当社社員がCloud Operator Days Tokyo 2025にてヤングオペレーター賞を受賞

NTT東日本の久保田 留奈です。
この度クラウドインフラ技術者のための年次カンファレンスイベント「Cloud Operator Days Tokyo 2025(CODT2025)」において、ヤングオペレーター賞を受賞しました。
そこで、本コラムではこの「Cloud Operator Days Tokyo 2025(CODT2025)」のご説明と、受賞に至った発表内容の要点をご紹介します。
さらに、イベントを通じて得られた気づきや今後の抱負についてもお話しさせていただきます!
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1. Cloud Operator Days Tokyo 2025(CODT2025)とは
「Cloud Operator Days Tokyo (CODT)」は、クラウドシステムの運用者に焦点を当て、日本のオペレーターの底力を高めることを目的とする技術イベントで、メインテーマは毎年変わります。今年のテーマは「創る運用、遺す運用」です。近年AIをはじめとした新しい技術により、運用の実態も大きく変わりました。しかしながら人が関与する余地は残り、過去の知識に依存する運用が必要なことも実情です。そこで、旧来の運用技術や知識を次世代に遺す、記録することを主眼に、現場の生々しさを残す運用技術の情報共有を目指すという想いが込められています。
イベントはオンデマンド配信とオフラインのクロージングイベントの二部構成となっており、運用現場で最も輝いた事例をクロージングイベントにて「輝け!クラウドオペレーターアワード」として表彰します。
https://cloudopsdays.com/about/
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2. ヤングオペレーター賞について
CODT2025 Best Operator アワード表彰式では、下記の表彰プログラムが発表されました。
- ヤングオペレーター賞
- 実行委員会特別賞
- オーディエンス賞
- 審査員特別賞(変革編)
- 審査員特別賞(挑戦編)
- 最優秀オペレーター賞
「ヤングオペレーター賞」は、若手オペレーターの中でも特に優れた発表内容に贈られるものです。年齢や経験年数にとらわれず、柔軟な発想力や新しい技術への適応力、そして何よりも施策運用の向上に対する情熱が評価ポイントとなります。
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3. 今回表彰された発表内容
3-1. 発表概要
タイトル:「業務自動化を始めたい初心者向け3つのポイント ~新入社員が挑戦した業務自動化のリアル~」
概要:
本発表では、昨年取り組んだ「クラウドを用いた架電業務の自動化施策」における体験談をベースに、業務自動化において初心者が押さえておくべき3つのポイントを紹介しています。クラウドや業務自動化に不慣れな状態からスタートした実体験を通じて、同じような立場の方々に向け一歩踏み出すきっかけとなるような発表を目指しました。
クラウドを用いた架電業務の自動化施策の概要と業務自動化で押さえておくべき3つのポイントについても簡単にご紹介します。
3-2. 業務自動化の背景
当社では、ネットワーク回線の申込者に対して、工事日や工事会社、担当者などの情報をお電話でお伝えする業務を行っておりました。

今回はこのオペレーターが手動で行っていた架電の自動化システムを構築しました。
3-3. 自動化システムの検討
維持管理の負担を最小限になるようサーバレス構成でシステム化を検討しました。
また、アウトバウンドで電話をかける機能を実装するにあたり、AWSの豊富なサービス群との連携性を重視し、Amazon Connectを採用しました。Amazon Connectでは、クラウドベースで柔軟な運用が可能なほか、通話の自動化や録音など多くの機能を利用できます。
本システムは以下の流れで動作します。

① 架電リストアップロード
Amazon S3への架電リストのアップロードをトリガーにシステムを動作させます。

② 架電内容成形
AWS LambdaとDynamoDBを使用し架電に必要な情報を抽出・保存します。Step Functionsを使用することで処理の流れを視覚的に確認しやすくしました。

③ 架電
Amazon Connectを使用しお客さまに架電を行います。架電結果はDynamoDBに保存します。

④ 架電結果記録
架電結果をAmazon S3に書き込みます。

3-4. 業務自動化で押さえておくべき3つのポイント
ここでは、初心者が業務自動化において押さえておくべき3つのポイントをご紹介します。
- ポイント①:業務部署の要望を受け止め、やることを見極める
- ポイント②:IaC化(インフラのコード化)を前提に設計する
- ポイント③:エラーを想定して切り分けポイントを作る
ポイント①:業務部署の要望を受け止め、やることを見極める
体験談:要件定義
システムを構築するにあたって、まずは要件定義を行いました。その中で業務部署からはさまざまなご要望をいただきましたが、実現できること・できないことのすり合わせが必要でした。

自動化システムを作り始める前に、業務部署の要望を把握し「“できること”と”やるべきこと”を見極めて、現実的かつ納得感のある提案を行う」ことが重要です。そのためには、単に技術的な可能性を提示するだけでなく、要望の背景を理解し業務部署に寄り添った対話を重ねる必要があります。
ポイント②:IaC化(インフラのコード化)を前提に設計する
体験談:構築
開発当初は、AWSのマネージメントコンソールを利用してリソースを手動で構築していました。GUIベースの操作は直感的で分かりやすく、初期段階では迅速な検証や構成変更に役立ちました。しかし、プロジェクトが進行するにつれて、変更の管理や環境の再現性といった面で課題を感じ、IaCの導入を行いました。

IaC(Infrastructure as Code)は、インフラストラクチャをコードとして定義・管理する手法です。IaCを導入することで、構築の自動化・同じ環境を再現・Gitと組み合わせたバージョン管理が可能になります。
自動化システムは、展開・移行多め / チーム開発 / 大規模開発 になりがちですので、手作業で構築せず「IaC化を行うことを早めに検討」すると良いと思います。
ポイント③:エラーを想定して切り分けポイントを作る
体験談:リリース
リリースのタイミングでシステムの不具合が見つかりました。テスト項目の網羅はもちろんのことですが、不具合を想定した設計の大切さを学びました。

自動化システムは一度動き出したら、止まるまで処理を続けてしまったり、実際に使用するのは開発者ではなかったりするので「エラーを想定して切り分けポイントを作る」ことが大切です。
4. イベント参加を通じての感想と今後の抱負
他の参加者のセッション:
他の参加者のセッションを拝聴する中で、普段の業務に通じる内容が多く、大変刺激を受けました。特に印象的だったのは、審査員特別賞(挑戦編)を受賞された「俺たちの障害対応訓練 - チーム全員が動ける!障害対応フロー作成と訓練の実践」というセッションです。
運用メンバーの入れ替わりに伴う障害対応訓練の進め方についてのお話は、非常に参考になりました。運用部門では同様の課題を抱えている方も多いかと思いますが、ドキュメント整備や故障対応訓練の具体的な取り組み内容を知ることができ、今後の業務に活かせるヒントを得ることができました。
受賞を受けて:
本格的にクラウド技術に触れ始めて半年という時期に今回の自動化施策に取り組み、技術面でも業務理解の面でもまだまだ未熟な部分が多くありました。そんな中で、このような形で評価いただけたことを、大変光栄に感じております。
今回の経験を通じて、自身の取り組みに対する自信が深まるとともに、クラウドを用いた業務改善の可能性を強く実感しました。また、自分自身にまだ多くの成長の余地があることにも気づかされ、今後の学びへの意欲がさらに高まりました。これからも、技術力と業務理解の両面を磨きながら、チームや組織全体の効率化に貢献していきたいと思います。
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5. さいごに
本コラムでは、クラウドインフラ技術者のための年次カンファレンスイベント「Cloud Operator Days Tokyo 2025(CODT2025)」およびヤングオペレーター賞を受賞した発表内容のご紹介をしました。若手技術者による実践的な取り組みや、現場での工夫が光る発表が多く、クラウド運用の可能性を改めて感じる機会となりました。クラウドインフラに関わる方はもちろん、これから関心を持ちたい方もぜひ次回のイベントに足を運んでみてください。

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