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ファイルサーバーとNASの違いは?どちらが自社に合うかすぐ分かる

「ファイルサーバーとNASは何が違うのだろう?」

ファイルサーバーとNASは、どちらも社内のネットワーク上でファイルを保管・共有するためのものですが、この両者がどう違うのかは分かりづらいですよね。

しかしこれからどちらかを導入するのであれば、ファイルサーバーとNASがどういった点で異なり、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのかを知っておく必要があります

こういったことをよく知らないままファイルサーバーやNASを導入してしまうと、

△使い勝手が悪くて業務効率に悪影響を及ぼす

△うまく管理できずトラブルを招いてしまう

といった恐れがあります。

そこでこの記事では、そういった事態を回避するために次のようなことをお伝えします。

本記事の内容

  • ファイルサーバーとNASの基本的な違い
  • ファイルサーバーにできること・NASにできること
  • ファイルサーバーとNASそれぞれのメリット・デメリット
  • ファイルサーバーとNASを気になる5つの項目で比較
  • どちらかを選ぶ際の判断基準

このようなことを把握しておけば、自社に本当に適しているのがファイルサーバーとNASのどちらなのかが分かり、導入に向けてスムーズに動き出せるはずですよ。

ぜひ最後まで目を通してみてくださいね。

1.ファイルサーバーとNASの違い

ファイルサーバーとNASは、「ファイルの保管や共有ができる」という点では同じですが、そもそもそれぞれの定義は以下のように異なるものです。

ここではまず、こうしたファイルサーバーとNASの基本的な違いについてご説明します。

1-1.ファイルサーバーとは

まずは、ファイルサーバーがどのようなものかを知るところから始めましょう。

ファイルサーバーとは、「ネットワークを通してファイルの保管・共有を行うためのサーバー」のことを言います。

これをより深く理解するためには、サーバーが何かを理解しておく必要があります。

サーバーとは?

サーバーとは、ネットワークで繋がるコンピューターからのリクエストに応じて、データ・機能を提供できるように構築した仕組み(コンピューター・ソフトウェア・装置など)のこと。

ファイルサーバーの他にも、メールサーバーやWebサーバーなどさまざまなサーバーがある。

例えばWebサーバーなら、インターネットを介した「A社のWebサイトを閲覧したい」というあなたのリクエストに対して、A社のWebサイトの画像やテキストといったデータを送り返してきている。

こうしたサーバーの意味も踏まえてファイルサーバーとは何かをより具体的に説明すると、

ネットワークで繋がるコンピューターからの<ファイルを保管したい・共有したい>というリクエストに対して、適切な機能を提供する仕組み

と言うことができます。

つまりファイルサーバーというのは、実は特定の機器を指しているわけではなく、ファイルの保管・共有ができる仕組みやシステムのことを指しているのです。

ですから、例えば使っていないパソコンにソフトウェアをインストールするなどして、ネットワーク上でファイル保管・共有をできるようにすれば、そのパソコンやソフトウェアで構築した仕組みをファイルサーバーと呼ぶことができるのです。

1-2. NASとは

続いてNASについても説明しますね。

NASは、Network Attachment Storageの頭文字を取った言葉で、「ネットワークに接続して使うストレージ機器」のことを言います。

つまり、ファイルサーバーとは違い、NASは特定の機器を表す言葉なのです。実際、家電量販店などでも「NAS」と銘打ったファイル保管・共有のための機器が販売されています。

NASという機器がどういうものかというと、

「ネットワークに接続して使うHDD」

と考えてもらえれば分かりやすいかと思います。

あなたも、USB接続の外付けHDDであれば一度は使ったことがあるのではないでしょうか?

NASは、その外付けHDDをUSB接続するのではなく、社内のネットワークに接続して利用するイメージです。

社内ネットワークに接続するので、通常の外付けHDDとは違って複数のパソコンから同時に利用することができ、このことが同じネットワークに接続するパソコンによるファイル保管・共有を可能にしています。

1-3. ファイルサーバーとNASの基本的な違い

ファイルサーバーとNASが、それぞれどういったものかはお分かりいただけたでしょうか?

ここで一度、両者の基本的な違いについて整理しておきます。

まず、ファイルサーバーとは「ネットワークを通じて、ファイル保管・共有に対応できる機能を提供する仕組み」のことでしたね。

このため、ファイルサーバーという名前で特定の機器が販売されているわけではなく、任意のコンピューターやサーバー専用機、ソフトウェアなどを使って、ネットワーク上でファイルの保管や共有ができるように仕組みを構築していく必要があります

対してNASは、「ネットワークに接続して使う、HDDのような機器」のこと。

NASはそのような、ファイル保管・共有のための特定の機器を指しており、ファイルサーバーとは違って自ら仕組みを構築する必要はありません

  • 横にスクロールします

ファイルサーバー

NAS

定義

ネットワークを通じて、ファイル保管・共有のための機能を提供する仕組みやシステム

ネットワークに接続して使うストレージ機器

(イメージ:ネットワークに接続して使うHDD)

使うには

任意のコンピューターやサーバー専用機、ソフトウェアなどを使って自ら構築する

NASを購入して社内ネットワークに接続する

こうして見ると、ファイルサーバーの定義はNASに比べて抽象的なものであることが分かりますね。

そもそも広く考えればNASも、「ファイル保管・共有のための機能を提供する仕組みやシステム」であり、ファイルサーバーの一種と考えることができます。

ただ今回は、ファイルサーバーとNASの違いをより分かりやすくするため、

◆ファイルサーバー=サーバー専用機・ソフトウェアを使って構築する、ネットワーク上でのファイル保管・共有のためのシステム

◆NAS=ネットワーク上でのファイル保管・共有に特化したHDDのような機器

という風に分けて捉えておいてください。

2. ファイルサーバーとNASにできること

ここからはファイルサーバーとNASにできることを紹介しますね。

ファイルの保管や共有といった両者で共通してできることもあれば、ファイルサーバーにしかできないこと・NASにしかできないこともあります。

そのため、

  • ファイルサーバー・NASのどちらでもできること
  • ファイルサーバーだからできること
  • NASだからできること

の3つに分けてお話しします。

2-1. ファイルサーバー・NASのどちらでもできること

まずは、ファイルサーバーとNAS、どちらにおいても可能なファイル保管・ファイル共有についてそれぞれ説明します。

2-1-1. ファイルの保管

同じネットワークに接続されたパソコンなどのデバイスからであれば、ファイルサーバーやNASにファイルを保管することができます。

あなたも普段から、自分専用のパソコンに、文書ファイル・表計算ファイル・画像などさまざまなファイルを保管していますよね。

要はそれと同じことができるのですが、保管先を自分のパソコン内ではなくファイルサーバーやNASにすることができるのです。

これは、例えば次のように役立ちます。

パソコンの容量を補ってくれる

自分のパソコンの容量を圧迫する、動画などの重たいファイルや普段の業務では使わないが保存しておく必要のあるファイルをファイルサーバーやNASに保管しておける。

その分、自分のパソコンの容量に余裕ができる。

データのバックアップを取れる

紛失すると困る重要なデータファイルを、自分のパソコンだけでなくNASやファイルサーバーにも保管しておける。

万が一、パソコンが故障してしまったり、間違えてファイルを削除してしまった場合でもNAS/ファイルサーバーにはファイルが残っているので安心。

自分のパソコン以外にもファイルの保管先があるということには、このような利点があるのです。

2-1-2. ファイルの共有

ファイルサーバーやNASにファイルを保管しておけば、共有も容易に行えます。

ファイルサーバーやNASに保管されているファイルは、同じネットワークに接続しているデバイスで閲覧・ダウンロードできるからです。

例えば、従業員のパソコンが社内LANに接続されている状態なら、従業員のAさんがファイルサーバー/NASに保管したファイルを上司であるBさんが閲覧したり、Bさんのパソコンにダウンロードして編集することもできるのです。

このような形でファイル共有が行えることで、ファイルやZIPフォルダを添付したメールを都度送受信したり、USBメモリの手渡しによってファイルを共有する必要がなくなります

つまり、ファイルサーバーやNASを使ったファイル共有には、

◎手間を省ける

◎USBメモリの紛失による情報漏えいを防止できる

といった利点があるのです。

2-2. ファイルサーバーだからできること

次に、ファイルサーバーだからできることをご紹介しますね。

といっても、ファイルサーバーは、自社で構築して利用するという性質上、柔軟に必要な機能を追加することができます。

そのため、ここでご紹介するのは、「ファイル保管・共有という機能と共にファイルサーバーに構築されることが多い機能」といった意味合いになります。

そのような機能をまとめたのが以下の表です。

  • 横にスクロールします
ファイルサーバーだからできること
直接編集

ファイルサーバーに保管したファイルを、ローカルのパソコンにダウンロードすることなくファイルサーバー上で直接編集できる。

他システム・ツールとの連携

社内Wikiや認証システムなどと連携させて利便性を高めることができる。

細かいアクセス権限設定

フォルダ別・ファイル別にアクセスできるパソコン(従業員)を制限できる。

閲覧はできるが、編集はできない等の柔軟な設定も可能。

アクセスログ取得

「ファイルサーバー上で誰がどのような操作をしたか」という履歴を記録し参照することができる。

ファイルサーバーなら、このようなファイル保管・共有における利便性や安全性を高めるための機能を具備させることができるのです。

2-3. NASだからできること

NASだからできることについてもご紹介します。

NASはお伝えしている通り、ネットワークに接続して使うHDDのような機器であり、ファイルサーバーと比べると柔軟に機能を持たせることはできません。

そのため、機能面で「NASだからこそできること」を挙げるのは難しいのです。

ただ、そんなファイル保管と共有に特化したNASだからこそ、「容易な導入と運用」が可能です。

NASは、ファイル保管・共有機能が搭載された状態で販売されています。また、その他の機能を持たせることができないということは、裏を返せば「他の機能を持たせるための設定や作業の必要が無い」ということです。

このような比較的シンプルな機器だからこそ、社内にインフラエンジニアや情報システム専任の担当者が在籍していなくても導入・運用していくことができるのです。

3.ファイルサーバーのメリット・デメリット

ここまでで、ファイルサーバーとNASの基本的な違いが少しずつ把握できてきたのではないでしょうか。

そこで次に気になるのが、それぞれのメリットとデメリットですよね。

ファイルサーバーもNASも、導入すればファイル保管・共有ができるようになるため、それが最大のメリットではありますが、今回はファイルサーバーとNASの違いにフォーカスしてそれぞれのメリット・デメリットをお伝えします

まずはファイルサーバーのメリットとデメリットから見ていきましょう。

3-1.ファイルサーバーのメリット

ここでは、NASと比べた時のファイルサーバーのメリットを3つご紹介します。

メリット① 自社に合わせて機能をカスタマイズできる

ファイルサーバーは、サーバー専用機やソフトウェアを使用して自社で構築するシステムであるため、自社の特性や業務に合わせて自由度高く機能を追加することができます。

このことで、より利便性が高く効率の良いファイル保管・共有が実現します。

メリット② 高度な情報セキュリティ対策が可能

自由度高く構築できるファイルサーバーなら、必要なレベルに応じた情報セキュリティ対策を施すことも可能です。

例えば、ファイアウォールを設定してウイルスの侵入を防御する、アクセスログを管理して悪意のある不正アクセスを防ぐ、細やかなアクセス権限の設定により情報漏えいを防止する、といった対策を複合的に講じることができます。

メリット③ 容量を拡張しやすい

ファイルサーバーを導入する際に容量を拡張しやすい構成にしておくと、スムーズに容量を追加することができます

データは日々増えていくものなので、使用できる容量を容易に追加できることは大きなメリットです。

こうしたメリットから、ファイルサーバーを選べば自社のニーズにマッチしたオーダーメイドとも言えるファイル保管・共有システムを活用できるということが分かります。

3-2.ファイルサーバーのデメリット

続けてファイルサーバーのデメリットをご紹介します。

デメリット① 専門的な知識・技術が必要

ファイルサーバーを導入するためには、ファイル保管・共有のためのシステムを構築しなければなりません。また運用中においても、OSのアップデートや機器類のメンテナンス、トラブル対応などを行う必要があります

こういったことに対応するには、社内インフラに関する専門的な知識や技術が必要です。

デメリット② 導入・運用にかかるコスト

ファイルサーバーの導入・運用には、NASと比べて高額な費用がかかります。

中小規模(20~30人程度)でファイルサーバーを導入する場合、サーバー専用機だけで10万円以上は見ておかなければなりません。より大規模に利用する場合や、機能を追求するならその金額はさらに大きくなります。

加えてソフトウェアやOSのライセンス費用も必要になってきます。

また運用開始後は、保守対応のための人件費もしくは外注費などがランニングコストとなります。

ファイルサーバーにはこうしたデメリットがありますが、クラウドで作動するクラウド型ファイルサーバーならデメリットを克服しつつファイルサーバーを利用することができます

クラウド型ファイルサーバーについては、7. どちらか選ぶのが難しいならクラウド型のファイルサーバーも検討してみる で詳しく説明しているので、参考にしてみてくださいね。

4.NASのメリット・デメリット

続いて、NASのメリットとデメリットについてもご紹介しますね。

4-1.NASのメリット

NASに関しても、ファイルサーバーと比較した場合にどういったことが利点になるかという視点でお話ししていきます。

メリット① 導入・運用が容易

NASは本体の購入後、社内LANに接続し簡単な初期設定を行えばすぐに利用することができ、自社でシステム構築を行うファイルサーバーと比べてかなり手軽に導入できると言えます。

運用においても、ファームウエア(NASを制御するソフトウェア)の更新こそ必要ですが、ちょっとしたトラブルならメーカーのヘルプデスクなどに問い合わせて解決できる場合も多いです。またオプションの保守サービスを利用することもでき、運用に必要な対応をある程度メーカーに任せることができます

メリット② 導入・運用コストがリーズナブル

NASは中小規模向け(~30人)のものなら搭載するHDDも含めて10万円前後、50人程度の規模を想定したものでも20〜30万円で購入することができます。また基本的に、導入時には本体購入費以外のコストはかかりません

運用負担も少ないので、必然的に運用費も少なくて済みます

このため、ファイルサーバーに比べてリーズナブルに導入・運用が可能なのです。

このようなメリットのあるNASは、労力・コストの面で自社の負担が小さく済み、ファイルサーバーと比べて導入のハードルは随分低いことがお分かりですね。

4-2.NASのデメリット

次に、ファイルサーバーと比べた場合にデメリットとなる点をご紹介します。

デメリット① カスタマイズ性に欠ける

NASはファイル保管・共有に必要な機能があらかじめ搭載された機器です。そのためファイルサーバーとは異なり、備わっている機能をアレンジしたり、別の機能を追加したりという自由は効きづらいと言えます。

最近は簡易的なアクセス権限の設定や、ローカルパソコンとのフォルダ同期などのオプション機能を備えている機種も出てきてはいますが、あくまで機種に搭載された範囲でしか機能のアレンジ・追加はできません

デメリット② 情報セキュリティのレベルは機種に依存する

NASで可能な情報セキュリティ対策のレベルは、製品によってまちまちです。

多くの製品である程度のウイルス対策やアクセス権限の設定・管理はできますが、その安全性の高さや細やかさは製品によって異なるのです。

また全般的なことを言えば、自社要件に合わせて対策可能なファイルサーバーの方が、情報セキュリティの面では優れていると言えるでしょう。

NASにはこういったデメリットがあるので、オプション的な機能が必要であったり、自社のセキュリティ要件が厳しい場合には機種の選定を慎重に行う必要があるのです。

5. ファイルサーバーとNASを5つの項目で比較

ファイルサーバーとNASのメリット・デメリットがそれぞれ分かったところで、ここまでのお話を踏まえて改めて両者を見比べてみましょう。

次の表をご覧ください。

  • 横にスクロールします
ファイルサーバー NAS
利用可能な範囲

同一ネットワーク内

同一ネットワーク内

カスタマイズ性

高度な情報セキュリティ対策

導入・運用の容易さ

導入・運用コスト

こうして並べて比較してみると、どちらも一長一短であることが分かりますよね。

ここでは各項目ごとに、もう少し詳しく両者の違いを見ていきたいと思います。

5-1. 利用可能な範囲

  • 横にスクロールします

ファイルサーバー

NAS
利用可能な範囲

同一ネットワーク内

同一ネットワーク内

ファイルサーバーもNASも、利用できるのは同じネットワークに接続しているパソコン等のデバイスから、というのは共通しています。

つまり基本的には、どちらもLANに接続できる社内からの利用に適したツールであると言えます。

外部から利用する手段も無いわけではありませんが、別途接続回線を用意したり、外部と接続する分情報セキュリティ対策をさらに強化する必要があります。

それであれば、最初から社内外での利用を前提としたクラウド型のファイルサーバーを利用する方がおすすめです。クラウド型ファイルサーバーについては、7. どちらか選ぶのが難しいならクラウド型のファイルサーバーも検討してみる で詳しく解説していますので、参考にしてみてくださいね。

5-2. カスタマイズ性

  • 横にスクロールします
ファイルサーバー NAS
カスタマイズ性

機能を追加したり、自社向けにアレンジしたりといったカスタマイズ性についてはファイルサーバーの方が優れています

お伝えしてきた通り、ファイルサーバーはそもそも自社で構築を行うシステムだからです。

NASでもある程度機能を追加することはできますが、それは各製品で用意されている範囲に留まります

NASの利用を開始してから機能を増やしたいと思っても、そのNASで追加できる機能に該当していなければ、諦めるか、対応できる別の機種を新たに導入するしかないのです。

5-3. 高度な情報セキュリティ対策

  • 横にスクロールします
ファイルサーバー NAS
高度な情報セキュリティ対策

より安全性の高い情報セキュリティ対策を講じられるのは、ファイルサーバー

セキュリティソフトやファイアウォールを自由に組み合わせて複合的に対策することもできますし、アクセス権限については、(フォルダ別ではなく)ファイル別に設定するなど細やかさも追求できます。

一方NASでは、機能と同じく各製品で用意されている範囲内でしか対策を講じることができません

そのため、自社要件をクリアする製品を慎重に選ばなければセキュリティ面で不安を抱えることになってしまいます。

5-4. 導入・運用の容易さ

  • 横にスクロールします
ファイルサーバー NAS
導入・運用の容易さ

導入・運用については、NASの方が簡単に行えます。

NASは、先ほどもお伝えした通り、本体を購入してすぐ利用し始めることができ、運用に必要な対応もある程度メーカー側に任せることができます。

一方ファイルサーバーは、自社で作り上げ、自社で運用していくもの。

導入にも運用にも人的コストがかかりますし、専門的な知識・技術を持った担当者の存在も欠かせません

5-5. 導入・運用コスト

  • 横にスクロールします
ファイルサーバー NAS
導入・運用コスト

導入・運用における費用負担が小さくて済むのもNASの方です。

その理由として、機器自体の価格がファイルサーバーと比べてリーズナブルなことや、運用負担が小さく、その分人件費を抑えられることが挙げられます。

一方ファイルサーバーは、核となるサーバー専用機がNASよりも高額な傾向にありますし、ソフトウェアやOSのライセンス費用も必要となります。運用における人件費もNASの場合より多くかかります。

つまり、導入時も運用開始後も、NASの方がコストは抑えられるのです。

6. ファイルサーバーかNASかは利用目的に応じて決めよう

ファイルサーバーとNASを項目別に比較してみて、両者の違いがより明確に分かってきたのではないでしょうか。

とはいえ、それぞれに強み・弱みがあるので、自社にどちらを導入すべきかなかなか結論は出しづらいかもしれませんね。

その場合は、ファイル保管・共有を行うツールを「何のために、どのように使いたいのか」という利用目的を突き詰めて考えてみてください。

利用目的をできるだけ具体的に描くことで、それに見合ったツールを判断しやすくなるはずです。

以下の表に、ファイル保管・共有ツールの利用目的例とそれに適したツールをまとめたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

利用目的の例 適しているツール

100人を超える規模感で柔軟にアクセス管理をしつつ、一元的にファイル保管・共有を行う

ファイルサーバー

拡大傾向にある会社の状況に対応しつつ、ファイル共有を効率化

ファイルサーバー

情報漏えいリスクを可能な限り低減した上で機密情報を保管

ファイルサーバー

複数の部署での業務に対応できるファイル保管・共有ツール導入

ファイルサーバー

50人以下の規模感で大まかにアクセス管理をしつつ、ファイル保管・共有を行う

NAS

単一のグループ・部署でファイル保管・共有を行う

NAS

導入・運用の労力負担を抑えつつも、ファイル共有を効率化

NAS

コストは抑えて、ファイルの保管・共有だけをシンプルに行う

NAS

ファイル保管・共有ツールは、利用人数が増えたり利用範囲が広がると多様な使い方に対応する必要性が出てきます

そのような状況に対応していくことがツールの利用目的に含まれるのであれば、基本的にはファイルサーバーがおすすめです。

また、ファイル保管・共有のシンプルな機能を管理負担やコストを抑えて利用するのが目的であればNASを選ぶと良いでしょう。

7. どちらか選ぶのが難しいならクラウド型のファイルサーバーも検討してみる

ここまでお読みいただいてもファイルサーバーとNAS、どちらを導入すべきか判断できないという場合は、どちらもあなたの会社には適していないという可能性もあります

そこで新たに検討してみて欲しいのが、クラウド型のファイルサーバーです。

クラウド型ファイルサーバーはその言葉の通り、ファイル保管・共有をクラウド上で行うファイルサーバーのこと。身近な例を挙げると、GoogleドライブやDropboxなどもクラウド型ファイルサーバーの一種です。

ここではクラウド型ファイルサーバーの特徴とメリット・デメリットについて説明します。

ファイルサーバーとNASのどちらにもピンと来ていないならぜひ参考にしてみてください。

7-1.クラウド型ファイルサーバーの特徴

クラウド型のファイルサーバーは、ファイル保管・共有を目的とするものが多い傾向で、これに関しては通常のファイルサーバーやNASと共通するところです。

ただ、インターネットなど外部との接続ネットワークを介してクラウド上にファイルを保管する傾向が多いという点がファイルサーバー・NASとは少し異なります。ファイルサーバーやNASでも外部アクセスを可能としている場合もありますが、社内運用のみで利用している場合もあります。

これにより、社内運用するファイルサーバーやNASには少ない次のような特徴を有しています。

  • ファイルサーバーやNASのように、ファイルの保管場所となる機器を設置しない
  • 主としてクラウドサービスの利用料が運用コストとなる

どれも、社内運用のファイルサーバーやNASには見られない特徴ですよね。

そのため、ファイルサーバーとNASのどちらも選べないという場合、クラウド型ファイルサーバーは第三の選択肢として有効なはずです。

7-2. クラウド型ファイルサーバーのタイプ

クラウド型のファイルサーバーは、クラウドストレージタイプと自社構築タイプの大きく2つに分けることができます。

クラウドストレージタイプは、ファイル保管・共有機能やそれに付随する機能がパッケージ化されているタイプで、個人向けのものならアカウントを作るだけですぐに利用開始できます。GoogleドライブやDropboxもクラウドストレージの一つです。

クラウドストレージを利用したことがあればイメージしやすいかと思いますが、このタイプならファイル保管・共有ができるだけでなく、ファイルへのコメント機能や複数人でのファイルの同時編集機能などがあらかじめ備わっています。

自社構築タイプは、自社の要件に応じて自らファイル保管・共有のためのシステムを構築する必要があります。これは、今までお話ししてきた自社運用のファイルサーバーとも共通するところです。

クラウドストレージタイプよりも導入や運用に手がかかりますが、自社で対応できない部分を、クラウド導入/運用支援を行うサポート企業に頼ることも可能です。

7-3. クラウド型ファイルサーバーのメリット

クラウド型ファイルサーバーには次のようなメリットがあります。

  • インターネットなどのネットワークがあれば、どこからでも使える
  • 運用に必要な対応の大部分を、クラウドサービスのベンダー企業やクラウド運用支援事業者に任せられるため労力負担が小さい
  • 複数人がファイルを閲覧している状態で編集でき、編集内容をオンタイムで反映できる
  • クラウドサービス事業者により、高度な情報セキュリティ対策が為されている

こうしたメリットは、テレワークや離れた拠点間での共同作業に大きく貢献します。

また運用負担が小さいため、社内にエンジニアが在籍していない場合でも安心して利用することができるのです。

7-4. クラウド型ファイルサーバーのデメリット

最後にデメリットについても見ておきましょう。

  • 毎月クラウドサービス利用料が発生する
  • 既存の社内システムと連携できない場合がある

クラウド型のファイルサーバーにはこうしたデメリットがあります。

特に毎月の利用料については、コンスタントな出費となるため気になるところ。ただ、その分運用にかかる負担や人件費も抑えられるので、費用対効果としては決して悪くないはずです。

クラウド型ファイルサーバーについて、より詳しくお知りになりたい場合は、「クラウド型ファイルサーバーとは?基礎知識から導入方法まで解説」も参考にしてみてくださいね。

8. クラウド型のファイルサーバーをお考えならNTT東日本へご相談ください

クラウド型のファイルサーバーも含めてファイル保管・共有のツールをご検討されているなら、ぜひ一度NTT東日本にご相談ください。

NTT東日本は、クラウド導入・運用支援サービスを通してお客さまのさまざまなビジネス課題を解決に導いてきました。

そんなクラウドのプロである私たちが、あなたの会社で本当に使いやすいクラウド型ファイルサーバーの導入・運用をご支援します

それを可能にする私たちの強みが、次の2つです。

◎150件を超える実績に裏付けられた課題解決力

◎クラウドとネットワークの一元サポート

8-1. 150件を超える実績に裏付けられた課題解決力

NTT東日本では、これまでに150社以上のお客さま企業に対してクラウド導入・運用支援を行ってまいりました。

こうした実績によって裏付けられた課題解決力により、あなたの会社のニーズに応えるサポートを実現します。クラウド型ファイルサーバーについて、以下のようなご要望・疑問もお気軽にお聞かせください。

  • 限りある予算内でクラウド型ファイルサーバーを導入・運用したい
  • ファイル保管・共有においてセキュリティリスクを可能な限り低減したい
  • クラウド型ファイルサーバーによってテレワークに適した環境を構築したい
  • 業務内容に見合ったクラウド型ファイルサーバーはどれか?
  • そもそも自社に適しているのは自社運用のファイルサーバー・NAS・クラウド型ファイルサーバーのどれなのか?

疑問を解消し、ご希望に沿った形でファイル保管・共有が行えるよう、これまで培ってきた課題解決力を駆使してサポートさせていただきます。

8-2. クラウド型ファイルサーバーとネットワークの一元サポート

NTT東日本は、長年ネットワーク事業者としても実績を積んできました。

そのため、クラウド型ファイルサーバーの導入支援だけではなく、「クラウド型ファイルサーバーを安全かつ快適に利用するネットワーク」についても設計・構築することが可能です。

一般的なクラウド導入支援事業者の対応範囲は、クラウドのみに限定されることも多いです。

クラウド型ファイルサーバーを導入する場合なら、システムの構築やクラウドストレージの選定、導入といったところまではサポートしてもらえても、快適に利用できる環境については対応してもらえない可能性があります

一方でネットワーク事業者でもあるNTT東日本では、クラウド型ファイルサーバーをより安全・快適に利用するための閉域ネットワークやお客さま企業内のLAN環境の設計・構築までまとめてサポートしています。

こうした利用環境までカバーできるサポートによって、お客さま企業では情報漏えいリスクを低減するとともに、より効率的なファイル保管・共有が可能となるのです。

このように、NTT東日本ならお客さまそれぞれのニーズを満たす、より安全・快適なクラウド型ファイルサーバーの導入が実現します。

ファイル保管・共有ツールについて、クラウド型ファイルサーバーも含めて導入を検討しているなら、ぜひ一度お話をお聞かせください。

NTT東日本に相談する

9. まとめ

ファイルサーバーとNASの違いや、それぞれのメリット・デメリットについてお分かりいただけたでしょうか。

最後に今回の内容をおさらいしましょう。

◆ ファイルサーバーとは…

サーバー専用機・ソフトウェア等を使って構築する、ネットワーク上でのファイル保管・共有のための仕組み(システム)のこと。特定の機器を指しているのではない。

◆ NASとは…

ネットワーク上でのファイル保管・共有に特化したHDDのような機器のこと。

つまりファイルサーバーやNASを使って、ファイルの保管と共有を行うことができます。

その他、ファイルサーバーであれば、

  • ファイルサーバー上でのファイルの直接編集
  • 他システム・ツールとの連携
  • 細かいアクセス権限設定
  • アクセスログ取得

といった機能を持たせることも可能です。

機能面で「NASだからできること」を挙げるのは難しいですが、管理面で言えば、NASは容易な導入と運用が可能です。

ファイルサーバーとNASには、それぞれ以下のようなメリット・デメリットがあり、どちらも一長一短であることが分かります。

  • 横にスクロールします
ファイルサーバー NAS
メリット
  • 自社に合わせて機能をカスタマイズできる
  • 高度な情報セキュリティ対策が可能
  • 容量を拡張しやすい
  • 導入・運用が容易
  • 導入・運用コストがリーズナブル
デメリット
  • 専門的な知識・技術が必要
  • 導入・運用にかかるコストが高い
  • カスタマイズ性に欠ける
  • 情報セキュリティのレベルは機種に依存する

また、項目ごとに改めてファイルサーバーとNASを比較したのが、以下の表です。

  • 横にスクロールします
ファイルサーバー NAS
利用可能な範囲

同一ネットワーク内

同一ネットワーク内

カスタマイズ性

高度な情報セキュリティ対策

導入・運用の容易さ

導入・運用コスト

このように、それぞれに強み・弱みのあるファイルサーバーとNASですが、どちらが自社に適しているか判断するためには利用目的を突き詰めて考えると良いですよ。

もしそれでもどちらか選べないという場合は、両方ともあなたの会社には適していないという可能性もあります。

そこで第三の選択肢として、クラウド型ファイルサーバーを検討してみるのも良いでしょう。

クラウド型ファイルサーバーは、自社運用のファイルサーバーやNASと同じくファイル保管・共有を目的としたもので以下のような特徴があります。

  • ファイルサーバーやNASのように、ファイルの保管場所となる機器を設置しない
  • 社内でも社外でも利用できるのがデフォルト
  • 主としてクラウドサービスの利用料が運用コストとなる

また、メリット・デメリットについては次の通りです。

メリット
  • インターネットなどのネットワークがあれば、どこからでも使える
  • 運用に必要な対応の大部分を、クラウドサービスのベンダー企業やクラウド運用支援事業者に任せられるため労力負担が小さい
  • 複数人がファイルを閲覧している状態で編集でき、編集内容をオンタイムで反映できる
  • クラウドサービス事業者により、高度な情報セキュリティ対策が為されている
デメリット
  • 毎月クラウドサービス利用料が発生する
  • 既存の社内システムと連携できない場合がある

このように、ファイル保管・共有の手段にはファイルサーバー、NAS、そしてクラウド型ファイルサーバーという選択肢があります。

それぞれの違いを把握して、あなたの会社にベストなものを選んでくださいね。

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