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BPMとは?注目される理由やメリットなどを具体例とともに解説

BPMとは「ビジネスプロセスマネジメント」の略称で、業務の進め方を継続的に見直すことで、無駄を省き最適化する取り組みのことです。BPMを導入することで、作業を効率化する・生産性を高めるなど、現行の業務を改善することができます。

グローバル化や新型コロナウイルス感染症の大流行などに伴い、ビジネスを取り巻く状況の変化が加速している中で、変化に適応する手段の一つとして、BPMは注目されています。PDCAサイクルを繰り返し、運用しながら継続的に業務を改善するBPMは、複雑な条件にも柔軟に対応し、課題解決をすることが可能だからです。

実際にBPMを取り入れた企業では、システム化が難しいとされるほど複雑な業務を自動化し、業務時間を3分の1に短縮するなど、大きな成果が得られている事例もあります。

ただし、BPMを導入して結果を出すには、BPMについてきちんと理解して取り組むことが必要です。BPMの基本的な流れや注意点を押さえておかなければ、余計な作業だけが発生して、効率化や課題の解決にはつながらないという結果に陥りがちだからです。

そこで今回は、BPMを導入し業務改善の成功につなげるために知っておくべき、BPMの基礎知識や実践方法についてご紹介します。

【この記事の内容】

  • BPMとは
  • BPMに取り組むメリット・デメリット
  • BPMの実践例
  • BPMを導入するときの注意点

基礎知識を解説したあとでBPMの実践例についてもご説明していますので、BPM初心者の方でも具体的にイメージしやすい内容となっています。

今回ご紹介するBPMの基礎知識や具体的な実践のポイントを把握しておけば、効果的にBPMに取り組み、スムーズに業務の改善につなげられるようになるでしょう。「少しでも業務負担を軽くしたい」とお考えでしたら、ぜひチェックしてみてください。

1. BPMとは

BPMとは、Business Process Management(ビジネスプロセスマネジメント)の略称で、業務プロセスを可視化し分析することで、最適化する業務改善のための取り組みのことです。

BPMの特徴としては、

  • 業務の手順を整理して分析することで、業務改善をはかること
  • PDCAサイクルを回し、改善後も最適化を続けること

が挙げられます。

BPMとは?
  • 業務プロセスを可視化し分析することで、最適化する業務改善のための取り組み
  • 改善を一度で終わらせず、継続して運用状況をチェックし、最適化を続けることがポイント

例えば、毎月の複数拠点の売上結果の報告が遅いうえに誤りが多く、分析やデータの活用がうまくいかないといった課題を解決したいときについて、BPMではどういうアプローチをするのか見てみましょう。

◆BPMのアプローチ例

【課題】毎月の複数拠点の売上結果の報告が遅いうえに誤りが多く、分析やデータの活用がうまくいかない

【アプローチ方法】

  • 拠点ごとに売上データをどのように管理し、どういった手順で報告をしているのか、業務プロセスの確認から始める
  • 例えば、次のような取り組みの流れが考えられる

①各拠点でデータの管理方法やフォーマットが異なるため、毎月の報告時に膨大な転記作業が発生していることを把握

②そこで、プロセスを分析し、報告時の膨大な転記作業で報告の遅れや転記ミスによる誤りが発生していることを確認

③プロセスを最適化するため、全拠点で統一したデータ管理ツールを導入し業務を改善する

このように、各業務の手順やプロセスを把握し分析したうえで、最適化することによって改善していくのが、BPMの基本的な仕組みです。

それでは、BPMが注目される理由や概要について、もう少し詳しく確認していきましょう。

1-1. BPMが注目される理由

近年、ビジネスシーンでの業務改善のための取り組みとして、BPMが注目を集めています。その理由は、業務を継続しながら段階的に改善を進め、柔軟に最適化を続けていくことのできる手法であるBPMは、現在のビジネスシーンと相性が良いからです。

グローバル化や新型コロナウイルス感染症の大流行などに伴い、最近では、顧客のニーズは多様化し、かつ短期間で変化しやすい傾向にあります。

BPMは、プロセスの見直しを一度きりで終わらせるのではなく、後述するとおりPDCAサイクルを回して改善を継続していくのが特徴です。いったん改善した業務プロセスを運用しながら、その結果を踏まえてさらに最適化をしていくので、ニーズの変化に柔軟に適応しながら、効率化やコスト削減を実現することができます。

以上のとおり、業務環境を取り巻く状況が変化しやすい昨今のビジネスシーンに適応するうえで、BPMは取り回しがよいことから、注目を集めているのです。

1-2. BPMではPDCAサイクルを回すのが基本的な流れ

BPMでは、プロセスの見直しを一度きりで終わらせるのではなく、以下のとおり、PDCAサイクルを回して改善を継続していきます。

BPMにおけるPDCAサイクルとは?
①プロセスの把握・分析・再設計
  • PDCAサイクルのP(Plan)に該当する取り組み
  • 改善したい業務のプロセスを整理し、どこに課題があるかを分析し、最適なプロセスに変更する
②再設計後のプロセスを運用する
  • PDCAサイクルのD(Do)とC(Check)に該当する取り組み
  • ①で最適化したプロセスで運用してみて、これで本当に課題は解決したか、新たな問題や気付きはないかを継続してチェック
③運用結果を踏まえて分析・再設計
  • PDCAサイクルのA(Action)に該当する取り組み
  • ②の運用結果を確認し、改善効果は見られたのか検証し、さらなる最適化に向けた分析を行う

このように、プロセスを分析し、再設計して実施するというPDCAサイクルを回し続けることで、柔軟に最適化し続けるというのがBPMの基本的な流れです。

1-3. BPMとBPMS・BPMNの関係性

BPMと似たような言葉であるBPMS・BPMNは、どちらもBPMに取り組むためのツールという関係にあります。

BPMS・BPMNは、どちらもBPMに取り組むためのツール
BPMS(Business Process Management System)とは
  • 業務プロセスの分析や改善の目標設定など、BPMに取り組むうえで役立つ機能が搭載されたITシステム
  • できるだけ手間を省いてBPMを進めたいときに役立つ
BPMN(Business Process Model and Notation)とは
  • 記号などをつかって、わかりやすく業務プロセスを表現することのできる表記法
  • BPMで欠かせない業務プロセスの可視化や整理に役立つ

上記のように、BPMをスムーズに進めるのに役立つツールがあることを覚えておき、必要に応じて活用しましょう。

1-4. BPMはすべての企業におすすめ!

BPMは、各業務の処理手順を整理するだけなので、比較的簡単に誰にでもできて効果もあるので、すべての企業におすすめです。

業務の処理手順に着目して効率化を進めるBPMでは、各業務レベルという小規模な範囲で改善をすることができます。少しずつ改善に取り組んでいきたい場合や、あまり効率化に割ける労力がないケースでも、無理なく進めることができるでしょう。

BPMは、取り組みにかかるコストも少なめです。業務プロセスを整理する際の人件費や、ツールを導入する場合のコスト程度しかかかりません。ツールは無料で使えるものもあるので、予算が確保できないときでも取り組むことができます。

2. BPMに取り組むメリット・デメリット

BPMの基本的な仕組みがわかったところで、BPMに取り組むことによるメリット・デメリットを確認しておきましょう。

BPMに取り組むメリット・デメリット
メリット
  • 業務の手順を誰もがわかる形で整理することができる
  • 根本的な業務課題の解決につながる
  • 業務効率化や生産性向上ができる
デメリット
  • 業務プロセスの整理に手間がかかる

BPMの良いところと注意すべき点の両面を把握し、取り組むべきかどうかを検討するようにしましょう。

2-1. BPMに取り組むメリット

BPMに取り組むことの主なメリットは、次の3つです。

◆BPMに取り組む主なメリット

  • 業務の手順を誰もがわかる形で整理することができる
  • 根本的な業務課題の解決につながる
  • 業務効率化や生産性向上ができる
2-1-1. 【BPMのメリット①】業務の手順を誰もがわかる形で整理することができる

BPMでは、業務プロセスを整理し分析して業務を改善する取り組みなので、取り組みの過程で、業務の手順が誰もがわかる形で整理されます。

これによって、業務の標準化が実現すれば、

  • 複雑化したプロセスを整理し、作業を迅速に進められるようなる
  • 担当者の異動時も円滑に業務を引継げる
  • トラブル発生時や繁忙期にスムーズなサポートができるようになる

といったメリットが見込めるでしょう。

実際に「3-2. 自動車メーカーの事例」でご紹介している企業においても、全体の8割にも及ぶプロセスの標準化を実現し、新規事業の立ち上げが迅速化できたという成果を上げています。

2-1-2. 【BPMのメリット②】根本的な業務課題の解決につながる

BPMでは、業務の手順を一つずつ分析して、問題の原因を特定してから最適化します。そのため、業務課題を根本から解決することが可能です。

例えば「毎月の統計データ作成の負担が大きいが、原因はよくわからないので、統計データを作る範囲を減らす」といった場当たり的な対応をしてしまっては、データに基づく分析の精度は落ちてしまいます。

そうではなく、BPMの観点から「余計な転記作業が2回も発生している」など、統計作業そのものの問題点を見つけて改善すれば、成果を高く保ちながら業務負担を軽減することができるでしょう。

2-1-3. 【BPMのメリット③】業務効率化や生産性向上ができる

BPMに取り組むことで、業務効率化や生産性向上を実現できます。

BPMは、業務の進め方を最適化する取り組みなので、無駄をなくし、より成果を上げやすい業務環境を整えられるからです。属人化してしまいブラックボックス化してしまった業務なども整理し標準化できるので、今後、業務環境が変わった際でも、労力をかけずに手順を最適化できるでしょう。

例えば、デジタル化を進めたい場合、組織の再編をしたい場合なども、あらかじめBPMに取り組んでおけばスムーズに進められます。

このように、BPMは業務プロセスを効率化し余計な業務を減らせる結果、他のもっと高度な業務に時間をかけられるようになることから、生産性を高めることにも寄与するのです。

2-2. BPMに取り組むデメリット

BPMに取り組むことのデメリットとしては、業務のプロセスを整理し分析することに労力がかかることが挙げられます。

◆業務プロセスの整理で発生する労力の例

  • 業務の手順をフロー図などに整理する作業
  • 現状の業務プロセスの問題点はどこかを見つけ出す作業
  • 業務に使用するデータを集め、誰が見てもわかる形でファイルに整理して保存する作業

業務手順を可視化するには、現在、業務を担当している従業員に、進め方を整理してもらう必要があるからです。他の従業員から見てわからない部分は確認する必要があるので、質疑などに時間を取られることもあるでしょう。

ただし、業務手順が可視化されることで、長期的に見れば業務改善につながるなど多くの恩恵があります。効果を最大化するには、一時的に上記のような手間がかかっても、行うべき作業であると考える必要があるでしょう。

3. BPMの実践例

前の章でご紹介したとおり、BPMには多くのメリットがあることから、さまざまな企業が取り組みを行っています。ここでは、BPMの実践例を3つ、チェックしてみましょう。

BPMの実践例
通信事業者の事例
  • これまでシステム化ができなかった業務を、BPMで自動化
自動車メーカーの事例
  • グローバルな業務展開で複雑化した業務を、BPMでまとめて標準化
信託会社の事例
  • 顧客満足度の向上を実現するために、BPMで業務を自動化

実際の取組事例を参考にして、具体的なBPMの導入イメージをつかんでおいてください。

3-1. 通信事業者の事例

国内の大手通信事業者では、BPMの取り組みによって、複雑な条件分岐があり人間による判断も必要な、業務プロセスの自動化を実現しました。

これまでにも多様な業務の自動化に取り組んでいた同社でしたが、複雑で手間のかかる業務ほど自動化は難しく、業務効率化を進めにくいのが実情でした。

そこで、BPMを導入し業務プロセスを丁寧に分析し自動化したところ、作業時間が従前の3分の1に短縮できるなど、飛躍的に業務を効率化することができました。

参考:https://www.intra-mart.jp/case-study/004115.html

3-2. 自動車メーカーの事例

国内から海外までグローバルに事業展開する大手自動車メーカーでは、BPMに取り組み、多数の業務をまとめて標準化しました。

同社は多くの国で事業展開しており、各国に合わせた業務プロセスが多数存在し、複雑化している状況にありました。プロセスが複雑化したことで、事業展開のスピードが落ちていることが問題となっていました。

そこで、BPMによって、全体の8割にも及ぶプロセスの標準化を実現。その結果、新規事業の立ち上げスピードが向上するという成果が得られたとのことです。

参考:https://it.impress.co.jp/articles/-/9389

3-3. 信託会社の事例

海外の信託会社では、大量に寄せられる顧客の要望への対応速度が上がらないことで、顧客満足度も低下しているという課題を、BPMによって解決しました。

業務プロセスの中にある、アナログな紙を使う処理が業務スピードを低下させていることに目を付け、145の業務プロセスを分析し再設計しました。また、あわせて、可能な限り業務プロセスの自動化を実施。

その結果、業務のスピードを5割~7割程度短縮し、顧客満足度を9割向上させるなど、多くの成果がえられたとのことです。

参考:https://enterprisezine.jp/article/detail/3369

4. BPMを導入するときの注意点

BPMに取り組むことで多くのメリットを得られますが、無計画に導入してしまっては、恩恵を十分に得られなくなってしまいます。ここでは、BPMを導入し成果を上げるために注意すべき点を、確認しておきましょう。

BPMを導入するときの注意点

1. BPMを導入して何を実現したいのか明確にする

2. PDCAサイクルを継続して回す

3. 現場と協力し、理解を得る

それぞれ、どのようなところに注意が必要なのか、順番に説明します。

4-1. BPMを導入して何を実現したいのか明確にする

BPMを導入し成果を出すためは、何を実現するためにBPMに取り組むのかを、具体的に定めておくようにしましょう。

BPMを導入することが目的になってしまっては、

  • 業務プロセスのどの部分をどのように改善すればよいのか、わからなくなる
  • 業務プロセスを再設計後、改善の効果があったのかどうか判断できない

といった弊害があるからです。

BPMに取り組む場合は、どのような目標を達成したいのか、数値目標などを具体的に定めておき、実現したいことを明確にしておきましょう。

4-2. PDCAサイクルを継続して回す

BPMによる業務の最適化の効果を最大化するには、PDCAサイクルを継続して回していく必要があります。

BPMは、改善した業務プロセスを運用する中でPDCAサイクルを回し、継続してさらなる改善点を見つけていくことで最適化できるからです。

業務改善は、一度実施するとそのまま放置しがちですが、BPMに取り組む際はPDCAを徹底させるようにしましょう。

4-3. 現場と協力し、理解を得る

BPMに取り組むときは、実際に業務に携わる現場の従業員にもBPMの目的を共有し、理解を得るようにしましょう。

BPMを進めるには、現場の従業員に

  • 業務プロセスを整理してもらう
  • 変更になった業務手順に対応してもらう
  • 変更後のプロセスの効果を検証してもらう

など、多くの対応をしてもらう必要があるからです。

現場の従業員といかに連携できるかで改善の精度が変わるので、現場の理解を確実に得るようにしましょう。

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ご相談は無料で承っております。お気軽に現在の課題などをお聞かせください。

6. まとめ

BPMとは、業務プロセスを可視化し分析することで、最適化する業務改善のための取り組みのことです。

BPMの特徴としては、

  • 各業務の手順を整理して分析することで、業務改善をはかること
  • PDCAサイクルを回し、改善後も最適化を続けること

が挙げられます。

BPMに取り組むメリット・デメリットは、次のとおりです。

BPMに取り組むメリット・デメリット
メリット
  • 業務の手順を、誰もがわかる形で整理することができる
  • 根本的な業務課題の解決につながる
  • 業務効率化や生産性向上ができる
デメリット
  • 業務プロセスの整理に手間がかかる

多くのメリットがあるため、BPMを実践している企業は多くあります。

ただし、BPMを導入し確実に成果を上げるには、以下の点に注意することが必要です。

BPMを導入するときの注意点

1. BPMを導入して何を実現したいのか、明確にする

2. PDCAサイクルを継続して回す

3. 現場と協力し、理解を得る

BPMに取り組むことで、業務効率化や生産性向上を実現することができます。業務プロセスを可視化し整理することで、業務の標準化ができるうえ、将来的なデジタル化や組織再編の下地をつくることも可能です。ぜひ、今回ご紹介した内容を参考に、BPMに取り組んでみてください。

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