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SaaSデータベースとは?3つの機能や導入時の注意点

SaaSのデータベースとは、クラウド型データベースの一種です。従来のオンプレミス型のデータベースと異なり、データベースを使うために必要な機器やソフトウェア類を、自分で保有する必要がありません。SaaSは、クラウドの中でも、専門知識なく簡単に使えるサービスです。

以上のことから、SaaSデータベースは、クラウドやITの初心者でも使いこなしやすいクラウド型データベースであると、考えておけばよいでしょう。

SaaSのデータベースには、初期費用を抑えて導入できる、保守管理の手間が最小限で済む、など多くのメリットがあります。また、どこからでもアクセスできるSaaSのデータベースであれば、データを活用しやすくするデータベースの特性を最大限生かせることも強みです。データを有効活用して、業務効率化や競争力強化を実現したいと考えているなら、最適なツールと言えるでしょう。

ただし、無目的にSaaSのデータベースを取り入れても、導入効果は薄いことに注意が必要です。業務効率化や競争力強化などの効果を得るには、SaaSのデータベースとはどういうものか、その特性やメリットなどを把握し、業務や組織の状況に適したツールを導入する必要があります。

そこで今回は、SaaSのデータベースを導入し有効活用するために知っておくべき、SaaSのデータベースの概要・種類ごとのメリット・おすすめのケースなどを、解説します。

【この記事の内容】

  • SaaSのデータベースとは
  • 代表的なデータベースの導入形態を比較!【オンプレミス・PaaS・SaaS】
  • SaaSデータベースを導入検討するときの注意点

後半では、SaaSのデータベース導入効果を、最大限発揮させるために注意すべきポイントなどもご紹介します。

この記事の内容をチェックしておけば、SaaSのデータベースとはどういうものか、その特徴などを理解し、現在の課題やニーズから見てSaaSのデータベースを導入すべきかどうかを判断できるようになるでしょう。

今や、デジタルデータの活用は、企業の競争力確保に欠かせない要素です。この機会に、手間やコストを抑えてデータを利活用できるSaaSのデータベースについて、基礎知識を身に付けておきましょう。

1. SaaSのデータベースとは

SaaSのデータベースとはどのようなものか正しく理解するためには、SaaSとは何か、データベースとは何か、を把握しておくことが大切です。ここでは、それぞれのポイントやSaaSのデータベースでできること、具体的なサービス例などを解説します。

◆この章で確認できる基礎知識

  • SaaSとは
  • データベースとは
  • SaaSのデータベースでできること3つ
  • SaaSデータベースの具体例

自社に最適なツールを正確に見極めるためにも、基礎知識を確認しておきましょう。

1-1. SaaSとは

SaaS(Software as a Service)とは、クラウドサービスの一種です。ソフトウェアを所有せずに、その機能だけをネットワーク経由で利用できるサービスで、一般的に広く利用されているクラウドサービスと言えます。

例えば、会計ソフトを使いたい場合に、SaaSであれば、従来のようにソフトウェアを購入しインストールする必要はありません。クラウドサービス提供事業者に申し込むだけで、面倒な準備や設定もなく、インターネット経由で会計ソフトの機能をすべて使えます。費用は、利用した分だけ料金が発生する従量課金制です。

クラウドサービスには、SaaSの他にも、PaaSやIaaSといった種類があります。

代表的なクラウドサービスは、SaaS・PaaS・IaaSの3種類
SaaS(Software as a Service)
  • ソフトウェアを保有することなく、必要な機能を使えるクラウドサービス
  • メールや文書作成、表計算ソフトなど、さまざまなソフトウェアを使える
  • カスタマイズ性は低いが、専門知識が無くても利用できる
PaaSPlatform as a Service)
  • ソフトウェア類を動かせる環境であるプラットフォームを利用できるクラウドサービス
  • アプリの開発環境やAIによるデータ分析環境などが代表的
  • SaaSに比べるとカスタマイズできるが、その分、知識も必要
IaaS(Infrastructure as a Service)
  • コンピューターの基本部分であるサーバーやストレージ、ファイアウォールといった、インフラのみを利用するクラウドサービス
  • 3つの中でもっとも自由度は高いが、もっとも専門知識が必要

上記のとおり、クラウドの中でも、一番、専門知識を必要とせずに簡単に使えるのがSaaSです。SaaSはすでに身近なものとなっており、具体例には、GmailやTwitterなどさまざまなものが挙げられます。

◆SaaSの具体例

  • Gmailなどのメールソフト
  • Twitterなどのコミュニケーションツール
  • Googleドキュメントなどの文書作成ソフト
  • ドロップボックスなどのファイル共有ソフト
  • ZoomなどのWeb会議システム
  • 会計ソフト、営業支援ソフト など

1-2. データベースとは

データベース(Data Base)とは、コンピューター上で、形式やルールを決めて整理・管理された複数のデータの集合体のことです。データベースは、たくさんのデータを使いやすく管理し効率的に利用するうえで役立つ機能を、多く備えています。

次のとおり、データの抽出や編集・分析・共有などをしやすくするのが、データベースの特徴と言えるでしょう。

◆データベースでできること

  • データをルールに沿って整理し、管理する
  • 多くの人が同時にデータを共有する
  • 欲しいデータを効率的に検索する
  • 保存されたデータの分析や加工を行う
  • 他のシステムと連携させ、マーケティングなどのサポートに活用できる

データベースは、すでに、さまざまな場所で使われています。その一例を確認しておきましょう。

◆データベースの具体例

  • 顧客の住所や氏名、利用状況などの情報を管理し検索できる顧客管理ツール
  • 各店舗の在庫状況を一括管理できる在庫管理システム
  • 診療記録を素早く参照することができる電子カルテ
  • 商品の情報などを登録し、注文に合わせて検索や手配ができるECサイト
  • 知りたい情報をインターネットから簡単に見つけられる検索エンジン

以上のとおり、データを有効活用できることに加え、効率的な管理ができるのがデータベースです。

1-3. SaaSのデータベースでできること3つ

SaaSのデータベースは、クラウド環境で利用できること以外は、通常のデータベースと同じような機能を有しています。ここでは、「1-2. データベースとは」でご紹介した「できること」に加えて、SaaSだからこそできることを確認しておきましょう。

◆SaaSのデータベースでできること

  • 初期費用を抑えて導入できる
  • 保守管理の手間を省いて運用できる
  • 利用規模を柔軟に変更できる
1-3-1. 初期費用を抑えて導入できる

SaaSのようなクラウド型データベースは、初期費用を抑えて導入することができます。

クラウド型のデータベースでは、データベースを利用するために使用するサーバーやソフトウェア類を、自社で用意する必要がないからです。クラウドサービス提供事業者に利用申し込みをすれば、使い始められます。かかる費用は、基本的に使った分発生する利用料金だけなので、初期投資を大幅に減らせるでしょう。

スタートアップでまとまった費用の発生を抑えたい場合や、試しにデータベースを使ってみたい場合なども、SaaSのデータベースなら気軽に導入できます。

1-3-2. 保守管理の手間を省いて運用できる

SaaSのようなクラウド型データベースは、保守管理の手間を省いて運用できることも、魅力と言えます。

SaaSでは、運用に必要な機器のメンテナンスやソフトウェアのアップデートなどの保守管理は、すべてクラウドサービス提供事業者が行うからです。機器の故障や災害などに伴うトラブルからの復旧作業なども、クラウドサービス提供事業者にお任せできます。

中小企業で、新たなシステムの保守管理に人員を割く余裕がない場合や、IT関係に詳しい人材を保有していない場合でも、安心です。

1-3-3. 利用規模を柔軟に変更できる

導入後であっても、いつでも利用規模などを柔軟に変更できることも、SaaSのデータベースだからできることと言えるでしょう。

SaaSのデータベースは、クラウドサービス提供事業者との利用内容を変更するだけで、簡単に利用する容量や機能などを変えられるからです。

自社でデータベース用の機器やソフトウェアを管理している場合、データベースの保存容量などを変えようとすると、サーバーから買い替えなければいけなくなるなど、大きな費用負担が発生してしまいます。

SaaSのデータベースならば、そのような心配をせず、その時々の状況に合わせた最適なデータベースを使うことができるでしょう。

2. 代表的なデータベースの導入形態を比較!【オンプレミス・PaaS・SaaS】

データベースの導入形態には、SaaS以外にも、PaaSやオンプレミスなどがあります。

データベースの導入形態の比較
オンプレミス
  • 自社で機器やソフトウェアを保有し、保守管理する従来の導入形態
  • 初期費用や保守管理の手間はかかるが、カスタマイズ性は、3つの中でもっとも高い
PaaS
  • クラウド型データベースの一種
  • SaaSよりもカスタマイズ性は上がるが、カスタムするためには知識が必要
SaaS
  • クラウド型データベースの一種
  • カスタマイズの自由度は3つの中でもっとも低いが、専門知識がほとんど不要で、すぐに使い始められる

最適な導入形態を選ぶためにも、それぞれの特徴や向いている場合などを、ポイントを絞ってチェックしておきましょう。

2-1. データベース比較①:SaaSとオンプレミス

オンプレミス(on-premises)とは、システムを運用するために必要なハードウェア・ソフトウェアを

自社の施設内で保有・管理する導入形態です。従来は、システムやデータベースを導入するときの形態は、オンプレミスが主流でした。

オンプレミス型のデータベースの特徴は、次のとおり、利用するインフラやソフトウェアの構成・スペック・セキュリティなど、あらゆる面での独自性の高さです。

◆オンプレミス型のデータベースの特徴

  • 機器やソフトウェア類の選択肢に制約がない
  • 自社オリジナルで開発したような特殊なシステムと連携することもできる
  • 完全に外部と遮断した環境で運用することも可能なので、非常に高度なセキュリティ対策を取ることが可能
  • ただし、自社ですべての機器やソフトウェア類を調達するので、その費用がかかる

対して、SaaSのデータベースは、クラウドサービス提供事業者が準備した機器やソフトウェア類を使うため、カスタマイズの自由度はありません。一方で、自社で機器類を調達しないので、初期費用もかからないし保守管理も不要です。

以上を踏まえると、オンプレミス型・SaaSがそれぞれ向いているのは、以下のような場合と言えます。

オンプレミス型とSaaS、それぞれが向いているのは?
オンプレミス型データベースが向いているケース
  • 自社で責任を持って高度なセキュリティ対策を行いたい
  • クラウドサービス提供事業者が提供する範囲に制約されず独自のカスタマイズをしたい
  • システム全体の保守管理を十分に行える人的リソースが確保できる
SaaSデータベースが向いているケース
  • コストを抑えたい
  • 保守管理に労力をかけたくない

2-2. データベース比較②:SaaSとPaaS

PaaS(Platform as a Service)は、「1-1. SaaSとは」でもお伝えしたとおり、クラウドの一種です。SaaSとの大きな違いは、アプリケーション部分をクラウドサービス提供事業者が提供するかどうか、です。PaaSでは、アプリケーション部分は提供されませんが、SaaSでは、提供されます。

以上を踏まえると、PaaSのデータベースの特徴は、次のとおりです。

◆SaaSと比較した場合のPaaSデータベースの特徴

  • アプリケーションを選べるので、その分、SaaSよりは自由度が高い
  • 設定などに自由度がある分、SaaSよりは、専門的な知識が必要になる

SaaSとPaaSは、どちらもクラウドサービスなので、基本的な特徴は同じですが、上記のとおりカスタマイズ性などで若干の差が出ます。イメージとしては、SaaSは既製品、PaaSはセミオーダーのような自由度です。

PaaSデータベースが向いているのは、次のようなケースが考えられます。

PaaSのデータベースが向いているケース
  • データベースのデータ管理方式を選びたい
  • データベースで使う言語などについて、ある程度の知識がある

「初心者が使うならSaaS、ある程度詳しい人がこだわって使いたい場合はPaaS」というのが、ざっくりとした住み分けと考えておきましょう。

3. SaaSデータベースを導入検討するときの注意点

SaaSデータベースを導入検討するときは、次のようなポイントに注意が必要です。

SaaSデータベースを導入検討するときの注意点

1. データの利用用途・規模に合わせて選ぶ

2. SLAを確認する

3. サポート内容をチェックする

データベースを導入したけれど「使いにくい」「導入効果が実感できない」などといった事態にならないようにするためにも、どういうところに注意すべきかを把握しておきましょう。

3-1. データの利用用途・規模に合わせて選ぶ

SaaSデータベースを導入検討するときは、データの利用用途・規模に合わせて選ぶことが大切です。クラウド化がトレンドだから、といった理由で何となく選ばないようにしましょう。

データベースは、サービスによって得意分野や機能が異なるからです。例えば、顧客情報を管理することを目的としてデータベースを導入するなら、顧客管理に特化したデータベースを導入することで、使い勝手が向上するでしょう。

業務のジャンルごとに特化したデータベースもあるということを念頭に置いて、検討段階で、業務とマッチするか必ず確認しましょう。何かに特化した分野があるかどうかは、各クラウドサービスの公式ホームページで確認できます。また、無料トライアルがあるサービスなら、実際に試してみるのが一番です。

3-2. SLAを確認する

導入後に「想像していた品質ではなかった」と後悔しないために、SaaSデータベースを導入するときは、SLAを確認しておきましょう。

SLA(Service Level Agreement)とは、クラウドサービスの範囲や内容など、サービス品質を定量的に明文化したものです。確認することで、クラウドサービス提供事業者が保証するサービスの質がわかります。

特にチェックすべきなのが、「サーバーの稼働率」に関する内容です。稼働率を確認することで、年間を通して、どの程度、安定的にサービスを使えるのかがわかります。例えば、いくら利用料金が安いクラウドサービスであっても、実際はメンテナンスなどで度々使えない時間があると、業務が進まなくなってしまうでしょう。

こういう事態を避けるために、サーバー稼働率の高いクラウドサービスを選ぶことが、有効です。SLAは、各クラウドサービスの公式ホームページなどで確認できます。

3-3. サポート内容をチェックする

サポート体制をチェックして、充実したサポートが受けられるサービスを選ぶことも、SaaSデータベースを導入するときに重要なポイントと言えます。

サポート体制が充実していると、手間をかけずに安定して運用することができるからです。具体的には、次のような理由でサポートが重要と言えます。

◆サポート体制の充実が重要な理由

  • 導入後、操作がわからないときなどにサポートしてもらえるので、効率的に作業を進められる
  • トラブル発生時に速やかに対応してもらえるので、安心して安定した運用ができる

サポート内容は、公式ホームページで確認できます。確認時は、サポート内容だけでなく、それが有償なのか無償なのか、についても確認しておきましょう。

◆あると便利なサポート体制の例

  • 24時間365日サポートが受けられる
  • 相談窓口が、電話やメール・チャットなど、複数準備されている
  • 運用の支援も行っている

4. まとめ

SaaSのデータベースとは、クラウド型データベースの一種です。クラウド環境で利用できること以外は、通常のデータベースと同じような機能を有しています。

SaaSデータベースには、クラウドであるからこその特徴があります。

◆SaaSのデータベースでできること

  • 初期費用を抑えて導入できる
  • 保守管理の手間を省いて運用できる
  • 利用規模を柔軟に変更できる

データベースの導入形態には、SaaS以外にも、PaaSやオンプレミスなどがあり、それぞれの特徴は次のとおりです。

データベースの導入形態の比較
オンプレミス
  • 自分で機器やソフトウェアを保有し、保守管理する従来の導入形態
  • 初期費用や保守管理の手間はかかるが、カスタマイズ性は、3つの中でもっとも高い
PaaS
  • クラウド型データベースの一種
  • SaaSよりもカスタマイズ性は上がるが、カスタムするためには知識が必要
SaaS
  • クラウド型データベースの一種
  • カスタマイズの自由度は3つの中でもっとも低いが、専門知識がほとんど不要で、すぐに使い始められる

他のデータベース導入形態と比較し、SaaSデータベースがニーズにもっともマッチしているかどうか確認してから、導入するようにしましょう。

SaaSデータベースを導入検討するときの注意点は、次のとおりです。

SaaSデータベースを導入検討するときの注意点

1. データの利用用途・規模に合わせて選ぶ

2. SLAを確認する

3. サポート内容をチェックする

SaaSデータベースにも、さまざまな種類があります。業務の内容や現在のニーズに合わせて、最適なものを選ぶことが大切です。

手間やコストを抑えてデータを利活用するためにも、この機会にSaaSデータベースを導入してみることをおすすめします。

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