COLUMN

1. AWS認定資格について

このコラムを読まれる方は既にAWS認定資格についてご存じの方が多いと思いますので、ここではあまり触れません。

当コラムでも、下記のような概要紹介がございますのでまだご存じでない方はこちらに触れていただくことをお勧めします。

参考コラム:AWSを勉強するためのポイント

2. 全てのAWS認定資格を受験しようと思ったきっかけ

出典:AWS 認定

きっかけはAWS Top Engineer 2020に認定いただいた際に、当該のブログで当時のAWS認定資格全て取得している方をAPN ALL AWS Certifications Engineerとして認定していたことを知ったことからになります。

Top Engineerとして多くのお客様や社内案件に対して、AWSを使って課題を解決していくことが重要だとは思いつつも、おそらくTop Engineer認定された中では資格の数も少なく、体系化された知識体系については最低限取得しておくべきと感じました。

3. 私のバックグラウンドについて

AWSに触れる前は、ネットワークやセキュリティ、インフラ領域の構築・保守を担当しておりました。

開発はあまり触れてきていないため、プログラミングに関する知識は体系的なテキストレベルの基礎知識となります。

英語に関しては日常会話や技術ドキュメントの読み込みは問題ありませんが、リアルタイムでのビジネス会話は少し難しいといったレベルです。

4. 取得順と、試験のポイント

他社様のブログやnoteなどの個人ブログでも多くの体験記が出ておりますので、あくまで私の体験談となります。

中には短期集中型で取られる方などいらっしゃいますが、私の場合は他のスキルアップや社内案件都合など資格学習のための時間を取りづらい時期もあり、時間を空けながら計画的に取得することを目指しました。

4-1.AWS Certified Solutions Architect - Associate (SAA)

取得時期:2017年2月

当時はCloud Practitionerがありませんでしたので、最初はSAAからの受験となりました。

現行の試験とはだいぶ異なる試験範囲ですが、Well-Architected Frameworkに則った設問や、AWSを体系的に理解するという意味では変わっていないと思います。

当時は単純なサービス名を答えればよい設問もありましたが、現在では長文から意図を読み取る問題が増えており、より実践的な試験になっているようです。

4-2.AWS Certified Solutions Architect - Professional (SAP)

取得時期:2018年2月

当時はセールスの部署にいたため「設計力を強化しよう」という目的でSAPを目指したのですが、これは今思うと失敗だったと思います。

ソリューションアーキテクトプロフェッショナルに求められる技術分野・範囲は非常に広く、また当時は役立つトレーニングや参考書もなかったため、ひたすら試験範囲で問われるBlackbeltを読む、ハンズオンを3回繰り返す(1回目は手順通り、2回目は手順なしで、3回目は手順書通りやった後、設定を意図的に変えてエラーメッセージや挙動の変化を確かめる)など非常に効率の悪い学習をしておりました。

しかしながら、結果的に手を動かす、ドキュメントを調べるなど基本的な動作がここで身についたと言っても過言ではありませんでした。

4-3.AWS Certified SysOps Administrator - Associate (SOA)

取得時期:2019年2月

当時はクラウド導入・運用サービスのサービス設計を行っておりました。

運用手順を考えるにあたり、Systems ManagerやCloudWatchに関する知識は現在も生きております。

現行の試験においてはラボ試験もあるとのことで、当時よりより実践的な知識が身に着けられると思います。

4-4.AWS Certified Developer - Associate (DVA)

取得時期:2019年8月

開発者とありますが、コーディングの試験ではありません。

AWSを使って、アプリケーションをどう効率的にデプロイ・運用していくかを問う試験となります。

API Gateway,LambdaやDynamoDBなどが中心の試験になります。エラーハンドリングやトラブルシュートも試験範囲となります。

当記事が出るころには新しいバージョンになっていますので、試験内容については改めて確認が必要です

4-5.AWS Certified DevOps Engineer - Professional (DOP)

取得時期:2020年5月

AWSでDevOpsを実現するために、構築の自動化・コード化、アプリケーションライフサイクルの自動化、運用自動化など、クラウドネイティブな運用術が問われます。

こちらもクラウド導入・運用サービスのサービス設計の中で検討していた事項もありましたが、いわゆるCodeシリーズはあまり触れることはなく、こちらの理解に苦労しました。

このあたりになると日本語のドキュメントも少なくなっており、少し英語でドキュメントを読めるようにはしておく必要があります。

本資格も当記事が出るころには新しいバージョンになっていますので、試験内容については改めて確認が必要です。

4-6.AWS Certified Advanced Networking - Specialty (ANS)

取得時期:2021年5月

専門知識の試験全般に言えることですが、AWSの知識だけではなく当該の試験分野の技術そのものについても問われます。

Networkingについては、TCP/IPといったプロトコルの知識、BGPなどのルーティングプロトコル、IPSecの暗号化技術なども問われます。

もともとネットワークをバックグラウンドにしていた方であれば、多くの勉強時間を必要とせず合格できると思います。

4-7.AWS Certified Security - Specialty (SCS)

取得時期:2021年12月

セキュリティについて。AWSの責任共有モデルに応じて、ユーザ側の責任範囲で実行すべきことをいかにAWSを使って効率的に実践できるかが問われます。

セキュリティインシデントが起きた場合の対応などは、AWSに寄らない一般的な知識が必要となる分野となります。

Well-Architected Frameworkのセキュリティの柱と一般的なセキュリティ知識で解ける問題も多くありました。

4-8.AWS Certified Data Analytics - Specialty (DAS)

取得時期:2022年5月

個人的にはこちらがAWSの知識と一般知識の両面で一番技術力を深く問われる試験だと感じました。

AWSについてはKinesis/Glue/Athena/Redshift/Quicksightなど、データ分析についてはApache Kafka/Hive/Parquetなどオープンソースに関する知識も必要となります。

データ分析についてこれまであまり触れてこなかったこともあり、AWSサービス・一般知識の両面で理解に苦労しました。

4-9.AWS Certified Machine Learning - Specialty (MLS)

取得時期:2022年8月

機械学習そのものがそもそも触れてこなかった分野でもありますが、また本試験は機械学習そのものについて問われる割合が多い試験です。

問題のケースにおいて、機械学習のモデル自体を選択する(回帰・分類など)、最適化モデルを選択する、なども範囲となっています。

機械学習の概要についての理解が必要だったため、まずはG検定で一般的な知識を学習した後、AWSの機械学習サービスについて触れていきました。

4-10.AWS Certified Database - Specialty (DBS)

取得時期:2022年12月

比較的新しい試験だったため後回しにしておりましたが、AWSの各種データベースサービスを中心に可用性・信頼性・セキュリティなどをもとに選択していく試験です。

久しぶりにAWSについて問われることが多く、安心して受けられました。

データ分析に繋がる分野でもあるので、DAS試験がまだでしたら、先にDBS試験を受けることをお勧めします。

4-11.AWS Certified SAP on AWS - Specialty (PAS)

取得時期:2023年1月

2022年4月に正式版開始され、まだ比較的情報も少ない資格です。したがって、少し多めに解説します。いわゆるSAPそのものに関する知識と、AWSの知識の両面が問われます。

本質的には、基幹系システムの移行に際し既存データベースがSAP HANAやIBM Db2でありRDSやAuroraのようなマネージドサービスに移行できない、可用性の観点でABAPインスタンスにAutoScalingを安易に選べずクラスタリングソフトの設定が必要など制限事項がある中で、EC2とVPCベース中心ながらAWSへ移行していくかということが基本的な要素になります。

ハイメモリインスタンスや専有ホストについてや、Nitro環境への移行手順など、EC2についての深い知識は必要となります。

SAP用語についてはSAP社が出しているドキュメント、AWS公式サイトにあるSAP技術文書、AWS公式ブログを読んでいく形になり、その7-8割が英語となりますが、AWS公式ブログで紹介されている構成や内容が試験で問われることもあり、是非英語でも臆することなく読んでいただくことをお勧めします。

個人的には、SAPライセンスを用意できない環境のため、検証や手を動かしての動作確認ができなかったことがこの試験の難易度を上げていると思われます。

4-12.AWS Certified Cloud Practitioner (CLF)

取得時期:2023年2月

AWS資格取得を増やして行く過程で、本試験はその時点で取れる最後の資格にしようと決めておりました。

さすがにほとんど対策なしで受験しても問題ありませんでしたが、技術というよりクラウドに関する基本要素、AWSのメリット、問われる試験範囲のサービス概要を押さえておけば問題なく合格できる試験だと思います。

ただ、日本語の意図としてわかりづらい問題もあり、その場合は適宜英語に切り替えながら文意を読み取る作業は必要でした。

5. 推奨する資格の取得順序

基本的にはAWS基礎となっているファンデーショナル・アソシエイト資格から始めて、バックグラウンドがある専門分野、バックグラウンドのない専門分野へと挑戦することを推奨します。

プロフェッショナル資格については、アソシエイト資格の取得後、専門分野受験の途中で受けることをお勧めします。

ネットワーク・セキュリティ・データベースを押さえておけば良いでしょう。

SAP on AWSに関しましては、SAPの経験をお持ちの方であれば、SAAの直後でも挑戦できると思います。

私のようなバックグラウンドの場合、試験分野の関連性から下記の順番で受けると比較的スムーズに取得できると考えております。

  • 1. AWS Certified Cloud Practitioner (CLF)
  • 2. AWS Certified Solutions Architect - Associate (SAA)
  • 3. AWS Certified SysOps Administrator - Associate (SOA)
  • 4. AWS Certified Developer - Associate (DVA)
  • 5. AWS Certified Advanced Networking - Specialty (ANS)
  • 6. AWS Certified Security - Specialty (SCS)
  • 7. AWS Certified Database - Specialty (DBS)
  • 8. AWS Certified DevOps Engineer - Professional (DOP)
  • 9. AWS Certified Solutions Architect - Professional (SAP)
  • 10. AWS Certified Machine Learning - Specialty (MLS)
  • 11. AWS Certified Data Analytics - Specialty (DAS)
  • 12. AWS Certified SAP on AWS - Specialty (PAS)

6. 所感と、今後に向けての意気込み

何年か前にAPN ALL AWS Certifications Engineerに認定されたとある方は、「全資格取得はAWSの2割程度」と表現されておりました。

実際に2割程度かはさておき、資格という体系化された知識の積み上げはいわば誰かが整備した登山道を登っていく感覚に近く、「ここから未踏の道が始まる」とまだまだ触れられていない知識が多いと感じております。

日々の業務を通じてまだまだ知らないことを痛感しますし、今後追加されるアップデートについても学習してお客さまの課題解決に寄与することができればと思いますので、私自身、そして私と一緒に働くチームが大切にしている言葉で締めたいと思います。

Knowledge is Power(Scientia est potentia)

最後まで読んでいただきどうもありがとうございました!

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