COLUMN
【テックメモシリーズ】サーバーレス初⼼者がAmazon S3+CloudFrontでWebサイトを運⽤してみた
NTT東日本が行ってきた さまざまな開発テクニックを紹介する「テックメモシリーズ」、開発者が実際の業務のなかで書き溜めていった作業メモをそのままリアルにご紹介するシリーズとなります。 |
今回はサーバーレス初⼼者がAmazon S3とAmazon CloudFrontを使ってWebサイトを構築し、これを運⽤するまでの記録を紹介いたします。
サーバーレス初心者がS3+CloudFrontでWebサイトを運用してみた
EC2でのサーバーとS3でのサーバーレス構成の比較
EC2でサーバーを立てる場合
- サーバーのOSの選定(WindowsやLinuxなど)とOSのアップデートが必要
- ミドルウェアの選定(ApacheやNginxなど)とOSのアップデートが必要
- 好きなOS、ミドルウェアを選べる
- PHPなどサーバーサイドプログラムを動かせる
S3でサーバーレスの場合
- サーバーのOSの選定やOSのアップデートが不要
- apacheやnginxのようなミドルウェアのアップデートをする必要ない
- 上記が不要であるためコンテンツ運用に稼働を費やせる
- 静的コンテンツの際はコストが安くすむ EC2 t2.micro 30GB で毎月11.12USD S3 +Cloudfront で30GB送受信 で毎月5.58USD ※AWS Pricing Caluculatorで概算
機能要件
- サーバーレス
- 直接コンテンツにアクセスさせない
- IPアドレス制限でアクセスは社内のみ
- httpsアクセスのみ
- 異常時のアラート通知がいく
構成と機能
- S3:静的Webホスティング
- WAF:WebACL+IP制限
- GuardDuty:S3保護
- CloudFront:直接S3にアクセスさせないhttpsアクセス
- Eventbridge:WAF、Gaurddutyのモニタ
- Cloudwatch:Cloudfrontのモニタ
- SNS:Eventbridge、Cloudwatchのイベントを通知する
構成図
設定手順
- S3で静的Webサイト構築
- Cloudfrontでhttpsのみのアクセス許可、S3へ直接アクセスさせない
- WAFでIP制限、WebACL設定
- GaurdDutyでS3保護
- SNS設定
- WAFの通知設定
- Cloudfrontの通知設定
- GaurdDutyの通知設定
S3で静的Webサイト構築
①S3で静的ウェブサイトホスティングを有効にする
インデックスドキュメントにindex.htmlを指定
②アクセス許可でパブリックアクセスをすべてブロック
静的Webサイトをホスティングできたため
S3にhtmlファイルを置けばひとまずWebサイトだけは完成です。
CloudFrontでhttpsのみアクセス許可、S3へ直接アクセスさせない
①ディストリビューション作成
今回はオリジナルドメインでS3を指定、オリジンパスにindex.html
②ビューワープロトコルポリシー
Redirect HTTP to HTTPSに設定
③WAFの設定後、そのWAFをWebACLと関連づける
WAFでIP制限、WebACL設定
①WAFにてIP制限を決める(IPアドレスとそれを許可するか拒否するか)
②Web ACLを作成
③Add managed rule groupsで適当なものを追加 ①で作成したIPsetを追加
GaurdDutyでのS3保護
①GaurdDutyで S3保護 を有効化
SNSの設定
①トピックの作成
②作成したトピックから通知先のサブスクリプション(Eメール)の作成をする プロトコルはEメール、エンドポイントに送付先を記入しサブスクリプションの作成 ※メールの認証も忘れずに
WAFの通知設定
①WAFはCloudWatchでメトリクスで通知設定する ダッシュボードのすべてのアラームからアラーム作成
②必要なメトリクスと条件を選択
③通知は先ほど設定したSNSへ
CloudFrontの通知設定
①CloudFrontはダッシュボードのアラームからCloudwatchの設定ができる
②メトリクス※を選び通知オプションに先ほど作成したSNSを選択し作成
※今回は4xxエラー率と5xxエラー率で作成
Cloudwatchはバージニア北部に作成されるため注意
GaurdDutyの通知設定
①Eventbridgeで設定をする
②イベントパターンを決める カスタムパターンで細かく設定することもできるが今回は以下の設定 イベントソース:AWSのサービス AWSのサービス:GaurdDuty イベントタイプ:すべてのタイプ
③ターゲットをSNSトピックにし、先ほど作成したものを選択 ※入力トランスフォーマーを設定すれば通知内容を整形することもできるが今回はそのままで設定
運用開始後
サーバーレスであるため一度構築してしまえば、サーバーのOSやミドルウェアのアップデートやセキュリティのアップデートの管理が不要でコンテンツの作成に集中できるのはすごく楽に感じました。
ただし、サーバー以外の細かいところで継続的な運用が必要だと分かりました。
WAF
IPsetで許可するIPアドレスの変更
IP制限をかけているが社内のIPアドレスについてもブロックしてしまうなどが発生した場合、許可リストに入っていないことが考えられるためIPsetでIPアドレスを追加する。
WebACLでマネージドルールの最適化
WAFのWebACLで許可されたリクエストやブロックされたリクエストを監視していてその通知に対して以下の措置を検討する
コンテンツの拡張など必要に応じて更なるマネージドルールを追加
ブロックしたものの通知させておき、意図しない通信をブロックされた場合、Rulesでカウントモードにして必要、不要を探る。 ※カウントモードでは検知のみする マネージドルールのバージョンアップで変化があった場合も同様に設定する。
CloudFront
4XX、5XXエラーに対してディストリビューションの再有効化
CloudFrontのアラーム(今回は4XXエラー)が以下で来た場合にエラーカウントに対して通知させているため措置としてディストリビューションの再有効化でエラーカウントが減るか様子見をする
4XX、5XXごとのエラーページの作成
デフォルトのエラーページだけでは以下のようなページで不十分
セキュリティの脆弱性対策のため、各エラーに対してページを作成する。
エラーページを作成してS3におくことでカスタマイズもできる
地理的制限
また一部のエリアからアクセスが多いリスクが発生した。
日本だけ閲覧できるようにするか、アクセスの多い国をブロックする。
S3
バージョニングとライフサイクルルールの設定
コンテンツの世代管理するために、バケットのバージョニングを設定する
ライフサイクルルールで非現行バージョンをストレージクラスを移行する
ストレージクラス、現行でなくなって何日後に移行か、保存するバージョン数を コストを考慮しながら検討する
GuardDuty
S3の設定変更などで以下のような通知があったとき、事象の確認と対処の有無を確認
上記ではブロックパブリックアクセスが無効となったためGuardDutyで確認
該当のS3と作業したものが特定できる。
最後に
サーバーレスでの運用は、ほぼ手間いらずで、EC2の運用よりは楽であると思っていましたが、異常時などの通知があったときの措置や都度の設定変更が必要であると分かりました。
ただし、サーバやOSの運用が不要であるため、異常時などの対応に注力できることは嬉しいですね!
おわりに
今回はサーバーレス初⼼者がAmazon S3とAmazon CloudFrontを使ってWebサイトを構築し、これを運⽤するまでの記録をご紹介しました。
AWSではサーバーレス初⼼者でも構築から運用までを簡単にできることが、ご理解頂けたかと思います。
「まだAWSを使ったことがない」「AWS上でWebサイトを構築したことがない」といった方の参考になれば幸いです。
これからもNTT東日本が行ってきた さまざまな開発テクニックを紹介していきますのでご期待ください。
- Amazon Web Services(AWS)および記載するすべてのAmazonのサービス名は、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。
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