合; 3-5. 企業戦略への影響
4. まとめ・所感
5. 参照元一覧

1. Microsoft Ignite 2025での発表内容のサマリー

Microsoft Ignite 2025の基調講演で強調されたポイントは次の通りです。

Microsoft 365 Copilotの進化：Work IQによる業務文脈理解と高度な推論
Agent 365：企業内AIエージェントの一元管理基盤
Entra Agent ID：ゼロトラスト認証でAIエージェントを安全に運用
Foundry IQ / Fabric IQ：データとAIの統合によるリアルタイム意思決定
Windows Agentic OS：OSレベルでAIエージェントをネイティブ統合

2. 発表内容の詳細解説

ここから発表内容の詳細についてテーマごとに分けてご紹介します。

2-1. Microsoft 365 Copilot の進化+ Work IQ

Work IQというナレッジベースの登場により、Copilotが人間のコンテキストまで理解して動けるようになりました。

Copilotの進化ポイント

従来の生成AIから「業務文脈を理解するAI」へ進化
Work IQにより、ユーザーのメールなどの履歴やコンテキストを学習し、精度の高い提案を実現

Work IQの特徴

「データ」、「記憶」、「推論」の3要素から構成
ユーザーの業務データ（メール、Teams会議、SharePointファイルなど）を統合し、文脈を理解
ユーザーのスタイルや習慣を学習し、パーソナライズされた提案を支援

ユースケース例

営業担当者が過去の顧客履歴を参照し、提案資料を自動生成
プロジェクト進捗を分析し、次のアクションを提示

2-2. Agent 365とEntra Agent ID

Agent 365とEntra Agent IDはこれからのAIエージェント時代のガバナンス/情報セキュリティの重要アップデートになります。

Agent 365の役割

AIエージェントを一元管理する「コントロールプレーン」
権限設定、利用ポリシー、監査ログを統合し、シャドーAI問題を解決

Entra Agent IDの重要性

AIエージェントにゼロトラスト認証を適用
人と同様にID管理を行い、セキュリティリスクを最小化

企業への影響

コンプライアンス維持が容易になり、AI導入のハードルを低減

2-3. Foundry IQ / Fabric IQ

Foundry IQとFabric IQにより企業データと業務のコンテキストを統合が可能になりました。

Foundry IQの機能

構造化・非構造化データを統合し、セマンティック・リランキングすることで、AIエージェントが必要な本当に必要な情報を取り出すことが可能

Fabric IQの特徴

データをビジネス概念（顧客、注文、製品など）に基づいて整理し、Ontologyを構築することで、AIや人間が同じ「言語」でデータを理解できる環境を提供。

業界別ユースケース

製造業：異常検知と予防保全をAIが自動化
金融業：市場変動に応じたポートフォリオ調整をリアルタイムで実施

ここまでご紹介してきたCopilot、IQ、Agent 365をまとめると、以下のような全体像になります。データアクセス、ガバナンス、エージェント管理などを担う役割としてAgent 365を位置づけています。

2-4. Windows Agentic OS

AIを「アプリ」ではなく「OSの一部」として位置づけることで、業務効率を飛躍的に向上させることが可能になります。

新しいOSの特徴

Windowsは「Agentic OS」へ進化し、AIエージェントをOSレベルで統合
タスクバーから直接エージェントを呼び出し、業務横断的な支援を提供

Windows 365 for Agents

クラウドPC上でAIエージェントを安全に稼働
ハイブリッドワーク環境に最適化された設計

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3. 今後の展望

Microsoft Ignite 2025で示された方向性は、企業ITのパラダイムシフトを意味しています。AIはいよいよ「補助」から「主体」へ進化し、企業はAIファースト戦略を前提とした再設計を迫られてきています。今後の注目ポイントとして考えられる点をまとめました。

3-1. AIガバナンスの標準化

Agent 365とEntra Agent IDにより、AIエージェント管理が必須要件に
ゼロトラスト認証でセキュリティとコンプライアンスを強化

3-2. マルチモデル戦略

法規制や業界標準、用途に応じた最適なモデル選択/使い分けが重要

3-3. OSレベル統合

Windows Agentic OSがAIを「OSの一部」として統合
ハイブリッドワーク環境でAIが業務効率を飛躍的に向上

3-4. 情報セキュリティとAIの融合

Security Copilotが脅威検知から対応までを自動化
AIがサイバー防御の最前線に立つ時代が到来

3-5. 企業戦略への影響

業務プロセスをAI前提で再設計する必要性
AI統合が遅れる企業は競争力を失うリスク

4. まとめ・所感

全体の印象として、AIを「補助」から「主体」へ進化させ、企業がAIファースト戦略を採用するための基盤を提供し、実行面での進化に軸足を置いた発表が多かったように思います。これまでのソリューションを、更に革新させ、個々のプロダクトで生成AIの適用の可能性に触れてきた点が、今回の発表で体系的に整理され線でつながりました。Copilot Studioなど含め業務ワークフロー全体の効率化・自動化などを強く進められそうです。Word, Excel, Outlook,など、オフィス業務で通常使っているデータを活用したパーソナライズしたCopilot機能の活用は非常に魅力的に感じました。今回Teams機能の利活用にも深くCopilotが組み込まれた印象です。

私たちNTT東日本もMicrosoft社の今後の動向をしっかりと見ていきながら、お客さまに最適なソリューションをお届けしていきたいと思います。

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