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リーンスタートアップとは?画期的な製品を開発できる具体的プロセスを詳しく解説

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リーンスタートアップとは、画期的な新製品を開発していく起業方法および製品開発マネジメント方法です。

低コストかつ短期間で必要最低限の機能を備えた製品を作った後、実際に顧客に使ってもらい検証し、学びを得るといったサイクルを繰り返すことで、画期的な新製品を開発することができます。

新しい製品を作ったり新事業を立ち上げたりする場合、自身が持っているアイデアを元に綿密な計画を立てる必要があるほか、コストが莫大にかかるにも関わらず、絶対に製品が売れるかなど不確実性が高く、失敗したときのリスクも大きいですよね。

その点、リーンスタートアップは綿密な計画は必要なく低コストで始められます。製品を顧客に試してもらいながら何回も改良を重ねていくので、大きな損失やムダが発生するといったリスクも低いです。そのため画期的なアイデアを持っている人であれば、誰でも活用できるでしょう。

しかしプロセスをよく理解しないまま運用すれば、製品の開発が上手く進まないだけでなく、途中で頓挫してしまい、費やした労力や時間をムダにしてしまう可能性があります。

そこでこの記事では、

  • リーンスタートアップの基本的な知識
  • リーンスタートアップの具体的な進め方
  • リーンスタートアップが従来の方法と比較して優れている点
  • 実際にリーンスタートアップで成功した国内外の事例

について徹底的に解説していきます。

この記事を読めばリーンスタートアップについて理解を深められるだけでなく、リーンスタートアップを活用できるようになるため、ぜひ最後まで目を通してみてください。

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1. リーンスタートアップとは

リーンスタートアップという言葉を聞いたことがある場合でも、何に使える手法なのか、なぜビジネスに必要なのかよく分からない人もいるかと思います。

そこでこの章ではまずリーンスタートアップとはどのような手法なのか、応用例、リーンスタートアップの必要性を解説していきます。

1-1. リーンスタートアップとは製品開発マネジメント手法のこと

冒頭でもお伝えした通りリーンスタートアップとは、画期的な新製品を開発していく起業方法および製品開発マネジメント方法です。

低コストかつ短期間で必要最低限の機能を備えた製品を作った後、実際に顧客に使ってもらい検証し、学びを得るといったサイクルを繰り返すことで、画期的な新製品を開発することができます。

大手自動車メーカーであるトヨタの生産方式である「リーン生産方式」の概念を応用しています。

〇リーン生産方式とは

プロセス管理を徹底的に管理することで、製造工程のムダを最大限に省きサイクルタイムを短縮させながら、高い品質を維持できる生産方式のことです。

たとえば必要な物を必要なときに必要な量だけ供給することで、在庫やコストを徹底的に減らす「ジャストインタイム」といった生産システムや、製造の段階で不良品を検知し、すぐに製造プロセスの問題を解決することで同じような不良品を発生させない「自動化」といった仕組みを用いています。

この考え方は個人が起業する際だけでなく、企業内で新製品の開発や新事業を立ち上げる場合など、さまざまな業務プロセスに応用できるのが特徴です。

1-2. リーンスタートアップの応用例

リーンスタートアップは、たとえば新たなwebサイトを作るといった場合も、以下のようなプロセスで応用できます。

  • 最初から完璧に作るのではなく、必要最低限の機能だけが備わったwebサイトを構築
  • 自社の既存顧客に実際に操作してもらい、使い心地や足りない部分をフィードバックしてもらう
  • そのフィードバックを元に新たな機能を付け加えたり、デザインを変更したりして、ユーザーインターフェースを改良していく

上記のようなプロセスでホームページを構築していけば、アイデアの発案から実際にwebサイトが完成するまでの時間を大幅に短縮できるほか、実際にwebサイトを使う顧客のニーズから大きく外れることなくwebサイトを作ることが可能です。

詳しいプロセスについては「2.リーンスタートアップの具体的なプロセス」をご覧ください。

1-3. リーンスタートアップはさまざまな損失やムダを軽減できる

リーンスタートアップは新製品を開発したい人や新事業を立ち上げたい人にとって、必要不可欠な手法です。なぜならリーンスタートアップは、さまざまな損失やムダを軽減できるからです。

たとえば従来の方法で製品を開発する場合は、計画を立てるところから実際に製品化するまでかなりの時間やコストを要するにも関わらず、「発売から僅か数週間で売り場から商品が引き上げられる」「誰にも使ってもらえることなく新製品が消えていく」といった失敗は多いです。その理由としては、以下のような点が挙げられるかと思います。

  • どんな顧客に受け入れてもらえるか、どれだけ売上が見込めるかなど、何もかも不確実な状態で製品を作らなければならない
  • 途中で計画の大幅な変更ができないので、顧客のニーズや市場の変化に対応できない

製品開発や新事業の立ち上げが失敗した場合、自身だけでなく仲間や社員、投資家に経済的な損失を与えるだけでなく、製品化に費やした時間やスキル、情熱といった人的資源の無駄も発生させます。しかしリーンスタートアップは、このような損失やムダをできる限り軽減できます。

リーンスタートアップではあらかじめ綿密な計画を立てる必要はありません。必要最低限の機能を備えた製品を顧客に試してもらいながら何回も改良を重ねていき、継続的に調整を行いながら「顧客がお金を払ってでも欲しいと思える製品」を作っていくからです。顧客のニーズや市場の変化を感じても素早く対応できるため、そもそも製品が全く売れず、大きな損失やムダが発生するといったリスクが低いでしょう。

このようにリーンスタートアップは、多大な損失やムダが発生するといったリスクを大幅に減らせるため、新製品を開発したい人や新事業を立ち上げたい人とって欠かせない手法と言えます。

2. リーンスタートアップの具体的なプロセス

リーンスタートアップは、以下のプロセスで製品の開発を進めていきます。

  • 1.価値仮説と成長仮説を立てる
  • 2.構築・計測・学習のフィードバックループを繰り返す

以下でそれぞれのプロセスで、具体的にどのような行動をすればいいのか解説していきます。

2-1. 価値仮説と成長仮説を立てる

リーンスタートアップでは、まず以下2種類の仮説を立てます。

  • 価値仮説:実際に自社の製品やサービスを、使いたいと強く思う顧客がいるのかを確かめるための仮説
  • 成長仮説:自社の製品やサービスが、持続的に広がっていくかどうかを確かめるための仮説

新事業の計画や新製品を開発する場合、まず仮説を立てた上で戦略を策定していきます。しかしその時点で仮定が本当にあっているのか証明できないかつ、企業側がその仮説通りだと思い込んでいるだけで、実際には間違っている場合も多いです。

そのまま新事業や新製品の開発を進めた場合、失敗するリスクが大きいでしょう。そのため仮説を立てて早い段階で本当に合っているかを検証することは、とても重要なプロセスと言えます。

たとえば業務支援ソフトを開発する場合は、

  • 価値仮説:中小企業の多くは業務効率化を図りたいが、現存のソフトは操作が難しいものが多い。そのため自社の業務支援ソフトに搭載予定の、誰でも簡単に操作できるナビ機能に価値があるだろう。
  • 成長仮説:自社の業務支援ソフトは、リリースしたら1ヵ月ごとに有料プランのユーザーが1,000人増えていくであろう。

といったような2種類の仮説を立てて、早い段階で実際に製品を使って検証していくことが重要です。

2-2. 構築・計測・学習を繰り返す

仮説を立てた後は、「構築・計測・学習」のフィードバックループを繰り返していきます。仮説を検証するための製品を作り、顧客からの反応を計測し、失敗を分析し学びを得たら、新たに必要な機能を追加したり必要のない機能を取り外したりして、製品を改良していくといったサイクルを回していくのです。

各プロセスで具体的にどのようなことをしていくか、以下で詳しく説明していきます。

2-2-1. 構築

構築のプロセスでは、細かく分けると以下2つのやるべきことがあります。

①顧客の原型を作る

②MVPを作る

以下で1つずつ説明していきます。

2-2-1-1. ①顧客の原型を作る

まず製品を作るために顧客の原型を作ります。顧客の原型とは、ターゲットとする顧客の人間性を文章でまとめたものです。「このような人がこの製品の顧客!」と定めるためのものではなく、実際に顧客と接しながら、以下のような点を探って大まかに作成していきます。

  • どんな人が自社の見込み客となるのか
  • その見込み客はどんな問題を抱えているのか

たとえば業務支援ソフトを作りたい場合は、顧客と話す中で分かったことから、以下のように大まかな顧客の原型を作っていきましょう。

  • どんな人が自社の見込み客となるのか:中小企業の営業部門の社員
  • その見込み客はどんな問題を抱えているのか:顧客情報や商談の内容を上手く管理できていない

2-2-1-2. ②MVPを作る

顧客の原型を作成し終えたら、実用最小限の製品であるMVP(minimum viable product)を作ります。MVPは構築・計測・学習のループを回せるレベルで、最小限の労力と時間で開発できる製品のことです。

最小限の労力や時間しかかけなくて良いからといって、力を抜いて仕事をしていいわけではありません。あくまで仮説の検証結果に直接関わらない機能やプロセス、それに伴う労力はすべて取り除いて作るといった意味合いです。

MVPを使った手法にはさまざまな種類があり、たとえば以下のような種類が有名です。

  • プロトタイプ型MVP:製品の原型を作り、メインのマーケティングチャネルを通じて実際の顧客に販売する手法。
  • スモークタイプ型MVP:まだ製品を作っていない段階で顧客に予約してもらう手法。動画などを用いて製品やサービスを紹介し、実際に使ってみたいと思う顧客がいるかどうかを調べます。

たとえば社内ベンチャーなどすでに販売経路が用意されている場合はプロトタイプ型のMVP、個人で起業するため「まずは売れる見込みがあるか確証を得たい」といった場合はスモーク型のMVPを活用するなど、状況に合わせてどの種類のMVPを用いるか決めましょう。

2-2-2. 計測

MVPが完成したら実際に顧客に使ってもらい、MVPに対しての顧客からの反応を的確に計測していきましょう。

スタートアップは、売上やコンバージョンがいきなり大幅に増えることはほとんどないと言えます。そのため一般的な管理会計の手法を用いて、製品の累計売上数やサービスの累計登録者数などを測ったとしても、それによりスタートアップが本当に上手くいっているかどうか計測することは難しいです。

そこでリーンスタートアップでは、革新会計(イノベーションアカウンティング)といった方法を用いて、スタートアップが本当に上手くいっているかどうかを計測していきます。

〇革新会計(イノベーションアカウンティング)とは

「売上やコンバージョンなどの数字の変化は、本当に製品の改良によるものなのか」といった点や、「本当に前進しているのか」といった点を把握できる計測方法。

革新会計に使える計測方法の1つとして、コホート分析といった方法があります。コホート分析とは顧客を同じ属性や条件で分けて、顧客の動向を把握するために使う分析方法です。たとえば、

  • 製品を新しく改良してリリースしてから現在までの内、最初の1週間に製品をダウンロードした顧客はどのくらいいるか
  • 新しく出した広告から経由して製品ページにたどり着いた顧客の内、有料プランに申し込んだ顧客はどのくらいいるか

といったように、一定の期間だけで顧客数を測ったり、同じ条件の元で顧客がどんな行動を取るかを測ったりできるのが特徴です。そのため「製品の改良によってどのくらい効果があるのか」「前進しているのか」といった点を、正確に把握できます。

2-2-3. 学習

「計測」のプロセスで得た学びを元に、ベースラインの状態から理想の状態に近づくために、製品の微調整を行い、構築・計測・学習のサイクルを繰り返していきます。

しかし製品の最適化が終わっても、顧客からの反応があまり変わらないなど理想の状態に近づいていない場合は、ピボット(方向転換)してすべてのプロセスをやり直すか、現状の戦略を維持するかを判断する必要があります。

〇ピボット(方向転換)とは

今までフィードバックループを使って作ってきたMVPや学んできたことを再利用しながら、今よりも更に優れた方向を見つけること。

たとえば業務支援ソフトを作る中で何度もフィードバックループを繰り返し、製品の最適化が終わったとします。しかし無料プランに登録するユーザーは、製品を改良する度にどんどん増えているにも関わらず、有料プランに登録するユーザーはほとんど増えません。そんなときこそピボット(方向転換)するかどうかを判断する必要があります。

新しい仮説を立て直し、フィードバックループを繰り返して製品を開発していくか、このまま製品を改良し続けるかです。もし上記のようなケースに陥った場合は、一旦立ち止まり、ピボット(方向転換)するかを決めましょう。

3. 従来の手法とリーンスタートアップの比較

リーンスタートアップは従来の起業方法や製品開発方法に比べると、以下2つの点で優れているため、これから新たに製品を開発する人や新事業を立ち上げる人は、ぜひ取り入れるべき手法と言えます。

  • 製品開発を始めるハードルが低い
  • 顧客ニーズとの乖離が起こりにくい

以下で1つずつ解説していきます。

3-1. 製品開発を始めるハードルが低い

リーンスタートアップは従来の方法に比べ、製品開発を始めるハードルが低いです。

従来の方法で新しい製品やサービスを作る場合、製品の開発費や広告宣伝費など必要な費用は多いですよね。銀行から融資を受ける際も、これから開発する製品やサービスがいかに売れるか、持続的に利益を出せるかを説明して納得してもらう必要があります。そのため画期的な製品やサービスを思いついても、開発までのハードルが高いため、あきらめてしまう人もいるのではないでしょうか。

しかしリーンスタートアップでは、まずは最低限の機能だけが備わっている製品をリリースすればいいので、製品の開発費用は従来の方法に比べてかなり抑えられます。

最初からメインストリームの顧客に使ってもらうことをめざすのではなく、機能性やデザイン性が不完全でも新しい製品を積極的に使ってくれるアーリーアダプターの目に留まればいいので、高いコストをかけて広告を出したり、メディアに露出したりといったことも必要ありません。そのため初期費用をかなり抑えられるほか、お金を借りるためにあちこち奔走する必要もないでしょう。

このようにリーンスタートアップは製品開発を始めるまでのハードルが低く、画期的なアイデアを持っている人であれば誰でもスタートしやすい手法と言えます。

3-2. 顧客ニーズとの乖離が起こりにくい

リーンスタートアップは従来の方法に比べると、顧客ニーズとの乖離が起こりにくいです。

従来の方法では製品化したいものが決まったら、戦略計画を何か月もかけて策定し、そこからさらに長い時間をかけて製品を作っていきます。そのため実際に製品を世の中にリリースするまで数年かかり、その間に顧客のニーズが大きく変わって、「製品が全く売れなかった」といったケースもあるのではないでしょうか。

顧客は企業が製品を作るのに費やした時間は気にしません。顧客が一番、重要視しているのは「自分にとっていい製品か、悪い製品か」という点です。よっていくら長い時間をかけて製品を開発したところで、顧客に受け入れてもらえなければ意味がありません。

その点、リーンスタートアップは、最初に製品化するまでにかかる時間はそんなにかかりません。綿密な計画は立てず、あえて未完全のまま製品化し、その後、顧客の反応から得た学びを元に何回も製品に改良を重ねていくからです。

このようにリーンスタートアップは従来の方法に比べ、顧客のニーズと大きく乖離することはほとんどないため、「製品が全く売れない」といった状況にはなりにくいでしょう。

4. リーンスタートアップの成功事例

ここまで読んだ人の中には「リーンスタートアップの具体的なプロセスや、従来の方法に比べどんな点が良いのか分かったけど、本当に上手くいくの?」と疑問を持っている人もいるかと思います。

そこでこの章では、実際にリーンスタートアップの考え方を使ってスタートアップした企業の成功例を、国内・国外それぞれ1社ずつ紹介していきます。今でこそ大きな成功を収めている2社ですが、あらかじめ綿密な戦略計画を立てるなどはしておらず、小さくスタートしています。

これからリーンスタートアップを使って起業したい人や、企業内で商品開発の手法で悩んでいる人は、この2社のようにまずは小さく始めることが重要です。

以下でそれぞれの企業がどのようなプロセスで成功していったのか説明していくので、自身や自社の場合はどのように進められるかイメージしながら読み進めてください。

4-1. 国外企業の成功事例:Airbnb(エアビーアンドビー)

出典:Airbnb

Airbnbは、部屋を貸したいホストと部屋を借りたい旅人をつなぐ、民泊仲介サービスです。

創業者であるブライアン・チェスキー氏とジョー・ゲビア氏は、美術大学を卒業後、サンフランシスコに引っ越し、アパートの1室を借ります。しかし貯金額に対し家賃の金額が上回っており、部屋の一角を泊まりたい人に貸出し、簡単な朝食を提供することで収入を得ることを思いついたのが、Airbnbが生まれたきっかけです。

その後、2人は「ルームメイトのマッチングサービス」や「大型イベント時のエアーベッド貸出しサービス」などを考案しますが、あまり上手くいきませんでした。そこで以下のようにリーンスタートアップのサイクルを回していきます。

  • 横にスクロールします
サイクル 具体的な方法
仮説立て 「旅行者向けに一般の民家を貸し出すサービスであれば、旅行者にも部屋を有効活用したい人にも需要があるのではないか」「少ないクリック数で部屋探しから予約まで完了できれば、予約が増えるのではないか」などの仮説を立てる。
構築 仮説を検証するためのMVPとなるwebサイトを構築。
計測 部屋自体はいくつも登録されても、予約数は伸びないという結果に。そこで原因究明のために、実際に自分たちもwebサイトから予約して、部屋を貸し出す側のユーザーに会いに行き対話をしたほか、その部屋に宿泊した。
学習

何人かのユーザーに話を聞いたり部屋に宿泊したりする中で、以下のようないくつかの学びを得る。

  • 泊まりたくなるような良い物件でも写真が暗すぎるため、webサイトではその良さが伝わりにくい
  • プロフィール文章が簡素すぎるほか、宿泊料金が全体的に高すぎる
  • そもそもwebサイト自体に使いにくい箇所がある

これらを改善したことで予約数が増え、売上も改善された。

その後もAirbnbは構築・計測・学習の3つのフィードバックループを回しながらサービスを改善していきます。単に旅行者が寝泊りする場所を提供するサービスではなく、旅先で良い体験をするためのお手伝いができるようなサービスとして成長していき、2019年には48億ドルもの売上を達成しました。

4-2. 国内企業の成功事例:BASE FOOD(ベースフード)

出典:BASE FOOD

BASEFOODは1食で1日に必要な栄養食の1/3を摂取できるパンやヌードルを開発・販売している企業です。

代表取締役である橋本舜氏がIT企業に勤めていた頃、あまりの忙しさから食生活が乱れ、健康にも影響が出始めたことで「健康的な食事」に着目するようになったのが、BASEFOODが生まれたきっかけでした。

橋本氏はその後、以下のようにリーンスタートアップのサイクルを回していきます。

  • 横にスクロールします
サイクル 具体的な方法
仮説立て 栄養バランスの取れた食事が大切だとは分かっていても、現代人は忙しく自炊する時間を取るのも難しいと考え、「主食の栄養バランスが整っていれば、忙しくても誰でも健康的な食事を摂れるのではないか」といった仮説を立てる。
構築 シェフや栄養士の協力を得ながら、自身も栄養や食品加工に関する本から知識を得て、完全栄養食のヌードル「BASE PASTA」を発売。
計測 発売後は購入客からアンケートなどを通じて届いた声から、顧客の反応を測る。
学習 ぼそぼそした食感や粉っぽさを改善したり、苦みを軽減したりBASE PASTAに足りていない部分の改良を重ねていく。

その後もBASEFOODはBASEPASTAの構築・計測・学習といったフィードバックループを上手く活用し、発売から4年間で18回ものバージョンアップを行っています。

さらにBASEPASTAで用いた手法をパンに応用し、BASE BREADを発売。こちらも発売から約2年の間に13回ものバージョンアップを試みています。このようにBASE FOODは世の中に製品をリリースした後も常に改善を続けており、2021年の売上高は前年に比べ430%も増加しました。

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5. リーンスタートアップを始める際のQ&A

この章ではリーンスタートアップを始める際によく思い浮かぶ、以下の2つの疑問についてそれぞれ解説します。

  • アジャイル開発やデザイン思考とは何が違うの?
  • リーンスタートアップを始める際に役立つツールってあるの?

以下でそれぞれについて解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

5-1. Q. アジャイル開発やデザイン思考とは何が違うの?

A.リーンスタートアップとアジャイル開発、デザイン思考との大きな違いは、その手法を使う目的です。

以下はそれぞれの方法と目的をまとめた表です。ご覧いただいて分かる通り、サイクルを回しながら進めていくやり方は似ていますが、それぞれの手法を使うシーンや目的が異なります。

そのため使うシーンや、自社の目的に合わせて手法を使い分けてください。

  • 横にスクロールします
手法 手法の種類 目的 概要
リーンスタートアップ

起業方法

(製品開発マネジメント方法)

起業に関する損失やムダを軽減し、事業を継続させていくこと

画期的なアイデアを持っている人なら誰でも活用できる起業方法で、構築・計測・学習のサイクルを回しながら、製品を改良していく。

起業のハードルが低く、顧客ニーズと大きく乖離することも少ないため、新しい製品を開発したいや新事業を立ち上げる人には欠かせない手法。

アジャイル開発 開発方法 顧客満足度の高いシステムやソフトウェアを素早く提供すること

システムやソフトウェアを開発する際の手法で、計画・設計・実装・テストといったサイクルを機能ごとに回していく。

システムやソフトウェアを一気に作り上げるのではなく、機能単位で開発を進めていくので、仕様変更に強く、開発期間も短縮できるといったメリットがある。

デザイン思考 思考方法 製品の本質的な課題やニーズを発見し、新たなアイデアを創出すること

デザイナーがデザインを考案する際の手法で、共感・定義・着想・試作・テストといったプロセスで、アイデアを形にしていく。

ユーザーの視点に立ち、本質的なニーズや課題を把握できるため、ビジネスでも活用されている。

5-2. Q.リーンスタートアップを始める際に役立つツールってあるの?

A.リーンスタートアップを始める場合、おすすめなのがクラウドの導入です。

リーンスタートアップでは、たとえば製品やサービスを開発・改良するプラットフォーム、計測したデータを分析するためのシステムなど、ツールをあらかじめ揃えておく必要があります。

しかし個人で起業する場合も、社内で新事業を立ち上げる場合も、予算が限られていたり少なかったりといったケースが多く、自身もしくは社内で必要なシステムをすぐに構築することが難しいですよね。

クラウドはそんな場合におすすめのツールです。クラウドを導入すれば、

  • 自身もしくは社内でシステムを構築するよりコストを抑えられる
  • 数分でサーバーを構築できるので、すぐにビジネスをスタートできる

といったメリットがあるので、リーンスタートアップを始めたいといった人は、ぜひクラウドを導入してみてください。

リーンスタートアップにクラウドを活用したい場合は、NTT東日本にご相談ください

たとえばリーンスタートアップにクラウドを活用したくても、以下のような悩みを持っている方もいるかと思います。

  • 「サービスが多すぎて、どれが本当に必要なのか自力で選べない」
  • 「プログラミング言語などの知識を持っておらず、構築方法が分からない」
  • 「万が一、故障した場合や問題が起きた場合の対応が不安」

NTT東日本では、企業のインフラシステムとして代表的なパブリッククラウドであるAWSやMicrosoft Azureの、導入・運用サービスを提供しており、上記のような悩みを解決するためのサポートをさせていただきます。

弊社では2014年より実際にAWSを導入しており、全14サービスで活用しております。社内システムをすべてクラウド化するのではなく、オンプレミスとクラウドの良さを組み込みながら、最適なシステムに移行してきました。

そのため実際にクラウドを運用する方法だけでなく、システムの構築や最適化のノウハウを蓄積しており、お客さまへ還元できる状態が整っております。そのほかにも、以下のような特長がございます。

  • AWS・Microsoft Azure有資格者が専門担当者となり、導入から構築までを短期間で実施
  • 弊社の社内システム開発時のガイドラインをベースに、セキュリティチェックを実施
  • サーバー監視コストの低減により、サービス提供価格を抑制
  • IaaS・PaaS混在環境やマルチクラウド環境など、さまざまな環境にも対応可能
  • リソースの負荷状況をグラフにして見える化するなど直感的なユーザー体験が可能

もしリーンスタートアップを始める際にクラウドを導入したい場合は、ぜひ一度、NTT東日本にご相談ください。

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6. まとめ

リーンスタートアップとは、画期的な新製品を開発していく起業方法および製品開発マネジメント方法です。

低コストかつ短期間で必要最低限の機能を備えた製品を作った後、実際に顧客に使ってもらい検証し、学びを得るといったサイクルを繰り返すことで、画期的な新製品を開発することができます。

リーンスタートアップは、価値仮説と成長仮説を立て、構築・計測・学習のフィードバックループを繰り返して製品の開発を進めていきます。フィードバックループで行う具体的な行動は以下の通りです。

  • 構築:見込み客や課題を元に顧客の原型を作り、MVP(必要最小限の製品)を構築していく。
  • 計測:MVPに対する顧客からの反応から、スタートアップが本当に上手くいっているのかを革新会計を用いて測定していく。
  • 学習:「計測」のプロセスで得た学びを元に製品の微調整を行い、構築・計測・学習のサイクルを繰り返していく。製品の最適化が終わっても、顧客からの反応があまり変わらないなど理想の状態に近づいていない場合は、ピボット(方向転換)するか判断する。

リーンスタートアップは従来の起業方法や製品開発方法に比べると、以下2つの点で優れています。

  • 製品開発を始めるハードルが低い
  • 顧客ニーズとの乖離が起こりにくい

実際にリーンスタートアップを活用して成功した企業としては、Airbnb(エアビーアンドビー)BASE FOOD(ベースフード)などが挙げられます。

リーンスタートアップを活用して新製品を開発したり、新事業を立ち上げたりする場合は、各プロセスをよく理解した上で活用しましょう。

  • 本記事に記載されている会社名、サービス名、商品名は、各社の商標または登録商標です。

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