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Amazon Connectパフォーマンス評価ダッシュボードの活用法

こんにちは。クラウドエンジニアの奥野です。

Amazon Connectをお使いの皆さま、エージェントのパフォーマンス管理はどのように行っていますか?「評価スコア」「平均処理時間」「稼働状況」といった重要な指標を、複数のレポートやツールを行き来しながら確認しているケースも多いのではないでしょうか。実は、Amazon Connectにはこれらの指標を一つの画面に集約し、分析できる「パフォーマンス評価ダッシュボード」という機能が標準搭載されています。

このコラムでは、特別な設定なしですぐに利用できるこのダッシュボードを使いこなし、そのパフォーマンス管理への活用法をご紹介します。

日々の運用を効率化し、エージェントの育成と応対品質の向上に繋げるヒントとして、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

1. パフォーマンス評価ダッシュボードとは?

Amazon Connectの「エージェントのパフォーマンス評価ダッシュボード」は、エージェントのパフォーマンスを多角的に分析するために設計された専用の画面です。このダッシュボードの最も重要な機能は、従来は別々のレポートで確認する必要があった、「品質」と「効率」のデータを連携させることで、管理者がより深く、正確な分析を行うことを可能にします。

NTT東日本では、Amazon Connect導入運用支援を提供しています。Amazon Connectの導入・運用にお悩みがある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

2. ダッシュボードを利用するための事前設定

Amazon Connect インスタンスの画面にて、Contact Lensを「有効」にしておきます。

ダッシュボードを利用するには、事前の準備として「セキュリティプロファイル」で適切な権限を設定する必要があります。「分析と最適化」の項目にある権限を付与してください。この設定を行わないと、ダッシュボードに何も表示されないためご注意ください。

セキュリティプロファイルには詳細なアクセス権限項目がありますが、本記事での詳細な解説は割愛させていただきます。ご利用になるユーザー(エージェント、スーパーバイザーなど)の役割に応じて、表示させたい範囲の権限を適切に設定してください。各権限の詳細については、以下の公式ドキュメントをご参照ください。本記事では、説明を分かりやすくするため、「分析と最適化」に関するすべての権限を許可したユーザーの画面を例に解説を進めます。

Assign permissions to view dashboards and reports in Amazon Connect

また、権限を付与してもエラーとなってしまう場合は、セキュリティプロファイルで「ユーザーとアクセス権限」の「ユーザー」に対しても権限があるか確認してください。

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3. ダッシュボードの基本操作

ダッシュボードは直感的で、初心者でもすぐに使いこなせます。アクセスから操作の流れを簡単に説明します。

3-1. アクセス方法

Amazon Connectコンソールにログイン後、左メニューの「分析と最適化」→「ダッシュボードとレポート」を選択します。

ダッシュボード内に「エージェントパフォーマンスの評価ダッシュボード」というダッシュボードがありますので、選択しダッシュボードにアクセスします。

3-2. 時間範囲と比較の設定

「時間範囲」では、表示期間を選択できます。週次や月次といった定義済みの期間や、または特定の期間を範囲指定するオプションが含まれます。また、「時間範囲」は、単にデータを表示する期間を設定するだけでなく、ダッシュボードで現在のパフォーマンスと比較するための基準を指定する際にも利用します。ダッシュボードで時間範囲を適切に指定することにより、特定の期間におけるエージェントのパフォーマンス傾向を把握し、分析の精度を高めることができます。

3-3. フィルタリング

パフォーマンス評価ダッシュボードでは、エージェントや、チャンネル、キュー、ルーティングプロファイルなどの項目でデータをフィルタリングし分析できます。

例えば、「特定のチームやエージェントの状況を知りたい」場合は、「エージェント」を選択し、該当のチームや担当者でフィルタリングします。これにより、個人やチームへのフィードバックに役立つデータが得られます。

3-4. アクション

ダッシュボードやレポートは、カスタマイズした設定を「名前を付けて保存」することが可能です。保存されたレポートは他のユーザーと「共有」でき、データは「CSV」形式や「PDF」形式でダウンロードできます。

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4. ウィジェットの見方と確認のポイント

パフォーマンス評価ダッシュボードに表示される各ウィジェットの「見方」と「確認すべきポイント」を解説します。

まず、これらのウィジェットを分析する際の基本的な考え方は以下の2つです。

  • リアルタイム監視(現在)
    「今、何が起きているか」を把握し、問題が発生した場合に迅速に対応するために使います。
  • トレンド分析(概要・トレンド)
    過去からのデータを見て「全体の傾向や個別の課題」を分析し、中長期的な改善策を立てるために使います。

こちらを踏まえて、各ウィジェットを確認していきましょう。

4-1. エージェント関連ウィジェット

エージェント個々人やチームのパフォーマンスを評価・分析するための指標です。

  • 横にスクロールします
ウィジェット名 主な見方(何がわかるか) 確認のポイント
エージェントパフォーマンスの概要 エージェントの活動全般(オンライン、コンタクト中、利用可能、エラー など)を要約した指標群です。 エージェントが利用可能な状態にあるか、またはコンタクト後作業(ACW) や非生産的な時間(NPT) に時間を費やしていないかを確認します。
エージェントのパフォーマンス 一定期間内のエージェントの効率や品質に関連する詳細な実績データとなります(例:問い合わせ処理時間、平均保留数、平均評価スコア など)。 平均処理時間 (AHT) や、対応したコンタクト数 などの効率指標を監視し、コーチングの機会 やワークフローの合理化 につなげます。
現在のエージェントパフォーマンス エージェントのリアルタイムな稼働状況となります(例:現在のステータス、チャネル別のアクティビティ、継続時間)。 エージェントが長時間コンタクト中になっていないか、または意図せずエラー状態 になっていないかを即座に監視し、ライブ会話への割り込みやコーチング を行う必要があるかを判断します。

4-2. コンタクト関連ウィジェット

顧客からの問い合わせ(コンタクト)が、どの窓口(キュー)で、どのように処理されているかを分析するための指標です。

  • 横にスクロールします
ウィジェット名 主な見方(何がわかるか) 確認のポイント
キュー別のコンタクト数 各キューが処理した、または現在キューに入っている問い合わせの総量(問い合わせボリューム) を示します。 キュー間の負荷分散 や、特定のキューにリソースを集中させるべきかを判断するためのデータとして使用します。
キューパフォーマンスの概要 キューの健全性を示す主要指標(例:キュー内の問い合わせ数、サービスレベル、平均キュー応答時間 など)のサマリーです。 サービスレベルの目標(例:X秒以内に応答したコンタクトの割合)が達成されているかを確認し、キューの容量 や遅延設定 が適切か評価します。
コンタクトパフォーマンスの概要 処理された問い合わせ全体に関するメトリクス(例:問い合わせ処理時間、対応した問い合わせ)の集計結果です。 顧客体験の全体像を把握し、顧客が長時間待機していないか(平均待機時間)、効率的に解決されたか(平均処理時間)を評価します。
コンタクトボリューム 特定の期間に発生した問い合わせボリュームの総数 です。 ワークフォース管理チームが、履歴メトリクスに基づき、将来のコンタクトボリュームを予測するための基本データとして利用します。
平均応答速度 顧客が問い合わせを開始してからエージェントが応答するまでの平均時間 です。 顧客満足度を直接測る指標です。この数値が高い場合は、応答時間が遅いことを意味し、人員配置やルーティング戦略の見直しが必要である可能性を示します。
現在のキューの概要 リアルタイムで現在キュー内にいる問い合わせの数 や、最長の待機時間 など、現在のキューの状況を要約します。 リアルタイムでの人員配置調整 や、キュー内で問題が発生していないか(例:通話があふれていないか)を監視するために使用します。
対応したコンタクトと平均処理時間のトレンド 対応した問い合わせの数 と、その平均処理時間の変動を時系列で示します。 傾向分析に使用します。例えば、特定の時間帯に平均処理時間が急上昇していないか、あるいは新しいエージェントグループの導入後に対応コンタクト数がどのように変化したかを評価します。
日中パフォーマンスの概要 1日の中の時間帯ごとのパフォーマンス(例:コンタクトボリュームと平均処理時間)の傾向を示します。 予測やスケジューリングの起点 となります。予想されるピーク時に対処するために、適切な数のエージェントがスケジュールされているかを確認できます。
平均処理時間 問い合わせの処理にかかった平均時間(通話時間、保留時間、問い合わせ後作業などを含む) の集計値です。 平均処理時間が長すぎる場合は、エージェントのトレーニング不足や、システム/フローにボトルネックがある可能性を示しています。
現在のキューパフォーマンス キューのリアルタイムなパフォーマンスを詳細に示します。たとえば、キューグラフでサービスレベルの達成率が、時間範囲と比較ベンチマーク(例:前週)と比較してどう推移しているかを確認できます。 現在のパフォーマンスが目標から逸脱していないかを瞬時に把握し、必要に応じてトラフィックの調整や緊急の対応(割り込み/コーチング)を実施します。

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5. まとめ

Amazon Connectのパフォーマンス評価ダッシュボードを活用し、担当者の経験や勘に頼りがちだったエージェント管理から、データに基づいて判断する手法へ移行しましょう。ダッシュボード上で「応対品質」と「生産性」の関連性を読み解くことで、一人ひとりの強みや改善点が具体的な数値として明確になります。これにより、感覚的なアドバイスではなく、データに基づいた的確なアドバイスが可能になります。

ぜひ、この強力なツールを日々の運用に組み込み、その効果を実感していただければ幸いです。

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