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VMware買収によるユーザーへの影響とは

VMwareからの移行に関して、NTT東日本のクラウドエンジニアがお悩みやお困りごとにお応えしております。VMwareを採用した国産・定額・リーズナブルな地域エッジクラウド タイプVのご案内もできますので、お気軽にお問い合わせください。

2023年11月22日BroadcomがVMwareの買収が完了したと発表しました。

VMwareは四半世紀の歴史に幕を閉じ、今後は「VMware by Broadcom」のブランドでBroadcomが事業を運営するようになります。

VMwareは世界的に圧倒的なシェアを誇るサーバー仮想化ソフトウェアであるため、この買収はユーザーにとって大きな影響を及ぼすことが予想されます。

そこで今回の買収によってVMwareのサービスがどう変わり、ユーザーにどのような影響を及ぼすことになるかを紹介し、現時点で取り得る対処方法について解説します。

1. 買収により終了するサービス、残るサービス

BroadcomによるVMwareの買収完了から2カ月経った2024年1月に同社は、主要な型番だけでも160以上あった製品を2つに絞り、永続ライセンスを廃止することを正式発表しました。

今後の製品はVMware Cloud Foundation(VCF)とVMware vSphere Foundation(VVF)の2つに集約し、次の4つのエディションがバンドルで提供されることになります。

VMware Cloud Foundation(VCF) フルスタックのインフラを利用したい顧客向け
VMware vSphere Foundation(VVF) 中規模から大規模の仮想環境向け
VMware vSphere Standard(VVS) 小規模から中規模の仮想環境向け
VMware vSphere Essentials Plus(VVEP) 小規模な仮想環境向け

これにより、今後は個々の製品の単体購入が不可となり、既存のVMwareの製品はVCF または VVF の一部としてのみ提供されるようになります。

販売が終了する製品は以下の通りです。2024年3月時点で移行先が明示されているものについても明記しました。明記されていない製品については今後追加実装されるか、廃止なのか2024年3月時点では不明となっています。

製品名 バンドル移行先またはアドオンでの利用先
VMware vSphere Enterprise Plus VCF, VVF
VMware vSphere+
VMware vSphere ROBO
VMware vSphere Standard(サブスクリプションは除外) VVS
VMware vSphere Scale Out
VMware vSphere Desktop
VMware vSphere Acceleration Kits
VMware vSphere Essentials Kit
VMware Sphere Essentials Plus Kit
(新しいサブスクリプションは除外)
新しいVVEPに置き換え
VMware vSphere Starter/Foundation
VMware vSphere with Operations Management
VMware vSphere Basic
VMware vSphere Advanced
VMware vSphere Storage Appliance
VMware vSphere Hypervisor
VMware Cloud Foundation
(新しいVCFサブスクリプションは除外)
VCF
VMware Cloud Foundation for VDI
VMware Cloud Foundation for ROBO
VMware SDDC Manager VCF
VMware vCenter Standard
VMware vCenter Foundation
VMware vSAN VCF, VVF
VMware vSAN ROBO
VMware vSAN Desktop
VMware HCI Kit
VMware Site Recovery Manager アドオンサービス(追加サービス)
VMware Cloud Editions/Cloud Packs VCF, VVFで代替え
VMware vCloud Suite
VMware Aria Suite(別名 vRealize Suite) VCF
VMware Aria Universal Suite
(別名 vRealize Cloud Universal)
VMware Aria Suite Term VCF
VMware Aria Operations for Networks
(別名 vRealize Network Insight)
VCF
VMware Aria Operations for Networks Universal
(別名 vRealize Network Insight Universal)
VMware vRealize Network Insight ROBO
VMware Aria Operations for Logs
(別名 vRealize Log Insight)
VCF
VMware vRealize Operations 8 Application Monitoring Add-On
VMware Aria Operations VCF, VVF
VMware Aria Automation VCF
VMware Aria Automation for Secure Hosts add-on
(別名 SaltStack SecOps)
VMware Tanzu Guardrailsのアドオンへ
VMware vRealize Automation SaltStack SecOps add-on VMware Tanzu Guardrailsのアドオンへ
VMware Aria Operations for Integrations
(別名 vRealize True Visibility Suite)
VMware Cloud Director VCF
Cloud Director Service VCF
VMware NSX VCF
VMware NSX for Desktop
VMware NSX ROBO
VMware NSX Distributed Firewall オプションサービスVMware Firewall 追加機能で提供
VMware NSX Gateway Firewall オプションサービスVMware Firewall 追加機能で提供
VMware NSX Threat Prevention to Distributed Firewall アドオンサービスVMware Advanced Threat Prevention追加機能で提供
VMware NSX Threat Prevention to Gateway Firewall アドオンサービスVMware Advanced Threat Prevention追加機能で提供
VMware NSX Advanced Threat Prevention to Distributed Firewall アドオンサービスVMware Advanced Threat Prevention追加機能で提供
VMware NSX Advanced Threat Prevention to Gateway Firewall アドオンサービスVMware Advanced Threat Prevention追加機能で提供
VMware NSX Advanced Load Balancer
(サブスクリプションおよびSssSは除く)
オプションサービスVMware Load Balancer追加機能で提供
VMware Container Networking Enterprise with Antrea VCF
VMware HCX VCF
VMware HCX+

無償版の扱いについて

無償版の今後の取り扱いについては以下の通りになっています。

VMware vSphere Hypervisor 提供終了
VMware WorkStation Player (VMware Player) 無償、商用ライセンス共に利用可能

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2. 今回の買収はユーザーには何が問題なのか

今回のVMwareの買収でユーザーに関係する変更点は以下になります。

①CPU単位の永続ライセンス→コア単位のサブスクリプションライセンス

②機能単位で販売→4つのエディションへの製品集約

③サーバーベンダーへのOEMライセンス提供の廃止

④顧客が購入できるエディションの制限

2-1. ①コア単位のサブスクリプションライセンスへの変更の問題

ユーザーにとって最大の問題はライセンスコストの上昇です。

今回の変更により短期的には安価となりますが、長期的には高額になるという試算もあり、実際に製品のコスト上昇に関する報告もあります。

但し、既存の永続ライセンスに関してはサポート期限終了まで継続して利用することが出来ます。

2-2. ②機能単位で販売から4つのエディションへの製品集約

これまでのVMwareは機能単位での購入が可能で、細かく言えば1万以上の製品型番を持っていたと言われています。これはニーズに合わせて様々な仮想化基盤を実現できることが大きなメリットである反面、製品毎に購入方法やライセンス単位が一致せず、複雑な組み合わせパターンが存在するため、製品選定やサービス管理が難しいというデメリットもありました。

今回、それらが4つのエディションへの製品集約されることになりました。

この集約により生じるメリット、デメリットを以下に示します。

2-3. ③サーバーベンダーへのOEMライセンス提供の廃止

サーバーベンダーはこれまでVMwareからOEMライセンスの提供を受け、自社のハードウェアとVMwareソフトウェアを一体化したHCI(ハイパーコンバージドインフラ)製品を提供してきました。

新体系ではOEMライセンスが廃止されたため、vSphereを使うHCI製品の販売も停止されることになりました。これらを利用してきたユーザーは別の製品に切り替える必要に迫られ、結果としてかなりの値上げとなると関係者は説明しています。

2-4. ④顧客が購入できるエディションの制限

2024年2月中旬にVMwareは次のような追加施策を打ち出しました。

  • 顧客を3つのランクに分ける
  • 最上位ランクの企業はVCFしか購入でない
  • 2番目のランクに分類された企業は、VCFとVMware vSphere Foundation(VVF)のみ購入可能

尚、2024年3月下旬の時点でランク付けの基準について、公開はされていません。

この決定により、顧客は購入可能な製品が限定されてしまい目的に見合ったシステムを購入できない事態が考えられます。

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3. 買収による市場の動向

今回のVMwareのユーザーに関係する変更は、主に新規契約が対象であるため、既存のユーザーはサポート期限終了までは影響はありません。そのため既存ユーザーは直ちに対策を検討する必要はありません。

現在はリセラーやサーバーベンダーがVMwareの発表や通知を見守っている状態にあります。

それでも現在判明している情報から将来的な値上げが避けられないことが予想されます。そのことから代替えソリューションを検討する動きも見られます。

VMwareを使ったAWSやMicrosoft Azureなどクラウドサービス提供事業者について

VMwareを使ったクラウドサービスを提供しているAWSやMicrosoft Azure、Google Cloudなどについてはサービスの継続が明確に宣言されており、当面の間は現状のままでのサービスが継続されることになります。

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4. VMwareの代替えサービス候補

今回のVMwareの買収によりユーザーやリセラー、サーバーベンダーの中には代替え製品についての検討を始めているところも出ているそうです。

そこで本章では代替えサービスの候補を紹介します。

名称 解説
Proxmox Debianベースのオープンソース仮想環境ソフト
VMware ESXiに相当
Oracle Linux KVM Oracle Linuxでのカーネル・ベース仮想マシン(KVM)
VMware ESXiに相当
Hyper-V マイクロソフトが提供するハイパーバイザベースのx64向け仮想化システムで小規模な環境向け。VMware vSphereに相当

これらの他にオンプレミスの仮想環境からクラウドへ移行する方法もあります。

クラウドはそもそもサーバーを仮想化した上でサービスを提供しているのでVMwareの代替え先として最適です。また社内にサーバーを用意する必要が無いため初期費用が抑えられ、サーバーに関する運用負担も軽減することが出来ます。

クラウド上に仮想サーバーを立ち上げて、VMware環境からデーターを移行する方法が一般的ですが、VMwareから環境が変わるため移行が困難である点が課題となっています。

ただ、大手のクラウドサービス提供業者にはクラウド環境上にVMwareを利用できるサービスを提供しており、移行をサポートする様々なツールも展開しています。

以下に主要なクラウドサービス提供業者で展開されているVMwareサービスを紹介します。

クラウド業者 サービス名
AWS VMware Cloud on AWS(VMC)
Microsoft Azure Azure VMware Solution(AVS)
Google Cloud Google Cloud VMware Engine(GCVE)
IBM IBM Cloud for VMware Solutions(VMware on IBM Cloud)
Oracle Oracle Cloud VMware Solution

これらは既存のクラウドへ移行する際にVMwareからの環境を極力変えたくない場合に最適なサービスとなっています。
これらのクラウド上で提供されるサービスは3章で述べた通り、サービスの継続が明確に宣言されており、当面の間は現状のままでの利用が可能となっています。

以上のことから、今回のVMwareのサービス変更を機に代替え仮想環境への移行先を検討されている方はクラウドへの移行をお勧めします。

また、2024年9月30日にNTT東日本が管理・運営するVMwareを採用したクラウドサービス、地域エッジクラウド タイプVを提供開始しております。サービスの詳細については、ぜひこちらのサービス資料をダウンロードしてご活用ください。

地域エッジクラウドの資料DLはこちら

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5. おわりに

今回は2023年11月22日に買収されたVMwareのサービスがどのように変わり、ユーザーにとってどのような問題があるのかについて解説しました。

現在判明している情報を見る限り、多くのケースにおいては今後の値上がりが避けられない様子です。ただ利用中のライセンスについては継続して利用が可能であるため、新規ユーザー以外は直ちに影響が及ぶわけではありません。それでも将来的には値上げが確実であるため、今から移行先を検討する事が望ましいでしょう。

移行先として幾つかの候補を紹介しましたが、これらはまだ確実な候補というわけではありません。そこで今回のサービス変更を機にクラウドへの移行を検討されては如何でしょうか。

NTT東日本ではVMwareの移行先としてMicrosoft AzureやAWS、VMwareを採用した地域エッジクラウド タイプVなどの提供ができます。

VMwareのサービス変更を機にクラウド化を検討中の方はもちろん、移行先としてクラウド化が選択肢として考慮されてなかった方でも是非お問い合わせください。3000名以上の資格保有者がお客さまのさまざまなご要望に対し丁寧に対応し、最適なクラウド環境を提供いたします。

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