COLUMN

1. Amazon Rekognitionとは

Amazon Rekognitionはディープラーニング(深層学習)に基づいた画像認識および画像分析ができるフルマネージド型の機械学習サービスです。

ディープラーニングとは機械学習の分野の1つで、十分なデータ量があれば人間の手を介さずともコンピューターが自動で大量のデータを解析し、データの中から特徴を抽出することができる技術です。

Amazon Rekognitionを使用するのにディープラーニングの専門知識は不要で、画像の認識やビデオの分析をアプリケーションに簡単に追加できるサービスとなっています。

またフルマネージド型なので、AWSが事前に画像およびビデオ認識のタスクを済ませています。そのためディープラーニングのシステムのためにチューニングやメンテナンスといったコストを必要とせず、開発者はアプリケーションの設計や開発に集中することができます。

Amazon Rekognitionの種類や料金体系に触れてから、デモを使った画像分析を紹介していきます。

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2. Amazon Rekognitionの種類について

2-1. Amazon Rekognition Image

Amazon Rekognition Imageとはディープラーニングによる画像認識サービスです。

主に以下のようなことが可能です。

  • オブジェクトやシーンの自動検出
  • 顔の検索や分析、比較
  • 危険画像の検出
  • 有名人の認識
  • テキストの検出
  • PERSONAL PROTECTIVE EQUIPMENT (PPE) の検出

また認識したものすべてに信頼スコアが表示されます。Amazon Rekognition ImageはAmazonのコンピューター視覚科学者が高度なディープラーニング技術を使用したサービスなので、十分な情報に基づいた精度の高いスコアを出していると言えます。

2-2. Amazon Rekognition Video

Amazon Rekognition Videoは動画の分析に使用できるサービスです。分析にはリアルタイムのストリーミングビデオと保存されたビデオの2種類があるのでそれぞれ紹介します。

リアルタイムのストリーミングビデオは、カメラから得たリアルタイムの動画からオブジェクトを検出できるサービスです。人物、ペット、検出されたオブジェクトの拡大画像などを低レイテンシーで検出することができるため、危険物を検出した際にタイムリーにアラートを配信することが可能です。

リアルタイムだけでなく保存されたビデオを分析することも可能です。Amazon S3バケットに保存した動画を分析することができ、物体、シーン、有名人、テキスト、不適切なコンテンツなどを検出します。また、精度の高い顔分析および顔検索機能も備えているので、顔の検出、分析、比較が行えるほか、動画内で人の動きを追跡することもできます。

2-3. Amazon Rekognition Face Liveness

Amazon Rekognition Face Livenessは動画を分析しサービスに登録されているユーザーか、悪意のあるなりすましなのかを判別することができるサービスです。

ユースケースとしてボットによるサービス利用を防止するために利用することができます。3Dマスクやフェイク動画など人間を装ったなりすましを検出し、本物の人間がサービスを利用しているかどうかチェックしてくれます。

Amazon Rekognition Face Livenessが利用できるリージョンは執筆時点(2024年5月22日)で、米国東部 (バージニア北部)、米国西部 (オレゴン)、欧州 (アイルランド)、アジアパシフィック (東京)、アジアパシフィック (ムンバイ) です。

今後、他のリージョンでも使えるようになる可能性もあるのでAWSからのアナウンスを待ちましょう。

2-4. Amazon Rekognition Custom Labels

Amazon Rekognition Custom Labelsは、ビジネスニーズに合わせて会社のロゴや動画のアニメーションキャラクターの検出といった特定のオブジェクトやシーンをラベル付けすることができます。

Amazon Rekognition ImageやAmazon Rekognition VideoではAWSが事前に学習させたモデルを使用してオブジェクトやシーンの検出や顔の検索をしますが、特定のビジネス要件ではラベル付けがされていないことがあります。

このようなニーズを満たすためにAmazon Rekognition Custom Labelsを利用することで、自前で用意したデータを使用しカスタム画像分析モデルを作成することが可能です。

ユースケースとしてマーケティングの観点でブランドの普及率を測定する用途で活用できます。Amazon Rekognition Custom Labels で自社のロゴや製品をカスタムでラベル付けし、動画や画像の中からカスタムモデルを通じて処理することで普及率を測定します。

担当者が目視で確認するよりもスピーディで正確な値を取得できるので、このようなユースケースを検討している場合はぜひ検討したいサービスとなっています。

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3. Amazon Rekognitionの料金体系

Amazon Rekognitionの種類や特徴について紹介したので、続いてそれぞれの料金体系について説明します。

3-1. Amazon Rekognition Image

Amazon Rekognition Imageは分析の方法やデータ量に応じて料金が発生します。

分析の方法は2種類ありAPIを使用して画像を分析する場合と顔検索機能を利用した場合で分けられます。

APIを使用した分析ではグループ1とグループ2に分類され、今回はグループ1のみの料金体系をご紹介させていただきます。最初の100万枚は1枚の画像につき0.0013USD、次の400万枚まで画像1枚につき0.001USD、次の3,000万枚まで画像1枚につき0.0008USD、3,500万枚以上の場合は画像1枚につき0.0005USDと設定されています。

顔検索機能を利用した場合は、Amazon Rekognitionが顔の一致をしているか検索するために顔メタデータオブジェクトのレポジトリを保持する必要があります。顔メタデータオブジェクトには顔ベクトルとユーザーベクトルの2種類の機能があり、どちらもストレージ料金がとして1データ1ヶ月あたり0.000013 USDが課金されます。ストレージの利用が1ヶ月未満の場合は日割りで料金が計算されます。

Amazon Rekognition ImageはAWSの無料利用枠の対象で12か月ご利用可能です。APIを使用した分析ではグループ1とグループ2のそれぞれで画像が5,000枚以内であれば無料で分析することができます。ただしグループ2のImage Propertiesは無料枠の対象外ですのでご注意ください。

顔検索機能は1か月あたり顔ベクトルとユーザーベクトルでそれぞれ1,000個まで無料で保存することができます。

3-2. Amazon Rekognition Video

Amazon Rekognition Videoの料金体系は使用した分のみ課金される仕組みとなっています。

料金の種別としてストリーミング動画イベント、保存された動画の分析、顔メタデータのストレージの3つに分類されているのでそれぞれご紹介します。

ストリーミング動画イベントはAmazon Kinesis Video Streamsからの新規または既存の動画を処理し、イベントごとに最大で120秒の動画を分析できます。Amazon Rekognitionによって顔検索をした場合は1分間で0.15USDの料金が発生します。

保存された動画の分析では、Amazon S3に保存されている動画を分析した際に料金が発生します。金額はラベル検出、コンテンツのモデレーション、テキストの検出、顔検出、有名人の認識、顔検索、人物の動線の検出のそれぞれで1分あたり0.13USDです。

顔メタデータのストレージ料金は1データの1か月あたり0.00001USDです。Amazon Rekognitionが顔検索できるように顔メタデータをリポジトリに保存する必要があり、そのストレージ料金が発生するといった料金体系です。

3-3. Amazon Rekognition Face Liveness

Amazon Rekognition Face Livenessの料金体系はシンプルで1チェックごとに料金が発生します。最初の50万回は1チェックあたり0.0195USD、次の250万回のチェックまでは1チェック辺り0.0163USD、300万回を超える場合は1チェックあたり0.0130USDとなっています。

3-4. Amazon Rekognition Custom Labels

Amazon Rekognition Custom Labelsはトレーニングと推論で料金が異なります。

たとえばカスタムモデルのトレーニングに20.5時間、画像の処理のため1日あたり推論に1.5時間が必要と仮定します。

トレーニングは1時間あたり1.37USDなので1日あたり28.085USDとなります。

推論は1時間あたり4.00USDなので1日あたり6.00USDとなります。推論はリソースのプロビジョニングを解除しないと、画像を処理していなくても継続して課金が発生しますのでご注意ください。

Amazon Rekognition Custom Labelsは3か月間の無料枠を利用でき、トレーニングは1か月あたり10時間、推論は4時間の無料枠が提供されています。

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4. Amazon Rekognitionの使い方

Amazon Rekognitionではデモが用意されており、AWSがすでに画像や動画を用意しているのでAWSのアカウントと適切な権限があればいつでも利用できます。

今回はAmazon Rekognition Imageのデモを使って画像を分析していきましょう。

AWSのコンソールにログインし、検索で「Amazon Rekognition」と入力すると候補で「Amazon Rekognition」が出てきますのでサービス名を押下します。

Amazon Rekognitionのコンソール画面が表示されたら、下図の赤い枠で囲っている「デモを試す」を押下しAmazon Rekognition Imageのラベル検出の画面を開きます。

もし「デモを試す」が表示されていない場合は、サイドバーの「デモ」にある「ラベル検出」を押下してください。

ラベル検出の画面ではAWSがすでに用意しているサンプル画像に対して、画像内で認識したオブジェクトやシーンにラベルを付け、信頼スコアが返しています。

このようにディープラーニングの専門知識がなくとも、Amazon Rekognitionを利用することで簡単に画像の分析を行うことができます。

サンプル画像だけなく個人で撮影した写真も分析してくれるのか試してみましょう。

はたして今回は私が撮影した海岸の写真をアップロードして、海や空といったシーンを認識してくれるのでしょうか。

自前で用意した画像をアップロードする方法は簡単で、ラベル検出の画面を下にスクロールすると「自前の画像を使用」があり、「アップロードまたはドラッグアンドドロップ」を押下し分析したい画像をアップロードもしくはドラッグアンドドロップするだけです。

画像をアップロードするとAmazon Rekognition が1、2秒ほどで分析し、ラベル付けとスコアを返してくれたので結果の画像を以下に添付します。

結果を確認するとアップロードした画像に対して自然、アウトドア、空、地平線、ビーチ、海岸とラベルを付けてくれていることが確認できます。また各ラベルに信頼スコアが返されいずれも精度の高い分析をしてくれました。

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5. Amazon Rekognitionの活用事例

ここまでAmazon Rekognitionの種類や特徴だけでなくデモを使ってご紹介してきました。

続いてAmazon Rekognitionを実際に導入している事例を紹介していきますので、今後の開発やビジネスのヒントになりましたら幸いです

5-1. NTT東日本

NTT東日本は、ICT技術のプロフェッショナル集団として基幹ネットワークの運用や構築を通して東日本エリアの通信を支える会社です。NTT東日本では2020年に特定ユーザーへのリリースを開始したオンライン試験における不正を監視するサービス「Remote Testing AI アナリスト」構築の際に、Amazon Rekognitionを活用しました。

Amazon Rekognitionの機能の一つである「顔の検出や分析」を利用し、録画された受験中の動画をクラウドAIが自動で検知し、不正の可能性を洗い出してくれます。クラウドAIが不正監視を行うことで、今まで人間の監視員が行っていた時より精度も上がり、負担も減ることが期待されます。

5-2. 共同通信社

日本の代表的な通信社である共同通信社は、これまでのキーワードによる写真検索に加えて、顔認識で自社データベース内の写真を検索できる画像検索システム「ぽっと出」にAmazon Rekognitionを導入しています。

日々の写真や過去写真から人物登録を自動化しているため、顔写真があれば写真説明に記載がない人物でも顔認識で検索できるようになりました。これにより、担当者の作業効率化されたとともに作業時間も大幅に短縮を実現しました。

5-3. HERE Technologies

世界でも有数の地図データや位置情報テクノロジープラットフォームを提供しているHERE Technologiesは、マッピングコンテンツを充実させるためAmazon Rekognitionを導入しています。

Amazon Rekognition Imageでは画像中のテキストを容易に検出できる機能を活用し、看板や標識の情報を継続的に更新しマッピングコンテンツの充実に成功しています。

5-4. 株式会社うるる

株式会社うるるは保育園と幼稚園向けのオンライン写真販売サービスである「えんフォト」にAmazon Rekognitionを導入しています。「えんフォト」では園が撮影した写真をアップロードし、保護者がアップロードされた写真の中からプリントしたい写真を選択することができるサービスです。

Amazon Rekognitionにより、保護者がアップロードした子どもの写真と園がアップロードした写真を分析し、正確に割り出すことに成功しました。保護者が子どもの写真を見つけやすくなっただけでなく、園の先生方にも好評でカスタマーエクスペリエンスにも役立っています。

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6. まとめ

今回Amazon Rekognitionの特徴だけでなくデモによる画像分析についても紹介しました。

Amazon Rekognitionはディープラーニングに基づいた精度の高い画像や動画分析ができることはもちろんのこと、専門的な知識が無くとも画像分析が利用できることも強みであると言えます。

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7. 参考

Amazon Rekognition のよくある質問

本記事に記載されている会社名、サービス名、商品名は、各社の商標または登録商標です。

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