NTT東日本の自治体クラウドソリューション

最新のクラウドと電話を組み合わせた、未来でんわ『シン・オートコール』

災害時、本当に不安な夜に人を安心させるのは、画面上の文字情報でしょうか。それとも、受話器から聞こえる「逃げてください」という人の声でしょうか。

チャットボットやSNSなど、連絡手段が多様化する現代においても、「声」というインターフェースがもつ即時性と安心感は、決して色あせることがありません。とくに、使い慣れた固定電話、ガラケー利用者にとっては、それが唯一無二のライフラインとなります。

最新のクラウド・AI等のデジタルと、もっともアナログな「電話」を融合した「シン・オートコール」がめざすのは、技術の進化をひけらかすことではなく、「必要な情報を必要な人に届ける」という想いを基にしたDXの形です。

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1. DXが進む中で感じる、「情報が届かない」というもどかしさ

災害時の避難指示や日々の行政情報など、自治体から発信する情報は増える一方ですが、それを「受け取る側」の環境はさまざまです。

とくに、スマートフォンの操作が苦手な高齢者や、インターネット環境が整っていない世帯に対して、どのように確実に情報を届けるかは大きな課題です。「デジタルデバイド(情報格差)」の解消は、多くの自治体さまにとって喫緊の課題となっています。

「デジタルの便利さを享受できる人」と「できない人」の分断を生まないためには、住民に「新しい技術への適応」を求めるだけでなく、「ムリなく使える手段」を用意する必要があります。

2. 「システムに人が合わせる」のではなく、「人にシステムが合わせる」やさしい未来へ

これまでのシステム導入は、利用者に新しい操作やデバイスへの習熟を求める「人がシステムに合わせる」形が一般的でした。しかし、「シン・オートコール」の設計思想は真逆です。

めざしたのは、「人がシステムに合わせるのではなく、人にシステムが合わせる」ことでした。住民の方が使い慣れた道具や、生活の中に当たり前にあるインターフェースを考えた時、それが「電話」だったのです。

最新のクラウド技術を裏側で動かしながらも、住民の方に見えるのはいつもの「電話機」だけという「やさしさ」こそが、真の地域DXには必要だと私たちは考えています。

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3. 「シン・オートコール」がめざす、最新クラウドとアナログ電話の融合

「シン・オートコール」は、最新のクラウドサービス(AWS)と、使い慣れた電話を組み合わせることで、情報伝達をデジタル化するソリューションです。

仕組みはシンプルです。利用者(自治体さまなど)がクラウド上の管理画面から発信操作を行うと、住民の固定電話やスマートフォンに一斉に電話がかかります。受け手は、防災無線のように一方的に聞くだけではありません。

たとえば防災の場面では「避難できますか?」という問いかけに対し、電話機の声で「はい」と答えることで、その結果が即座にクラウド上に集約されます。

まさに、最新の「クラウド × 使い慣れた電話」の融合によって、双方向コミュニケーションを実現しているのです。

4. 住民にも職員にも負担をかけない、シン・オートコールの特徴

ここでは、シン・オートコールの特徴を3つに分けて紹介します。

4-1. 誰でも直感的に使える「声」のインターフェース

最大の特徴は、「声」を使ったやりとりである点です。スマートフォンを持たない高齢者の方でも、自宅にある固定電話で応答が可能です。

固定電話に向かって、「声」で「はい」「いいえ」と答えるだけで操作が完了します。機械的な操作を強いることなく、直感的に「声」でつながれる安心感を提供しているのです。

4-2. 現場の声から生まれた「育てる」クラウドシステム

「シン・オートコール」はただ導入するのではなく、実際に使う方と「一緒に」つくることを大切にしています。

例えば、自治体さまでは、情報を受け取る住民側と発信する職員側、双方の意見をもとに機能をブラッシュアップしていきます。クラウドサービスのメリットを活かし、必要な機能を小さくはじめて、現場のニーズに合わせて大きく育てていくことが可能です。

Web画面からの操作だけでなく、電話やメールを使ってシステムを起動するなど、現場の運用に合わせた柔軟な拡張性を備えています。

4-3. 平時の見守りから有事の避難まで「日常に溶け込む」仕組み

どんなに優れたシステムでも、それが普段は触れることのない「災害時だけの特別なツール」であっては、いざという時に使い方が思い出せないものです。だからこそ、「シン・オートコール」は「平時も有事も」使えることにこだわりました。

日頃の高齢者見守りや防犯情報の配信、行政イベントの案内など、平時の訓練を兼ねて日常的に活用することで、有事の際にもスムーズな安否確認が可能になります。

5. 生成AIで実現する「未来でんわ」としての働き

「シン・オートコール」は単なる一斉架電ツールにとどまりません。生成AIを活用した新機能により、さらに進化した「未来でんわ」の世界を実現します。

5-1. 「文字」と「声」の壁をなくす通話支援機能

「声でお話しするのが難しい」「電話が苦手」という方をサポートする機能です。

たとえば、住民の方がLINEなどのチャットツールで文字を入力すると、生成AIがそれを自然な「電話の声」に変換して相手に伝えます。逆に、電話の相手が話した「声」は、AIが自動で「文字」に変換して、チャット画面に届けてくれます。

文字のやりとりと電話のやりとりをAIがつなぐことで、コミュニケーションのバリアを取り払えるのです。

5-2. 悪質な電話から住民を守る通話仲介支援機能

いわゆる「電話番」のように、AIが間に入って住民を守る機能です。

かかってきた電話に対し、AIがまず「合言葉」や用件を確認します。悪質な業者や不審な電話であれば、AIが判断して本人にはつなぎません。

「電話に出るのが怖い」という高齢者の不安を解消し、安全な通話だけを取り次ぐゲートキーパーの役割を果たします。

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6. 「電話」だからこそ実現できた、シン・オートコールの導入事例

ここでは、実際に「シン・オートコール」を導入している機関や自治体の活用事例を紹介します。

6-1. 【岩手県陸前高田市さま】 「より多くの方へ届くように」防災無線を補完する確かな連絡網

東日本大震災で甚大な被害を受けた陸前高田市さまでは、復興が進む中で新たな課題となったのが、防音効果が高い住宅では防災行政無線が聞こえにくいことや、高齢者がSNSやメールを使いこなせないという現実でした。

情報を確実に届け、逃げ遅れを防ぐ方法を求めて、2019年の夏に市の担当者さまが「高齢者が使い慣れている音声の電話を活用できないだろうか」とNTT東日本に相談をもちかけたことから、このプロジェクトは動き出しました。

開発にあたり重要視されたのは、徹底した「現場目線」です。たとえば、AIによる音声認識機能には、岩手県特有の方言や読み方の難しい地名を丁寧に学習※させ、高齢者の言葉を正確にテキスト化できるよう調整が重ねられました。(※なお、方言等の学習は実証実験での取り組みです。)

また、「助けて」「苦しい」といった緊急度の高い言葉が含まれていた場合には、管理画面上に赤字で警告表示し、職員が優先的に対応できる仕組みも実装されています。さらに、読み上げ音声のスピードを「すごくゆっくり」に設定できるなど、システム全体が高齢者に寄り添った設計となっています。

こうした取り組みの結果、2024年8月の台風5号接近時には、避難対象者の約半数から電話による応答を得られ、安否確認の有効性が実証されました。「技術をもつ企業」と「ニーズを知る自治体」が互いに補完し合い、アナログとデジタルを融合させた「共創」の好事例として、地域防災の新たな可能性を広げています。

さらに、2025年7月のカムチャッカ半島地震や青森県の地震等でも職員参集や事後の安否確認に活用されています。

参考:陸前高田市、電話による災害時の情報伝達・安否確認システムに AWS を活用し、住民の自助を支援する新たな防災の未来へ

6-2. 【山形県警察さま】【茨城県警察さま】「ニセ電話詐欺」を水際で防ぐ。金融機関との連携プレー

山形県警察本部および茨城県警察本部では、深刻な社会問題となっている「ニセ電話詐欺」の被害防止対策として「シン・オートコール」を導入しました。

詐欺の予兆を検知すると、県内の金融機関へ一斉に注意喚起の電話を発報します。AI音声や録音した肉声で具体的な手口を伝え、電話を受けた銀行員などが「はい」と応答することで、警察側は伝達状況をリアルタイムに把握できます。

「今、まさに起きている犯罪」に対し、電話という即時性の高い手段で広域に注意を促す、防犯の新たなモデルケースです。

参考:東北初!山形県全域における「AI」を活用した詐欺被害防止対策 ~「シン・オートコール※」導入による特殊詐欺被害防止対策の開始について~

参考:茨城県全域における「シン・オ-トコール※」を活用した 「ニセ電話詐欺」被害防止の取り組み

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7. シン・オートコールの導入の流れ・運用イメージ

「シン・オートコール」の導入は、決して大がかりなシステム改修から始まるわけではありません。まずは地域の防災訓練や体験会などを通じて、住民の皆さまに実際に「電話を受ける体験」をしていただくプロトタイピング(試用)からスタートします。

そこで得られた「聞こえやすさ」や「使い勝手」などのリアルな声を反映させながら、お客さま専用のクラウド環境(AWS)を構築していくため、最初から完璧をめざす必要はなく、予算や規模に合わせて小さく始めることが可能です。

また、運用面でも「現場へのやさしさ」を重視しています。管理画面はご要望に応じた簡易なWeb画面を作成できるほか、PCが手元にない夜間や緊急時でも、担当者の電話やメール操作だけでシステムを起動させる仕組みも実装可能です。

さらに本サービスの大きな特徴は、システムを「共に育てていく」ことができる点にあります。たとえば、シン・オートコールをご利用いただいている自治体さまで生まれた優れた使い方や改善アイデアは、他地域の課題解決にも活かせるよう共通機能として磨き上げられ、全体として進化していきます。

そこに、発明者自らが必ず伴走するというコアバリューがあります。現場に寄り添い、状況を深く理解したうえで改善を続けていく姿勢を大切にしています。現場と共に機能を拡張しながら成長していく姿は、防災分野に限ることなく、住民サービス、福祉、地域コミュニケーションなど、声を介した行政の多様な業務にも応用できる基盤として、幅広い可能性を有しています。

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8. シン・オートコールに関するQ&A

ここではシン・オートコールの運用に関して、よく寄せられる質問について回答しています。

Q

電話は何回線くらい発信できますか?

A

電話は1分間に約100〜120コールの発信が可能です。また、SMSは約1,200通/分の送信が可能です。規模に応じて同時通話数(最大10〜300通話程度)の調整もできます。

Q

高齢者の方は「AIの声」に驚かないでしょうか?

A

AI音声だけでなく、職員の方などの「肉声」を録音して配信することも可能です。顔の見える関係者の声で「逃げろ!」と伝えることで、より切迫感や安心感を伝えられます。

Q

費用感について教えてください。

A

初期構築費用は個別のお見積もりとなります。月々の運用費は、リセール費用に加え、利用実績に応じたAWS利用料(通信料など含む)などです。お客さまの環境に合わせて最適なプランをご提案いたします。

9. まとめ

「シン・オートコール」は、最新のクラウド技術と、誰もが慣れ親しんだ「電話」というインターフェースを組み合わせることで、「本当に届けたい情報」を届ける仕組みです。

スマートフォンやインターネット環境に依存せず、高齢者や防災弱者にも同じレベルで情報を届けられる点が、大きな特徴です。

平時の見守りから有事の避難誘導まで、住民にも職員にもやさしい連絡インフラとして、「シン・オートコール」を検討してみてはいかがでしょうか。

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