COLUMN
AWS Ambassadorが見るAWS Summit Japanの基調講演で発信された注目メッセージとレポート
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こんにちは、白鳥です。 |
先日6/20,21に行われましたAWS Summit Japanの基調講演のレポートと題して、本基調講演の中で発信された注目メッセージを解説したいと思います。
目次:
- 本基調講演の位置づけ
- グローバルからの二人のスピーカーからの注目メッセージ
- Werner Vogels氏からの注目メッセージ(6/20 基調講演)
- Rahul Pathak氏からの注目メッセージ(6/21 基調講演)
- 日本の二人のスピーカーからの注目メッセージ
- 恒松氏からの注目メッセージ(6/20 基調講演)
- 巨勢氏からの注目メッセージ(6/21 基調講演)
- ゲストスピーカーからの注目メッセージ
- Anthropic共同創業者 Jared Kaplan氏からの注目メッセージ(6/20 基調講演)
- 東海旅客鉄道株式会社(JR東海) 水津氏からの注目メッセージ(6/21 基調講演)
- 基調講演内で触れられた新サービス
- まとめ
本基調講演の位置づけ
AWS Summitは開催国におけるAWSの最大規模のイベントとなります。各国ごとにメッセージが異なり、例えばタイ行われたAWS Summit Bangkok 2024では2025年のタイリージョンの開設発表に伴いSrettha Thavisin首相がゲスト登壇し注目を集めました。日本ではWerner Vogels氏が2017年のAWS Summit Tokyoぶりの日本での登壇ということもあり、どんなメッセージが発せられるかが注目となっておりました。
グローバルからの二人のスピーカーからの注目メッセージ
Werner Vogels氏からの注目メッセージ(6/20 基調講演)
会場中が生成AI一色になる中、re:Invent 2023のKeynoteと同様、Werner氏からは生成AIの多くを語りません。もっと本質的なテーマについて語っていました。3つご紹介します。
「Good Data for Good AI」
AIやITの領域だけではなく、ここ昨今は社会課題に対して企業が取り組むケースが増えてきています。当社も例外ではなく、地域のミライを作るための課題解決を行っております。そのために、良いデータを集め良いAIを作っていく必要がある、そして良いAIで人類の難しい課題に挑戦する必要がある(AI for Hard Human Problems)、ということを強調して語っておりました。これは、LLMの開発や学習に許可なくデータを活用したり、犯罪や詐欺などの「悪いデータ」を学習させたり、生成させようとする企業や団体への警笛でもあります。
「AI for Now」
生成AIはまだ発展途上のサービスであり、日々アップデートが行われています。こうしたアップデートを知ることは必要ですが、振り回されてはいけないと言っていました。今何ができて、それは必ずしも生成AIでないといけないのか、それを考える必要があるということです。本基調講演でも、機械学習やディープラーニングの事例を用いて社会課題に挑戦する企業の事例が多数紹介されていました。
「Now Go Build」
この言葉自体はre:Invent 2023でも語っていました。データの民主化(Democratized Data for Good)、機械学習がデータをつなげる(ML is the Magnet)、これらがクラウドを使ってできるようになった時代は、いろいろな挑戦がやりやすい時代になっていると言えます。Werner Vogels氏からの激励の言葉と受け取りました。
これらのメッセージはre:Invent 2023のWerner Vogels氏のKeynoteも参照していただけると、より理解が深まるかと思います。
AWS Top Engineer 2023が見るAWS re:Invent 2023 Dr.Werner Vogels Keynoteで発信された注目メッセージとレポート
Rahul Pathak氏からの注目メッセージ(6/21 基調講演)
2日目は打って変わって生成AIの利用について、生成AIのスタック(インフラ・基盤モデル・アプリケーション)を中心としたお話でした。1つご紹介します。
「誰もが生成AIを活用できるように障壁を取り除く」
この取り組み自体はAWSが従前より取り組んできたものだと考えています。コンピューティングリソースを簡単に利用できる=Amazon EC2、機械学習を簡単に利用できる=Amazon SageMakerなど、これまでの蓄積の延長線上に生成AIの活用がありますね。基盤モデルを作る=インフラ(Trenium、Inferentiaなど)、基盤モデルを利用する(Amazon Bedrock)、生成AIのアプリケーションを利用する(Amazon Qなど)の各レイヤで取り組んでいることを紹介しておりました。
日本の二人のスピーカーからの注目メッセージ
スピーカーは何もグローバルだけではなく、AWSジャパンからのスピーカーもおります。この2人から発信されたメッセージも1つずつご紹介します。
恒松氏からの注目メッセージ(6/20 基調講演)
「変わらないものを考える必要がある」
この言葉自体はAmazonの創業者であるJeff Bezos氏により語られたものですが、あらためてAmazonおよびAWSが大切にしている言葉だと感じました。使うテクノロジーや手段は変わっても、10年後も何を追い求めるのかを定義する必要があります。AmazonはFlywheelというフレームワークを使って自分たちの変わらないものを定義しています。AWSでは継続的なアップデートと値下げのFlywheelがモデルになっており、2023年における3410回のアップデートと、累積130回以上の値下げを紹介していました。余談ですが、Flywheelはこうしたビジネスモデルだけではなく個別の戦略にも使われており、例えばDXにおいては次のようなFlywheelがあったりします。
デジタルトランスフォーメーション・フライホイール:どのようにして、AWS が Stellantis のデジタルトランスフォーメーションの加速を支援したか?
巨勢氏からの注目メッセージ(6/21 基調講演)
「データこそが差別化要素」
こちらもre:Invent 2023のAdam Selipsky氏のKeynoteで触れられておりましたが、テクノロジーの課題はクラウドの活用で解決できる中で、真の差別化要素はデータのそのものになってきているという話です。2日目のゲストスピーカーは主に自社の持つデータを活用してどうビジネスに生かすかの観点を中心に話してくださったと考えています。巨勢氏が紹介していた事例は、まさに自社しかないデータを活用してビジネスを成功させている事例でした。
ゲストスピーカーからの注目メッセージ
ゲストスピーカーからのメッセージも2つほどご紹介します。
Anthropic共同創業者 Jared Kaplan氏からの注目メッセージ(6/20 基調講演)
「我々はAIの安全を担保し、研究する企業である」
Anthropic社はもともとOpenAI社にいた社員が独立してできた企業であり、このメッセージがAnthropic社の成り立ちを説明するに十分なものであると考えています。機密情報を安全に利用できる、思考プロセスが説明できる(Responsible AI)、憲法AIによって”悪いデータ”を学習したり生成したりしないということを大切にしていることを話していました。
東海旅客鉄道株式会社(JR東海) 水津氏からの注目メッセージ(6/21 基調講演)
「運航・保守・管理・計画のシステムを個別に作るのではなく、業務に精通した人間がシームレスに作る」
まさに「データこそが差別化要素」の好事例だと思います。本事例ではリニア新幹線の設備の予兆検知にAWSを利用している事例を紹介されていました。リニア新幹線のデータや運用実績はJR東海でしか持っていないものです。このデータに「これまでAWSで培ってきたIoTのシステムを組み込むことで業務に精通した人がより深く具体性を帯びた解決策を作れるのだと感じました。
基調講演内で触れられた新サービス
Anthropic Claude 3 on Amazon Bedrockが東京リージョンで利用可能に(7月予定)
Anthropic Claude 3.5 on Amazon Bedrockがバージニア北部で利用可能に(6/21から)
まとめ
昨年のAWS Summitでも感じましたが、AWS Summitの基調講演はre:Inventで発信されたメッセージをもとに日本語で分かりやすく、かつ日本の企業向けにアレンジされた言葉で発信されたものだと感じました。各スピーカー共に日本のITの発展に向けて大事にしてほしいことを伝えてくれたと考えています。
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