
AWS入門 初心者が覚えておくべきAWSの基本
2020年からモバイル通信は、5Gの時代に突入します。モバイル通信の高速化によって大容量のコンテンツ配信が可能となる反面、モバイルからのアクセスも膨大な規模に膨れ上がる可能性があり安定的なコンテンツアクセス環境を維持する必要があります。ユーザーエクスペリエンス(以下、UXといいます)の一つとして、これからますますいつでも安定的にコンテンツにアクセスできる環境を維持することが重要です。
そこで、UXのクオリティを高い次元で維持するためにAzure Content Delivery Network (以下、Azure CDNといいます。) を活用することにより、読み込み時間の短縮、応答性の向上、帯域幅の節約などが可能になります。
本コラムにおいては、一般的なContent Delivery Network (以下、CDNといいます。) とAzure CDNに関して解説していきます。
インターネット上のコンテンツには、動画や写真、ファイル、ゲームなど、さまざまなリッチコンテンツがあります。これらのコンテンツをより多くのユーザーに安定的に配信する仕組みとしてCDNが使われます。昔は、Webサイトにトラフィックが集中してしまった場合にサイトへの接続速度が遅くなる、悪い時にはサーバーがダウンしてしまいWebサイトにアクセスできなくなってしまうことも稀に起こっていました。
そこで、コンテンツへのアクセス負荷を分散させることによって障害を回避する目的でCDNが考えられ、安定して高速なコンテンツ配信を行う仕組みを分散ネットワークの技術を利用することにより実現しています。
オリジンサーバーは、配信元のWebサイトそのものになります。ユーザーが直接こちらにアクセスすることなく、ユーザーから一番近いネットワークを利用して、コンテンツ配信用のエッジサーバーに誘導するようになっています。ユーザーから最初にエッジサーバーにアクセスした時にはエッジサーバーにはまだコンテンツが存在せず、オリジンサーバーからエッジサーバーにキャッシュ(コピー)されます。
グローバルで事業を展開する場合には特に、エッジサーバーを置く配信拠点、Point of Presence(以下、POPといいます) が世界各地に配置されていれば、全世界に大容量かつ広帯域幅でのコンテンツ配信が可能になります。
Azure CDNは、Microsoft Azure(以下、Azureといいます。)で提供されているCNDサービスで、Web Apps, Media Services, Storage, Cloud Servicesなど、Azureが提供する各種サービスとシームレスな連携が可能となっています。それぞれのサービスとの連携は、Azure Portalから数クリックで適用できるなど、操作も非常に簡単です。Azure CDNの主な特徴としては次の3つになります。
また、CDNプロバイダーとして有名な、AkamaiとVerizonのサービスについてもAzureから連携して利用することができます。サービス開始当初は、これらの2つのプロバイダーのCDNのみが利用可能でしたが、後からMicrosoft社自身が運営するCDNも選択可能となりました。
また、一般のニュースなどでも取りあげられることがある分散型サービス拒否 (DDoS : Distributed Denial of Service) 攻撃などの、情報セキュリティの脅威を軽減することも可能です。
自社ドメインのHTTPSを有効化することにより、他の追加コストや証明書の管理負荷を生じさせることなく、情報セキュリティの最適化が可能になります。
ここでは、Azure CDNにおける特徴的な機能を追加でご紹介します。
エンドポイントとは、コンテンツのアクセス先となるホスト名と配信元を紐付けた情報となり、エンドポイント単位でカスタムドキュメントや最適化設定などを行います。一つのエンドポイントには、一つの配信元のみが指定可能です。ユーザーのアクセス先となるURLは、このエンドポイントのホスト名になります。
Azure CDNでは、他社が運営するものを含め複数のCDNを選択することが可能になっています。
プロファイルとは、先に説明させて頂いたエンドポイントを集約したものです。プロファイルとエンドポイントは、1:Nの関係であり、エンドポイントを作成する前にプロファイルを作成しておく必要があります。
従来のCDNでは、静的ファイルの配信が高速化されます。しかしながらユーザーの行動に応じたコンテンツを生成する動的Webアプリケーションでは、特定の場所にコンテンツをキャッシュできまず、動的コンテンツの配信速度を向上させる方法では非常に複雑でした。
しかし、Azure CDNにおいては、DSA(Dynamic Site Acceleration:動的サイト高速化)最適化を利用することによって、動的コンテンツを含むWebページの配信向上も可能になっています。
Azure CDNには、2つのキャッシュ規則があります。
カスタムキャッシュ規則はグローバルキャッシュ規則を上書きします。これら2つの規則を使って、エンドポイント毎のキャッシュ設定の作成・変更を実施します。
Azure診断ログのコア分析は、Azureストレージアカウント、Azure event Hubs、Log Analyticsワークスペースに保存され、ユーザーの行動を追跡してビジネスに役立てることができます。
Azure Event Hubsへエクスポートすると他のAzureサービスから得たデータと関連付けられます。
Azure CDNは、現在3社のCDNプロバイダーを選択することができます。またプランによって選択できるプロバイダーが異なります。
料金は送信データ転送のみが従量課金されます。Standardに関しては3社とも同一の価格になっています。
Premiumは、Standardの2倍の価格が設定されています。かつては、オリジンサーバーからエッジサーバーまでの配信においても課金されていましたが、この料金は2019年の秋以降無料になりました。(2020年3月現在)
5G時代を迎えて、コンテンツのそのもののクオリティは勿論ですが、コンテンツを配信するネットワークの安定性が非常に重要です。表示が遅くなる、ましてやWebサイトに繋がらないということなどはユーザーの離反を招いてしまいます。そのような状態に陥らないためにもAzure CDNなどの検討を行い、ネットワーク負荷に柔軟に対応できるコンテンツ配信の仕組みを構築しましょう。
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