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給与計算ソフトとは?導入する必要性とメリット・デメリットも解説

給与計算ソフトとは、従業員の勤怠情報を元に給与計算や年末調整、社会保険や税金の計算など、さまざまな作業を自動化できるITツールのことです。導入すれば給与計算に関連する業務の負担が大幅に減るなど、さまざまな業務効率化につながります。

また給与計算業務は、毎回決められた計算方法や計算式で給与を算出するわけではありません。労働基準法や社会保険料率・税率の改正の度に自ら情報を集めて理解を深め、新しい方法を業務に落とし込んだり計算式を変えたりする必要があるほか、近年ではマイナンバー制度の導入によりマイナンバーを厳重に管理する必要もあります。

給与計算ソフトはそんな複雑で手間のかかる業務の負担も軽減できるので、経理担当者は予算管理や決算業務をはじめとしたコア業務に集中できるようになるでしょう。

しかし導入費用や手間はそれなりにかかるため、本当に必要かどうかをメリットや注意点を踏まえた上で、慎重に判断する必要があります。

メリット
  • 判断ミスや計算ミスを防げる
  • 人件費を削減できる
  • 税率・社会保険料率や労働基準法の改正、マイナンバー制度に対応できる
導入する際の注意点
給与計算に関わる知識をある程度持っていないと扱いが難しい

またメリットや注意点の理解だけでなく、給与計算ソフトを導入すると判断した後も重要です。たとえばコストだけを重視して導入するソフトを選んだ場合、機能が不十分であったり、使いにくいことによって経理担当者の負担が増えたりといったケースも考えられます。

そこでこの記事では、

  • 給与計算ソフトでできること
  • 給与計算ソフトの必要性
  • 給与計算ソフトのメリット
  • 給与計算ソフトを導入する際の注意点
  • 給与計算ソフトの導入がおすすめな企業の特徴
  • 給与計算ソフトの2つの種類について(インストール型とクラウド型)
  • 給与計算ソフトを選ぶときのポイント
  • おすすめの給与計算ソフト5つ

について徹底的に解説していきます。

この記事を読めば給与計算ソフトを導入すべきか判断できるだけでなく、自社に合った給与計算ソフトも選べるようになるため、ぜひ最後まで目を通してみてください。

目次:

1. 給与計算ソフトとは
2. 給与計算ソフトの必要性
2-1. コア業務に集中するため業務効率化は積極的に行った方が良い
2-2. 従来の方法と給与計算ソフトの比較
3. 給与計算ソフトのメリット3つ
3-1. 判断ミスや計算ミスを防げる
3-2. 人件費を削減できる
3-3. 税率・社会保険料率や労働基準法の改正、マイナンバー制度に対応できる
4. 【注意点】給与計算に関わる知識をある程度持っていないと扱いが難しい
5.給与計算ソフトの導入がおすすめな企業
5-1. 給与計算に数日から1週間かかっている企業
5-2. 労働基準法違反のリスクを減らしたい企業
5-3. 情報漏えいのリスクを減らしたい企業
6. 給与計算ソフトはインストール型とクラウド型の2種類
7. 給与計算ソフトを選ぶときのポイント
7-1. 複数の雇用形態を登録できるか
7-2. 自社の勤務形態に対応可能か
7-3. 他の業務支援機能も備わっているか
7-4. 連携できるシステムは多いか
8. おすすめのインストール型給与計算ソフト2選
8-1. 弥生給与23
8-2. ZeeM人事給与
9. おすすめのクラウド型給与計算ソフト3選
9-1. マネーフォワードクラウド給与
9-2. freee人事労務
9-3. 給与奉行クラウド
10. 給与計算ソフトを選ぶ際のQ&A
10-1. Q.クラウド型とインストール型、結局どちらがいいの?
10-2. Q.給与計算システムをクラウド化する場合、他のシステムもクラウド化した方がいい?
11. まとめ

1. 給与計算ソフトとは

冒頭でもお伝えした通り、給与計算ソフトは、従業員の勤怠情報をもとに給与計算や年末調整、社会保険や税金の計算など、さまざまな作業を自動化できるITツールです。

給与計算業務は「時給×労働時間」や「月給+残業手当」といった単純な計算だけではありません。以下のように、複雑で時間のかかる計算をする必要があります。

  • 社会保険料の計算:厚生年金や健康保険、雇用保険、介護保険など
  • 税金の計算:住民税や所得税の計算
  • 各種手当の計算:役職手当や通勤手当、残業手当、家賃手当など

万が一、計算間違いによって賃金の一部が未払いとなった場合、従業員から企業への信頼度に大きく影響するでしょう。そのため常に細心の注意を払い、正確に計算することが求められます。

給与計算ソフトを導入すれば上記のような複雑な計算作業を自動化できるので、人為的ミスを防いだり作業時間を大幅に短縮できたり、といった業務効率化につながるでしょう。

2. 給与計算ソフトの必要性

給与計算ソフトがどんなことができるのか分かっても、「本当に必要なの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。そこで本章では、給与計算ソフトがなぜ必要なのかを、更に掘り下げて解説していきます。

2-1. コア業務に集中するため業務効率化は積極的に行った方が良い

給与計算業務は、従業員の給与計算以外にも以下のようにやるべきことが多いです。

  • 給与の振込み手続き
  • 各種帳票の作成
  • 社会保険料や税金の納付
  • 年末調整

経理業務はそのほかにも多岐にわたるため、とくに経理部署を設けていないほか、経理担当者が1、2人の中小企業は「給与計算業務に時間を取られて他の業務が間に合っていない」「経理担当者の負担が大きい」といったケースも多いのではないでしょうか?

しかし給与計算ソフトを導入することで業務時間を大幅に削減できるほか、経理担当者の負担も軽減できます。その分、予算管理や決算業務をはじめとしたコア業務に集中できるようになるでしょう。

2-2. 従来の方法と給与計算ソフトの比較

従来の方法と、給与計算ソフトで業務を行なう場合を比較すると、より一層、給与計算ソフトの必要性が分かるかと思います。

たとえば毎月の給与計算の方法を、従来の方法と給与計算ソフトで行う方法で比べてみましょう。

毎月の給与計算方法の比較
  • 従来の方法で行なう場合:各従業員の勤怠データを元に、表計算ソフトなどを使用して給与を計算。関数を使って計算できるが、社会保険料率や税率の区分、残業時間の区分などは自力で判断し、計算式を使って計算する必要がある。
  • 給与計算ソフトで行う場合:給与計算ソフトに取り込んだ勤怠データを元に、社会保険料率や税率の区分、残業時間の区分などを自動で行える。また各労働条件に沿って社会保険料や税金、残業代などの各種手当を自動で計算できる。

各種帳票の作成も、従来の方法と給与計算ソフトで行う方法で比べてみます。

帳票作成方法の比較
  • 従来の方法で行なう場合:賃金台帳であれば表計算ソフトなどを使用して、各従業員の労働日数や労働時間、基本給、各種手当、控除額など各項目に手入力していく必要がある。また年末調整業務に必要な源泉徴収簿や、従業員の退職時に必要になる源泉徴収票なども、各項目に手入力して作成する必要がある。
  • 給与計算ソフトで行う場合:給与計算ソフト内の各従業員の情報や、蓄積された勤怠データを元に賃金台帳や源泉徴収簿、源泉徴収票などの帳票を自動作成できる。

上記2つの例から分かるように、給与計算ソフトは業務効率化につながるので、どの企業も導入する必要性が高いでしょう。

3. 給与計算ソフトのメリット3つ

「給与計算ソフトの必要性は分かったけど、具体的にどんなメリットがあるの?」と気になっている人もいるかと思います。給与計算ソフトを導入するメリットは、大まかに言えば経理業務を今よりも効率化できる点です。

ここでは更に掘り下げて、3つに分けてメリットを解説していきます。

  • 判断ミスや計算ミスを防げる
  • 人件費を削減できる
  • 税率・社会保険料率や労働基準法の改正、マイナンバー制度に対応できる

以下で、それぞれについて解説していきます。

3-1. 判断ミスや計算ミスを防げる

給与計算ソフトを導入することで、判断ミスや計算ミスを防げるでしょう。

たとえば残業代を計算する際、今までは表計算ソフト上で、各従業員の勤怠データから残業となる時間を割り出し、残業時間が時間外労働なのか、それとも時間外労働かつ深夜労働なのかなどの判断を自力でする必要がありました。

残業区分を判断した後も、その労働条件に見合った割増率を使って計算する必要があります。そのため残業時間の区別を誤ったり、割増賃金を誤って計算したりといったミスが起こりやすい状況でした。

しかし給与計算ソフトを導入すれば、取り込んだ勤怠データから残業時間を自動で区別し、その労働条件に見合った割増率で自動計算できます。そのため今まで頻繁に起こっていた判断ミスや計算ミスを防げます。

さらに自動区別や自動計算により作業負担が大幅に減るため、今までは時間がなくて疎かになっていたダブルチェックの時間も設けられるでしょう。

3-2. 人件費を削減できる

給与計算ソフトを導入するメリットの1つとして、人件費の削減が挙げられます。従来の方法で給与計算を行なうより大幅に作業時間を削減できるからです。

実際に給与計算ソフトを導入した企業の例を見てみると、今までは5~7営業日かかっていた給与計算の作業を、1日に短縮することに成功しています。(参考:飲食店32店舗、500名を超える給与計算をたった1人でまわしています | マネーフォワードクラウド給与の導入事例 )

導入する給与計算ソフトによって、どれだけ作業時間を短縮できるかは異なります。しかし毎月の給与計算業務にかかる時間を減らせれば、その分、人員を減らせるほか残業時間も短縮できるので、人件費を大幅に削減できる可能性はあるでしょう。

3-3. 税率・社会保険料率や労働基準法の改正、マイナンバー制度に対応できる

税率・社会保険料率や労働基準法改正、マイナンバー制度に対応可能な点も、給与計算ソフトを導入するメリットです。以下で1つずつ説明していきます。

3-3-1. 税率や社会保険料率改正に合わせて自動アップデート

所得税の税率は過去に何回も改正されており、今後も改正があるでしょう。また健康保険料や介護保険料などの社会保険料率も、度々改正されています。そのため税率や社会保険料率の改正がある度に、給与の計算式も変えなければなりません。

しかし給与計算ソフトを導入すれば、税率や社会保険料率の改正に合わせてシステムのアップデートが可能です。そのため自動で税率や社機保険料率が変更され、経理担当者が変更したり調整したりといった手間を省けます。

3-3-2. 労働基準法改正に合わせて計算式が変更

労働基準法の改正も過去に度々行われており、内容によっては給与計算業務に影響する場合もあります。

たとえば2023年の4月からは、中小企業における時間外労働が発生した際の賃金の割増率が変更になります。60時間以上の時間外労働が発生した際の賃金の割増率が、25%から50%へ変更されるため、それにならって給与の計算式も変えなければなりません。

しかし給与計算ソフトを導入すれば、新しい労働基準法に沿った計算式へ自動で変更されるので、計算式の変更忘れなどによるミスを防げます。

出典:働き方改革関連法のあらまし (改正労働基準法編)

3-3-3. マイナンバー制度に対応

給与計算ソフトはマイナンバー制度にも対応可能です。たとえばマイナンバー法によって、給与計算で扱う源泉徴収票をはじめとしたいくつかの書類に、従業員のマイナンバーを記載する必要が出てきました。そのため経理担当者は、従業員からマイナンバーを収集して管理する必要があります。

またマイナンバーは、

  • 氏名や住所などの個人情報を特定できる
  • 番号を自由に変更することは基本的にはできず、生涯を通して同じ番号を使わなければならない

といった理由から、漏えいした際のリスクが高いです。よって従業員のマイナンバーは、常に厳重に管理する必要があります。

しかし給与計算ソフトを導入すれば、マイナンバーを従業員から収集した後、システムに登録し安全に管理できます。情報の暗号化や担当者だけが閲覧や編集、削除できるアクセス制限を設定できるほか、退職時には復元できないように完全破棄も可能です。

4. 【注意点】給与計算に関わる知識をある程度持っていないと扱いが難しい

給与計算ソフトを導入する際、特筆すべきデメリットはとくにありません。しかし経理担当者は給与計算に関わる知識をある程度持っておかないと、給与計算ソフトの扱いが難しいので注意してください。

というのも給与計算ソフトは、表計算ソフトを使って作業するより操作が簡単ですが、以下のような知識をある程度持っておかないと、スムーズに業務を行えないからです。

  • 労働基準法
  • 社会保険や雇用保険、所得税、住民税に関する法律
  • 育児休暇・介護休暇・年次休暇についての制度や法律

給与は単純に労働時間×時給や、月給+残業代といった式では計算できません。たとえば残業代といっても時間外労働なのかどうかや深夜に残業が発生しているのかによっては、割増率が異なることが労働基準法で定められています。

基本的には給与計算ソフトが勤怠データを元に自動計算してくれますが、どんな過程を経て給与金額が導き出されているのかを理解しておく必要はあります。万一、何かのトラブルやミスで間違いが起きたとしても、どの過程で間違いが起きたのか気づけないからです。

また各種社会保険や税金、休暇時における給与についても、ほぼ知らない状態で給与計算ソフトを扱うより、あらかじめ理解した上で給与計算ソフトを扱う方が、迷うことなくスムーズに業務を進められます。

そのため今まで給与計算に関わったことのない人が給与計算ソフトを扱う場合は、あらかじめ業務に関連する知識について勉強しておくことをおすすめします。

5.給与計算ソフトの導入がおすすめな企業

ここまで読んで、実際に給与計算ソフトを導入しようか考えている人もいるかと思います。そこでこの章では給与計算ソフトを導入すべき企業の特徴を3つ紹介します。

  • 給与計算に数日から1週間かかっている企業
  • 労働基準法違反のリスクを減らしたい企業
  • 情報漏えいのリスクを減らしたい企業

以下でそれぞれについて説明していきます。

5-1. 給与計算に数日から1週間かかっている企業

もし経理担当者が給与計算に数日もしくは1週間ほど時間を費やしている場合は、ぜひ給与計算ソフトを導入してみてください。前述した通り、給与計算と単純に言っても業務内容は複雑、かつ常に正確さを求められます。

今はギリギリ業務を回せていても、たとえばこれから給与計算の対象である従業員が増えれば、給与計算にかかる日数が更に増えるので、非効率かつ生産性も落ちるでしょう。具体的には、以下のような問題が起きる可能性があります。

  • 作業が追いつかず、給与の振込日に間に合わない
  • 作業の抜け漏れが多くなり、残業代の見落としや計算ミスなどが発生する

上記のような問題が起こった場合、従業員から企業への信頼が大きく損なわれるといったリスクもあります。

しかし給与計算ソフトを導入すれば、業務の負担を大幅に削減できるほか、自動計算によってミスを軽減できます。その結果、業務の効率化や生産性の向上にもつながるでしょう。

給与計算に多くの時間を費やしている企業は、ぜひ給与計算ソフトの導入を検討してみてください。

5-2. 労働基準法違反のリスクを減らしたい企業

労働基準法違反のリスクをできるだけ減らしたいといった場合も、給与計算ソフトを導入することをおすすめします。

というのも4-1で言及した通り、従来の方法で給与計算を行う場合は、残業代の見落としや計算ミスなどが起こる可能性があります。それによって賃金の一部未払いが発生すれば、労働基準法違反とみなされるからです。

すぐに気づいて支払えば大事にはなりませんが、従業員が労働基準監督署や労働組合に相談したり、遅延損害金を請求されたりといったケースもないとは言い切れません。しかし給与計算ソフトを導入すれば、自動計算機能により正確な給与計算が可能になるため、賃金の一部未払いといった事態を防げるでしょう。

労働基準法違反のリスクを減らしたい企業は、ぜひ給与計算ソフトを導入してみてください。

5-3. 情報漏えいのリスクを減らしたい企業

給与計算ソフトは情報漏えいのリスクを減らしたい企業にもおすすめです。

給与計算業務では社会保険や雇用保険の書類も扱うため、従業員の住所やマイナンバーといった個人情報を厳重に管理する必要があります。各従業員の給与や賞与に関する情報も同様です。厚生労働省が掲げている「労働者の個人情報の保護に関する行動指針」によって、個人情報として扱うよう定められています。

よってもし従業員の個人情報が漏えいすれば、懲役刑や罰金刑に科される恐れがあるほか、社会からの企業への信頼も失う可能性があるでしょう。しかし給与計算ソフトを導入すれば、強固なセキュリティによって従業員の個人情報を厳重に管理できるので、情報漏えいのリスクを大幅に減らせます。

情報漏えいが起きないか心配、もしくはリスクを減らしたいといった企業は、ぜひ給与計算ソフトの導入を検討してみてください。

6. 給与計算ソフトはインストール型とクラウド型の2種類

給与計算ソフトの種類は、主にインストール型とクラウド型の2種類に分けられ、どちらを選んでも基本的な給与計算機能は備わっています。

しかしそれぞれのメリットやデメリットが異なるため、ソフトを選ぶ前に、まずどちらの種類の給与ソフトを導入すべきか判断する必要があります。

そこでまず、以下にそれぞれのメリットやデメリットが分かるよう、機能性や費用などを比較した表を用意したのでご覧ください。

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種類 インストール型 クラウド型
機能性 基本的な給与計算機能だけでなく、勤怠管理やタレントマネジメントなど人事に関わる機能も備わっている場合が多い 基本的な給与計算機能は備わっている
操作性 給与計算に関わる知識があった方が使いやすい 給与計算に関わる知識があった方が使いやすい
デザイン性 クラウドに比べると分かりにくいデザイン 使いやすさを重視したデザイン
費用
  • 初期費用:有料
  • 月額費用:基本は無料だが、オプションによっては月額費用がかかることもある
  • 初期費用:無料の場合が多いが、かかる場合もある
  • 月額費用:有料
ネット環境 必要ないので通信速度の低下やシステム障害の影響は受けない ネット環境が必須なので通信速度の低下やシステム障害の影響を受けやすい
対応デバイス パソコン パソコン・タブレット・スマートフォン
連携 基本は同シリーズソフトのみと連携可能 さまざまなシステムと連携可能
アップグレードの方法 手動 自動

機能や何ができるかは各商品によって異なりますが、上記の表からインストール型とクラウド型のどちらを導入すべきかは、おおまかに判断できるかと思います。

たとえばリモートワーク中心の企業や初期費用をできる限り抑えたいといった企業は、クラウド型の給与計算ソフトがおすすめです。逆にオフィスワーク中心で予算に余裕がある企業や、通信障害などの影響を受けることなく安定的に使用したいといった企業はインストール型の給与計算ソフトが良いでしょう。

このように自社の現状や体制、働き方などをイメージしながら、どちらの種類の給与ソフトが自社に適しているか判断してください。

7. 給与計算ソフトを選ぶときのポイント

給与計算ソフトを導入する場合、さまざまなソフトを比較して自社に合ったソフトを選ぶかと思います。その際はぜひ、以下のポイントを踏まえた上で選んでみてください。

  • 複数の雇用形態を登録できるか
  • 自社の勤務形態に対応可能か
  • 他の業務支援機能も備わっているか
  • 連携できるシステムは多いか

以下で1つずつ説明していきます。

7-1. 複数の雇用形態を登録できるか

さまざまな雇用形態に対応できるかといった点は、給与計算ソフトを選ぶ際の重要なポイントです。

たとえば正社員のみで構成されている企業であれば計算方法は1つですが、契約社員や派遣社員、アルバイト・パートなど、雇用形態が複数ある場合は、各雇用形態にあった計算をする必要があります。

雇用形態が異なれば、固定給なのか時給なのかだけではなく、自社の賃金規定や各種社会保険・手当のルールなどがそれぞれ異なります。そのためさまざまな雇用形態を取り入れている企業は、複数の給与計算パターンを登録できる給与計算ソフトを選びましょう。

7-2. 自社の勤務形態に対応可能か

自社の勤務形態に対応できるかも、あらかじめ確認してください。

たとえばフレックスタイム制を取り入れている場合、従業員の意思で始業時間と終業時間を決められるため、1ヵ月の規定の総労働時間を超えなければ、深夜に働いても時間外勤務とはみなされません。そのため導入を考えている給与計算ソフトでも、同様の計算ができるのかを確認しておく必要があります。

またオフィスワークとリモートワークを併用している企業の場合、通勤手当や在宅手当などを各ケースによって柔軟に計算できるかも確認しておくべきでしょう。

このように自社の勤務形態に合わせた設定や計算ができるかといった点は、あらかじめチェックしておきましょう。

7-3. 他の業務支援機能も備わっているか

他の業務支援機能も備わっているかといった点も、給与計算ソフトを選ぶ上で重要なポイントです。

というのも給与計算は勤怠管理や年末調整、マイナンバー管理などにも密接に関わっている業務だからです。単純に給与を計算できるだけでなく、ほかの業務に関する機能も備わっていた方が、さらに業務の効率化が進むでしょう。

たとえば勤怠管理機能が備わっていれば、そのまま勤怠情報を給与計算に活用できるので、他のシステムから勤怠情報を取り込んだり、手入力したりといった手間がかかりません。また年末調整も、給与計算で扱う所得税に過不足がないかどうかを確認するための手続きなので、機能として備わっていた方が、スムーズに進められます。

そのため給与計算ソフトを導入する場合は、他の業務支援機能も備わっているかを確認しておくことをおすすめします。

7-4. 連携できるシステムは多いか

連携できるシステムが充実しているかも、導入前に確認しておきましょう。とくに導入を考えている給与計算ソフトに、6-3で紹介したような他の業務支援機能が備わっていない場合は、他のシステムと連携できる方がより業務効率化につながります。

クラウド型の給与計算ソフトは、たとえほかの業務支援機能が備わっていなくても、同シリーズの業務支援システムや他社のシステムと連携可能な場合が多いです。そのため現在、自社で勤怠管理システムなどをすでに取り入れている場合は、導入を考えている給与計算ソフトと連携できるか確認しておきましょう。

インストール型の給与計算ソフトも、同シリーズの業務支援ソフトと連携できる場合が多いです。もしインストール型の給与計算ソフトの導入を考えている場合は、同シリーズの業務支援ソフトはあるのか、どんな機能なのかをあらかじめ確認しておきましょう。

8. おすすめのインストール型給与計算ソフト2選

この章では、おすすめのインストール型給与計算ソフトを2つ紹介します。

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ソフト名 特徴 無料トライアル期間 コスト(税込み) サポート セキュリティ
弥生給与 給与計算が初心者の場合でも簡単に始められる 1ヵ月

88,000円

ZeeM人事給与 給与計算と人事管理を一元化できる 要問い合わせ 要問い合わせ

両方ともビジネス向けソフトウェアや、クラウドサービスをユーザーレビューを基に比較するサイト「IT review」において、満足度が高い給与計算ソフトベスト5に選ばれています(2022年10月時点)。

以下でそれぞれの給与計算ソフトについて解説しているので、インストール型の給与計算ソフトを選ぶ際はぜひ参考にしてみてください。

8-1. 弥生給与23

弥生給与23は給与計算を行うのが初めての場合でも、簡単に始められる給与計算ソフトです。たとえば業務ごとにフローチャートが表示され、各アイコンにマウスカーソルを重ねると、作業内容の説明が表示されます。

また動画で初期設定や使い方を学べるので、給与計算が初めての場合でもスムーズに業務を進められるのも特徴です。そのほか、以下のようなサービスや機能も役に立つでしょう。

  • 簡単な設定方法:保険料率や控除の設定は、画面に表示される質問に順番に応えていけば簡単に行えます。
  • 年末調整ナビ:年末調整業務の手順をナビゲーションしてくれるので、そのまま流れに沿って進めていけば、抜けや漏れなく正確に年末調整を行えます。また付箋機能も備わっており、各従業員に確認する項目などをメモで残しておけるのも嬉しいポイント。
  • マイナンバー管理:マイナンバー法に沿って業務の手順をナビゲーションしてくれます。アクセス制限や取り扱い履歴も残るため、セキュリティ面も安心です。

また弥生給与23ではクラウド型の給与計算ソフトと同じく、オンライン上から給与の振込申請が可能です。導入費用や基本料金などは一切かからず、振込む際だけ手数料を払うシステムなので、コストも抑えられます。

  • 経理担当者が給与計算や年末調整の経験がない、もしくは経理部署に給与計算や年末調整の未経験者が多い
  • 手厚いサポートが合った方が安心する

といった企業はぜひ検討してみてください。

【基本情報】

機能 給与・賞与計算/各種帳票作成/所得税計算/雇用保険料計算/社会保険料計算/振込申請/年末調整/マイナンバー管理など
サポート
  • 電話やメールで相談
  • マイナンバー制度や労務に関する相談
  • 周辺ソフトウェア・パソコン・ネットワークサポート
  • バージョンアップ製品の無償提供
  • データバックアップ

※サポート内容はプランによって異なる

セキュリティ
  • マイナンバー情報の閲覧権限設定
  • 印鑑証明の照合によるパスワードリセットなど
価格(税込)
  • セルフプラン付き:88,000円
  • ベーシックプラン付き:88,000円
  • トータルプラン付き:129,250円

※各プランによってサポート内容が異なる

※上記は初年度の料金(初年度はサポート無料で次年度から料金が発生)

※サポートが要らない場合は店頭であればソフト単体で購入可能

出典:弥生給与23 TOPページ | 弥生

8-2. ZeeM人事給与

ZeeM人事給与は、給与計算と人事管理を完全統合することにより、更なる業務効率化を実現できるソフトです。7-1で紹介した弥生シリーズのソフトに比べると認知度は低いかもしれませんが、2,000社以上の導入実績があります。

とくに以下のような機能は、より業務効率化を促進させるでしょう。

  • RPAの活用:ロボットがオンライン上で業務を自動で行うRPAを利用できます。たとえば給与の自動計算や給与明細へ保険料の自動転記、人事発令(昇給や異動)に伴う給与の自動計算などが可能です。また利用時間に応じた料金制のため、ムダなコストがかかりません。
  • さまざまな電子申請が可能:健康保険や年金などの申請・届出を行える「e-Gov」、国税に関する手続きが行える「e-Tax」、地方税に関する手続きが行える「eLTAX」から電子申請が可能。各システムではまだ使えない機能もありますが、順次、対応機能を拡大していく予定です。電子申告できる書類が増えれば、ペーパーレス化が進むかつ、窓口で並ぶ手間や時間も削減できます。
  • スムーズな変更手続きが可能:社員が引っ越しした際や結婚した際に、ナビゲーション機能を活用して該当の社員が必要な手続きをスムーズに案内できます。たとえば結婚した場合は、配偶者が被扶養者になるのか、住所の変更はあるか、苗字は変わるのかなどによって、社会保険や雇用保険の変更手続きが必要なケースもあります。ナビゲーション機能があれば、その度に必要な手続きを調べる必要がないので、スムーズに変更手続きが可能です。
  • 給与計算だけでなく人事管理も一元化したい
  • 社会保険の届出や源泉徴収票の提出などをオンライン上で行いたい

といった企業におすすめの給与計算ソフトです。

【基本情報】

機能 給与・賞与計算/各種帳票作成/所得税計算/雇用保険料計算/社会保険料計算/退職金計算/社会保険の届出や源泉徴収票の提出(電子申請)/マイナンバー管理/社員情報管理/スキル管理/休暇管理/社会保険・雇用保険の管理/WEB人事申請(社員情報の変更・財形貯蓄・持株会など)/発令処理など
サポート
  • 電話やメールで相談
  • AIチャットボット
  • オンラインマニュアル
セキュリティ
  • 利用者別の権限設定
  • 操作ログの自動記録など
価格(税込) 要問い合わせ

出典:ZeeM人事給与 TOPページ | 株式会社クレオ

9. おすすめのクラウド型給与計算ソフト3選

この章では、おすすめのクラウド型給与計算ソフトを3つ紹介します。

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ソフト名 特徴 無料トライアル期間 コスト(税込み) サポート セキュリティ
マネーフォワードクラウド給与 経理業務を一括で管理できる 1ヵ月

39,336円

freee人事労務 シンプルなデザインと操作方法 1ヵ月

26,136円+従業員1人あたり(3,960円)

給与奉行クラウド 社労士や税理士にスムーズにデータを共有可能 1ヵ月

72,600円

3つとも、ビジネス向けソフトウェアや、クラウドサービスをユーザーレビューを基に比較するサイト「IT review」が定期開催している「ITreview GridAward 」の2022年秋の部において、給与計算部門で認知度と顧客満足度の高さから選ばれる「Leader」賞を受賞しています。

以下でそれぞれの給与計算ソフトについて解説しているので、クラウド型の給与計算ソフトを選ぶ際はぜひ参考にしてみてください。

9-1. マネーフォワードクラウド給与

マネーフォワードクラウド給与は、会計や経費計算、勤怠システムなどもまとめて含まれている給与計算ソフトです。たとえば会計システムと連携することで、給与計算が完了次第、仕訳帳が自動で作成されます。

勤怠システムと連携すれば、勤怠集計をそのまま給与計算に反映できるので、他のシステムからわざわざ勤怠データを取り込む必要がありません。また以下のような機能も備わっています。

  • 必要最低限の設定で始められる:たとえばそれぞれの従業員の設定をする際は、本人の氏名と生年月日、入社年月日、給与支給形態、支給額の情報、控除額の情報のみ入力すればOK。必要最低限の設定だけで始められるため、調べたり入力したりといった手間を減らせます。
  • 自動計算・判定・取得:法令に沿った設定で各種保険料を自動で計算してくれます。所得税の自動計算及び自動判定も可能で、たとえば通勤手当の課税区分と非課税区分を自動で判定してくれるため、税務の知識に詳しくない場合も安心です。また業種によって異なる雇用保険料率や労災保険料率を自動で取得してくれるため、「この従業員の保険料率は何パーセント?」といちいち調べなくて済みます。
  • 振込申請はワンクリック:全従業員分の給与振込データをワンクリックで銀行に送信できます。そのため銀行まで行って振込申請する手間をなくせるほか、振込手数料も窓口で払う際より安く済みます。

また従業員ごとの進捗管理機能もあるため、ミスやチェック漏れが起きにくい点も嬉しいポイントです。

  • 給与計算機能だけでなく、会計や勤怠管理機能など経理業務を一括で管理したい
  • 必要最低限の設定で始められるなど、導入のハードルが低いソフトを探している

といった企業はぜひ検討してみてください。

【基本情報】

機能 給与・賞与計算/各種帳票作成/所得税計算/雇用保険料計算/社会保険料計算/振込申請など
サポート
  • メール相談
  • チャット相談
  • AIチャットボット
  • オンラインマニュアル
  • オンラインセミナーの定期開催
  • 導入支援サービス(有料)
セキュリティ
  • 権限を持たない従業員は本人専用画面のみの閲覧に限定
  • 退職した従業員のログイン制限
年額料金(税込)

50名以下の法人向け

  • スモールビジネス:39,336円/ユーザー上限3名まで
  • ビジネス:65,736円/ユーザー上限4名まで(追加可能※)

51名以上の法人向け:要問い合わせ

※1名追加するごとに年額3,960円プラス

出典:マネーフォワードクラウド給与 TOPページ | マネーフォワード

9-2. freee人事労務

freee人事労務は給与計算だけでなく勤怠管理や保険の手続き、従業員の管理などを一元管理できるソフトです。シンプルなデザインかつ操作方法も簡単なので、経理担当者だけでなく、従業員も打刻や年末調整の際にスムーズに操作できるのが特徴です。

また以下のような機能も、給与計算業務に役立つでしょう。

  • 入力は1回だけ:給与計算や社会保険、年末調整など、共通で何回も使用する情報は、1回入力するだけでOK。その入力されたデータを元に各作業を行えるので何回も入力する必要がなく、転記ミスがなくなるため、帳簿や書類作成の業務を効率化できます。
  • 自動集計・判定:勤怠管理も行えるので他の勤怠システムからデータを取り込む必要がありません。また登録した情報や就業規則を元に、残業時間の区分を自動で判定できるため、残業代の計算ミスを防げるでしょう。
  • スムーズな年末調整:従業員は画面のステップに沿って入力するだけ。入力内容がそのまま書類に反映されるため、経理担当者も時間をかけて手計算する必要はありません。また進捗状況も確認できたり、従業員にリマインドメールをくれたりと、抜けや漏れを防げます。
  • 勤怠管理や年末調整など、他のシステムと連携する手間を省いて一括で管理したい
  • 経理担当者だけでなく、従業員も簡単に操作・閲覧できるソフトを導入したい

といった企業におすすめの給与計算ソフトです。

【基本情報】

機能 給与・賞与計算/各種帳票作成/所得税計算/雇用保険料計算/社会保険料計算/振込申請/年末調整/入退社手続き/勤怠管理など
サポート
  • メール相談
  • チャット相談
  • 電話相談(プロフェッショナルプラン以上もしくは電話サポートオプションのみ)
  • オンラインマニュアル
  • 解説セミナー
  • 専任担当者による継続サポート(有料)
セキュリティ
  • すべての情報・通信を暗号化
  • クラウドはセキュリティが厳重なAWSを採用
  • 個人情報保護第三者認証プログラムのグローバルスタンダード「TRUSTe」の認証を取得
年額料金(税込) 設立したて・小規模法人向け
  • ミニマム:基本料金26,136円+従業員1人あたり3,960円

5名以上の法人向け

  • ベーシック:基本料金52,536円+従業員1人あたり6,600円
  • プロフェッショナル:基本料金106,656円+従業員1人あたり9,240円

50名以上の法人向け

  • エンタープライズ:要問い合わせ

※年額料金には、従業員3名分の料金が含まれる

出典:freee人事労務 TOPページ | freee

9-3. 給与奉行クラウド

給与奉行クラウドは、社労士や税理士にすぐにデータを共有できる給与計算ソフトです。どのプランにもユーザーライセンス以外に、専門家ライセンスが1つ無償で付属しています。

社労士や税理士にチェックしてもらう際に、エクセルにデータを取り込んだり書類にまとめたりする必要がなく、スムーズに共有できるのが特徴です。また以下のような機能も備わっています。

  • 給与の自動計算:勤怠データを取り込んだ後は、給与と賞与を自動計算してくれます。また役職手当や住宅手当などの固定手当は前月のデータを自動で複写、通勤手当や残業手当、社会保険、所得税の計算も完全に自動で計算できます。
  • スムーズな手続き:複雑な社会保険や労働保険の手続きをスムーズに行うことができます。また届出の必要な書類を自動作成し、そのまま電子申請することも可能。そのためわざわざ年金事務所やハローワークなどに手続きに行く必要がありません。
  • 年末調整の自動計算:保険料や配偶者の情報などを入力するだけで、不足している税額を自動算出できます。従業員へオンラインで申告書の配布や回収、集計データの入力の自動化は、別途で年末調整申告書クラウド(有料)が必要です。
  • 社労士や税理士とすぐにデータを共有できるようにしたい
  • 社会保険や労働保険の手続きをオンライン上で済ませたい

といった企業はぜひチェックしてみてください。

【基本情報】

機能 給与・賞与計算/各種帳票作成/所得税計算/雇用保険料計算/社会保険料計算/振込申請/社会保険・労働保険の手続き/住民税納付/年末調整/マイナンバー管理など
サポート
  • 電話相談
  • FAXでの問い合わせ
  • Webから問い合わせ
  • 遠隔サポート(画面共有)
  • 導入ガイド
  • 導入支援サービス(有料)
セキュリティ
  • すべてのデータを暗号化
  • 「Microsoft Azure」を採用しているため24時間365日運用の監視が可能
  • 財務報告に係る内部統制を対象とした国際認証「SOC1 Type2」報告書を取得
  • セキュリティに係る内部統制を対象とした国際認証「SOC2 Type2」報告書を取得
年額料金(税込)
  • iEシステム:初期費用0円+利用料72,600円/従業員数20名まで
  • iAシステム:初期費用55,000円+利用料118,800円/従業員数50名まで
  • iBシステム:初期費用66,000円+利用料224,400円/従業員数100名まで
  • iSシステム:初期費用77,000円+利用料303,600円/従業員数300名まで
  • iSシステム+社員数拡張:初期費用77,000円+利用料1,227,600円/従業員数1,000名まで

※初期費用は初年度のみ

出典:給与計算システム「給与奉行クラウド」TOPページ | OBC

10. 給与計算ソフトを選ぶ際のQ&A

給与計算ソフトを選ぶ際に、以下のような疑問が浮かぶ人もいるかと思います。

  • クラウド型とインストール型、結局どちらがいいの?
  • 給与計算システムをクラウド化する場合、他のシステムもクラウド化した方がいい?

以下でそれぞれについて解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

10-1. Q.クラウド型とインストール型、結局どちらがいいの?

A.クラウド型もインストール型も、それぞれメリット・デメリットがあるので、一概にどちらが良いとは言えません。しかし他の企業の傾向や近年の社会的背景を考慮するのであれば、クラウド型の給与計算ソフトをおすすめします。

というのもクラウド型の給与計算ソフトを導入している企業は年々増えているからです。まず以下のグラフをご覧ください。

参考:クラウド給与計算ソフトの利用状況調査 | 株式会社MM総研

上記は株式会社MM総研が従業員300人未満の中小企業等4,168社を対象にリサーチした、給与計算ソフトの購入時期別導入形態の統計を元に作成したグラフです。

グラフを見てみると、3年以上前に給与計算ソフトを購入した企業のほとんどはインストール型を選んでいますが、給与計算ソフトを購入して1年経っていない企業の2割以上は、クラウド型を選んでいることが分かります。

元となる統計は2016年時点のものですが、その後の働き方改革の推進や感染症の影響による世の中の変化によって、さらにクラウド型の給与計算ソフトを導入する企業は増えていると推測できます。

たとえばリモートワークや、一部の業務をアウトソーシングして社外の人と一緒に作業する際に、すぐに対応しやすいのはクラウド型のソフトです。よって他の企業の傾向や近年の社会的背景を考慮するのであれば、インストール型よりクラウド型の給与計算ソフトを導入すべきでしょう。

10-2. Q.給与計算システムをクラウド化する場合、他のシステムもクラウド化した方がいい?

A.他のシステムもクラウド化することをおすすめします。というのも社内システムでクラウドサービスを全社的に利用している企業が年々増加しており、実際にクラウドの効果を実感している企業が多いからです。

まずは以下のグラフを見てみましょう。

参考:情報通信白書(令和3年版) 第2部「基本データと政策動向」 | 総務省

上記は総務省が毎年、約2,100~2600社を対象にリサーチした、クラウドサービスの利用状況の統計を元に作成したグラフです。

グラフを見てみると、2016年から2020年にかけて、クラウドサービスの利用率が増加傾向にあることが分かります。また更に細かく見ていくと、社内システムでクラウドサービスを全社的に利用している企業も年々、増えていることが分かります。

以前はオンプレミス型やインストール型のシステムが主流でしたが、時代背景の変化や使い勝手の良さ、固定資産を持つ必要がないなどの理由から、社内システムの大半をクラウド化する企業が多いのではないでしょうか。

また社内システムの多くをクラウド化すれば、社内の部署やチーム関係なく情報共有がスムーズになるほか、運用コストを削減できたりシステム管理の負担を軽減できたりと、社内全体で業務効率化を促進させるでしょう。

実際に総務省が行ったクラウドサービスの効果についてのリサーチでは、「効果があった」と回答した企業の割合は85.5%まで昇りました。(参考:情報通信白書(令和2年版)第2部「基本データと政策動向」| 総務省)

そのためもし給与計算システムをクラウド化する場合は、他のシステムもクラウド化することをおすすめします。

他のシステムのクラウド化を考えている場合はNTT東日本にご相談ください

給与計算システムと同時に他のシステムの導入も検討している場合、

  • 「情報システム担当者が自分しかいないため、通常業務に加え負担が大きい」
  • 「導入後の管理や保守が不安」

などといったお悩みを抱えている人もいるかと思います。

NTT東日本では豊富な実績や資格を持つ技術者が、企業が現在抱えている課題の把握から現在使用しているシステムおよび希望システムのスペックの確認、クラウド化の課題解決までお手伝いいたします。

また弊社にご相談いただければ、以下のようなメリットがあります。

  • ワンストップサポートによって貴社の時間や手間を最小化
  • 見えづらいコストを含むすべてのコストを可視化
  • 監視・保守は24時間365日実施
  • AWS・Azure有資格者のプロが中立的に提案・徹底サポート
  • 150社以上の実績を持つNTT東日本が貴社のビジネス機会を創出
  • 安価かつ高い水準で応えるアセットが豊富なため、さまざまなニーズに対応可能

もし給与計算システムだけでなく他システムのクラウド化も考えている場合は、ぜひ一度、NTT東日本にご相談ください。

11. まとめ

給与計算ソフトとは、従業員の勤怠情報を元に給与計算や年末調整、社会保険や税金の計算など、さまざまな作業を自動化できるITツールのことです。導入すれば給与計算に関連する業務の負担が大幅に減るなど、さまざまな業務効率化につながります。

導入するメリットは以下の通りです。

  • 判断ミスや計算ミスを防げる
  • 人件費を削減できる
  • 税率・社会保険料率や労働基準法の改正、マイナンバー制度に対応できる

特筆すべきデメリットはありませんが、給与計算ソフトの扱いは給与計算に関わる知識をある程度持っておかないと難しい、といった点には注意しましょう。

以下は給与計算ソフトの導入がおすすめな企業の特徴です。

  • 給与計算に数日から1週間かかっている企業
  • 労働基準法違反のリスクを減らしたい企業
  • 情報漏えいのリスクを減らしたい企業

給与計算ソフトを選ぶ際は、まず以下の2種類から選んでください。

  • 横にスクロールします
種類 インストール型 クラウド型
機能性 基本的な給与計算機能だけでなく、勤怠管理やタレントマネジメントなど人事に関わる機能も備わっている場合が多い 基本的な給与計算機能は備わっている
操作性 給与計算に関わる知識があった方が使いやすい 給与計算に関わる知識があった方が使いやすい
デザイン性 クラウドに比べると分かりにくいデザイン 使いやすさを重視したデザイン
費用
  • 初期費用:有料
  • 月額費用:基本は無料だが、オプションによっては月額費用がかかることもある
  • 初期費用:無料の場合が多いが、かかる場合もある
  • 月額費用:有料
ネット環境 必要ないので通信速度の低下やシステム障害の影響は受けない ネット環境が必須なので通信速度の低下やシステム障害の影響を受けやすい
対応デバイス パソコン(Windowsのみ) パソコン・タブレット・スマートフォン
連携 基本は同シリーズソフトのみと連携可能 さまざまなシステムと連携可能
アップグレードの方法 手動 自動

給与計算ソフトを選ぶ際は、以下4つのポイントに気を付けましょう。

  • 複数の雇用形態を登録できるか
  • 自社の勤務形態に対応可能か
  • 他の業務支援機能も備わっているか
  • 連携できるシステムは多いか

以下はインストール型のおすすめ給与計算ソフト2つです。

  • 横にスクロールします
ソフト名 特徴 無料トライアル期間 コスト サポート セキュリティ
弥生給与 給与計算が初心者の場合でも簡単に始められる 1ヵ月
ZeeM人事給与 給与計算と人事管理を一元化できる 要問い合わせ 要問い合わせ

以下はクラウド型のおすすめ給与計算ソフト2つです。

  • 横にスクロールします
ソフト名 特徴 無料トライアル期間 コスト サポート セキュリティ
マネーフォワードクラウド給与 経理業務を一括で管理できる 1ヵ月
freee人事労務 シンプルなデザインと操作方法 1ヵ月
給与奉行クラウド 社労士や税理士にスムーズにデータを共有可能 1ヵ月

メリットやデメリットを理解した上で、給与計算ソフトを自社に取り入れるべきかを判断しましょう。また自社に合った給与計算ソフトを選ぶ際は、コスト面だけでなく機能やサポート体制なども考慮した上で選んでみてください。

※本記事に記載されている会社名、サービス名、商品名は、各社の商標または登録商標です。

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