COLUMN

【最新】在宅勤務とは?企業の導入状況・スムーズな運用のための注意点を解説

在宅勤務とは、オフィスなどに出社することなく、自宅を勤務場所にして業務をこなす勤務形態のことです。オフィス以外を勤務場所にして仕事をする、テレワークの形態の一種にあたります。新型コロナウイルス感染症の大流行で、急激に普及したものの一つです。

在宅勤務は、「働き方改革」が推進され多様な働き方の実現が求められる中で、本格的に取り入れる企業が増える傾向にあります。事実、在宅勤務を導入することで、企業やその従業員にさまざまな恩恵があります。

自宅でも働けるようにすることで、介護や育児で出社が難しい従業員も戦力となれるので、離職率を抑え、労働力不足を解消することが可能です。また、現在の住所地にかかわらず業務を進められるので、幅広い地域から人材を確保することができるようになります。少子高齢化で人材確保が難しくなりつつあると言われる現状で、優秀な人材を集める難易度が下がることは、嬉しいポイントと言えるでしょう。

一方で、在宅勤務には、注意すべき課題や相性がよくない業務があることを、理解しておくことも大切です。勤怠管理が煩雑になる、コミュニケーションが取りにくくなるなどの、マイナス面を具体的に把握し対策を取っておく必要があります。そうしておかなければ、よかれと思って導入した在宅勤務が、逆に生産性を低下させる結果にもなりかねません。

そこで今回は、在宅勤務の導入を検討するなら知っておきたい概要やメリット・課題、相性がよい場合・よくない場合などについて、幅広く解説していきます。

【この記事の内容】

  • 在宅勤務とは
  • 【ランキング形式で紹介!】在宅勤務を導入する際の注意点と対策
  • 在宅勤務の実践例
  • 在宅勤務と相性がよい場合・よくない場合

在宅勤務の実践例などもご紹介していますので、より具体的なイメージをつかみたい場合にも参考にしていただけます。

「在宅勤務の導入を検討している」「在宅勤務について基礎知識を身に付けたい」という場合は、当記事をご確認いただき、ポイントを押さえて、最適な勤務形態をスムーズに導入していきましょう。

目次:

1. 在宅勤務とは
1-1. 【最新】在宅勤務などテレワークの導入状況
1-2. 在宅勤務のメリット
1-3. 在宅勤務とテレワークの違い
2. 【ランキング形式で紹介!】在宅勤務を導入する際の注意点と対策
2-1. 【注意点①】在宅勤務に必要な端末類を準備する
2-2. 【注意点②】情報セキュリティ対策が必要
2-3. 【注意点③】通信環境を整える
2-4. 【注意点④】労働時間の管理体制の再構築が必要
2-5. 【注意点⑤】コミュニケーション不足への対応
3. 在宅勤務の実践例
3-1. 大手IT・エレクトロニクスメーカーの事例
3-2. 清涼飲料水メーカーの事例
4. 在宅勤務と相性がよい業務・よくない業務
4-1. 在宅勤務と相性がよい場合
4-2. 在宅勤務と相性がよくない場合
5. 在宅勤務導入の流れ
5-1. 【ステップ1】在宅勤務を導入する目的を決める
5-2. 【ステップ2】社内のルールなどの現状を把握する
5-3. 【ステップ3】在宅勤務を導入するためのチームを作る
5-4. 【ステップ4】在宅勤務に合わせたルールの整備をする
5-5. 【ステップ5】在宅勤務に役立つツールなどを導入する
6. 安全で業務効率の高い在宅勤務環境の構築なら、NTT東日本のクラウド
6-1. 豊富なノウハウで御社に必要な機能をご提案
6-2. クラウドも回線も希望するセキュリティレベルを実現
6-3. 導入も設定もすべてお任せで簡単に環境構築
7. まとめ

1. 在宅勤務とは

在宅勤務とは、テレワークの一種で、自宅を勤務場所にして業務を行う勤務形態のことです。

在宅勤務は、新型コロナウイルス感染症の流行や働き方改革によって、多くの企業から注目されるようになりました。

よく話題になる在宅勤務ですが、実際のところ、在宅勤務の導入状況などは、どのようになっているのでしょうか。ここでは、在宅勤務などといったテレワークの最新の導入状況や在宅勤務のメリット、似たような意味で使われているテレワークとの関係性などについて、解説していきます。

1-1. 【最新】在宅勤務などテレワークの導入状況

在宅勤務などテレワークに関する導入状況は、業種や企業規模によってバラつきが大きいのが特徴です。

総務省の最新のデータによると、情報通信業では約8割以上の企業でテレワークを導入しているのに対し、建設業や運輸業などでは2割に満たないなど、業種間の差が大きくなっています。さらに全体で見ると、約3割近くの企業が、在宅勤務などのテレワークを導入しています。

【業種別】在宅勤務などテレワークの導入率の状況
1位

情報通信業

(導入している率:81.7%)

2位

金融・保険業

(導入している率:47.7%)

3位

不動産業

(導入している率:28.7%)

4位

卸売・小売業

(導入している率:24.7%)

5位

製造業

(導入している率:23.8%)

6位

サービス業、その他

(導入している率:23.1%)

7位

建設業

(導入している率:17.3%)

8位

運輸業・郵便業

(導入している率:16.7%)

※参考:総務省「テレワークセキュリティに係る実態調査 報告書

また、規模別に見てみると、従業員が300人以上の企業では6割以上がテレワークを導入していると回答しているのに対し、従業員が100 ~199 人の企業では約4割にとどまっている状況です。

なお、テレワークを導入している企業の7割以上が今後も活用する予定であると回答していることから、導入した企業にとって、在宅勤務などのテレワークが一定の効果をあげていると考えられます。

※参考:総務省「テレワークセキュリティに係る実態調査 報告書

1-2. 在宅勤務のメリット

在宅勤務を導入することで得られる代表的なメリットは、次のとおりです。

在宅勤務の代表的なメリット4つ
①ワークライフバランスの改善
  • 在宅で勤務できることで、通勤時間を削減でき、就業する時間を比較的自由に調整できるので、家の用事をこなしやすくなる
  • 子育て中や介護の時間を確保したり、プライベートの時間を充実させたりすることができる
②離職率抑制・人材不足解消
  • 出勤の必要がないため、家を長時間空けにくい子育て中や介護中の従業員も離職せず働き続けられる
  • その結果、離職率を抑えるとともに、人材を確保しやすくなる
③出勤にかかる時間や交通費を削減
  • 通勤が不要になることで、交通機関などで移動に費やしていた時間を別の用事をこなすことや休養に充てられる
  • また、通勤にかかる交通費を削減できる
④災害時でも業務継続できる
  • 出社しなくても業務ができる体制ができるので、災害時に交通が断絶したり、社屋に立ち入れなくなったりしても自宅から業務を続けられる

上記に加えて、オフィス規模を縮小することができれば、さらなるコストカットもできるでしょう。

なお、総務省の調査結果では、在宅勤務などのテレワークを導入する目的として多かったものは、次のとおりです。導入企業の約7割が、「導入目的に対する効果があった」と回答しています。

在宅勤務などテレワークの導入目的
1位(87.5%) 新型コロナウイルス感染症対策
2位(36.3%) 業務の効率性(生産性)の向上
3位(34.1%) 勤務者のワークライフバランスの向上
4位(33.5%) 勤務者の移動時間の短縮・混雑回避
5位(22.9%) 非常時の事業継続

※参考:総務省「テレワークセキュリティに係る実態調査 報告書

このように、在宅勤務などのテレワークを適切に導入することで、企業や従業員にとってさまざまなメリットがあることがわかります。

1-3. 在宅勤務とテレワークの違い

在宅勤務とテレワークは、どちらも勤務場所がオフィスではない点では同じですが、勤務場所がどこであるかに違いがあります。在宅勤務は自宅が勤務場所であるのに対し、テレワークは勤務場所にとらわれない働き方を意味するという点が、両者の違いです。

さらに言うと、テレワークの一種が在宅勤務であり、両者は包含関係にあると言うこともできます。ちなみに、テレワークの種類で代表的なのが次の3つです。

場所にとらわれない働き方「テレワーク」の種類
在宅勤務
  • 自宅を勤務場所とする働き方
  • エンジニアなどに多い働き方
モバイルワーク
  • モバイル端末を活用し、出先や移動時間などを有効活用する働き方
  • 営業職に多い働き方
サテライトオフィスワーク
  • 企業側が準備するテレワーク用オフィスやコワーキングスペースを勤務場所とする働き方
  • さまざまな職種で活用できる働き方

2. 【ランキング形式で紹介!】在宅勤務を導入する際の注意点と対策

在宅勤務をスムーズに導入するためには、在宅勤務に適した環境の整備が欠かせません。総務省の最新のデータによると、実際に在宅勤務をはじめとするテレワークを導入した企業が、課題と感じたポイントには、次のようなものがあります。

在宅勤務などのテレワークを導入する際のよくある課題
1位(51.9%) テレワークに必要な端末
2位(51.6%) セキュリティ
3位(44.3%) 通信環境
4位(42.2%) 労働時間の管理
5位(36.7%) コミュニケーション不足や情報共有の偏り

※参考:総務省「令和4年版 情報通信白書

ここでは上記のランキングに上がっている項目について、どういうところに注意すべきなのか、どのように対策を行っていくのがよいのか、について解説します。

「在宅勤務を導入したいけれど、失敗しそうで心配」という場合など、ぜひ参考にしてください。

2-1. 【注意点①】在宅勤務に必要な端末類を準備する

在宅勤務をするには、業務に使う端末を準備する必要があります。在宅勤務で必要となる端末で代表的なものは、次のとおりです。

◆代表的な在宅勤務に必要な端末

  • パソコンやタブレット
  • プリンターやスキャナー、Webカメラ・マイク・イヤホンなどの周辺機器
  • 業務を行うのに必要なアプリケーション

必要な端末類を準備しておかないと、従業員によって作業効率に大きく差が出たり、できない作業が出てきて業務に支障が出たりする可能性があります。

事前に業務に必要なものを確認し、確実に手配しておきましょう。

2-2. 【注意点②】情報セキュリティ対策が必要

在宅勤務を導入するなら必ずセットで考えておきたいのが、セキュリティ対策です。在宅勤務では、業務データを社外で取り扱う上に、サイバー攻撃のリスクが高いインターネット経由で、データをやり取りする機会が増えます。これにより、情報漏えいやマルウェア感染の危険性が高まるからです。

在宅勤務で必要となる情報セキュリティ対策には、次のようなものがあります。

◆在宅勤務で検討すべき情報セキュリティ対策例

  • 在宅勤務時のデータ持ち出しや端末の管理に関するルールを作り、従業員に周知する
  • 在宅勤務をする従業員全員に対し、情報セキュリティ研修を実施する
  • 在宅勤務で利用する端末に、ウイルス対策ソフトをインストールする
  • OSなどのアップデートを欠かさず行う
  • 推測されにくいパスワードを設定し、その管理を徹底する
  • 可能なら多要素認証を取り入れる
  • 機密情報や個人情報が持ち出すデータに含まれるなら、データの暗号化などを行う
  • バックアップを徹底させる

特に、近年増えているBYOD(私物端末の業務利用)を許可する場合は、ルールを作り研修するなど、情報セキュリティ対策をしっかりと行う必要があります。

なお、より詳しく在宅勤務時の情報セキュリティ対策について知りたい場合は、総務省が公表している「テレワークセキュリティガイドライン」などを参考にしましょう。

2-3. 【注意点③】通信環境を整える

在宅勤務の導入時は、通信環境を整備するようにしましょう。

通信環境を整えることが重要なのは、

  • 通信速度が遅いと、作業効率化が大幅に低下するから
  • 安全性の低いWi-Fiなどセキュリティの低い通信回線を使うと、情報セキュリティリスクが高くなるから

といった理由からです。

在宅勤務に適した通信環境を整えるには、次のようなポイントを押さえるとよいでしょう。

◆在宅勤務に適した通信環境にするためのポイント

  • 通信速度は、選べる範囲でできるだけ速いものにする
  • オンライン会議やデータのやり取りで多くの通信量を使いがちなので、通信量は無制限のプランがおすすめ
  • VPNを導入するなど、情報セキュリティ対策を行う

2-4. 【注意点④】労働時間の管理体制の再構築が必要

在宅勤務を導入するときは、勤怠管理の方法を見直す必要があります。在宅勤務では、いつ仕事を始めていつまで業務をしていたのか、といった労働実態が見えにくいからです。また、労働実態が見えにくくなることで、勤務評価もやりづらくなってしまうでしょう。

そこでおすすめしたいのが、勤怠管理ツールの導入です。勤怠管理ツールを導入することで、始業・終業の把握も簡単にできますし、勤務実態も把握しやすくなります。給与計算もそのまま行うことができるツールを選べば、給与支給事務の負担も軽減することが可能です。

勤怠管理ツールは多くの種類がありますので、インターネット上で「勤怠管理ツール 在宅勤務」などで検索して、チェックしてみましょう。

2-5. 【注意点⑤】コミュニケーション不足への対応

在宅勤務で、従業員が一堂に会する機会が少なくなるとありがちなのが、従業員同士のコミュニケーション不足の問題です。

コミュニケーションが不足すると、

  • 社内の連帯感や会社への帰属意識が失われ、モチベーションや生産性の低下につながる
  • 情報共有がうまくいかなくなる

といった問題があります。

このような事態を防ぐには、次のような対策をとることが有効です。

◆在宅勤務のコミュニケーション不足を防ぐアイディア例

  • 気軽に雑談でも使える社内用チャットツールやSNSなどを導入する
  • 出社日を決めて、全員が顔をあわせる機会を作る
  • 社内イベントを定期的に開催する
  • オンラインで朝ミーティングなどを行うようにする
  • 週に1回など短いスパンで個別面談を行う

3. 在宅勤務の実践例

在宅勤務のメリットや課題がわかったところで、在宅勤務が、実際にどのように働きやすい環境づくりなどに活用されているのか、見てみましょう。

在宅勤務の実践例
大手IT・エレクトロニクスメーカーの事例
  • 「Work Life Shift」の推進の一環として、在宅勤務を位置づけ
  • 全社員、基本はテレワークとし、常に約80%がテレワーク
清涼飲料水メーカーの事例
  • テレワーク手当を導入し、在宅勤務時の水道光熱費の負担を軽減
  • 社内のシステムにアクセスできるWi-Fiルータや端末などを、全社員に貸し出し

3-1. 大手IT・エレクトロニクスメーカーの事例

大手IT・エレクトロニクスメーカーでは、全従業員の基本的な勤務形態を在宅勤務やモバイル勤務などのテレワークとし、経営トップ主導で多様な働き方の実現をしています。その結果、常に全従業員の約80%は、テレワークとなっています。

同社では、単に在宅勤務を導入するのではなく、「Work Life Shift」の推進の一環として、在宅勤務など新しい勤務形態を浸透させていることが特徴です。「Work Life Shift」は、仕事もライフスタイルも柔軟にシフトさせ、Well-beingを実現させることを目的とした方針となっています。

その結果、単身赴任の解消や育児・介護と仕事の両立の実現など、さまざまな成果が上がっています。2020年11月に実施された社内アンケートでも、生産性の維持・向上があったと回答した従業員が、75%にも上ったとのことです。

参照:https://japan-telework.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2021/11/2021_kagayaku-telework_jireisyu.pdf

3-2. 清涼飲料水メーカーの事例

大手清涼飲料水メーカーでは、2020年6月1日から新しい働き方実現へシフトし、在宅勤務などのテレワークを全社的に導入しました。

同社では「テレワーク勤務規程」を定め、テレワーク手当を支給することで、在宅勤務時の水道光熱費などの負担を軽減させています。また、在宅勤務などで必要となる端末類も全社員に貸し出しを行うといった、在宅勤務を行うことで発生する従業員の負担を軽減させる施策を行っていることが特徴です。

社員の満足度も高く、全社的に在宅勤務などのテレワークを導入したことについて、約40%の従業員が「メリットが上がる」「会社への信頼が上がる」などと回答したとのことです。

参照:https://japan-telework.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2021/11/2021_kagayaku-telework_jireisyu.pdf

4. 在宅勤務と相性がよい業務・よくない業務

在宅勤務には、相性がよい業務と、相性がよくない業務があります。

在宅勤務と相性がよい場合・よくない場合
在宅勤務と相性がよい場合
  • 他者と対面でコミュニケーションを取らなくても進められる業務
  • 社外に持ち出せないような機密情報や個人情報を扱わない業務
在宅勤務と相性がよくない場合
  • 他者との対面でのコミュニケーションが欠かせない業務
  • 社内でしか使えない情報、システム、機械などを必要とする業務

在宅勤務の導入を検討する場合は、業務内容が在宅勤務に向いているかどうかを見極め、向いていない場合には、サテライトオフィスワークやモバイルワークなど他のテレワークを導入検討するなどしましょう。

4-1. 在宅勤務と相性がよい場合

在宅勤務の導入が向いている業務とは、他者と対面でコミュニケーションを取らなくても進められる業務や、社外に持ち出せないような機密情報や個人情報を扱わない業務です。

在宅業務では、基本的に業務の大半を自宅で一人こなすことになるからです。このような在宅勤務に向いている業務の具体例には、次のようなものがあります。

◆在宅勤務と相性がよい業務の一例

  • プログラミング
  • デザイン
  • ニーズなどのリサーチ
  • データの入力や分析
  • 資料作成

4-2. 在宅勤務と相性がよくない場合

在宅勤務の導入が向いていない業務とは、他者との対面でのコミュニケーションが欠かせない業務や、社内でしか使えない情報・システム・機械などを必要とする業務です。基本的に、パソコンだけで完結出来ない業務は、在宅勤務で処理するのは難しいと言えます。

在宅勤務と相性がよくない業務や業種の具体例を見てみましょう。

◆在宅勤務と相性がよくない業務や業種の一例

  • 生産や製造に関する業務
  • 営業や販売などの接客業
  • 医療や福祉の業務

上記のうち営業については、モバイルワークなど別のテレワークであれば相性がとてもよいため、在宅勤務は無理でも、テレワーク自体は可能です。

5. 在宅勤務導入の流れ

在宅勤務の導入を成功させるには、次の5ステップで進めていくのがおすすめです。

在宅勤務導入の流れ5ステップ

【ステップ1】在宅勤務を導入する目的を決める

【ステップ2】社内のルールなどの現状を把握する

【ステップ3】在宅勤務を導入するためのチームを作る

【ステップ4】在宅勤務に合わせたルールの整備をする

【ステップ5】在宅勤務に役立つツールなどを導入する

以下で、各ステップについて詳しく説明していきます。

5-1. 【ステップ1】在宅勤務を導入する目的を決める

在宅勤務の導入に向けて本格的に動き出す前に、在宅勤務を導入する目的を決めます

在宅勤務を導入する目的は、「働き方改革の実現による従業員の満足度アップ」「多様な人材の確保」など、企業によって多種多様であり、目的によって制度の定め方などが変わるからです。

例えば、人材確保が目的なら、在宅勤務に加えて他のテレワーク手段も選択可能にすることで、より人材を集めやすくなるでしょう。

以下の目的の例を参考に、在宅勤務を導入することで目指したい基本的な方向性を明確にしておくことが、今後のステップをスムーズに進めるために大切です。

◆在宅勤務の導入目的の一例

  • 働き方改革の実現による従業員の満足度アップ
  • 多様な人材の確保
  • 離職率の抑制
  • 企業価値を向上させたい
  • 災害時などに業務継続可能な体制を作りたい

5-2. 【ステップ2】社内のルールなどの現状を把握する

在宅勤務を導入する目的が明確になったら、現在の社内の制度やルールがどのように定められているのか確認し、在宅勤務を導入するためには何を変える必要があるのかを把握します。

在宅勤務を新たに導入すると、主たる就業場所がオフィスから自宅に移るので、就業規則や人事評価基準などを見直す必要があるからです。例えば、就業場所や始業・終業時間などについては、見直す必要があるでしょう。

現状を把握しておかないと、導入後に改正漏れが見つかり、人事評価が不公平になるなど、トラブルの原因になってしまいます。

以下のようなルールなどを中心に、在宅勤務を導入すると不都合がある規定はないか、確認しておきましょう。

◆在宅勤務導入にあたって確認したいルールなどの一例

  • 就業規則
  • 人事評価に関する基準や制度
  • 業務フローや決裁に関するルール
  • 情報の持ち出しやデバイスの利用に関するルール
  • 情報セキュリティに関するルール

5-3. 【ステップ3】在宅勤務を導入するためのチームを作る

在宅勤務を導入する際には、ルールや環境の整備が必要です。そのため、在宅勤務導入に向けた環境整備を担うためのチームを作る必要があります。

在宅勤務導入にあたっては、先ほど説明した就業規則などのルールの見直しや、必要なツールの選定・導入など、全社的体制の整備を行う必要があるからです。

チームには、その環境整備に詳しいメンバーを加えるとよいでしょう。例えば、就業規則なら、労務関係の部署や総務関係の担当者で、実務に詳しい従業員を選ぶのがおすすめです。

代表的なチームの例をご紹介しますので、参考にしたうえで、自社に必要な在宅勤務導入を進めるチームを作りましょう。

◆在宅勤務を導入するためのチームの一例

  • 就業規則などのルール見直しをするチーム(人事・総務・法務関係の実務がわかる人材で構成)
  • 在宅勤務で使用するツールを選定するチーム(ICTに詳しい人材及び在宅勤務で実際にツールを使う従業員などで構成)
  • 情報セキュリティに関するルールを決めるチーム(情報セキュリティに詳しい人材・情報システム関係の担当者などで構成)

5-4. 【ステップ4】在宅勤務に合わせたルールの整備をする

在宅勤務を導入するためのチームが決まったら、各チームで、在宅勤務に合わせたルールの整備を進めていきます。

ルールを整備する際は、実際に在宅勤務をする従業員の意見を取り入れて、使いやすい制度にすることがポイントです。例えば、在宅勤務時の勤務時間を、通常の始業・終業時間の設定だけでなく、フレックスタイム制を導入することも検討してみるとよいでしょう。

また、ルールを整備したら、必ず社内全体に周知させることが大切です。研修の場を設けて、全員がルールの内容を理解できるように工夫しておくことで、在宅勤務導入後に、ルールの理解不足でトラブルに発展するリスクを減らせます。

5-5. 【ステップ5】在宅勤務に役立つツールなどを導入する

在宅勤務導入にあたっては、自宅にいても業務をスムーズに進められるよう、ツールを積極的に活用しましょう。

自宅で業務を行うようになると、

  • 他の従業員とのコミュニケーションが不十分になる
  • 社内で管理する情報などにアクセスしにくくなり、業務が進めづらくなる
  • インターネット経由で社内システムにアクセスすることで、情報セキュリティ上のリスクが高くなる

などの課題が出てきます。

これらの在宅勤務特有の課題は、デジタルツールの導入で、解消することが可能です。

上記の課題の解決に役立つツールをご紹介しますので、ツール活用を検討する際には参考にしてみてください。

◆在宅勤務に役立つツールの一例

【在宅勤務時のコミュニケーション不足解決に役立つツール】

  • チャットツール
  • 社内wikiツール
  • Web会議システム など

【在宅勤務時の社内情報利用がしやすくなるツール】

  • シンクライアント
  • クラウドストレージなどのクラウドサービス全般 など

【在宅勤務時の情報セキュリティ対策に役立つツール】

  • VPN
  • ファイアウォール
  • ウイルス対策ソフト など

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6-3. 導入も設定もすべてお任せで簡単に環境構築

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  • Microsoft Azureは、Microsoft Corporationの米国及びその他の国における登録商標または商標です。

7. まとめ

在宅勤務とは、テレワークの一形態で、勤務場所が自宅であるもののことです。新型コロナウイルス感染症対策として、一気に普及しました。以下のとおりさまざまなメリットがあるので、新型コロナウイルス感染症が落ち着いた後も、本格的に導入したいという企業が増えています。

◆在宅勤務のメリット

  • ワークライフバランスの改善離職率抑制・人材不足解消につながる
  • 通勤しなくてよいので、移動にかかる時間や交通費を削減できる
  • 災害時でも業務継続できる体制がつくれる

在宅勤務を導入する際は、次の点に注意が必要です。

在宅勤務を導入するときの注意点
  • 在宅勤務に必要な端末類を準備する
  • 情報セキュリティ対策を行う
  • 通信環境を整える
  • 労働時間の管理体制の再構築が必要
  • コミュニケーション不足への対応

在宅勤務は多くの企業が、ワークライフバランスの改善のために実践しています。

効果が出ている企業の特徴は、

  • 単に在宅勤務を導入するだけでなく、複数の施策をあわせて取り入れている
  • 在宅勤務を導入することで従業員に負担がかからないよう対策を講じている

などです。

在宅勤務には相性がよい業務と、よくない業務があります。

在宅勤務と相性がよい場合・よくない場合
在宅勤務と相性がよい場合
  • 他者と対面でコミュニケーションを取らなくても進められる業務
  • 社外に持ち出せないような機密情報や個人情報を扱わない業務
在宅勤務と相性がよくない場合
  • 他者との対面でのコミュニケーションが欠かせない業務
  • 社内でしか使えない情報、システム、機械などを必要とする業務

業務内容が在宅勤務に向いているかどうかを見極め、向いていない場合には、サテライトオフィスワークやモバイルワークなど他のテレワークを、導入検討するなどしましょう。

在宅勤務をはじめとするテレワークは、適切に導入することで、企業にも従業員にもさまざまなメリットをもたらします。今回の記事を参考に、在宅勤務を、生産性を向上させる一施策として活用してみてはいかがでしょうか。

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