クラウド移行の費用は?費用を抑える方法や内訳を解説

クラウドサービスは初期費用を抑えやすく、設計・移行や運用管理の各フェーズで課金体系が明確な点が特徴です。コストの見通しを立てやすいため、スムーズに導入しやすいメリットがあります。
一方で、移行時の設計やデータ移行、運用開始後のサポートなど、段階ごとに費用が発生するため、全体像を正確に把握することが重要です。
本コラムでは、クラウド移行時に必要となる費用の内訳や、コスト削減の方法について解説します。併せて、安心してクラウド移行を任せられる委託先の選び方についても解説するため、これからクラウド移行を検討している方は参考にしてください。
目次:
- 1. クラウド移行で必要な費用は主に3つ
- 1-1. 移行前の準備・設計にかかる費用
- 1-2. データ移行・環境構築にかかる費用
- 1-3. 並行運用・検証にかかる費用
- 2. クラウド移行後に発生する主な運用コストは?
- 2-1. クラウド運用担当者の人件費
- 2-2. クラウド利用料・保守に伴う費用
- 2-3. バックアップ・セキュリティ体制の維持費
- 3. クラウド移行の費用を抑える方法
- 3-1. 移行範囲を明確にして段階的に進める
- 3-2. スケーリングや料金プランを最適化する
- 3-3. 移行支援サービスと補助金の併用で移行費を抑える
- 4. クラウド移行を安心して任せられる委託先の選び方
- 4-1. 十分な移行実績と技術対応力があるか
- 4-2. 見積もり内容と費用バランスが適正か
- 4-3. 移行後のサポート範囲や監視体制が整っているか
- 5. 持続的なクラウド運用を支える「地域エッジクラウド」とは
- 6. クラウド導入を検討中ならNTT東日本にご相談ください
- 7. まとめ
1. クラウド移行で必要な費用は主に3つ
クラウド移行では、「準備・設計」「環境構築・データ移行」「並行運用・検証」の3つのフェーズに分けて考えるのが基本です。ここでは、それぞれの段階で発生する主なコストについて解説します。
1-1. 移行前の準備・設計にかかる費用
クラウド移行の初期段階では、以下の費用が発生します。
| 費用項目 | 内容 |
|---|---|
| アセスメント費用 | 現行のオンプレミス環境の構成、利用状況、システムの依存関係などを調査する費用 |
| 要件定義・設計費用 | クラウド移行の目的、移行方式(リフト&シフト、リファクタリングなど)、セキュリティ要件、クラウド基盤の全体設計を行う費用 |
| ライセンス費用 | 基本ライセンス・ユーザーライセンスなど、サービス利用料 |
アセスメントや設計をベンダーへ委託する費用に加え、これらの作業に伴う社内工数も初期費用として考慮しましょう。
1-2. データ移行・環境構築にかかる費用
設計されたクラウド環境に基づき、実際にクラウド基盤を構築し、オンプレミス環境からデータやアプリケーションを移行する作業にかかる費用です。移行するデータの量やシステムの複雑さによって、費用は変動します。
| 費用項目 | 内容 |
|---|---|
| クラウド基盤構築費用 | 仮想サーバー、ネットワーク、ストレージ、セキュリティ機能など、クラウドインフラをセットアップする費用 |
| データ移行費用 | 既存サーバーからクラウドへデータを転送・移行し、アプリケーションを再配置・動作検証する費用 |
| 人件費 | 移行作業を請け負うエンジニアの工数に対し発生する費用 |
移行作業では、既存システムとの連携調整やデータ検証などに高い専門性が求められるため、工数が費用に大きく影響します。自社対応が難しい場合は、実績のある専門業者に依頼することで、移行期間の短縮や追加コストの発生抑制につながります。
1-3. 並行運用・検証にかかる費用
旧環境と新クラウド環境の両方で月額利用料や運用コストが発生するため、検証期間を必要最小限に抑え、重複コストを防ぐことが重要です。
| 費用項目 | 内容 |
|---|---|
| クラウド月額利用料(初期) | 並行運用期間中の、クラウドサービス(IaaS/PaaS)の利用料 |
| 旧環境の維持費用 | 移行期間中も稼働し続けるオンプレミスサーバーの保守費用、電気代、人件費など |
| 運用監視費用 | 新しいクラウド環境の監視、保守、障害発生時のサポートに必要な費用(外部委託の場合) |
データ移行が完了した後も、すぐに旧環境を停止するわけにはいきません。トラブルなく移行が完了したことを確認し、利用者への影響を最小限に抑えるために、新旧のシステムを一定期間並行して稼働させる「並行運用」が必要です。
この期間の費用を抑えるには、クラウドの特性を活かした設計と、確実な検証計画が求められます。
2. クラウド移行後に発生する主な運用コストは?
クラウド移行が完了し、本格的な運用が始まってからも、ランニングコストが発生します。中長期のコスト管理を行うには、運用フェーズで生じる主な支出を整理しておくことが重要です。
ここでは、「クラウド運用担当者の人件費」「クラウド利用料・保守費」「バックアップ・セキュリティ体制維持費」に分けて説明します。
2-1. クラウド運用担当者の人件費
クラウド運用を内製化する場合、社内の情報システム部門が担当するため、その人件費が運用コストとなります。クラウドの技術やサービスは日々進化している点から、担当者の新しい技術習得やトレーニング費用も予算に含めて考慮することが重要です。特に人員が限られる企業や自治体では、属人化による運用リスクも生じやすくなります。
運用・監視・保守を外部に委託する場合は、委託料が発生しますが、自社で24時間365日体制を維持するよりも、トータルコストを抑えられるケースもあります。
2-2. クラウド利用料・保守に伴う費用
クラウド利用料を試算する際は、仮想サーバーやストレージの基本料金に加え、「データ転送料」「ベンダーサポートプラン料」などの追加費用が発生します。これらの項目を考慮しないと、運用開始後に予算を超過するリスクがあります。
また、本番環境のシステム運用には、クラウドベンダーが提供する無料のサポートプランでは障害対応が不十分なケースが考えられます。そのため、迅速な技術サポートを受けるための有料プラン(ビジネスプラン以上)の契約が実質的に必須となる場合もあるでしょう。
2-3. バックアップ・セキュリティ体制の維持費
クラウド移行後も、データ保護やサイバー攻撃対策に関する費用は欠かせません。これらは企業の信頼性やBCP(事業継続計画)を支える重要なコストです。
| 費用項目 | 内容 |
|---|---|
| バックアップ・DR(災害復旧)費用 | 定期的なデータバックアップの実行、およびバックアップデータの保管場所(ストレージ)にかかる費用 |
| セキュリティ対策の維持費用 | セキュリティサービスの月額利用料や、不正アクセス監視サービスにかかる費用 |
こうした環境を活用することで、高度なセキュリティ対策を自社で構築・維持するよりも、運用負担を抑えながら安定した環境を確保できます。
3. クラウド移行の費用を抑える方法
初期費用や運用コストを抑えるには、移行プロジェクトの全体設計から施策を講じることが重要です。移行範囲の見極めやスケーリング、料金プランの工夫、支援サービスや補助金活用の有無によって、数十%以上のコスト差が生まれます。
ここでは、クラウドの移行費用を抑えるために押さえておきたい主要なポイントを紹介します。
3-1. 移行範囲を明確にして段階的に進める
初期投資を抑え、リスクを分散するためには、全システム一括移行するのではなく段階的に移行することが大切です。まずは、現行システムのアセスメントを徹底し、本当に必要な機能と不要なデータを切り分けましょう。
特に負荷変動が大きいWebシステムや老朽化したサーバーなど、クラウド化の効果が見込める領域から優先的に進めるのが現実的です。こうした段階的な移行により、初期投資を抑えつつクラウド運用の知見を積み上げられます。
また、不要なデータや機能を移行対象から外すことで、データ移行費用や移行後のストレージ利用料の低減にもつながります。
3-2. スケーリングや料金プランを最適化する
ランニングコストを最適化するためのポイントは、クラウドの利用量に応じてリソースを柔軟に増減できる特性を活かし、常に必要最小限で運用することです。クラウドの利用状況を継続的に監視し、CPUやメモリなどのリソースをスケールアップ・ダウンさせることで、過剰なスペックによる費用を抑えられます。
さらに、データ保管のように稼働が安定しているリソースには定額制や予約プランを適用し、負荷が変動するアプリケーションには従量課金制を利用するなど、リソースの特性に合わせて料金プランを組み合わせることも大切です。
3-3. 移行支援サービスと補助金の併用で移行費を抑える
クラウド移行では、設計やデータ移行など、専門的な知識が必要な初期工程で高額な費用が発生しがちです。これらの費用を抑えるためには、外部の支援サービスを活用し、公的な制度を併用することが有効です。
移行実績が豊富な専門業者に依頼すれば、自社で試行錯誤するよりも短期間で移行でき、結果として人件費やトラブル対応コストの削減が期待できます。
また、クラウドサービス導入費用の一部を補助する「IT導入補助金」など、公的な制度の活用できないかも確認しましょう。採択されれば、サービス利用料や導入にかかる初期費用の負担を軽減できます。
参考:経済産業省・中小企業庁「サービス等生産性向上IT導入支援事業『IT導入補助金2025』の概要」
4. クラウド移行を安心して任せられる委託先の選び方
自社でクラウド専門人材を確保することが難しい、あるいは移行にかかる時間とコストを最適化したい場合、信頼できる外部ベンダーへの依頼が有効です。
ここでは、信頼できるベンダーを見極めるポイントについて解説します。
4-1. 十分な移行実績と技術対応力があるか
委託先を選ぶ際は、過去の導入事例や、自社と類似のプロジェクト経験が豊富にあるかを確認しましょう。単なる「リホスト(Lift & Shift)」の実績だけでなく、DBのPaaS化やコンテナ化といった「リプラットフォーム」の移行実績、および移行後のコスト最適化支援の実績も確認すると、安心して依頼できるベンダーを見極めやすくなります。
技術力がリホストに限られるベンダーでは、オンプレミス構成を前提とした見積もりになりやすく、必要以上のリソースが含まれてしまうケースがあります。
提案依頼の段階では、リホストとリプラットフォームの2パターンの案と、それぞれの3年TCO(総所有コスト)シミュレーションの提示を求めておくと、ベンダーの技術力やコスト感覚を比較・判断しやすくなります。
4-2. 見積もり内容と費用バランスが適正か
長期的なコスト増大を防ぐためには、見積もりの透明性と費用対効果のバランスを見極めることが大切です。見積もりの前提となる作業範囲やアセスメント費用、移行作業費、ライセンス調達費など、全項目を把握できるかを確認しましょう。
提案されたクラウド構成を検討する際は、運用工数がどの程度削減できるか、将来の拡張時に追加コストがどの程度発生するかといった具体的な数値で比較することが重要です。これらを踏まえて総保有コスト(TCO)を評価し、最も実効性のあるパートナーを選定しましょう。
4-3. 移行後のサポート範囲や監視体制が整っているか
ベンダーを選定する際は、クラウド移行後の安定稼働とコスト最適化を継続的に支援できる体制を持っているかを確認することも重要です。システムの停止が事業に大きな影響を与えるため、24時間365日の監視・障害対応や復旧サポートが提供されているかは必ず確認しましょう。
また、ISO27001などのセキュリティ認証を取得しているか、第三者監査による運用体制のチェックが行われているかも、信頼できるベンダーを見極める指標になります。
5. 持続的なクラウド運用を支える「地域エッジクラウド」とは
「地域エッジクラウド」は、NTT東日本が日本国内の自社データセンターに設置することで、安定した通信基盤と高い可用性を実現した国産クラウドサービスです。ハードウェアレベルでの冗長化と閉域ネットワーク接続により、高セキュリティかつ安定した通信環境を提供しています。
定額制を採用しており、従量課金によるコスト変動を気にせず利用できるため、企業や自治体でも長期的な費用計画を立てやすくなります。
運用はNTT東日本の専属エンジニアが24時間365日体制で対応し、すべてのデータを国内のデータセンターで管理しています。一貫した運用体制により、障害発生時でも迅速な復旧が可能となり、業務中断のリスクを最小限に抑えられます。
地域の企業や自治体が直面する「コスト予測の難しさ」や「セキュリティへの不安」、「クラウド人材の不足」といった課題に対し、安定した運用基盤として応えます。「地域エッジクラウド タイプV」の詳細については、無料の資料をご覧ください。
6. クラウド導入を検討中ならNTT東日本にご相談ください
クラウド移行では、費用やリソース面の不安を抱えるケースが多いでしょう。中長期的なコスト最適化と安定運用の実現には、ぜひNTT東日本にご相談ください。
「IT人材の確保が難しい」「クラウド費用の高騰が心配」「自治体の要件に合うクラウドがわからない」といった課題にも、NTT東日本がこれまで培ってきた地域密着の知見と技術力で対応します。
NTT東日本は、クラウド移行の企画・設計から構築、運用・保守まで一括サポートしています。クラウド移行や運用体制の最適化にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
7. まとめ
クラウド移行を成功させるには、単に初期費用を抑えるだけでなく、「移行範囲の選定」「料金プランの最適化」「信頼できるパートナーの選定」を通じて、中長期的なコスト効率を高めることが重要です。
NTT東日本の「地域エッジクラウド タイプV」は、地域の事業者や自治体が直面する「IT人材不足」や「コスト予測の不確実性」といった課題に対応するソリューションです。クラウド導入や運用体制に関するご相談も承っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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