COLUMN

AWS Top Engineer 2023が見るAWS re:Invent 2023 Monday Night Live with Peter DeSantisで発信された注目メッセージとレポート

こんにちは、白鳥です。

re:Invent 2023の現地レポートをお届けします。

※執筆日は会期中となりますが、掲載は会期終了後となります。

本コラムでは11月28日(火)朝に行われたMonday Night Live with Peter DeSantisで発信されたメッセージや技術的な注目ポイントについて解説していきたいと思います。

本コラムにおいては、Keynoteで発表された個別の新サービスの内容については触れません。

本Keynoteの位置づけ

例年、本Keynoteではコンピューティングやインフラストラクチャの責任者であるPeter DeSantis氏が登壇します。

AWSのイノベーションを支えるためのハードウェアやネットワークの仕組みなどが詳しく解説されるセッションとなりそのため、EC2の新コンピューティングタイプや、ネットワークサービスなどの発表も多くありました。

本年のKeynoteの説明文には「半導体からサービスまでパフォーマンスやコストを妥協することなく最先端のソリューションを支援するアプローチを詳しく見てみよう」とあり、例年通りの内容を期待していました。

注目のメッセージ

※当日はNW-JAWSのイベント運営をしながらの視聴でしたので、抜け漏れがある可能性がありますがご容赦ください。NW-JAWSのイベントレポートにつきましては、別コラムにて記載させていただきます。

NW-JAWSのイベント内では、本Keynoteのライブビューイングをしながら、参加者同士の交流を行っていました。

個人的なキーポイントは、「半導体からサービスレイヤまで駆使してレイテンシや容量の制限をなくすこと」だと感じました。

何かを処理するためにハードウェアの性能限界は差別化されない制約でもあり、それを乗り越えるためにかつてのメインフレームやOracle RACのような可用性の仕組みがありました。

また、コンピュートの性能が上がってきたことで、NTPのような同期プロトコルの遅延が新たな課題となってきました。

2msの遅延であっても、10TFLOPSの性能を持つコンピュータならば2msで200億回の計算が可能です。

そして、10TPFLOSはスーパーコンピュータの世界ではなく、PS5のGPUなどで実現でき、一般の手の届く世界となってきていますので、けっして無駄な世界ではないことがわかります。

このようなハードウェアの制約は、オーバーヘッドの多い高レイヤの領域でやるよりも、ハイパーバイザーや半導体などのインフラで実現したほうが効果を見込める領域です。

このような体系に対応するために、DB専用のハイパーバイザーまで作成し、かつシャーディングもマネージドで対応しメモリの制約もなくすといった趣旨の発表もございました。

本Keynoteから見るAWSの方向性および、AWS利用者が意識すべきこと

ハードウェアの性能や差別化にならない領域の性能向上はAWSが行っていき、AWSは半導体をはじめとする低レイヤから取り組んでいくという方向性を理解しました。

AWSユーザ側はその恩恵を享受するため、定期的な見直しを通じて最新技術やインフラを活用したワークロードの設計を最適化して行くことが大切だと考えます。

AWSのベストプラクティスの中でも「定期的に見直しを行う」ことは推奨されていますし、初期設計時のサービスやEC2インスタンスタイプが数年後にも最適であるという保証はないため、月並みですが定期的な見直しと改善が必要となります。

本Keynoteで発表された注目の新サービス(記録のみ)

  • Amazon Aurora Limitless Database
  • AWS Elasticache Serverless
  • Amazon Redshift Serverless Next-generation AI-driven scaling and optimizations

感想・まとめ

インフラ全般のKeynoteではありましたが、あまりネットワーク関連のアップデートがなく、データベースを中心とした内容のメッセージやアップデートでした。一方同日に行われた別のネットワークのInnovation Talkでも、「光より早くはできないから、遅延を小さくするためにはネットワークを短くする」といった趣旨の取り組みで、AWSリージョンの増設やCloudFrontのエッジロケーションの増強、Local Zonesに追加などの取り組みを説明していました。

また、TCPに代わるSRDというプロトコルが昨年発表されていましたが、こちらもNitroハイパーバイザー上で動くすべてのEC2インスタンスタイプに対応したので、可用性や性能面での強化をアプリケーションに制限を及ぼすことなく性能向上を見込める点では同じだと思いました。

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