Amazon Connectのアウトバウンドキャンペーンをエージェントレスでやってみた

「本日のご予約、お客さまは覚えていらっしゃるだろうか…?」
「未払い料金のご案内、気が重いな…」
「キャンペーンのお知らせを一件一件電話するのは、本当に骨が折れる…」
もし、こうした人の負担や課題に直結しがちな定型業務を、エージェントなし(エージェントレス)で完全に自動化できるとしたら、どうでしょう。
AWSのクラウド型コンタクトセンターサービス「Amazon Connect」のアウトバウンドキャンペーン機能が、その理想を現実にします。
本コラムでは、「新キャンペーンの開催を、対象となるお客さまのリストに一斉に電話でお知らせする」というシンプルなシステムを、実際に構築した手順に沿って具体的に解説します。
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目次:
- 1. なぜ今「エージェントレス・アウトバウンド」なのか?
- 1-1. アウトバウンドコール業務が抱える「人」にまつわる課題
- 1-2. ゴール:キャンペーンのお知らせを自動化する
- 2. Amazon Connectの「アウトバウンドキャンペーン」とは?
- 2-1. どんな時に使える?具体的なユースケース紹介
- 3. アウトバウンドキャンペーンをエージェントレスで構築する
- 3-1. 事前準備(電話番号)
- 3-2. アウトバウンドキャンペーンの有効化
- 3-3. 顧客セグメントの作成
- 3-4. フローの作成
- 3-5. アウトバウンドキャンペーンの作成
- 3-6. 結果の確認
- 4. やってみて分かった!メリットとハマりどころ
- 4-1. メリット
- 4-2. ハマりどころ
- 5. まとめ
1. なぜ今「エージェントレス・アウトバウンド」なのか?
1-1. アウトバウンドコール業務が抱える「人」にまつわる課題
お客さまへの予約リマインダーやサービスのご案内は、ビジネスにおける大切なコミュニケーションです。
しかし、内容によっては同じことを繰り返す定型業務があることも実情です。
この定型業務は機械のような正確性が求められることも少なくなく、その業務に人間が対応し続けることで、「かけられる電話の数=人の数」という事業成長の壁が生まれたり、スタッフがスキルアップを実感できずに定着しなかったり、といった悩ましい「人」の課題が生まれてきます。
1-2. ゴール:キャンペーンのお知らせを自動化する
本コラムで構築するシステムのゴールは、「新キャンペーンのお知らせを、リストのお客さまに自動で一斉架電する」ことです。
完成形は、以下のような機能を持つシンプルな自動アナウンスシステムです。
- 指定した電話番号リストへ、自動で発信する
- 「キャンペーンのお知らせ」を自然な合成音声で伝える
この仕組みを、Amazon Connectを使って構築する手順を解説していきます。
2. Amazon Connectの「アウトバウンドキャンペーン」とは?
Amazon Connectのアウトバウンドキャンペーンは、電話、SMS、Eメールを使った大規模な発信業務を自動化・効率化するための機能です。
特に「エージェントレスアウトバウンドキャンペーン」は、その名の通りエージェントを介さず、事前に用意した対話シナリオ(問い合わせフロー)に沿ってシステムが自動で電話をかけてくれます。
2-1. どんな時に使える?具体的なユースケース紹介
決まった内容をたくさんの人に正確に伝える業務で、幅広く活用できます。
-
うっかり忘れを防止!リマインダー系
「歯医者さんの予約、明日でしたね!」「注文の商品、明日届きますよ!」など。 -
みんなに一斉連絡!お知らせ系
「本日のセール情報です!」「サービスのメンテナンスがあります」など。 -
簡単なご意見拝聴!アンケート系
「今回のサービス、満足なら1番を、不満なら2番を…」など。
3. アウトバウンドキャンペーンをエージェントレスで構築する
3-1. 事前準備(電話番号)
なにはともあれ、電話番号の取得をしましょう。
詳細な手順は下記の弊社コラムを参照してください。
【HOW TO】Amazon Connectの電話番号申請について解説
ざっくりとした手順をお伝えすると
- 必要な資料を揃える
- Amazon Connectインスタンスを作成する
- AWSサポートに電話番号の取得を申請する
- 待つ(最大60日かかる場合があるため、ご注意下さい)
- 電話番号の取得完了
番号取得に時間がかかるケースが多いため、利用計画がある場合は真っ先に、そして計画的に申請を行いましょう。
3-2. アウトバウンドキャンペーンの有効化
そうしたらアウトバウンドキャンペーンを有効化していきましょう。
Amazon Connectインスタンスから、「Outbound campaigns」を選択し、有効化をクリックします。

今回はデフォルトキーを使用するため、チェックを外し、「アウトバウンドキャンペーンを有効にする」をクリックします。

有効化はこれで完了です。
3-3. 顧客セグメントの作成
次に顧客セグメントを作成していきましょう。
Amazon Connect管理者コンソールから、「顧客セグメント」をクリックします。

「セグメントを作成する」→「From Customer Profiles」の順にクリックします。

セグメント名を入力し、必要に応じたフィルタリングを行い、「セグメントを作成」をクリックします。
(今回は私のみ架電されるよう設定しました)

3-4. フローの作成
今度は問い合わせフローを作成していきましょう。
Amazon Connect管理者コンソールから、「フロー」をクリックします。

下記のような「キャンペーンのお知らせ」を行う簡単なフローにしました。
これを「保存」→「公開」しておきましょう。

3-5. アウトバウンドキャンペーンの作成
最後に本題のアウトバウンドキャンペーンを作成していきましょう。
Amazon Connect管理者コンソールから、「アウトバウンドキャンペーン」をクリックします。

「キャンペーンの作成」をクリックします。

キャンペーン名を入力し、先ほど作成した「顧客セグメント」と「フロー」を選択し、「次へ」をクリックします。

デフォルトのまま、「次へ」をクリックします。

これもデフォルトのまま、「次へ」をクリックします。

内容を確認し、「公開」をクリックします。

今回は今すぐ開始のまま、有効期限を設定し、「公開」をクリックします。

3-6. 結果の確認
しばらくすると「キャンペーンのお知らせ」を着信しました。

4. やってみて分かった!メリットとハマりどころ
4-1. メリット
-
シンプルな設定
- 今回の構成では数時間で構築が完了しました。
- スピーディーに展開できることは良いですね。
-
品質
- 今回は1件だけですが、数百、数千件の架電を、わずかな時間で完了できます。
- 担当者のスキルに左右されることもなく、すべてのお客さまに同じ品質のアナウンスを届けられます。
-
便利なスケジュール・期限設定
- 「今すぐ開始」だけでなく、未来の日時を指定した予約実行も可能です。
- またキャンペーンの有効期限を設定できるため、古い情報のアナウンスを自動で停止でき、ミスマッチを防げる点も便利だと感じました。
4-2. ハマりどころ
-
電話番号の取得が最大の関門
- 本文中でも触れましたが、とにかく電話番号の取得には時間がかかります。
- やろうと決めたその日にすぐ試せるわけではない、という点には十分な注意が必要です。
-
発信リストの管理方法
- 今回はCustomer Profiles機能でセグメントを作成しました。
- ここに顧客情報をどう取り込むか、常に最新の状態に保つか、といったデータ管理の設計は別途必要になります。
- なおCSVファイルをアップロードする、よりシンプルな方法もあります。
-
法規制と発信マナーの遵守
- 自動で大量に発信できるからといって、深夜や早朝に電話をかけるのはマナー違反です。
- また国によってはアウトバウンドコールに関する法規制(特定商取引法など)があるため、ルールを遵守した運用が求められます。
5. まとめ
今回は、Amazon Connectのアウトバウンドキャンペーン機能を使い、エージェントレスで「キャンペーンのお知らせ」を一斉送信する仕組みを構築しました。
- 定型的なアウトバウンドコールは、人手不足やコストの課題に直結しやすいです。
- Amazon Connectを使えば、プログラミングなしでシンプルな自動架電システムを構築できました。
- 電話番号の取得期間に注意すれば、非常に強力で便利なツールになるでしょう。
決まりきった作業は賢く自動化し、人は人でなければできない、より創造的で付加価値の高い仕事に集中する。
Amazon Connectは、そんな新しい働き方を実現するための強力な選択肢と言えるでしょう。
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