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小規模運用に最適!Amazon Connect Casesで始める問い合わせ履歴管理とボイスボット自動連携の活用例
顧客対応を効率化したいけど、履歴管理に困っていませんか?Amazon Connect Casesを使えば、問い合わせを「ケース」として、顧客情報や対応履歴を一元管理できます。さらに、問い合わせの登録を自動化することも可能で、予約受付や問い合わせ内容の追跡など、さまざまな場面で活用できます。本記事では、この便利な機能の使い方と活用例についてご紹介します。顧客対応をもっと効率化したい方、ぜひチェックしてみてください!
1. Amazon Connect Casesとは
Amazon Connect Casesは、Amazon Connectに組み込まれた履歴管理機能で、問い合わせや顧客対応を「ケース」として記録・管理できるツールです。ケースに関連する通話、タスク、入力などの情報を1か所に集約して管理でき、担当者はワークスペースからケース全体の進行状況を簡単に把握し、効率的に管理を進めることができます。
さらに、Amazon Connect内でシームレスに動作するため、外部ツールや統合のための複雑な設定は不要です。ケースの管理、フローやタスクとの統合などをすべてAmazon Connect内で設定でき、外部CRMツールを使用する場合と比較して、導入コストを削減し、迅速に運用を開始できます。
2. Amazon Connect Casesの料金
Amazon Connect Casesは従量課金制を採用しており、実際に作成されたケース数に基づいて料金が計算されます。
ケースを1件作成するごとに0.12 USDが課金されます。
料金は2025年1月時点のものです。
3. Amazon Connect CasesとCRM(顧客管理システム)について
履歴管理のために、外部CRMシステムを導入する企業が多いでしょう。ただし、CRMは高コストである場合が多く、必ずしもすべての機能が必要ではないことがあります。
Amazon Connect Casesは、シンプルな問い合わせ履歴管理ツールであるため、小規模で問い合わせの管理だけを行いたいケースに最適です。
以下に、Amazon Connect CasesとCRMの特長を比較した表を示します。
- 横にスクロールします
項目 | Amazon Connect Cases | 外部CRM |
---|---|---|
導入コスト | 〇 従量課金制を採用しており、利用した分のみ課金される。 |
△ ライセンス費用が発生するため、高コストになる場合が多い。 |
システム統合 | 〇 Amazon Connectに組み込まれており、特別なインテグレーション作業が不要。 |
△ カスタマイズやAPI連携が必要になる場合が多い。 |
カスタマイズ性 | △ Amazon Connectの仕様に依存しているため、カスタマイズの自由度は限定的。 |
〇 高度なカスタマイズが可能で、業務に合わせた柔軟な設定が可能。 |
運用 | 〇 Amazon Connect管理画面からシンプルに操作可能。 |
△ 専門的な知識や追加トレーニングが必要になる場合がある。 |
機能 | △ 問い合わせ管理に特化している。 |
〇 問い合わせ管理に加え、マーケティング、営業、顧客分析など多岐にわたる機能を提供可能。 |
4. Amazon Connect Casesの有効化
それでは、早速開始してみましょう
利用を開始するには、構築済みのAmazon ConnectインスタンスでCasesを手動で有効化する必要があります。
AWS コンソールを開き、Amazon Connect インスタンスを選択します。
左側のナビゲーションメニューから「ケース」を選択し、「Add domain」を選択します。
(Casesを利用するには、Customer Profilesを有効化する必要があります。まだ有効化されていない場合は、「お客様のプロフィール」から先に設定を行ってください。)
ドメイン追加のページから「Create a new domain」を選択し、任意なドメイン名を入力し、「Add domain」を選択します。
ドメインの追加が完了すると、以下の画面が表示され、Cases機能が利用可能になります。
5. Amazon Connect Casesの基本設定
5-1. 前提条件
Casesを利用開始するには、ユーザーのセキュリティプロファイルに適切なアクセス権限が割り当てられていることを確認してください。
5-2. ケースフィールドの設定
Amazon Connect Casesでは、問い合わせ管理の項目を「ケースフィールド」と呼びます。
Amazon Connect左側のメニューからケースフィールドの設定を行います。
ケースフィールドには、「システムフィールド」と「カスタムフィールド」の2種類があります。
<システムフィールド>
デフォルトで用意されているフィールドで変更不可。
<カスタムフィールド>
オペレーターの実際の運用に応じて新たな項目を追加したりカスタマイズしたりすることが可能です。
カスタムフィールドを新規追加するには右上の「+新しいフィールド」を選択して、任意なフィールドタイプを選択してフィールドを作成します。
5-3. ケーステンプレートの設定
コンタクトセンターでは、問い合わせの内容に応じて、さまざまな情報を記録する必要があり、問い合わせの種類ごとに特定の「ケーステンプレート」を使用することで、問い合わせ履歴管理を適切に管理できます。
Amazon Connect Casesでは、「ケースフィールド」を組み合わせることで、「ケーステンプレート」を作成できます。
① Amazon Connect左側のメニューから「ケーステンプレート」を選択します。右上の「新しいテンプレート」を選択すると、テンプレートを新規作成できます。
② ケーステンプレート名を入力して、先ほど作成した「カスタムフィールド」を追加して、保存を選択するとテンプレートが作成されます。
基本設定は以上で完了です。
最後に、作成済みのテンプレートを使って手動でケースを作成し、問い合わせ履歴を管理してみましょう。
6. Amazon Connect Casesのケースの手動作成
Amazon Connect上部のメニューバーから「エージェント Workspace」を選択すると、オペレーターのワークスペースにアクセスします。
顧客プロファイル タブに移動し、「+プロファイル 」を押下して先に顧客プロファイルを作成します。
任意な顧客情報を入力し、保存を選択します。
作成済みのプロファイルから「+Connectケース」を選択して、ケースの作成が表示されますので、先ほど作成済みのテンプレートを選択して、ケースを作成します。
ケースが作成されました。あらかじめ設定されたフィールドに基づいて情報が表示されていることを確認できます。
7. Amazon Connect Casesの活用例
次に、Amazon Connect Casesの活用例をご紹介します。
Amazon Connect Casesは問い合わせ履歴を手動管理するだけでなく、Amazon Connectのフローに組み込み、音声ボット(Amazon Lex)などと連携することで、予約情報や問い合わせ内容を自動的に記録・管理することも可能です。
今回は、ボイスボットによる予約受付を例にして、Casesの活用方法を解説します。
フローが下記のようなイメージです。
顧客が音声で希望日時や名前をボイスボットに伝えたうえ、プッシュボタンで電話番号を入力するとその情報が自動的にCasesに登録され、予約履歴として一元管理されます。
7-1. 予約の自動受付の設定
では、予約の自動受付の設定を行っていきます
① Amazon Lexボットを作成し、インテント設定を行います。
顧客からヒアリングしたい内容(予約日時と顧客名)をスロットに設定します。スロットで取得する値は、後ほどケースに登録されます。
(サンプル発話やレスポンスなどは任意の内容で設定してください。)
設定完了後にボットをビルドしてください。
② Amazon Connectで、作成済みのAmazon Lexボットを登録します。コンタクトフローを作成し、「顧客の入力を保存する」フローブロックを使用して、Lexで顧客の入力を取得するように設定します。
③ コンタクトフローから「コンタクト属性の設定」で顧客のslot入力の値を設定します。
④ 「顧客の入力を保存する」フローブロックを使用して、電話のプッシュボタンで電話番号を入力できるように設定します。
⑤ 最後に、「お客様のプロフィール」と「ケース」のフローブロックを追加します。
それぞれのフィールドに取得した予約日時、顧客名、電話番号を設定すれば完了です。
(ケースのフィールド等を適宜設定してください。)
完成後のフロー(例)は以下のような感じです。
最後に、実際に電話をかけてみると、ケースが自動的に起票され、顧客が入力された情報も登録されました!
8. まとめ
Amazon Connect Casesは、シンプルな仕組みのため、小規模な問い合わせ管理や、特定の問い合わせに特化した運用に特に適しています。さらに、音声フローやボイスボットなどと組み合わせることで、予約受付の自動化をはじめ、さまざまな場面で活用可能です。
ぜひ、一度試してみてください!
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