COLUMN
生成AI×自動応答で電話業務の効率化を~百貨店・大型スーパー編~
百貨店や大型スーパーでは少子高齢化と都市部への人材流出により、労働人口不足が深刻化しています。その一方で、デジタル化の進展や顧客ニーズの多様化によって問い合わせ内容が複雑化し、店舗当たりの負担は以前よりも増加しています。これを解決するための方法として、「IVR(Interactive Voice Response:自動音声応答システム)」が取り入れられてきました。
IVRとは、顧客との通話やプッシュ操作に対して、あらかじめ設定した音声案内を流して自動で応答するシステムです。電話業務を効率化できるソリューションとして、多くの企業・自治体で導入が進められています。しかしIVRには「定型文しか読み上げできない」「顧客がプッシュ操作を間違えるとやり直しになる」などの課題があり、顧客満足度の低下が懸念されていました。
これらの課題を背景に近年注目されているのが、IVRにAI技術を活用した「AI-IVR」です。AIにより、「定型文以外で回答できる」「顧客はプッシュ操作だけでなく、音声での操作も可能になる」など、顧客応対品質の向上が期待できます。
本コラムでは、百貨店・大型スーパーにおける電話応対業務の課題やAI-IVRの活用例などについて紹介していきます。
1. 百貨店・大型スーパーにおける電話応対(コールセンター)業務の課題
百貨店・大型スーパーは取り扱う商品が多く、またキャンペーンやイベントなどもあるため、多様な問い合わせが寄せられます。それぞれに柔軟に応対し、顧客が知りたい内容に正確に答える必要がありますが、以下のような点が課題です。
1-1. スタッフの応対レベルのばらつき
多くの百貨店・大型スーパーでは、専任のオペレーターではなく従業員が問い合わせに応対します。すばやく正確に回答するためには、幅広い商品知識を持ち、売り場の配置やキャンペーンの内容などをすべて把握していなくてはなりません。ベテランの従業員であれば、自身の知識や過去の問い合わせを参考に、正確に回答することが可能かもしれませんが、経験が浅い従業員はマニュアルに頼らざるを得ず、正確に答えられない場合もあります。
1-2. カスタマーハラスメントによるストレスや業務への影響
カスタマーハラスメントとは、顧客が企業や従業員に対して行う不当な要求やクレーム行為です。小売業におけるカスハラの例として、「商品の不具合に対して過剰な補償を求める」「理不尽な批判をして謝罪を要求する」などがあり、応対する従業員の心理的なストレスとなっています。また、カスタマーハラスメントは長時間の通話になることが多く、応対する従業員の負担が増えるとともに、他の顧客からの電話に出られなくなるため、通常業務に影響を及ぼさないよう対策が必須です。
1-3. 問い合わせの集中
繁忙期やピーク時は問い合わせが急増するタイミングです。特にゴールデンウィークやお盆、クリスマス、年末年始といった年間行事の際には、キャンペーンを行う店舗も多いため、問い合わせが殺到します。各店舗に置かれる電話の台数には限りがあり、なおかつ各部門に手動で取り次いでいる店舗では問い合わせを処理しきれない場合もあるでしょう。問い合わせの内容によっては、商品の予約などを処理できず、販売機会の損失となる可能性があります。また、問い合わせが集中することで電話応答率が低下し、顧客満足度の低下につながる恐れもあります。
2. 百貨店・大型スーパーでのAI-IVR活用例
AI-IVRを活用することで、応対品質の均一化や自動化により課題を解決しつつ、顧客満足度の向上が期待できます。主な活用例は次の通りです。
2-1. ①定型的な問い合わせへの自動応答
問い合わせの一次応対で、AIによる分析や分類を行います。内容によってはその場で自動応答し、複雑な内容や個別応対を要する場合のみ取次ぎすることが可能です。また、24時間365日稼働できるため、営業時間外の問い合わせにも対応できます。
2-2. ②代表電話の取次ぎの自動化
百貨店や大型スーパーでは、代表電話で問い合わせを受け付けてから、顧客の目的に応じて各フロアや部門ごとに取り次ぎを行う場合があります。代表電話に問い合わせが集中すると応対しきれない場合もありますが、自動化によりその解決が可能です。窓口人件費の削減にもつながります。
2-3. ③キャンペーンやセール情報の自動案内
季節限定のキャンペーンや店舗ごとのセールの情報についての問い合わせの場合は、事前に用意した情報をもとにAIが判断して自動で返答します。キャンペーンの配布品やセール商品の在庫をデータベースから照会できる状態であれば、さらに回答が自動化できるため、業務負担の軽減が期待できます。
2-4. ④フィルタリングによるカスハラ対策
電話の内容をリアルタイムにAIが解析し、声の調子や発言内容を元にフィルタリングできます。これにより、従業員が直接応対する前に悪質なクレームやカスタマーハラスメントの疑いが強い問い合わせを検知し、必要に応じて応対を制限することができます。応対効率化だけでなく、従業員のメンタルヘルス保護の観点からも注目が集まっています。
3. NTT東日本のAI-IVRソリューション特長と機能
NTT東日本では、電話業務を生成AIが代行する「IVRソリューション」を提供しています。
3-1. 特長
IVRのプッシュ操作のほか、音声で操作できる新たな機能を搭載し、利便性を向上させています。AWS環境で開発するため、柔軟かつクラウドの利点を最大限に活かしたIVRを導入していただけます。また、NTT東日本グループのクラウドエンジニアが導入から運用にいたるまで包括的にサポートするため、専門的な知識やスキルがなくても安心してご利用いただけます。
3-2. 機能
NTT東日本のAI- IVRソリューションには、次のような機能が備わっています。
ご相談内容に応じて、カスタマイズしたIVRをご提供いたします。
生成AI×自動応答
- AIが自動で問い合わせ内容を判別し、適切な案内に誘導
- 内容によってオペレーターに接続することも可能
生成AI×自動振り分け
- 「○○の催事出展について相談したい」など、具体的な用件をAIが判別し、オペレーターに接続
- 担当のオペレーターが電話に出られない時は、問い合わせ内容を要約してメールで通知
生成AI×自動検索
- 「○○という商品の在庫状況が知りたい」などの問い合わせに対し、AIが内容を理解し、Web上のシステムと連動して、検索結果を提示
- 検索条件として足りない要素があれば、AIが聞き直して再検索を実施
生成AI×自動予約
- ギフト予約など、オペレーターを介して行っていた業務を、AIが自動で実施
- 「商品名」「配送先」「注文者」などを一度にまとめて話しても、AIによる内容判別が可能
4. まとめ
百貨店・大型スーパーに多くみられる、商品・キャンペーンについての問い合わせやギフト予約などの電話業務にAI-IVRを導入することで、一次応対の自動化や電話応答率の向上などが可能になり、業務効率化や顧客満足度の向上が期待できます。AI-IVRの導入をお考えの方は、ぜひNTT東日本にご相談ください!
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