COLUMN
AWS Ambassadorが見るAWS re:Invent 2024 Monday Night Live with Peter DeSantisで発信された注目メッセージとレポート
こんにちは、白鳥です。 |
AWS re:Invent 2024の現地レポートをお届けします。
執筆日は会期中となり、なるべく生のメッセージを受けた印象を優先するため、誤解・誤り等が生じている可能性もありますが、ご容赦ください。
本コラムでは現地時間の12月2日(月)夜に行われたMonday Night Live with Peter DeSantisで発信されたメッセージや技術的な注目ポイントについて解説していきたいと思います。
本コラムにおいては、本Keynoteで発表された個別のサービス内容については触れません。
執筆時点でKeynoteの模様はYouTubeにアップされております。
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本Keynoteの位置づけ
例年、本Keynoteではコンピューティングやインフラストラクチャの責任者であるPeter DeSantis氏が主に担当するのですが、今回初めてDavid Brown氏が登壇しました。David Brown氏は昨年のre:Inventではコンピュート分野とネットワーク分野のInnovation Talkを担当しておりました。
過去にはAWSのイノベーションを支えるためのハードウェアやネットワークの仕組みなどが詳しく解説されるセッションとなり、EC2の新コンピューティングタイプや、ネットワークサービスなどの発表も多くありました。
本年のKeynoteの説明文には「Monday Night Liveの伝統を引き継ぎ、シリコンからサービスまであらゆる分野にわたって最先端のソリューションを生み出すために、独自のアプローチとイノベーションの文化がどのように役立つかを詳しくご覧ください」とあり、以上のことから例年よりもインフラストラクチャ色の強い内容を期待していました。
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注目のメッセージ
共通するテーマはAmazonのカルチャーを象るうちの一つである「Dive Deep」でした。インフラストラクチャの進化を森林にたとえ、森林のように複数の木が水平かつ深く根を張るイメージを見せながら、「Cultureを構築することは森林をつくること」というメッセージで始まります。
「Dive Deep」については引用に留めますが、下記のようなプリンシプルとなっています。
リーダーは常にすべての階層の業務に気を配り、詳細な点についても把握します。頻繁に現状を検証し、指標と個別の事例が合致していないときには疑問を呈します。リーダーが関わるに値しない業務はありません。
引用:https://www.aboutamazon.jp/about-us/leadership-principles
これをITのレイヤに置き換えると、「シリコンからサービスまで」ということになります。
実際に本Keynoteでは、AWSのインフラストラクチャレベルのいわゆる「AWSの責任」の部分を徹底的に磨いてきたことが細やかに発表されました。例えば、このようなことがあげられます。
- AIサーバにおけるチップ開発の取り組みによる、各工程やアプリケーションのパフォーマンスの最適化
- チップだけではなく、パッケージ開発も行い故障点減少やパフォーマンスの最適化を行う
- AWS Nitroシステムの開発による、仮想化コストからの脱却とセキュリティ強化への取り組み
- コンピュートとストレージの独立による、容量を始めとする制約からの解放
- ネットワークのケーブルやコネクタの開発による、低遅延化
- TCP/IPのレイヤにおける高速化や耐障害性への取り組み
これらの取り組みによってTrn2のチップを使ったAIウルトラサーバーを開発したとのことです。
Anthropic社のClaude 3.5 Haikuモデルでは、これまでのインフラと比較して同じ基盤モデルでも60%の改善がされたとのことでした。Anthropic社の共同創業者であるTom Brown氏がゲスト登壇し、今後のClaudeの開発でこのAIウルトラサーバーを使っていくという話をしておりました。
本Keynoteから見るAWSの方向性および、AWS利用者が意識すべきこと
これらの取り組みから改めてAWSの課題解決力の強さを感じました。大きな課題に対して判断していくには工程やレイヤごとに細分化し、一つ一つを細かくして解決していくことで解決に近づいていくことと、改善の結果はちゃんと数値で示すことでインパクトを出せる、ということだと感じます。
また、全てのレイヤにおいて自社で課題解決を行うことで、ボトルネックや、他社依存になる要素を解消していくことは今後も企業文化として継続していくと考えています。Keynoteでは明言はしておりませんでしたが、AIの市場においては推論・学習共にGPUが大きな要素を占めている中、他社のGPUではなく独自の専用チップで対応していくあたりが顕著に表れておりました。
ユーザー側においてもユーザー側の責任部分において、大きな課題を細分化し小さく改善に取り組み続けることで知見が蓄積し、最適な状態へ近づいていくのではと思います。
本Keynoteで発表された注目の新サービス(記録のみ)
- Neuron Link
- Tranium2 Ultra Server
- Latency-Optimized Inference Option for Amazon Bedrock
- Firefly Optic Plug
感想・まとめ
本Keynoteは「クラウドを作る話」で、AWSが実直かつ確実にすべてのレイヤで課題解決を行っていることを改めて感じました。また、インフラや通信のレイヤに関わる者として、こうしてすべての部品を一から開発し課題を理解しておくことは改めての教訓になったお話でもありました。一方で「クラウドを使う」ためのAWSのサービス側の新発表が多数出ることを期待していた方もいらっしゃったと思いますが、こうした新発表を支えるための基盤や、企業文化も非常に大事な要素となることを感じました。
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