VMware費用上昇の背景とは?継続利用のメリット・デメリット・対応策を解説

近年、VMwareの費用が大きく上昇しています。その背景には、ライセンス体系やサブスクリプション価格の大幅な改定があります。
VMwareの代替基盤を検討していても、システムの再設計や担当者のトレーニングなどの対応が必要となるため、「継続利用すべきか」「他基盤へ移行すべきか」と判断に悩むこともあるでしょう。
本コラムでは、VMware費用上昇の背景や、継続利用のメリット・デメリットについて解説します。併せて、今後の費用上昇に対応するための現実的な選択肢も紹介するため、VMwareのコスト見直しやクラウド移行を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次:
- 1. VMwareの費用が上昇した背景
- 1-1. 永続ライセンスが廃止されサブスクリプション化された
- 1-2. 最低72コアライセンスの購入が義務化された
- 1-3. 製品が少ないラインナップに集約された
- 1-4. 契約形態や企業規模によって購入できるエディションが制約されている
- 2. VMware継続利用のメリット
- 2-1. 既存の運用設計をそのまま活用できる
- 2-2. 移行作業・検証の工数とダウンタイムを最小化できる
- 2-3. 社内に蓄積されたノウハウを活かせる
- 3. VMware継続利用のデメリット・リスク
- 3-1. 総保有コストが増加する
- 3-2. 将来的なポートフォリオ変更のリスクがある
- 3-3. 購入パートナー再編によりサポートが不安定になる可能性がある
- 4. VMwareの費用上昇に対して企業が取るべき対応・戦略
- 4-1. 価格改定後のライセンス体系を理解する
- 4-2. 自社構成から現行・将来コストを試算する
- 4-3. VMwareと代替基盤の費用を比較する
- 4-4. 段階的な移行や外部支援を活用する
- 5. VMwareからの主な移行先
- 5-1. クラウド型仮想化サービス
- 5-2. ハイパーコンバージドインフラ(HCI)
- 5-3. VMware互換のパブリッククラウドサービス
- 6. VMware環境の移行を検討する際の4つのステップ
- 6-1. 現状の構成と契約・更改時期を把握する
- 6-2. オンプレミス・クラウドなど複数案で比較検討する
- 6-3. 移行リスクと運用負荷を見極める
- 6-4. 意思決定に必要な比較資料をまとめる
- 7. 既存の設計を生かしながら安定した運用を目指すなら「地域エッジクラウド」
- 8. VMwareの移行先にお困りの方はNTT東日本にご相談ください
- 9. まとめ
1. VMwareの費用が上昇した背景
VMware社は2023年11月にBroadcom社に買収されて以降、費用が大幅に上昇しています。これは単なる価格改定ではなく、製品とライセンスの提供方式そのものが大きく変わったことが背景にあります。
特に、従来のVMware環境と比べて次の4点が大きく変更されました。
- 永続ライセンスが廃止されサブスクリプション化された
- 最低72コアライセンスの購入が義務化された
- 製品が少ないラインナップに集約された
- 契約形態や企業規模によって購入できるエディションが制約されている
これらの変更が組み合わさることで、多くの企業で利用コストが上昇する要因となっています。
別のコラムでは、VMwareの費用上昇に伴うユーザーへの影響について詳しく解説しているので、併せてご参考ください。
【関連コラム】VMware買収によるユーザーへの影響とは
1-1. 永続ライセンスが廃止されサブスクリプション化された
VMwareは従来、買い切り型の「永続ライセンス+保守契約」という形で提供されていました。しかし、Broadcomによる買収を経て、2024年以降はすべての製品がサブスクリプション型に一本化されています。
永続ライセンスでは一度購入すれば長期的に利用でき、保守契約の更新も任意でした。一方、サブスクリプション型では契約を継続しなければ利用権が失効するため、毎年の支出が固定化し、総所有コスト(TCO)が上昇する傾向にあります。
とくに、既存環境を長期運用してきた企業では、従来の支払いモデルとのギャップが大きく、予算配分や更新サイクルの見直しを余儀なくされるケースも増えています。
1-2. 最低72コアライセンスの購入が義務化された
2025年4月に、以前は16コアから購入できていたライセンスが、最低72コアに引き上げられました。
従来のVMwareライセンスは「CPUソケット単位」で課金されていましたが、Broadcomの新体系では「CPUコア数ベース」での計算へと変更されました。この変更により、ハイコアCPUを搭載したサーバーほどライセンスが高くなりやすい構造へ変わっています。
特に、最新世代のCPUでは1ソケットあたりのコア数が年々増加しており、サーバー台数を減らして効率化していた企業ほど、この仕様変更の影響が大きいといえるでしょう。
たとえば、従来であれば「16コアCPU × 2基(=32コア)」のサーバーは、2CPUソケット分のライセンスだけで運用できました。しかし新体系では、最低72コアの購入が必須となっているため、実際の利用コア数が32であっても、72コア分のライセンスを購入しなければならないという状況が発生します。
その結果、ハードウェアの高性能化やサーバー集約が、以前とは逆にコスト増へ直結する構造になっており、これが多くの企業で負担増を生む原因となっています。
1-3. 製品が少ないラインナップに集約された
Broadcomは、VMware製品の複雑なラインナップを整理し、現在では以下の2体系に統合しました。
- VMware Cloud Foundation
- VMware Foundation
VMware vSphere Standardは2025年4月に販売終了、VMware vSphere Essentials Plusは2024年11月に販売終了しています。
一見すると構成がシンプルになった点はメリットのように見えます。しかし実際には、従来のように必要な機能だけを個別購入できなくなり、上位エディションの包括パッケージを選ばざるを得ないケースが増えています。
たとえば、vCenterやvSANなどを組み合わせて柔軟に導入していた企業では、VCF(VMware Cloud Foundation)への統合により、ライセンス費用が大幅に増えることがあります。
その結果、限られた機能しか利用しない企業にとっては、不要な機能を含む高額プランにコストを割かざるを得ない構造となり、不満の要因になっています。
1-4. 契約形態や企業規模によって購入できるエディションが制約されている
VMwareの費用上昇の背景として、契約形態や企業規模によって購入できるエディションが制約されている点が挙げられます。
Broadcomは、ユーザー企業をStrategic・Corporate・Commercialといったセグメントに分類し、それぞれが選択できるエディションを固定しています。CommercialのみVVFを購入できますが、StrategicやCorporateはVCF(フルスタック)しか選択できず、より高額な構成を強制される状況です。これらのセグメントはBroadcom側で定義され、ユーザーが自由に選ぶことはできません。
そのため、本来必要な機能レベルより上位エディションの購入を余儀なくされ、結果として費用が上昇しやすくなっています。
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2. VMware継続利用のメリット
費用上昇が課題となっている一方で、VMwareを継続利用することには明確なメリットもあります。ここでは、VMwareを継続利用するメリットを3つ解説します。
2-1. 既存の運用設計をそのまま活用できる
VMwareを継続利用することの大きなメリットとして、既存の運用設計・構成管理をそのまま活かせることが挙げられます。
多くの企業では、VMwareを前提にバックアップ設計やディザスタリカバリ構成、監視・アラート設定などを長年かけて最適化しており、これを他基盤へ移行すれば、再設計と検証に多大な工数が発生します。とくに、業務システムや社内アプリケーションがVMware依存で構築されている場合、設定変更や互換性検証に数か月単位の期間を要することも少なくありません。
継続利用を選べば、こうした既存資産を維持したまま安定した運用を継続できるうえ、突発的な障害リスクや予期せぬ構成崩れを避けられます。また、監査対応やセキュリティ運用の仕組みを変更せずに済む点も、運用面での大きな安心といえるでしょう。
2-2. 移行作業・検証の工数とダウンタイムを最小化できる
仮想基盤の移行は、単なるシステム入れ替えではなく、多数の検証と調整を要する大規模プロジェクトです。移行先のハイパーバイザーごとに仮想マシンの互換性を確認し、ネットワーク設定やストレージ構成を再設計する必要があります。
とくに基幹系システムを運用している企業では、わずかな設定ミスやパフォーマンス差が業務停止に直結するため、リスク管理が極めて重要です。
VMwareを継続利用すれば、既存環境を維持したままバージョンアップやサブスクリプション化へ対応でき、移行プロジェクト全体の工数やダウンタイムを最小限に抑えられます。業務停止の許容時間が限られる企業にとって、安定稼働を維持しながら段階的な改善を行える点は大きなメリットといえます。
2-3. 社内に蓄積されたノウハウを活かせる
長年VMwareを運用してきた企業では、社内エンジニアがVM管理やトラブル対応、スクリプトによる自動化など、多くの運用ノウハウを蓄積しています。こうした知見は他の仮想化基盤やクラウド環境ではそのまま活かせないこともあり、移行後に再教育や検証環境の整備が必要となります。
VMwareを継続利用することで、既存チームのスキルを引き続き活用でき、トラブル発生時の対応スピードを維持できます。さらに、サードパーティ製のバックアップツールや監視システムとの連携ノウハウも継承できるため、運用体制の再構築を最小限に抑えながら、安定した稼働を維持できます。
結果として、既存スタッフの即戦力を生かし、人材育成や再教育にかかるコストを抑えられる点は、VMwareを継続利用する大きな経営上のメリットといえます。
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3. VMware継続利用のデメリット・リスク
VMwareを継続利用することは、短期的な安定や運用継続のしやすさにつながる一方で、長期的にはコスト増加や運用制約といった課題を抱える可能性があります。ここでは、こうした中長期的なリスク要因について詳しく解説します。
3-1. 総保有コストが増加する
サブスクリプション化によって支払いが年間契約に固定され、長期的にはTCO(Total Cost of Ownership)が増加する可能性があります。
従来の永続ライセンスでは、初期費用を支払えば保守契約が切れてもシステムの利用自体は継続できました。しかし現在は、契約を更新し続けなければ利用権そのものが失効します。さらに、課金体系がCPUのコア数単位に変更されたことで、高性能CPUを採用している環境ではライセンス費用が大幅に上昇し、保守・サポート費を含めると以前の約2倍ほどに達する可能性もあるでしょう。
結果として、仮想化基盤の拡張や新規導入を検討しても、ライセンス費や保守費の負担が重く、社内での稟議が通りにくくなるなど、IT投資判断が難しくなっています。運用を継続するほど固定費が積み上がるため、数年単位での費用最適化を見据えた検討が不可欠です。
3-2. 将来的なポートフォリオ変更のリスクがある
Broadcomによる買収後、VMware製品群は大幅に再編され、「vSphere」や「vSAN」など個別で購入できた製品が統合パッケージにまとめられました。この動きは今後さらに進む可能性があり、現行のエディション構成や機能提供形態が変わるリスクをはらんでいます。
もし、利用中の機能が上位ラインナップに統合された場合、追加コストを払わなければ同等機能を維持できなくなってしまいます。製品終了(EOL)やサポートポリシー変更が行われる可能性もあり、長期運用を前提としたシステムほど影響が大きくなるでしょう。
つまり、現時点で問題なく稼働している環境であっても、将来的な価格改定や仕様変更によって、同じ条件での運用を続けられなくなるリスクがあります。
3-3. 購入パートナー再編によりサポートが不安定になる可能性がある
BroadcomによるVMware事業の再編に伴い、販売およびサポート体制が大きく見直されています。
従来は多数の販売代理店を通じて柔軟に見積もりや契約が行えましたが、新体制では販売ルートが特定の一次パートナー企業に限定され、契約窓口の選択肢が大幅に減少しました。この影響で、これまで取引のあった代理店から「取り扱い終了」を告げられる企業も増えています。
販売経路の集約により、見積もり取得や価格交渉の自由度が下がり、サポート品質が一時的に不安定になるリスクもあります。障害発生時のエスカレーションルートが変わる、ライセンス更新に関する情報提供が遅れるなど、運用現場での対応負荷が高まる状況がすでに一部で発生しています。
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4. VMwareの費用上昇に対して企業が取るべき対応・戦略
VMwareの価格改定により、これまでのライセンス構成やコストモデルが大きく変わりつつあります。今後は「どの環境を、どの条件で維持するか」をデータに基づいて判断することが不可欠です。
なお、VMwareが提供する仮想化・自動化・セルフサービス機能を適切に活用することで、運用効率の向上やリソースの最適化につながり、結果的にコスト削減を図ることも可能です。一方で、これまで最小限の機能しか利用していなかった企業にとっては、新たな設定や開発、人材育成といった学習コストが一時的に発生する点には注意が必要です。
ここでは、コスト増の影響を最小限に抑えながら、継続的に仮想化環境を運用していくための具体的な対応・戦略について解説します。
4-1. 価格改定後のライセンス体系を理解する
最初のステップは、Broadcomによる価格改定後の新ライセンス体系を正確に理解することです。
| 項目 | 旧体系 | 新体系(改定後) | 影響ポイント |
|---|---|---|---|
| 契約形態 | 永続ライセンス+保守契約 | サブスクリプション制 | 契約更新を続けないと利用権が失効 |
| 課金単位 | CPUソケット単位 | CPUコア数単位 | 高性能CPUほどコスト増の傾向 |
| 製品構成 | 機能ごとの個別購入 | 主要ラインナップ(VCF/vSphere Foundation など)に集約 | 必要機能だけの選択が不可に |
これらの仕組みを正確に理解しておくことで、自社環境のどの部分が費用に影響するのかを明確にできます。契約更新時に旧体系の感覚で判断すると、実際の利用規模より高額なプランを選ぶリスクがあるため、まずは改定後の体系を前提に再確認しておくことが重要です。
4-2. 自社構成から現行・将来コストを試算する
ライセンス変更の影響を正確に評価するには、自社の仮想基盤構成をもとに現行・将来コストを試算することが重要です。
まず、サーバーのCPUコア数や仮想マシンの台数、利用しているvCenter・vSANの構成などを整理し、改定後の課金体系に照らして再計算します。これにより、年間コストがどの程度変動するかを数値で確認できます。特に、ハードウェアの更新を予定している場合は、CPUコア数の増加に伴いライセンス費用も比例して上がる点を考慮する必要があります。
また、「現行構成を維持する場合」「段階的にリプレイスする場合」「クラウドへ移行する場合」など、複数のシナリオで試算しておくと、費用構造の違いが明確になります。こうした比較をもとにすれば、経営層への説明や予算策定も現実的な数字に基づいて進められるでしょう。
4-3. VMwareと代替基盤の費用を比較する
費用上昇への対策を検討する際は、VMwareを前提とせず、他の仮想化基盤との比較を行うことが有効です。
オンプレミス環境では、Microsoft Hyper-Vなどのハイパーバイザーが主な選択肢となります。無償または低コストで導入できるケースがあり、要件によってはVMwareの代替として十分に運用可能です。
一方で、Azure VMware Solution(AVS) などのクラウド型VMware環境を採用すれば、ハードウェアの保守や機器更新の手間を削減しつつ、リソースを柔軟に拡張できます。
比較の際は、ライセンス費だけでなく、保守・人件費・電力・設置スペースなどを含めた総保有コスト(TCO)で評価することが重要です。自社の運用要件と管理体制に照らし合わせ、長期的に費用対効果の高い構成を見極めていく必要があります。
4-4. 段階的な移行や外部支援を活用する
VMwareの費用上昇に対しては、全面移行を一度に進めるのではなく、段階的に対応する方が現実的です。
まずはライセンス更新のタイミングに合わせて、優先度の低いシステムや開発環境から順に移行を検討します。並行して検証環境を整備し、他基盤の性能や運用性を比較しておくことで、移行時のリスクを抑えられます。
また、VMwareやクラウド移行に知見を持つ外部パートナーを活用すれば、ライセンス最適化や構成の見直しなど、具体的な改善策を得やすくなります。このように、専門知識を取り入れつつ段階的に環境を見直すことで、長期的なコストの安定化と運用リスクの低減につながります。
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VMwareからの移行に関して、NTT東日本のクラウドエンジニアがお悩みやお困りごとにお応えしております。地域エッジクラウド タイプVのご案内もできますので、お気軽にお問い合わせください。
5. VMwareからの主な移行先
VMwareの価格改定を受け、多くの企業が代替環境の検討を進めています。移行先の選択肢は大きく分けて以下の3系統が挙げられます。
- クラウド型仮想化サービス
- ハイパーコンバージドインフラ(HCI)
- VMware互換のクラウドサービス
各方式には特性とコスト構造の違いがあるため、運用要件・セキュリティポリシー・将来の拡張計画を踏まえて選ぶことが重要です。
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5-1. クラウド型仮想化サービス
クラウド型仮想化サービスは、インフラを自社で保有せず、パブリッククラウド上で仮想マシンを運用する方式です。
代表的な選択肢として、Amazon Web Services(AWS)社のAmazon EC2、Microsoft社のAzure Virtual Machines、Google社のGoogle Compute Engine などのクラウド型仮想化サービスが挙げられます。これらのサービスは、ハードウェア調達や設備保守が不要となり、必要なリソースをオンデマンドで拡張できる柔軟性が利点です。また、クラウド基盤の冗長構成やバックアップ機能を活用することで、高可用性を確保しやすく、拠点間の分散運用にも対応できます。
一方で、移行時には監視・運用設計をクラウド環境に合わせて再構築する必要があり、初期段階では設計や検証に一定の工数が発生します。長期的には運用負荷と設備コストを削減できるため、クラウド化を機にIT基盤の標準化・自動化を進めたい企業には有力な選択肢です。
5-2. ハイパーコンバージドインフラ(HCI)
HCI(ハイパーコンバージドインフラ)は、サーバー・ストレージ・ネットワークを一体化し、ソフトウェアで仮想的に統合管理する仕組みです。代表的な製品としては、Nutanix AHVやMicrosoft Azure Stack HCI、Scale Computingなどがあります。
従来のVMware+SAN構成に比べ、機器構成をシンプル化でき、設置スペース・電力・運用コストを大幅に削減できます。スケールアウト構成に対応しており、必要に応じてノードを追加するだけでリソースを柔軟に拡張できる点も利点です。
ただし、既存の監視ツールやバックアップシステムとの互換性を事前に確認する必要があります。導入前にはPoC(概念実証)を実施し、段階的に移行手順を固めていくことが現実的です。
5-3.VMware互換のパブリッククラウドサービス
VMware互換のクラウドサービスは、既存のVM構成やvCenter管理をほぼそのまま移行できる点が特徴です。代表的なものに、Azure VMware Solution(AVS)、Google Cloud VMware Engine(GCVE)、Oracle Cloud VMware Solutionなどがあります。
これらのサービスは、VMware認定のハイパーバイザーをクラウド上で運用しており、オンプレミス環境との互換性が高いのが特長です。既存のvMotionやvCenter設定を維持したまま移行できるため、再構築工数を抑えつつ短期間でクラウド化を進められます。災害対策(DR)や一時的なリソース増強にも柔軟に対応できるため、既存資産を生かしながらクラウドに移行したい企業に適した方式です。
なお、国内でのデータ保全や法規制の順守を重視する企業にとっては、VMware基盤を活用したNTT東日本の「地域エッジクラウド タイプV」が有力な選択肢となります。このサービスは、オンプレミス環境で広く採用されているVMwareを基盤とし、インターネットや閉域ネットワークを通じて接続可能な、国内データセンター運用のクラウドサービスです。
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6. VMware環境の移行を検討する際の4つのステップ
ここでは、VMware環境の見直しや移行を進める際に押さえておきたい、4つのステップを順に解説します。
6-1. 現状の構成と契約・更改時期を把握する
まず取り組むべきは、自社のVMware環境を正確に把握することです。利用中の vSphere、vSAN、vCenter のバージョンや構成、CPUコア数、ホスト台数、仮想マシン数、バックアップの運用方法などを棚卸しし、ライセンス契約の内容と保守サポートの更改時期を明確にします。
契約更新のタイミングによっては、新しいライセンス体系への自動切り替えや費用増加が発生する場合があるため、スケジュール管理が重要です。さらに、ハードウェアの耐用年数や更新計画も併せて確認しておくと、どの時期にどの環境へ移行するのが最も合理的かを判断しやすくなります。
このように、現状の構成と契約条件を整理することが、今後の費用試算や比較検討の基礎となります。
6-2. オンプレミス・クラウドなど複数案で比較検討する
次に、複数の移行シナリオを立て、コストと運用性の両面で比較検討します。主な選択肢としては、以下のようなものが挙げられます。
- VMwareを継続利用する
- クラウド型仮想化サービスへ移行する
- ハイパーコンバージドインフラ(HCI)へ移行する
- VMware互換クラウドを採用する
それぞれの初期費用・運用コスト・サポート体制・拡張性を整理し、自社のIT戦略や予算に照らして最も適した案を検討します。加えて、セキュリティポリシー・データガバナンス・法規制対応など、技術以外の条件も見落とさないことが重要です。
こうした比較を通じて、長期的な運用の安定性や拡張余地を見据えた選択が可能になります。
6-3. 移行リスクと運用負荷を見極める
どの移行先を選ぶ場合でも、リスクと運用負荷を見極めることは欠かせません。とくにオンプレミスからクラウドへの移行では、ネットワーク設計・認証方式の統合・バックアップ方式の変更などの作業が発生し、運用チームのスキル再教育も必要になります。
また、アプリケーションの互換性やパフォーマンスへの影響も事前に検証しておくことが重要です。PoC(概念実証)やテスト移行を実施し、性能・障害復旧手順を確認しておくことで、移行後のトラブルを最小限に抑えられます。
さらに、運用監視ツールや自動化スクリプトなど、日常運用で使用している仕組みの対応可否も確認が必要です。コスト面だけでなく、移行作業に伴う人的負担や体制の再構築まで含めて評価することが、移行を成功させるうえでの重要なポイントです。
6-4. 意思決定に必要な比較資料をまとめる
移行検討の最終段階では、経営層や決裁者が判断できる形で比較資料を整理することが重要です。
単に見積もりを並べるのではなく、各案の総保有コスト(TCO)・初期導入費・保守費・運用体制変更コストを整理し、3〜5年単位で比較できる表にまとめます。あわせて、性能・拡張性・可用性・セキュリティといった非金銭的要素も定量化して提示することで、経営判断の根拠を明確にできます。
また、リスク評価表や移行スケジュール、外部リソースの必要有無を添えると、投資効果や実行時の負荷を可視化できます。社内向けの説明資料は、経営層・IT部門・現場担当の三者が同じ理解を持てる構成を意識することが大切です。
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また、VMwareからの移行に関して、NTT東日本のクラウドエンジニアがお悩みやお困りごとにお応えしております。地域エッジクラウド タイプVのご案内もできますので、お気軽にお問い合わせください。
7. 既存の設計を生かしながら安定した運用を目指すなら「地域エッジクラウド」
VMware環境の将来を見据え、既存の設計を生かしながら国内で安定的に運用を続けたい企業から注目されているのが、NTT東日本の「地域エッジクラウド タイプV」です。
「地域エッジクラウド タイプV」は、VMwareを基盤に構築された国産クラウドサービスです。
NTT東日本の国内データセンターで提供されるため、データを地域内で完結でき、法規制やガバナンス要件に厳しい自治体・医療・金融・教育分野でも安心してご利用いただけます。
クラウド環境への移行を検討している方は、信頼性・セキュリティ・サポート体制を重視した「地域エッジクラウド タイプV」をぜひご検討ください。
8. VMwareの移行先にお困りの方はNTT東日本にご相談ください
VMwareのサブスクリプション化や価格改定により、従来の運用モデルを維持することが難しくなりつつあります。しかし、「移行に踏み切れない」「どのクラウド基盤が最適か判断できない」と悩む企業担当者の方も多いでしょう。
NTT東日本では、オンプレミスからクラウドへの移行を多数支援してきた実績があり、VMware環境を熟知した専門エンジニアが、現状分析から設計・移行・運用までをワンストップでサポートします。
VMwareの費用上昇に直面している企業、または次のIT基盤の選定に迷われているご担当者さまは、ぜひNTT東日本へご相談ください。コスト最適化と安定運用を両立する最適な移行プランをご提案します。
9. まとめ
VMwareの費用上昇は、Broadcomによる買収後のライセンス体系変更やサブスクリプション化、コア課金への移行などの提供モデルの変化によって引き起こされています。これにより、従来の運用を続けるだけでも総保有コストが上昇する一方で、移行には設計・検証・教育といった新たな負担も伴うため、慎重な判断が求められます。
企業にとって重要なのは、現状の契約内容や構成を正確に把握し、複数の選択肢を比較検討したうえで、自社に最も適した基盤を選ぶことです。
VMware環境の変化が進むなかで、企業にはこれまで以上に「安定運用」と「将来への備え」の両立が求められています。NTT東日本は、そうした課題に直面するお客さまに対し、国内データセンターでの安全な運用と、閉域ネットワークによる高い信頼性を備えた「地域エッジクラウド タイプV」をご提供しています。
「地域エッジクラウド タイプV」は、変化するIT基盤のなかでも、地域に根ざしたサポートと確かな運用体制で、長期的な安定稼働を支えます。今後のシステム見直しを検討される際は、ぜひNTT東日本へご相談ください。
- Amazon Web Services(AWS)およびその他のAWS 商標は、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。
- VMwareおよびVMwareの製品名は、Broadcom Inc.の米国および各国での商標または登録商標です。
- Microsoft Azureおよびその他のMicrosoft 商標は、Microsoft Corporationの米国及びその他の国における登録商標または商標です。
- Google Cloud および関連サービスは、Google LLC の商標です。
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