サイバー攻撃の事例から見る企業への影響|被害を抑える対策も解説

サイバー攻撃を受けると、情報が漏えいするだけでなく、受注・出荷や顧客向けサービスまで停止する可能性もあります。攻撃の手口は一つではなく、認証情報の不正利用や脆弱性の悪用、委託先を経由した不正アクセスなど、複数の要因が組み合わされるケースも少なくありません。
本コラムでは、企業で起こり得るサイバー攻撃のケースを取り上げ、想定される被害や企業への影響を解説します。被害を抑えるための対策や攻撃を受けた場合の初動対応も紹介しますので、自社の情報セキュリティ対策を見直す際にぜひ参考にしてください。
目次:
- 1. サイバー攻撃とは?
- 2. 企業で起こり得るサイバー攻撃の事例
- 2-1. ランサムウェア攻撃により業務が停止するケース
- 2-2. 委託先を経由して不正アクセスを受けるケース
- 2-3. Webサイトが改ざんされるケース
- 2-4. DDoS攻撃によりサービスが利用できなくなるケース
- 2-5. クラウド環境の設定不備によりデータが外部に公開されるケース
- 3. 事例からわかるサイバー攻撃が企業に与える影響
- 4. サイバー攻撃の事例を踏まえて企業が取り組みたい対策
- 4-1. OS・ソフトウェア・ネットワーク機器を更新する
- 4-2. 認証・アクセス制御と監視を強化する
- 4-3. 従業員教育と委託先管理を強化する
- 4-4. バックアップと業務の復旧体制を整える
- 4-5. クラウド環境の情報セキュリティ設定を定期的に確認する
- 5. サイバー攻撃を受けたときに企業が取るべき初動対応
- 6. AWS環境の設定点検を支援する「クラウドセキュリティチェック for AWS」
- 7. サイバー攻撃の事例に関するよくある質問
- 7-1. 中小企業もサイバー攻撃の標的になりますか?
- 7-2. ウイルス対策ソフトだけでサイバー攻撃を防げますか?
- 7-3. クラウド環境の情報セキュリティ対策を外部に相談できますか?
- 8. サイバー攻撃の事例を踏まえて自社の対策と運用を見直そう
1. サイバー攻撃とは?
サイバー攻撃とは、コンピューターやネットワーク、Webサービスなどを狙い、情報の窃取・改ざんやシステムの停止などを引き起こす行為です。企業が注意したい主な攻撃や想定される被害は、以下のとおりです。
| 代表的な攻撃・手口 | 概要 | 想定される被害 |
|---|---|---|
| ランサムウェア攻撃 | 端末やサーバー内のデータを暗号化するなどして利用できない状態にし、復旧などと引き換えに金銭を要求する攻撃 | データの暗号化、情報漏えい、業務停止 |
| 委託先を経由した不正アクセス | 委託先の端末やアカウントなどを侵害し、委託先を経由して自社システムへ侵入する手口 | 情報漏えい、関係企業への被害拡大 |
| Webサイトの改ざん | WebアプリケーションやCMSなどの脆弱性を悪用した、Webページの書き換え | 不正サイトへの誘導、認証情報・決済情報の窃取、Webサイトの停止 |
| DDoS攻撃 | 多数の端末から大量の通信を送り、サーバーやネットワークに負荷をかける攻撃 | サイトの表示遅延、サービス停止、販売機会の損失 |
| クラウド環境の設定不備 | 公開範囲やアクセス権限などの誤設定による、意図しないデータの外部公開など | 情報漏えい、顧客・取引先への対応、信用低下 |
このように、サイバー攻撃の手口や侵入経路はさまざまで、情報漏えいや業務停止など、企業に及ぼす被害も異なります。自社で起こり得るリスクを把握するためにも、具体的にどのようなケースがあるのかを知っておくことが大切です。
2. 企業で起こり得るサイバー攻撃の事例
ここからは、企業で起こり得る5つのケースについて、攻撃に至る経緯や想定される被害を詳しく解説します。
2-1. ランサムウェア攻撃により業務が停止するケース
認証情報の漏えいや不審なメールの添付ファイルの開封、VPN機器などの脆弱性をきっかけに、攻撃者が社内ネットワークへ侵入する場合があります。
侵入後にランサムウェアが展開されると、端末やサーバー内のファイルが暗号化され、業務システムを利用できなくなるおそれがあります。受発注や生産、出荷、顧客対応などがシステムに依存している場合は、複数の業務が同時に停止する事態にもつながりかねません。
近年は、データの暗号化に加えて情報を窃取し、その公開をほのめかして金銭を要求する「二重脅迫」にも注意が必要です。業務停止と情報漏えいが同時に発生すると、システムの復旧だけでなく、顧客や取引先への対応も必要になります。
関連コラム:ランサムウェア攻撃とは?感染経路や手口・正しい対策を紹介
2-2. 委託先を経由して不正アクセスを受けるケース
業務委託先に自社システムへのアクセスを許可している場合、委託先の端末やアカウントが侵害されることで、自社にまで被害が及ぶおそれがあります。
たとえば、委託先の端末がマルウェアに感染したり、担当者の認証情報が漏えいしたりすると、正規のアクセス権限を攻撃者に悪用されかねません。委託先を経由して侵入されると、自社の顧客情報や従業員情報を閲覧・取得される可能性があります。
さらに、自社のシステムやアカウントが別の取引先への攻撃に悪用されれば、関係企業にまで被害が広がりかねません。
2-3. Webサイトが改ざんされるケース
WebアプリケーションやCMSの脆弱性、管理者用アカウントの認証情報などが悪用されると、Webサイトの管理機能へ侵入される可能性があります。
攻撃者によってWebページを書き換えられたり、不正なプログラムを埋め込まれたりすると、閲覧者が偽のログイン画面や不正なWebサイトへ誘導されるおそれがあります。さらに、Webサイトに入力された認証情報や決済情報が、利用者に気付かれないまま外部へ送信されるケースにも注意が必要です。
改ざんが判明した場合は、被害の拡大を防ぐためにWebサイトの公開を停止し、復旧や原因調査を行わなければならないこともあります。対応が長期化すれば、利用者からの信用低下につながるでしょう。
2-4. DDoS攻撃によりサービスが利用できなくなるケース
DDoS攻撃とは、多数の端末からWebサイトやオンラインサービスへ大量の通信を送り、サーバーやネットワークに過剰な負荷をかける攻撃です。処理能力やネットワーク帯域を超える通信が発生すると、Webサイトの表示が遅くなったり、サービスへ接続できなくなったりする場合があります。
ECサイトや予約システムなどが停止すると、顧客へのサービス提供が滞り、販売機会の損失や問い合わせ対応の増加につながります。情報漏えいが発生していなくても、サービス停止によって事業活動に影響が及ぶ点には注意が必要です。
関連コラム:DDoS攻撃とは?攻撃の目的や特徴、有効な対策をわかりやすく解説
2-5. クラウド環境の設定不備によりデータが外部に公開されるケース
クラウド環境では、アクセス権限や外部への公開範囲が適切に設定されていないと、本来は非公開とすべきデータへ第三者がアクセスできる状態になる可能性があります。
構築時には適切だった設定でも、サービスやアカウントの追加、運用中の設定変更を重ねることで、意図しない公開や過剰な権限付与が生じる場合があります。設定不備に気付かないまま運用を続けると、第三者がデータへアクセスできる状態が長期間続くおそれもあるでしょう。
顧客情報や社内の機密情報などが第三者に閲覧・取得されれば、情報漏えいにつながります。その結果、顧客や取引先への対応が必要になったり、自社の信用が低下したりする可能性もあります。
ここまで見てきたように、サイバー攻撃につながる原因や被害の内容はさまざまです。とくにクラウド環境を利用している場合は、こうしたリスクを踏まえ、自社の設定状況に問題がないか把握しておく必要があります。
AWS環境の情報セキュリティ設定に不備がないか確認したい場合は、第三者によるチェックを活用するのも一つの方法です。NTT東日本の「クラウドセキュリティチェック for AWS」は、AWS CIS Benchmarkなどの基準に沿って、IAMやログ、監視、ネットワークなどの設定をチェックするサービスです。チェック結果をまとめたレポートをもとに、情報セキュリティ対策についてのアドバイスも行います。
AWS環境の設定状況を第三者の視点で確認したい方は、以下の資料からサービスの詳細をご覧ください。
3. 事例からわかるサイバー攻撃が企業に与える影響
サイバー攻撃による影響は、情報漏えいやシステム障害だけにとどまりません。主な影響は以下のとおりです。
| 影響 | 具体例 |
|---|---|
| 情報漏えいと二次被害 | 顧客情報や従業員情報が窃取され、詐欺やフィッシングに悪用される |
| 業務・サービスの停止 | 受発注や生産、出荷、予約受付などの業務を継続できなくなる |
| 調査・復旧や顧客対応の負担 | 原因調査やシステム復旧、問い合わせ対応に人員と費用が必要になる |
| 取引先への影響と信用低下 | 取引先へ被害が拡大したり、サービス停止によって信用を損なったりする |
システムが停止すると、売上の減少だけでなく、手作業への切り替えや復旧作業によって従業員の負担も増加します。個人データが漏えいした場合は、状況に応じて個人情報保護委員会への報告や本人への通知が必要になることもあります。
4. サイバー攻撃の事例を踏まえて企業が取り組みたい対策
サイバー攻撃による被害を抑えるには、特定の対策だけに頼らず、予防から検知、復旧までを想定して多面的に備えることが重要です。ここでは、企業が取り組みたい主な対策を解説します。
4-1. OS・ソフトウェア・ネットワーク機器を更新する
社内で利用している機器やソフトウェアを把握し、脆弱性情報を定期的に確認しましょう。修正プログラムが提供された場合は、システムへの影響を確認したうえで適用します。
対象は従業員のPCだけではありません。サーバーやVPN機器などの機器に加え、Webアプリケーションなども含めて確認しましょう。
サポートが終了した製品は、脆弱性が見つかっても修正されない場合があります。更新できない場合は、メーカーが案内する回避策やアクセス制限を適用し、計画的な更新・移行を検討しましょう。
関連コラム:ゼロデイ攻撃についてわかりやすく解説|手口から被害事例・対策まで
4-2. 認証・アクセス制御と監視を強化する
管理者やリモートアクセス用のアカウントには、多要素認証を適用しましょう。多要素認証とは、パスワードに加えて、所持する端末や生体情報など、異なる要素を組み合わせて本人確認する方法です。
また、利用者には業務に必要な最小限の権限だけを付与し、不要になったアカウントや外部接続は速やかに削除・制限します。
EDR(Endpoint Detection and Response)を導入して端末の不審な動きを監視する方法もあります。EDRは、PCやサーバーなどの端末を監視し、サイバー攻撃につながる挙動の検知や調査を支援する仕組みです。
さらに、システムやネットワークのログを取得するとともに、不審な挙動を検知した際のアラートを確認できる体制を整えましょう。
関連コラム:多要素認証とは?二段階認証との違いやメリットデメリットまで解説
4-3. 従業員教育と委託先管理を強化する
不審なメールの添付ファイルやURLを開かないことに加え、偽のログイン画面などで認証情報を入力しないよう、従業員へ周知しましょう。
注意点は一度伝えるだけでなく、研修や標的型メール訓練などを継続的に行い、異常に気付いた場合の報告先も明確にします。早期に報告があれば、認証情報の無効化や端末の隔離によって被害を抑えられる可能性があるからです。
委託先については、取り扱う情報や接続できるシステム、付与する権限をあらかじめ整理しましょう。契約時には、情報セキュリティ対策の実施状況や事故発生時の連絡方法も確認します。
4-4. バックアップと業務の復旧体制を整える
重要なデータは定期的にバックアップし、ランサムウェアによる暗号化や削除の影響を受けにくいよう、本番環境から分離して保管します。
また、バックアップを取得するだけでなく、実際にデータを復元できるか定期的に確認しましょう。保存しているデータが不足していたり、復元手順がわからなかったりすると、緊急時に活用できません。
あわせて、優先して復旧する業務や代替手段、社内外の連絡先を整理します。システム停止を想定した訓練を行い、手順に不足がないか確認することも大切です。
関連コラム:業種別BCP対策をチェック!中小企業で意識すべきポイント
4-5. クラウド環境の情報セキュリティ設定を定期的に確認する
クラウド環境では、構築時に適切だった設定も、サービスやアカウントの追加、運用中の変更によって現在の利用状況に合わなくなる場合があります。
アカウントへ付与している権限や、ストレージ・ネットワークの公開範囲、ログの取得状況などを定期的に確認しましょう。また、異常を検知した際に通知を受け取れる設定になっているか、通知後の対応担当者や手順が決まっているかも点検します。
ここまで紹介したように、サイバー攻撃への対策では、ソフトウェアの更新やアクセス制御、監視、バックアップなど、さまざまな取り組みが必要です。クラウド環境についても設定項目が多いため、自社だけでは設定の妥当性や改善すべき箇所を判断しにくい場合があるでしょう。
NTT東日本の「クラウドセキュリティチェック for AWS」では、AWS環境のチェック結果をもとに、情報セキュリティ対策についてアドバイスします。自社だけでは判断が難しい設定について、改善の方向性を検討する際にも活用できます。
AWS環境の情報セキュリティ対策を見直したい方は、以下の資料からサービスの詳細をご確認ください。
5. サイバー攻撃を受けたときに企業が取るべき初動対応
サイバー攻撃が疑われる場合は、被害の拡大を防ぎながら、状況や影響範囲を把握することが重要です。状況に応じて、次のような対応を行いましょう。
- 異常の内容を確認し、対応責任者へ連絡する
- 影響を受けた端末やシステムをネットワークから隔離する
- ログや端末の状態など、原因や影響範囲の調査に必要な情報を保全する
- 不正な操作や情報漏えいの有無、影響範囲を調査する
- 顧客や取引先、関係機関への連絡・報告の要否を確認する
- 侵入経路などの原因を取り除き、安全性を確認したうえで復旧する
慌てて端末を初期化したり、ログを削除したりすると、調査に必要な情報を失う可能性があります。端末やシステムの状態をできるだけ保持しながら、事前に定めた手順に沿って対応しましょう。
データの漏えいまたはそのおそれが発生した場合は、個人情報保護委員会への報告や本人への通知が必要か確認します。攻撃内容によっては、警察や情報処理推進機構(IPA)への相談も検討してください。自社で原因調査や復旧を行うのが難しい場合は、情報セキュリティの専門事業者へ相談することも選択肢となります。
6. AWS環境の設定点検を支援する「クラウドセキュリティチェック for AWS」
AWSなどのクラウドサービスを利用している場合は、クラウド事業者にすべての情報セキュリティ対策を任せるのではなく、利用企業側でもデータや認証情報、アクセス権限、各サービスの設定などを適切に管理する必要があります。
一方、AWSには多くのサービスや設定項目があり、自社だけでは設定の抜け漏れや妥当性を判断しにくい場合があります。そのような場合は、NTT東日本の「クラウドセキュリティチェック for AWS」をご検討ください。
本サービスでは、AWS環境を安全に構成するための基準であるAWS CIS Foundations Benchmarkなどに沿って、運用中のAWS環境における情報セキュリティ設定を確認します。主な確認項目は以下のとおりです。
- ID・アクセス管理
- AWSアカウント内の操作履歴を記録するAWS CloudTrailなどのログ設定
- 異常を検知した場合の監視・通知設定
- 外部からのアクセスに関するネットワーク設定
ツールと専任担当者による手動チェックを組み合わせてAWS環境の情報セキュリティ設定を点検します。チェック後は結果をまとめたレポートを発行し、内容と改善策を説明します。
AWS導入時のままになっている設定を見直したい場合や、設定変更を重ねた環境を客観的に確認したい場合に有効です。詳しいチェック内容や費用例については、以下の資料をご覧ください。
7. サイバー攻撃の事例に関するよくある質問
サイバー攻撃の事例に関して、よくある質問に回答します。
7-1. 中小企業もサイバー攻撃の標的になりますか?
中小企業もサイバー攻撃を受ける可能性があります。企業の知名度や規模にかかわらず、公開システムの脆弱性や漏えいした認証情報などが悪用されるためです。
また、取引先のシステムへ侵入する経路として狙われる場合もあります。大企業の事例を自社とは無関係と考えず、扱っている情報や業務停止時の影響に応じて対策を進めましょう。
7-2. ウイルス対策ソフトだけでサイバー攻撃を防げますか?
ウイルス対策ソフトだけで、すべてのサイバー攻撃を防ぐことはできません。漏えいした認証情報の不正利用やDDoS攻撃など、ウイルスの検知だけでは防げない攻撃もあるためです。
そのため、端末への対策だけでなく、認証・アクセス管理やシステムの監視など、複数の観点から対策を講じる必要があります。また、攻撃を完全に防ぐことは難しいため、被害が発生した場合を想定したバックアップや対応手順も整えておきましょう。
7-3. クラウド環境の情報セキュリティ対策を外部に相談できますか?
クラウド環境の設定確認や情報セキュリティ対策は、専門事業者へ相談できます。クラウドサービスは設定項目が多く、サービスの追加や運用中の変更によって設定の抜け漏れが生じる場合もあります。自社で設定の妥当性を判断しにくい場合は、第三者によるチェックを活用するのも一つの方法です。
NTT東日本の「クラウドセキュリティチェック for AWS」では、IAMやログ、監視、ネットワークなどの設定を確認し、結果をまとめたレポートの発行と改善策の説明を行います。
AWS環境の情報セキュリティ対策について専門家へ相談したい方は、以下の資料をご覧ください。
8. サイバー攻撃の事例を踏まえて自社の対策と運用を見直そう
本コラムで紹介したケースのように、サイバー攻撃は情報漏えいやシステム停止など、企業の事業活動にさまざまな影響を及ぼします。被害を抑えるためには、自社で起こり得るリスクを把握し、必要な対策を講じておくことが大切です。
また、情報セキュリティ対策は一度実施して終わりにせず、自社のシステムや運用状況の変化に応じて継続的に見直すことが重要です。
クラウド環境については、サービスや利用者の追加、構成変更などによって設定の抜け漏れが生じる可能性があります。構築時だけでなく、運用開始後も定期的に設定状況を点検しましょう。
AWS環境の情報セキュリティ設定を継続的に見直したい場合は、NTT東日本の「クラウドセキュリティチェック for AWS」をご活用ください。詳しいチェック内容や費用例については、以下の資料からご確認いただけます。
NTT東日本の「クラウドセキュリティチェック for AWS」の資料ダウンロードはこちら
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