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クラウド導入の費用は?オンプレミスとの費用差やコストを抑える方法を紹介

クラウド導入の見積もりを進める中で、「実際の運用コストまで含めるとどの程度かかるのか」「役員を説得できるだけの根拠があるか」とお悩みではないでしょうか。中長期の運用を見据えた費用設計を行うためには、移行前からコスト最適化を前提としたクラウド基盤を選定することが重要です。

本コラムでは、クラウド導入に必要な初期・運用コストについて解説します。データ移行や保守など、実際に発生するコスト項目を整理し、クラウド導入を検討する際の判断材料としてご参考ください。

1. クラウドの導入に必要な費用

クラウド導入にかかる費用は、大きく次の2つに分けられます。

  • 初期費用(設計・構築やデータ移行などの一時コスト)
  • 月額費用(利用料や保守、バックアップなど)

これらの費用を整理したうえでオンプレミス環境とのTCO(総所有コスト)を比較すれば、導入投資の妥当性を明確にできます。

1-1. 初期費用に含まれる主な項目

クラウド導入時の初期費用の主な内訳は、次のとおりです。

  • 設計・構築費用
  • データ移行・連携費用
  • 導入支援・検証費用

いずれも見積もり時に具体的な内訳を確認することが大切です。

1-1-1. 設計・構築費用

クラウド導入費用の中でも、将来のTCO(総所有コスト)に直結するのが設計・構築費用です。この費用には、サーバーやネットワークの構築だけでなく、可用性・セキュリティ・監査対応などの要件を整理し、最適な構成を設計するための検討作業も含まれます。

設計内容が不十分なまま移行を進めると、再構築や追加投資が発生し、結果的にコストが膨らむリスクがあります。初期費用の中でも、設計・構築への投資は長期的なコスト最適化を左右する重要なポイントです。

1-1-2. データ移行・連携費用

データ移行・連携費用は、既存のシステムやデータ資産をクラウド環境へ移すための作業にかかるコストです。移行対象のデータ量やシステム構成の複雑さに応じて、費用は大きく変動します。

特に大容量データをインターネット経由で移行する場合は、業務停止時間(カットオーバー)が長くなるリスクがあり、専用線を利用する際の通信費や追加作業費が一時的に発生することもあります。さらに、移行リハーサルに要する工数や、オンプレミス環境とクラウドを連携させるためのAPI開発・ネットワーク設定なども、この費用に含まれます。

移行の設計段階でこれらの項目を洗い出し、初期費用に適切に計上しておくことが、想定外のコスト増を防ぐポイントです。

1-1-3. 導入支援・検証費用

導入支援・検証費用は、構築したクラウド環境が設計どおりに動作するかを確認し、社内で安定して運用できる体制を整えるために発生するコストです。

主な内容としては、システムの要件適合を確認する各種テストや、ベンダーによる導入プロジェクト管理支援、運用担当者への教育・マニュアル整備などが含まれます。これらを初期段階で確実に行うことで、運用トラブルや属人化を防ぎ、長期的な運用コストの抑制につながります。

1-2. 月額費用に含まれる主な項目

クラウド運用のランニングコストは、基本的に「利用量に応じて支払う」従量課金型が中心です。主な内訳は以下のとおりです。

  • クラウド利用料
  • 保守・運用サポート費用
  • ライセンスや監視などの付帯費用

これらの項目を正しく把握し、リソースの設計や長期割引プランを適切に組み合わせることで、TCO(総所有コスト)の増加を抑え、安定した運用コストを維持できます。

1-2-1. クラウド利用料(サーバー、ストレージ、通信料)

クラウドの月額費用の中心となるのが、サーバー・ストレージ・ネットワーク通信に関する利用料です。これらは基本的に従量課金制のため、実際の運用状況やリソースの使い方によってコストが変動します。

サーバー費用は、長期契約やリザーブドインスタンスを活用することで、オンデマンド料金よりもコストを抑えやすくなります。ストレージについては、データの用途やアクセス頻度に応じて最適な階層を選択し、ライフサイクル管理機能を設定することで保管コストを最適化できます。

また、ネットワーク転送量は設計段階での見積もり精度が重要であり、通信経路の最適化やキャッシュ活用によって、予期せぬコスト増を防ぐことが可能です。

AWSでファイルサーバーを構築する際は、利用シーンに応じて複数の構成・料金パターンが存在します。以下の資料では、代表的な5つの構築パターンを取り上げ、それぞれに適した利用シーンと費用感をわかりやすく解説しているため、ぜひご覧ください。

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1-2-2. 保守・運用サポート費用

クラウド環境を安定的に運用し、長期的なコスト最適化を実現するには、保守・運用サポートへの計画的な投資が欠かせません。クラウド導入によってハードウェア保守の負担はなくなりますが、OSやミドルウェア層以降の運用(セキュリティパッチの適用・障害監視・構成管理など)は引き続き必要です。

さらに、オンプレミスにはなかった「コスト最適化運用」も新たな管理領域として発生します。リソース利用状況の継続的なモニタリング、不要なリソースの削減、割引プランの活用状況の確認など、コストを管理する専門体制(自社エンジニアまたは外部委託)を整備することが重要です。

ビジネスクリティカルなシステムを運用する場合は、障害対応や技術支援を迅速に受けられる有償サポートプランの利用も現実的な前提となります。こうしたサポート費用を含めて、総合的に運用コストを見積もることが重要です。

1-2-3. ライセンスや監視・バックアップなどの付帯費用

クラウド運用では、主要コスト以外にも見落とされやすい「付帯費用」が発生します。代表的な項目として、以下が挙げられます。

  • 監査ログの保存・管理
  • システムバックアップ
  • 災害復旧(DR)対策
  • 各種ソフトウェアライセンス

監査ログは利用規模や保存期間によって月額コストが変動し、バックアップやDR対策も、世代数や遠隔地レプリケーションの有無により費用が増減します。また、Windows ServerやSQL Serverなどのライセンス費用は、「既存ライセンスの持ち込み可否」や「クラウド事業者の割引制度の適用可否」によって大きな差が生じます。

これらの要素は導入後に追加コストとして表面化しやすいため、初期段階の要件定義で想定を明確にし、各ベンダーの料金体系を十分に理解しておくことが、TCO(総所有コスト)の膨張を防ぐために重要です。

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2. クラウドの導入・運用時に見落としがちな人件費用

クラウド導入コストを検討する際に、TCO(総所有コスト)へ最も影響しやすく、見積もりで抜け落ちがちな項目が「人件費」です。クラウド化によってサーバー設置や保守といった物理作業は減少しますが、その一方で「コスト管理」「セキュリティ運用」「リソース最適化」といった新しい業務が発生します。

ここでは、外部委託費と社内エンジニアの稼働コストの両面から、クラウド導入・運用時に見落とされやすい人件費の内訳と考慮ポイントについて解説します。

2-1. 外部委託にかかる運用サポート・保守などの費用

外部委託費は単なるコストではなく、システムの安定稼働とセキュリティ強化に向けた戦略的な投資として位置づけることが重要です。オンプレミス時代の保守契約が主に機器の故障対応に限定されていたのに対し、クラウド運用の委託範囲は「安定稼働の維持」「セキュリティ監視」「コスト最適化支援」まで含みます。

費用を左右する主な要素は「SLA(サービスレベル合意)」と「委託範囲」です。24時間365日の監視やセキュリティインシデント対応(SOC)まで求める場合、人件費・委託料は相応に上昇します。

正確なTCOを算出するには、従来のハードウェア保守費だけでなく、運用監視にかかる総人件費(外注費+社内工数)を含め、クラウドの委託費用を同等のSLA・業務範囲で比較することが重要です。

【関連コラム】クラウド運用委託による業務負荷軽減の方法とは?

2-2. 社内エンジニアの稼働コスト

クラウド移行によって、サーバーの設置や物理的なメンテナンス工数は削減されますが、同時に「コスト最適化」「運用改善」「クラウドネイティブな設計・管理」といった新たな業務負荷が社内に発生します。

特に従量課金制のクラウドでは、未使用リソースや過剰スペックが放置されると、想定外のコスト増につながるリスクがあります。社内の運用担当者が定期的に利用状況を把握し、スケーリングやリソース削減を行う仕組みを整えることが重要です。

また、夜間の自動停止設定やセキュリティ構成の維持・改善など、クラウド特有の運用作業も増加します。これらの業務は、従来環境で削減できる工数とあわせて「クラウド化による追加業務の人件費」として明示し、導入計画の初期段階から予算に反映することで、投資判断の精度を高め、想定外のコスト増を防げます。

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3. クラウド型・オンプレミス型の費用を比較

クラウド導入を検討する際は、オンプレミス環境を継続した場合と比較して、どのように費用構造が変化するのかを把握することが重要です。初期投資・運用コスト・人件費など、両者のコスト要素を整理しておくことで、意思決定の根拠を明確にできます。

【関連コラム】オンプレミスとは?意味やクラウドとの比較までわかりやすく解説

3-1. 初期費用の違い

オンプレミス型は、ピーク時の需要を見越してサーバーやストレージを一括購入する必要があり、高額な初期投資が発生します。一方、クラウドは物理ハードウェアの購入が不要なため、導入時の支出を大幅に抑えられます。

経理処理の観点でも、オンプレミスが「資産計上・減価償却」であるのに対し、クラウドは「経費計上」となるため、部門間での事前調整が必要です。

3-2. ランニングコストの違い

オンプレミスでは、保守契約料や電力・空調費、スペース賃料、運用人件費といったコストが固定費化しやすい傾向にあります。一方、クラウドは利用量に応じた変動費が中心で、必要な分だけ利用・支払いができるため、スモールスタートにも適しています。

ただし、リソースを使いすぎると費用が膨らむ可能性もあるため、継続的なコスト管理が欠かせません。

3-3. 中長期間トータルコストの違い

3年・5年といった中長期のTCO(総所有コスト)を比較する際には、前提条件を正しくそろえることが重要です。前提をそろえないまま比較すると、導入形態の優劣を誤って判断してしまう恐れがあります。

たとえば、オンプレミスの場合は5年後のハードウェア更改(リプレース)費用や減価償却を正確に見積もる必要があります。また、クラウドと同等の可用性・災害復旧(DR)要件を満たすには、追加設備投資が必要になる点にも注意が必要です。

一方でクラウドは、リソースを柔軟にスケールできるため、利用量に応じてコストを抑えやすく、リプレース費用も不要です。長期利用割引やライセンス特典を活用することで、運用効率とコストの両立が可能になります。

既存のオンプレミスライセンス(例:Windows Serverなど)をクラウドで活用できるライセンス持ち込み制度(BYOL)の有無も、TCOを左右する重要な比較要素です。

【関連コラム】オンプレミスとは?意味やクラウドとの比較までわかりやすく解説

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4. クラウドの導入費用・運用コストを抑える方法

クラウドは導入時だけでなく、運用を始めてからのコスト管理がTCO(総所有コスト)の最適化を左右します。ここでは、クラウド導入後の運用を見据えた費用削減の考え方と、計画段階から押さえておくべきポイントを解説します。

4-1. 自社での初期構築を検討する

初期構築の一部を内製化することで、導入費用を抑えやすくなります。たとえば、開発・検証環境やリフト&シフトのようなシンプルな移行は社内エンジニアが担当し、基幹システムや高セキュリティ設計など専門性の高い領域のみを外部ベンダーに委託する方法です。

内製化を進めることで、単なるコスト削減にとどまらず、自社内にクラウド運用の知見を蓄積し、将来的なコスト最適化や改善力の向上にもつながります。以下では、クラウド導入を円滑に進めるための実践マニュアルを提供しておりますので、ぜひご活用ください。

クラウド導入を成功させるためのお役立ちマニュアルの資料はこちら

4-2. 従量課金制のクラウドサービスを検討する

従量課金制のクラウドサービスは、「使った分だけ支払う」仕組みにより、利用状況に応じた柔軟なコスト最適化が可能です。ただし、リソースの削除漏れや過剰なスペック維持によって、想定外のコスト増につながるリスクもあります。

導入時には、リソースの定期棚卸し・ライトサイジング(適正化)・オートスケール設定・スケジュールによる自動停止といったルールを設計段階から組み込みましょう。これにより、運用開始後のコストコントロール精度を大幅に高めることができます。

4-3. 長期利用の割引や補助金を活用する

AWSやAzureなど主要クラウドには、長期契約を前提とした割引プラン(リザーブドインスタンスやSavings Plansなど)が用意されています。これらは、基幹システムやデータベースのように常時稼働するリソースのコスト削減に特に有効です。

さらに、IT導入補助金などの公的支援制度を活用すれば、クラウド導入や運用費用の一部を補助できる場合もあります。長期割引と補助金を組み合わせて検討することで、初期投資・運用費の双方を効率的に抑えることが可能です。

4-4. 小規模導入から始める

クラウド導入は、仮想サーバーやストレージなど限定的な領域から段階的に始めることで、初期リスクを抑えつつ効果を検証できます。たとえば、開発・検証環境やバックアップ(DR)サイトなどを対象にスモールスタートすることで、実際の運用コストや隠れコストを具体的に把握できます。

小規模導入で得たデータや知見をもとに、基幹システムの移行計画を見直すことで、より確実で無駄のない投資判断が可能になります。段階的な導入は、リスクを最小化しながら本格展開への精度を高める現実的なステップです。

【関連コラム】信頼できるクラウド導入パートナー選定のためのポイントと注意点

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5. 地域エッジクラウドの活用で導入費用を最適化

NTT東日本の「地域エッジクラウド タイプV」は、地域の事業者や自治体が安心してクラウドを活用できるよう、自社データセンター内に構築した国産クラウド基盤です。閉域ネットワークやインターネット経由での利用に対応し、高い信頼性と運用性を両立しています。

すべてのシステムを国内データセンターで運用し、ハードウェアの冗長化により安定稼働を実現しています。専属エンジニアが24時間365日体制で監視・運用を行い、障害発生時にも迅速に復旧対応を行います。クラウド人材や専門知識に不安があるお客さまでも、導入から運用まで一貫してサポートします。

料金は月額の定額制で、月ごとのコストを把握しやすく、長期的な予算計画を安定して立てられます。また、NTT東日本が提供する共通基盤を活用することで、VMwareライセンス費用をはじめとする運用コストを効率的に抑えられる点も特徴です。

地域のDXを支える基盤として、安定した運用とコスト管理のしやすさを両立させたいお客さまは、NTT東日本の「地域エッジクラウド タイプV」をぜひご検討ください。

以下では、クラウド導入にあたっての不安や利用モデル、料金などをまとめた資料もご用意しておりますので、ぜひご覧ください。

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6. クラウド導入を検討中ならNTT東日本にご相談ください

NTT東日本では、設計・構築・運用・保守を一体で支援し、お客さまの環境や目的に合わせた最適な移行プランをご提案します。

「コストを正確に把握したい」「運用負荷を軽減したい」といった課題にも、地域に根ざした体制と技術力でお応えします。導入に関する具体的なご質問や見積もりのご依頼など、ぜひお気軽にご相談ください。

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7. まとめ

クラウド導入にかかる費用は、適切なコスト管理設計と、従量課金制の特性を活かしたリソース最適化、さらに長期利用割引や自動運用の仕組み化によって、無理なく抑えられます。

NTT東日本が提供する「地域エッジクラウド タイプV」は、IT人材不足やコスト予測の不安といった地域事業者・自治体ならではの課題に対応し、導入から運用までを一貫して支援します。クラウド導入に関するご相談や費用の見直しをご検討の際は、ぜひNTT東日本までお問い合わせください。

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