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サーバー保守サービスの提供期間終了にあわせてクラウド化を検討する企業が知っておきたいポイント

AWSやMicrosoft Azureの各サービスの設定・運用は、NTT東日本のクラウド導入・運用サービスで承ります。こちらより資料をダウンロードいただけますので、併せてご確認ください。

「サーバーの保守サービスの提供期間終了ということはよくベンダーやメーカーから聞くが、実際に自分がその対応を任されたときに、どこからどうやって手を付ければよいのか分からない」ということがあるのではないでしょうか。

一般的にサーバーなどの機器について、5年~7年で保守サービスの提供期間が終了することが多いです。

本記事では、保守サービスの提供期間終了を迎えるに際して、どのようなことを検討する必要があり、どういった選択肢があり、それらをどのように評価し、決定していくかということについて紹介したいと思います。

1. 保守サービスの提供期間終了とは何か?

自社で利用する業務用アプリケーションを動作させるための方式として、以下の3つが考えられます。

①クライアントソフトをインストールして利用

②社内(オンプレミス)もしくはデータセンタ等に業務用サーバーを立てて利用

③パブリッククラウドやSaaSサービスの利用

NTT東日本において2022年に調査した結果によると、②の形態で利用されている会社が約62%を占めており、何らかの業務用サーバーを自社で運用されている会社が多い実態が分かってきました。

自社でサーバーを運用するとなると、どうしても避けて通れない問題が、サーバーなどのハードウェア機器の保守サービス提供期間の終了になります。

一般的にサーバーなどを製造しているメーカーは、ある型式の製品の製造を終了しても、保守に必要な部品を確保しておく必要があるものの、無期限に確保し続けることは不可能であるため、製造終了後5年間などの期限を切って対応しています。また、製品を出荷し使用を開始して5年以上経過すると、機器の故障や障害の発生が多くなることから、保守サービスの提供期間をあらかじめ設定しています。

保守サービスの提供期間が終了すると、ハードウェアの部品(ディスク、マザーボード、メモリ、ファンなど)が故障した際に、部品の交換の対応ができなくなります。そうすると、サーバーなどの機能を回復することができなくなる影響が生じます。また、保守サービスの提供期間内であれば、メーカーのエンジニアによる交換サービスを受けることが可能でしたが、提供期間終了により、エンジニアの派遣をしてくれない場合もあります(別途有償で派遣してもらうサービスを提供している場合もあり)。いずれの場合にしても、継続して業務を実施できない影響が生じることとなります。

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2. 終了を迎えるに際しての対策は?

保守サービスの提供期間の終了に際して、その対策としてのパターンには主に以下の3つが考えられます。

①保守サービスの提供されない状態で運用を続ける

②ハードウェアをオンプレミスで更改

③ハードウェアをクラウドに移行

そのそれぞれをについて、検討の流れとメリット、デメリットを説明していきたいと思います。

2-1. 保守サービスの提供されない状態で運用を続ける

例えば以下のようなユースケースが該当します。

  • 新システムの導入が決まっているため、暫定的に今使っているハードウェアを延命して使い続けたい
  • すぐに更改する予算が確保できていない
  • ほかのシステムとの連携を行うために現行のシステムを使い続ける必要がある

これら上記のケースで検討されるのが、このパターンになります。この場合、まずは未来にわたってずっと使い続けるわけにはいかないので、いつまで使い続けるのか、を明確にしておく必要があります。

すでに導入から5年などある程度経年しているため、故障発生率が高くなっている可能性があることを考慮する必要があります。故障が発生してもメーカーサポートが受けられない、また交換する部品についても供給されない可能性があります。そのため、あらかじめ故障しそうな部品の予備を購入しておく、交換のためのマニュアルを用意しておくといった対策が必要となってきます。特にCPUを冷却するためのファン、ハードディスクといった部品は、物理的に回転していることもあり、故障する頻度が比較的多い部品となっています。

また、保守サポートが切れたハードウェアなどをメーカーに代わり保守サービスを提供する第三者保守サービスを提供している事業者もありますので、そういったサービスの活用を検討するのもよいかもしれません。

2-2. ハードウェアをオンプレミスで更改

このケースは、これまで運用してきたのと同様に、オンプレミスで古いハードウェアから新しい後継となるハードウェアに更改するケースになります。この場合は、ほかのケースに比べてリスクは低く移行できるパターンかもしれません。また、ハードウェアの運用についても、これまでの運用を踏襲する形で運用業務を行うことができる点もメリットになるかもしれません。ただし、ハードウェアの更改に伴って、ソフトウェアが新しいハードウェア上で正しく動作するか、といった観点での検証が必要となってきます。一般的には、ハードウェアの更改に合わせて、OSのバージョンアップや、ミドルウェア、アプリケーションのバージョンアップ等も併せて検討することが多いです。

2-3. ハードウェアをクラウドに移行

近年では保守サポートは提供されていないハードウェアの移行先として、クラウドの活用、特にIaaSを提供しているパブリッククラウドを利用するケースが増えてきました。クラウドを活用することによる主なメリットは以下の通りです。

  • ハードウェアに関する責任はクラウド事業者が負うため、ハードウェアの保守サポートやハードウェアそのものを管理する(物理的な設置や日常的な電源管理、空調管理、設置場所のセキュリティ対策、故障発生時の部品交換対応など)といった業務から解放される
  • 多くのクラウドサービスがリソースを使用した分の利用料を支払うため、オンプレミスのハードウェア更改で必要だった初期投資が不要
  • 多くのクラウドサービスでは、障害に備えてさまざまなレベルでの冗長構成を作ることが可能となっているため、業務の継続性、重要性、許容されるダウンタイムの長さや頻度、コストによって柔軟に構成することが可能

特にハードウェアのサポート提供期間終了を起因とするシステム更改が必要とされていることを踏まえると、1点目のハードウェアの保守サポートを考慮する必要がなくなるというメリットは非常に大きなメリットと考えられます。一方で、メリットの3点目に挙げた通り、クラウドならではの冗長構成の設計や、ダウンタイムを少なくするための設計といったところについては、Well-Architected Framework(*)に代表されるように、相応なスキルとノウハウが必要となってきます。

Well-Architected Frameworkとは、クラウドにおけるシステムアーキテクチャを設計および実行する際に必要となる主要な概念、設計原則、アーキテクチャのベストプラクティスをまとめたもの。

2-4. 各パターンのまとめ

ここまで保守サポート提供期間が切れたハードウェアの移行のパターンを見てきましたが、それらを整理すると以下のようになります。

メリット デメリット
①保守サービスが提供されない状態で利用 ハードウェア故障が発生しない限りは現状が維持される
  • 故障発生率が高い可能性
  • 故障が発生しても部品、交換のためのエンジニアの派遣がない
  • 交換する部品がない
②ハードウェアをオンプレミスで更改
  • 後継ハードウェアに更改するのでソフトウェアなどの適合度が高い
  • これまでの運用を踏襲可能
ソフトウェアの動作検証を別途実施する必要がある
③ハードウェアをクラウド移行
  • ハードウェアの運用から解放される
  • 初期投資が不要
  • 冗長構成を比較的柔軟に構成可能
クラウド特有のスキルやノウハウが必要

これら3つのパターンのうち、総合的に判断し、③のパターンでシステム更改をすることが多くなってきました。その場合、いかにしてクラウド特有のスキルやノウハウを活用していくのでしょうか。

その1つの解決策として、NTT東日本で提供している「クラウド導入・運用サービス」を活用し、クラウド移行を行うことができます。

AWSやMicrosoft Azureの各サービスの設定・運用は、NTT東日本のクラウド導入・運用サービスで承ります。こちらより資料をダウンロードいただけますので、併せてご確認ください。

3. NTT東日本の「クラウド導入・運用サービス」とは

NTT東日本が提供している「クラウド導入・運用サービス」とは、パブリッククラウド事業者であるAmazon Web Services、もしくはMicrosoft Azure上のクラウドサービスの構築、運用を行うサービスとなっています。このサービスの構築フェーズでは、お客様の要件をヒアリングし、クラウドの設定に必要なパラメーターシートを作成、そのパラメーターシートに基づきクラウドの設定を実施します。また運用についても、運用で必要となる保守手引書を作成し、監視で必要となる監視エージェントの設定、24時間365日の監視体制の提供、障害発生時の再起動、運用代行のサービスを提供します。

クラウド導入・運用サービスの詳しい説明はこちらよりご確認ください。

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4. 保守サポート提供期間が切れるタイミングでのクラウド移行の流れ

この章では、実際に保守サポートの提供期間の終了をきっかけに、クラウドへ移行した時の流れについて、NTT東日本の「クラウド・導入運用サービス」を利用いただいた場合を踏まえて解説します。

まず、保守サービスの提供期間がいつ終了するのかを確認します。その終了する1年前、遅くとも半年前までには終了後の対応方針を決定します。検討に際しては、本稿2章で示した論点をもとに比較検討を行います。

今回は、パッケージソフトが稼働しているオンプレミスに設置されているアプリケーションサーバをクラウドに移行する例で説明します。検討の進め方としては以下のようになります。

4-1. 現状オンプレミスで使っているサーバーの環境を調査

運用中のサーバーについて、そのスペックやストレージ容量、現状のリソースで応答遅延やサービス断などが発生していないか、サービスの運用時間やピーク時間がどのようになっているか、障害時の対応方法がどのようになっているかといった内容について調査、確認を行います。最初にこれを行うことによって、移行した時のシステム設計を最適化することにつながってきます。

4-2. クラウドに移行した場合の要件を整理する

現状の整理を踏まえて、移行後のシステムに求められる要件を決めていきます。代表的な要件の例を以下に示します。

サーバーに対する要件
  • サーバー台数やサーバーリソース(CPUやメモリなど)に対する要件
  • アプリケーションサーバに求められる性能要件
  • 業務の継続性を考慮した冗長構成
  • 応答性能などの性能に対する要件
ストレージに対する要件
  • 容量
  • 応答性能
  • バックアップ要件
  • 冗長性、耐障害回復性
ネットワークに対する要件
  • アクセス許可/禁止のポリシー
  • クラウドへのアクセス方法(インターネット経由、インターネットVPN、専用線接続など)
  • アクセススピード
  • 冗長性
その他の要件
  • セキュリティ対策
  • ID管理ポリシー

これらの内容をシステム管理者と経営者との間で合意していくことが求められます。これらの内容を網羅的に、かつ矛盾なく決めていくというのはとても大変な作業となりますので、一般的には、システムインテグレーターやクラウドインテグレーターの技術者と打ち合わせをしていく中で明確にしていくことが多いです。NTT東日本の「クラウド導入・運用サービス」においてもエンジニアに相談しながら決めていくことが可能です。

4-3. クラウドサービスにおける構成図の作成と概算見積もりの作成

要件が整理されたところで、実際のクラウドサービスでどのように実現していくかを構成図という形で具体化していきます。この構成図を作っていく段階においては、クラウドのノウハウや実績を積んだエンジニアが作成してもらうのがよいと思いますので、信頼できるエンジニアに相談しましょう。構成図ができてくると、クラウドサービスの利用料や構築、運用にかかる費用といったところを計算することができるので、概算見積を作成します。クラウドの利用料は、リソースの使用量に応じて決まるため、確定した見積とはならなく、概算という形になることをご理解ください。

また、このタイミングで、オンプレミスに格納されているデータやファイルがある場合、これらのデータをクラウドに移行するための費用についても見積る必要があります。データの移行に際しては、現状の環境や、移行するために利用する回線の条件、業務停止を伴う/伴わないといった様々な条件によってやり方や費用が変わってくるところになりますので、エンジニアとも相談の上、最適な方法と予算で実施することを検討します。

4-4. クラウドサービスでの構築と保守手引書の作成

概算見積に基づいて、システムインテグレーターやクラウドインテグレーター事業者と構築にかかわる契約やサービス申込を行います。NTT東日本の「クラウド導入・運用サービス」の場合、サービスの申込が行われると、構築に着手することになります。最初に見積時の構成図をもとに、各サービスのパラメーターを決めるための打ち合わせをお客様と行います。また、構築後に運用監視を行う場合には、運用監視のために必要となるパラメーターや要件といった内容についてもヒアリングを行います。その後パラメーターシートを作成、パラメーターシートに基づいて各クラウドサービスのリソースの作成・設定、必要に応じてデータ移行の作業を行います。構築後の運用監視を申し込まれている場合には、構築の段階で監視に必要となるエージェントのインストールや監視用の設定も行います。並行して運用監視で必要となる保守手引書の作成を行います。

最終的に動作確認を行った後にお客様へ納品し、構築完了、運用監視サービスの開始となります。

AWSやMicrosoft Azureの各サービスの設定・運用は、NTT東日本のクラウド導入・運用サービスで承ります。こちらより資料をダウンロードいただけますので、併せてご確認ください。

5. まとめ

ここまで保守サポートの提供期間終了に際して、どのようなことを検討し、移行しない場合、移行する場合にどのようなことを検討していく必要があるのかについて解説してきました。

また、保守サポートの終了をきっかけに、オンプレミスからクラウドへの移行について、具体的な例をもとに解説してきました。

保守サポートの提供期間終了におけるシステム移行を検討の方は、お気軽にNTT東日本へご相談ください。

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