NTT東日本の自治体クラウドソリューション

サーバーレス × AWS CDKでサービスポータルを開発。3ヶ月で実現したNTT東日本の内製プロジェクト

NTT東日本グループでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として、従来の紙やExcelを中心とした業務フローからの脱却を進めており、その象徴的なプロジェクトのひとつが、各種サービスの申し込みや管理を一元化する「NTT東日本サービスポータル」の開発です。

本プロジェクトでは、従来のフローにとらわれない内製開発体制を構築し、AWSのサーバーレスアーキテクチャやAWS CDK(Cloud Development Kit)といった技術を採用しています。その結果、わずか3ヶ月という短期間でのリリースを実現し、大幅なコスト削減と高水準の情報セキュリティを両立させました。

今回は、内部開発の舞台裏と狙いについて、本プロジェクトを牽引したビジネス開発本部 CXビジネス部の小林と、バックエンド・データベース開発を担当した地高がご紹介します。

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1. 「NTT東日本サービスポータル」開発の背景と、アジャイル実現へ舵を切った内製戦略

ビジネス開発本部 CXビジネス部
テータビジネス共創担当 スペシャリスト
小林 史弥

本プロジェクトで開発した「NTT東日本サービスポータル」について教えてください。

一言で表すと、NTT東日本がお客さまへ提供する各種サービスへの申し込みや支払いをWeb上で完結させるためのプラットフォームです。AWSのマネジメントコンソールのようなイメージを持っていただくと分かりやすいかもしれません。ポータルサイトの中にさまざまな商材へのリンクがあり、そこから各商材の申し込みや支払いができるようになっています。

このサービスポータルは、お客さまにとって便利な窓口という役割にとどまりません。社内向けには、NTT東日本の新規事業開発を支援する「開発支援プラットフォーム」としての機能もサービスポータルの特徴です。

通常、新しいBtoBサービスを立ち上げる際には、サービスのコア機能だけでなく、請求処理や顧客管理(CRM)との連携といった周辺機能の開発が必要になります。過去に私が担当した別のサービスでは、これらをスクラッチで開発しようとしたところ、それだけで高額なコストがかかってしまうと試算されたこともありました。サービスのコアではない部分にこれほどのコストと時間をかけるのは、新規事業のスピード感を損なうだけでなく、コア機能の開発にも悪影響が出かねません。そこで請求やCRM連携といったSaaSの共通機能をこの「サービスポータル」に集約し、他のサービスが相乗りできるプラットフォーム化を構想しました。(小林)

開発に至る背景には、どのようなビジネス上の課題があったのでしょうか。

大きく分けて2つの課題がありました。1つはお客さまの利便性です。これまでの申し込みフローは、営業担当者からExcelの申込書を受け取り、記入してメールで送り返していただくという形式が主流でした。そのため、申し込みから開通までに数営業日をお待ちいただくことが多く、Webで「ポチッ」と押せばすぐに使えるSaaS体験に慣れたお客さまにとっては、大きなストレスとなっていました。実際、私が以前担当していたLMS(学習管理システム)のサービスでも、「お問い合わせください」「8営業日かかります」と案内した時点で、検討の土俵にすら上げてもらえないという経験がありました。

もう1つは、先ほど触れた社内の開発コストとスピードの課題です。新規事業において重要なのは、小さく始めて市場の反応を見ること、つまり「早く失敗して改善する」サイクルを回すことです。しかし、従来の重厚長大な開発プロセスや、Excelベースの運用を前提とした社内システムとの連携の難しさが、その足かせとなっていました。

これらの課題を解決し、SaaSビジネスとしての競争力を高めるためには、申し込みから利用開始までをWebで完結させ、かつ新規サービスを次々と生み出せる土壌を作る必要がありました。それが、サービスポータル開発の原点です。(小林)

外部委託による開発ではなく、なぜ内製開発を選択されたのでしょうか。

私たちにとっての内製開発とは、単に業務委託を含む自社社員だけで開発することではなく、ソースコードやインフラの構成、変更の決定権を自分たちが握っている状態を指します。以前のプロジェクトでは、外部の開発会社さんへ委託する体制をとっていましたが、今後の開発・保守まで見据えた際に、より最適な進め方があるのではないかと考えるに至りました。

たとえば、優秀なエンジニアの方に入っていただいても、間に複数の会社が入ることでコミュニケーションのボトルネックが発生したり、軽微なバグ修正に数ヶ月かかってしまったりすることがありました。また、仕様書を作成して渡すだけの関係では、社内に技術的なノウハウが蓄積されず、CI/CDパイプライン(ビルド・テスト・デプロイを自動化する仕組み)の構築や自動テストの導入といったモダンな開発手法を取り入れることも困難でした。

これからの新規事業開発には、アジャイルなアプローチが不可欠です。自分たちでソースコードを管理し、デザインから実装までのプロセスをFigmaやGitHub上に残していく。そうすることで、社内に資産としてノウハウを蓄積し、迅速な改善サイクルを回せるようになります。そのために、信頼できるパートナーエンジニアの方々と直接ワンチームになり、同じ進捗管理表を見ながら開発を進めていく体制を選びました。(小林)

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2. 3ヶ月でのリリースを実現した開発スピードと技術選定。AWS CDKで実現したIaC基盤

ビジネス開発本部 CXビジネス部
データビジネス共創担当
地高 僚太郎

3ヶ月という短期間でのリリースを実現できた背景には、どのような要因があったのでしょうか。

最も大きかったのは、アジャイル開発とウォーターフォール的な社内制度をうまく組み合わせたことです。通常、NTT東日本社内の規定では、開発前に詳細な計画を立てて会議にかける必要がありますが、それではアジャイル開発の良さが消えてしまいます。そこで制度担当部署と相談し、「1年間の大枠の方向性は決めるが、詳細なユーザーストーリーや機能実装はアジャイルに進める」という合意形成を行いました。

また、チームメンバーの構成も重要でした。AWSプロフェッショナルの資格を持ち、地高のようにコーディングができる社員(DX人材)と、信頼できるパートナーエンジニアによる10名程度の少数精鋭チームを組みました。全員が当事者意識を持って開発に取り組めたことが、スピード感に繋がったと思います。(小林)

開発環境の構築において、AWS CDKを採用された狙いについて教えてください。

開発スピードを上げるためには、インフラ構築の自動化と再現性の担保が不可欠です。以前はAWS Amplifyを利用していた時期もありましたが、カスタマイズ性や予期せぬエラーへの対応に課題を感じていました。そこで、より柔軟かつコードベースでインフラを管理できる「AWS CDK(Cloud Development Kit)」を採用しました。

アジャイル開発では、APIの追加や構成変更が頻繁に発生します。エンジニアがローカル環境で開発・テストしたものを、そのまま本番環境へ確実にデプロイするためには、IaC(Infrastructure as Code)による管理が欠かせません。CDKを導入したことで、環境差異によるバグ、いわゆる「開発環境では動いたのに本番では動かない」といったトラブルはほぼ皆無になりました。

以前は手動でのデプロイや環境構築によるミスで時間を浪費することもありましたが、CDK導入後はそうした手戻りもなくなりました。インフラ構築にかかる工数を削減できた分、UI/UXの改善や機能開発といった、お客さまの価値に直結する部分にリソースを集中できるようになっています。(地高)

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3. コスト半減と少人数運用を可能にしたサーバーレス設計によるコスト最適化と運用の自動化

今回のシステムで、サーバーレスアーキテクチャを採用した意図を教えてください。

以前、Amazon EC2やAmazon RDSを利用していた際は、ミドルウェアの不具合やリソース管理に多くの時間を取られていました。例えば、夜間に予期せぬ負荷がかかってサーバーがダウンしたり、データベースの容量調整にエンジニアが張り付かなければならなかったりと、運用負荷が非常に高かったのです。

そこで今回は、実行環境にAWS Lambda、データベースにAmazon Aurora Serverless v2を採用し、徹底したサーバーレス化を図りました。これにより、サーバーのOSパッチ当てやスケール管理といった保守作業から解放されました。(小林)

コスト面や運用体制にはどのような変化がありましたか。

EC2を常時稼働させていた頃と比較すると、リソース利用料はざっくり半分以下、アクセス状況によってはさらに圧縮できていると思います。特にBtoBサービスの場合、コンシューマサービスのように常に大量のアクセスがあるわけではありません。アクセスがない時間帯は課金されないサーバーレスの特性は、理にかなっています。

運用体制についても、現在は5名程度のメンバーで、他のサービスの面倒も見ながらポータルの保守運用を回せています。エラーが発生した際も、AWS Lambdaのログから即座に原因箇所を特定できるため、復旧までの時間が大幅に短縮されました。サーバーの世話をする時間がなくなった分、新たな機能開発や改善に時間を使えるようになったことは、開発チームとしても大きなメリットです。(地高)

4. Azure連携とシフトレフトの考え方で実現した認証基盤と情報セキュリティのこだわり

認証基盤においてAzureとAWSを組み合わせている点や、情報セキュリティ面での工夫についてお聞かせください。

認証基盤については、社内の共通ID認証基盤(Azure AD B2C)を利用しつつ、AWS上のリソースへのアクセス制御を行っています。これにより、社内のセキュリティポリシーを遵守しながら、お客さまにとってセキュアな環境を提供しています。

情報セキュリティ対策については、開発の初期段階からセキュリティを組み込む、シフトレフト(Shift Left)の考え方を実践しています。具体的には、CI/CDパイプラインの中に自動テストを組み込み、コードが反映されるたびにセキュリティチェックが走る仕組みを構築しました。

これまではリリース直前にセキュリティ専門部署による診断(ゲートチェック)を受け、問題があれば修正して再診断、というフローでした。しかし、これでは診断の予約待ちでリリースが遅れてしまう可能性があります。

今回はセキュリティチームと連携し、彼らが使用している診断ツールやノウハウを我々のチームに共有してもらいました。自分たちで日頃から脆弱性診断を回し、最後の確認だけを専門家にお願いする形にすることで、セキュリティ品質を落とすことなく、アジャイルなリリースサイクルを維持できています。(小林・地高)

決済機能やCRM連携における安全性はどう担保されているのでしょうか。

決済やCRMには信頼性の高いSaaSを採用し、API連携を行っています。重要なのは、自分たちでゼロから作り込むのではなく、情報セキュリティが担保されたSaaSを正しく選定し、安全に繋ぎ込むことです。

もちろん、データ通信の暗号化やアクセス権限の管理は徹底していますし、システム的に顧客データを不用意にダウンロードできないような制限もかけています。AWSがマネージドサービスとして提供しているセキュリティ機能に加え、社内の基準(CRPMなど)に基づいたリスクチェックを日々行うことで、多層的な防御を実現しています。(地高)

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5. 開発プロジェクトを振り返って。内製開発だからこそ実現したエンジニアの成長と知識の蓄積

開発現場では、生成AIなどの最新技術はどのように活用されているのでしょうか。

開発チームでは、メンバー全員が日常的に生成AIを活用しています。コーディングの補助はもちろん、データベースの設計相談やエラーの原因調査など、開発のあらゆるフェーズで相談相手として機能しています。

たとえば新しい機能を実装する際、ゼロからコードを書くのではなく、生成AIにベースとなるコードを生成させ、それを自社の要件に合わせて修正するというフローが定着しています。これにより、実装にかかる時間は大幅に短縮されました。また、設計の妥当性を壁打ちすることで、手戻りのリスクを減らすことにも役立っています。

自分たちで手を動かして開発してきたからこそ、生成AIのような新しい技術もすぐに取り入れ、検証することができます。仕様書を書くだけの管理業務ではなく、実際にコードを書き、AWSのサービスを組み合わせる経験を通じて、エンジニアとしてのスキルも大きく向上できました。

さらに、ここで得られた実践的な技術ノウハウはチーム内にとどめず、積極的に社内へ還元しています。例えば、クラウド技術に携わるメンバーがオンライン上に集まって日々知見を発信し合っているほか、隔週水曜日のランチタイムには生成AIや最新技術に関するイベントも開催しています。

机上の資格勉強だけでなく、実務で苦労したポイントやサーバーレスアーキテクチャの実践知を組織全体で共有し、エンジニア同士で高め合う文化が根付いているのも、NTT東日本のチームならではの強みです。(地高)

6. 内製開発でクラウド変革を推進。AWS移行から運用まで伴走支援します

今回のプロジェクトで得られた知見は、今後どのようにお客さまへ還元されていくのでしょうか。

今回のサービスポータル開発を通じて、私たちは「AWSを使ったサーバーレス開発」の実践的なノウハウを蓄積することができました。これは単なる机上の知識ではなく、実際に自分たちが開発・運用し、コスト削減やトラブル対応に苦労した経験に基づくものです。

今後はこのサービスポータルを通じてお客さまに利便性の高いサービスを提供するだけでなく、私たち自身が経験したクラウド移行や内製化のノウハウ自体も、お客さまへの提案に活かしていきたいと考えています。「AWSに移行すると本当に安くなるのか」「情報セキュリティは大丈夫なのか」といったお客さまの不安に寄り添い、実体験を持って「ここは苦労するけれど、こうすれば解決できる」といった提案ができることが、今の私たちの強みです。(小林)

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

「クラウドリフト&シフトだけでは、結局システムのコストは下がらないのでは」とご指摘いただくこともあります。しかし、サーバーレスまで踏み込み、運用の手間を極小化することで、見えにくい人件費や機会損失コストを含めたトータルコストを下げることができるはずです。そして浮いたリソースを新しい価値創造に振り向けられることは、最大のメリットです。私たちはその変革を自ら体現し、お客さまのDXを支援していきたいと考えています。(小林)

今回は、NTT東日本における内製開発のプロジェクト事例をご紹介しました。「お客さまへ提供する新機能開発のリソースに困っている」「開発プロジェクトの進行に悩んでいる」といった皆さまの参考になれば幸いです。

NTT東日本には、社外・社内を問わず多数のAWS導入・開発実績があります。AWSを活用したクラウド基盤の設計・構築はもちろん、導入後の最適化や運用高度化、内製化支援まで一貫して伴走します。最新のAWSサービス活用についてもご相談を受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。

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  • 文中記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、すべて2026年2月時点(インタビュー時点)のものです。

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