COLUMN

AWSコンソールへの不正アクセスを可視化してみた

AWSの情報セキュリティを考える際、「いかに不正アクセスを防ぐか」という防御の視点は非常に重要です。しかし、攻撃手法が巧妙化する現代において、100%の防御は難しいと言わざるを得ません。そこで重要になるのが、「万が一侵入された際に、いかに迅速にその兆候を検知し、状況を把握できるか」という視点です。この記事では、膨大なログの中から不正アクセスの兆候をあぶり出し、誰もが直感的に状況を理解できる「可視化」のアプローチに焦点を当て、その考え方と実践方法を解説します。

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1. なぜ不正アクセスの「可視化」が重要なのか?

AWSアカウントの操作ログは、AWS CloudTrailによって記録されていますが、その量は膨大です。テキストベースのログを日々監視し、人の目で異常な兆候を見つけ出すのは現実的ではありません。

ログを可視化することで、以下のような効果が期待できます。

  • 直感的な状況把握
    地図やグラフで示すことで、普段との違いを直感的に発見しやすくなります。
  • 傾向の分析
    特定の時間帯や特定のユーザーに不審な動きが集中していないか、傾向を把握する手助けとなります。
  • 迅速な意思決定
    インシデント発生時に、状況を素早く関係者に共有し、対応方針の決定を支援します。

このように、セキュリティログの可視化は、インシデントレスポンスの初動を早める上で重要な役割を担います。

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2. 検知すべき「不審な兆候」の具体例

まず、どのような操作を「不審な兆候」として捉えるべきでしょうか。以下に代表的な例を挙げます。これらは、可視化ダッシュボードで重点的に監視することが望ましい項目です。

  • 地理的な異常:普段と違う場所からのアクセス
    普段は日本国内からしか利用がないはずのアカウントに、海外のIPアドレスからログインされている。
  • 時間的な異常:ありえない時間帯でのアクセス
    深夜や早朝、休日など、通常の業務時間外にコンソールへのログインやAPI操作が行われている。
  • 量的な異常:短時間での大量の試行
    特定のIPアドレスやユーザーから、短時間に大量のログイン失敗が記録されている(ブルートフォース攻撃の可能性)。
  • 権限に関する異常:特権アカウントの不審な利用
    普段は使わないはずのルートアカウントが利用されている、または特定のIAMユーザーによる不審な権限昇格の試みなどが記録されている。

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3. 不正アクセスの可視化に有用なAWSサービス

不正アクセスの兆候を捉え、可視化するために中心的な役割を果たすAWSのネイティブサービスを紹介します。

  • 横にスクロールします
サービス名 役割 解説 利用シーンの例
AWS CloudTrail 記録
(監視カメラ)
AWSアカウント内で行われたほぼ全ての操作を記録するサービスです。全ての分析の基礎となる、最も重要な情報源です。 全ての分析の基礎として、AWSアカウントの操作を記録・保存したい。
Amazon GuardDuty 検知
(賢い警備員)
CloudTrailログなどを機械学習で自動的に分析し、悪意のあるアクティビティや不正な振る舞いを検出するサービスです。 専門家がいなくても、手軽に脅威の自動検知を始めたい。
Amazon Athena 分析
(データ分析官)
S3に保存されたログに対し、標準的なSQLを用いて直接クエリを実行できるサービスです。 GuardDutyの検知をきっかけに、特定のインシデントをSQLで深掘り調査したい。
Amazon QuickSight 可視化
(レポーター)
Athenaでの分析結果などを基に、グラフやマップで構成されたインタラクティブなダッシュボードを作成するBIサービスです。 分析結果をダッシュボードで可視化し、関係者へ定常的に状況を報告・共有したい。

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4. 可視化ダッシュボード設計のアプローチ

効果的なダッシュボードを設計するには、「何を発見したいのか」という目的意識が重要です。「サマリー」「地理」「時間」「詳細」といった複数の視点を組み合わせて構成することが、状況把握の質を高めることにつながります。

サマリービュー(全体像の把握)

ダッシュボードの最上部に、直近の「ログイン失敗総数」や「脅威検知数」などを配置します。

ジオグラフィックビュー(地理的状況の把握)

ログイン元のIPアドレスを世界地図上にマッピングすることで、予期せぬ国からのアクセスが一目瞭然となります。

トレンドビュー(時間的傾向の把握)

ログインの試行回数を時系列グラフで表示し、深夜帯の急増や休日におけるアクティビティといった時間的な異常の発見を支援します。

ディテールビュー(詳細情報の確認)

異常が疑われるイベントの詳細(日時、ユーザー名、IPアドレスなど)を確認するための表を用意します。

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5. まとめ

本記事では、AWSコンソールの不正アクセス対策として、侵入後の迅速な「検知」と状況を把握するための「可視化」というアプローチを解説しました。

  • AWSの情報セキュリティ対策では、防御だけでなく、万が一の事態を迅速に検知する仕組みが重要です。
  • CloudTrail、GuardDuty、Athena、QuickSightといったAWSネイティブサービスを組み合わせることで、効果的な可視化基盤の構築が見込めます。
  • まずはGuardDutyを有効化することから始め、自社の情報セキュリティ要件に合わせてダッシュボードの構築を検討することをおすすめします。

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