COLUMN

2024.10.16 ｜ Writer：NTT東日本　アベ

Amazon Lexでカスタムスロットタイプを活用し、Amazon Connectで自動IVR機能を実装する方法

Amazon LexとAmazon Connectを連携させて自動IVRシステムを構築する方法について解説します。

Amazon Lexは自然言語処理を活用した対話型のAIで、音声やテキストでのやり取りを自動化するために活用されています。

一方、Amazon Connectはクラウドベースのコンタクトセンターソリューションで、カスタマーサポートや問い合わせ対応の効率化に貢献します。

これらのツールを組み合わせることで、より高度な自動化が実現可能です。

NTT東日本のAI-IVRソリューションはこちらで詳しく解説しております！

この記事は、次のような方を対象としています。

IVRシステムを導入したい企業のエンジニア
カスタマーサポートの自動化に興味がある方

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1. Amazon Lexとは

1-1. Amazon Lexの役割と特徴

Amazon Lexは、AWSが提供する対話型AIサービスで、音声やテキストによる会話を自動的に処理することができます。

Amazon Lexの特徴は、自然言語処理（NLP）を用いた高精度の音声認識と、ユーザーの意図（インテント）を理解する能力です。

これにより、ユーザーとの対話をスムーズに進行させることができ、カスタマーサポートや予約システムなど、さまざまなユースケースに対応します。

1-2. Amazon Lexの利用シーン

Amazon Lexは、主に以下のシーンで利用されています。

カスタマーサポート：FAQや簡単な問い合わせに自動対応するボット
予約システム：ホテルやレストランの予約を自動化
FAQチャットボット：Webサイトやアプリ内での顧客サポート

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2. カスタムスロットタイプとは

2-1. カスタムスロットタイプの特徴

スロットタイプにはカスタムスロットと組み込みスロットがあります。

カスタムスロットタイプとは、Amazon Lexが扱うスロットデータを、特定の業界やユースケースに合わせて独自に定義できる機能です。

組み込みスロットタイプとはAmazonにて事前定義されたデータセットであり、都市や日付、電話番号などを認識できる機能です。

2-2. カスタムスロットタイプを活用するメリット

カスタムスロットタイプを活用することで、次のようなメリットがあります。

柔軟なデータ入力：独自のデータセットを定義できるため、業界特有の用語や商品カテゴリにも対応
精度向上：カスタマイズされたスロットタイプにより、より正確にユーザーの意図を理解できる

2-3. 「Expand values」と「Restrict to slot values」の違い

Expand values：ユーザーが入力した値がスロットに定義されていなくても許容され、そのままスロットに保存されます。
この機能は、未知のデータやあらかじめ定義されていない新しい値が頻繁に発生するユースケース（例：製品レビュー、フィードバック収集など）において特に有効です。
ユーザー入力が予期しない値であっても、ボットが柔軟に対応し、新しいデータセットの追加が容易に行えるため、顧客対応やフレキシブルなインターフェースが求められる環境で便利です。
Restrict to slot values：スロットに定義された値以外の入力は拒否され、エラーメッセージを返します。これにより、データの一貫性と整合性が厳密に管理されます。
この設定は、予約システムや注文処理システムなど、正確な値入力が求められるシナリオで適しています。

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3. Amazon Lexの設定

それではAmazon Lexのボット作成～カスタムスロットタイプの設定を進めていきます。

3-1. ボットの作成

Amazon Lexのコンソール画面にて、「Create Bot」をクリックします。

「Start with an example」→「OrderFlowers」の順に選択します。（下へスクロール）

任意の名称を入力し、「Create a role with basic Amazon Lex permissions.」を選択します。（下へスクロール）

「No」→「Next」の順にクリックします。

「Japanese(JP)」→「Done」の順にクリックします。

ボットが作成されたら、「Build」をクリックします。

ボットの作成はこれで完了です。

次は「Expand values」と「Restrict to slot values」に分けて設定していきます。

Amazon Lexコンソール画面にて、「Bot」→「作成したBot」の順にクリックします。

「Slot types」→「FlowerTypes」をクリックします。

3-2. Expand valuesの設定手順

「Expand values」を選択し、任意の名称を入力し、「Save Slot type」→「Build」の順にクリックします。

3-3. Restrict to slot valuesの設定手順

「Restrict to slot values」を選択し、任氏の名称を入力し、「Save Slot type」→「Build」の順にクリックします。

単語の間にスペースを入れることをオススメします。

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4. Amazon ConnectとAmazon Lexの連携

Amazon Connectのコンソール画面にて、「インスタンス」→「任意のインスタンス」の順にクリックします。

「問い合わせフロー」をクリックし、リージョン・ボット・エイリアスにて先ほど作成した情報を選択し、「Amazon Lexボットを追加」をクリックします。

今回は下記のようなフローを作成します。

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5. 「Expand values」と「Restrict to slot values」の比較

フラワーアレンジメントの場合

Expand valuesは、認識してくれました。

"value": {
    "originalValue": "フラワー アレンジメント",
    "resolvedValues": [
        "フラワーアレンジメント"
    ],
    "interpretedValue": "フラワー アレンジメント"
}

Restrict to slot valuesも、認識してくれました。

"value": {
    "originalValue": "フラワー アレンジメント",
    "resolvedValues": [
        "フラワーアレンジメント"
    ],
    "interpretedValue": "フラワーアレンジメント"
}

カラードブーケの場合

Expand valuesは、認識してくれました。

"value": {
    "originalValue": "カラード ブーケ",
    "resolvedValues": [
        "カラードブーケ"
    ],
    "interpretedValue": "カラード ブーケ"
    }

Restrict to slot valuesも、認識してくれました。

"value": {
    "originalValue": "カラード ブーケ",
    "interpretedValue": "カラードブーケ",
    "resolvedValues": [
        "カラードブーケ"
    ]
}

ブリザーブドフラワーの場合

Expand valuesでは、resolvedValuesが空になってしまいました。

"value": {
    "originalValue": "ブリザーブド フラワー",
    "resolvedValues": [],
    "interpretedValue": "ブリザーブド フラワー"
}

Restrict to slot valuesは、認識してくれました。

"value": {
    "originalValue": "ブリザーブド フラワー",
    "interpretedValue": "ブリザーブドフラワー",
    "resolvedValues": [
      "ブリザーブドフラワー"
    ]
}

未定義なスロット値（ブリーダーフラワーと発音）

Expand valuesでは、interpretedValueにブリーダーフラワーと認識されました。

"value": {
    "originalValue": "ブリーダー フラワー",
    "resolvedValues": [],
    "interpretedValue": "ブリーダー フラワー"
}

Restrict to slot valuesでは、認識されませんでした。

{
    "intent": {
        "name": "OrderFlowers",
        "state": "InProgress",
        "confirmationState": "None",
        "slots": {
            "FlowerType": null
        }
    },
    "dialogAction": {
        "type": "ElicitSlot",
        "slotToElicit": "FlowerType"
    },
    "inputTranscript": "ブリーダー フラワー"
}

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