COLUMN
IT戦略とは?正しい戦略の立て方から失敗しないための注意点まで解説
「IT戦略ってなんですか?」
「IT戦略ってどうやってたてるんですか?」
IT戦略とは、一言でいうと「企業がITを経営にどのように生かしていくのかという戦略・計画」のことです。
中小企業だから、よくわからないからといってIT戦略を関係ないもの、必要ないものだと思っている方もいるかもしれません。
しかしインターネットが当たり前のものになったデジタル時代において、IT戦略は企業が発展するために欠かせないものであり、中小企業であっても正しいIT戦略をたてるべきです。
とはいえ、IT戦略を立てろと言われても、どうしたらいいのかわからず困ってしまうことも多いでしょう。
そこでこの記事では、中小企業でもしっかりとIT戦略を立てられるよう、IT戦略について詳しく解説します。
【この記事を読めばわかること】
- IT戦略とは
- 中小企業にIT戦略が必要な理由
- IT戦略に取り組んだ中小企業の事例
- IT戦略の立て方
- IT戦略を立てる時の注意点
この記事を読み、IT戦略について深く理解することで、自社に合ったIT戦略を立てることができるようになります。
そしてきちんとIT戦略を立てることで、企業をもっと成長させ、事業を成功へと導くことができるのです。
ぜひ最後までお読みください。
目次:
- 1.IT戦略とは?
- 1-1.IT戦略とは「企業がITを経営にどのように生かしていくのかという戦略・計画」のこと
- 1-2.IT戦略とDX戦略との違い
- 2.中小企業にもIT戦略が必要な理由
- 2-1.生産性の向上や業務の効率化に役立つ
- 2-2.スモールスケールで取り入れることが可能
- 2-3.課題のない企業は存在しない
- 3.中小企業でのIT戦略取り組み事例
- 3-1.パターン①生産性の向上を目指した事例
- 3-2.パターン②業務の効率化を目指した事例
- 3-3.パターン③顧客満足度を上げることを目指した事例
- 4.IT戦略の立て方
- 4-1.IT戦略で解決すべき経営課題や営業目標を定める
- 4-2.現状を診断し問題を明確にする
- 4-3.課題とその解決の方向性の検討
- 4-4.実現できるITシステムやITツールの導入検討
- 4-5.ITシステムの導入・運用開始
- 5.IT戦略に用いられる主なITシステムやITツール
- 5-1.業務管理ツール
- 5-2.顧客管理(CRM)ツール
- 5-3.生産管理システム
- 6.IT戦略を立てる時の注意点
- 6-1.IT導入を目的にしない
- 6-2.自社に合わせたスケールで導入する
- 7.IT戦略に迷った時はNTT東日本にご相談ください!
- 7-1.ビジネス課題や業務課題の整理からサポート
- 7-2.お客さまの要望に合わせてAWS・Azureの専門家がNTT東日本のサービスをご提案
- 7-3.日々の運用・保守もサポート
- 8.まとめ
1.IT戦略とは?
IT戦略とは、一言でいうと「企業がITを経営にどのように生かしていくのかという戦略・計画」のことです。
これだけではIT戦略を理解するのは難しいため、この章ではさらに詳しく「IT戦略とはなにか」ということについて解説します。
この章では、
- IT戦略とは
- IT戦略とDX戦略との違い
について詳しく紹介していきます。
1-1.IT戦略とは「企業がITを経営にどのように生かしていくのかという戦略・計画」のこと
IT戦略とは、先ほども述べたように、簡単に言えば「企業がITを経営にどのように活かしていくのかという戦略・計画」のことです。
ITとは、日本語でいうと「情報技術」です。
具体的には次のようなものが挙げられます。
【ITの具体例】
- パソコンやスマートフォンなどの情報端末
- Word、Excel、PowerPointなどのツール
- 企業サイトなどのWebサイト
- SuicaなどのICカード
これらITはすでに私たちの生活の中に当たり前のように存在しており、企業活動を行う上でもはやなくてならないものになっています。
IT戦略とは、すでに当たり前になったIT(情報技術)を、企業がどのように活用していくのかという計画のことです。
企業が現在抱えているさまざまな課題に対して、ITを使い解決し、業務をより効率化して事業を発展させるための計画がIT戦略です。
IT戦略と言うと、大規模なシステム導入をイメージするかもしれません。
しかし、企業活動の中ですでにITは当たり前のものになっており、ITを取り入れる事、導入すること自体は中小企業でもすでに多く行われています。
そんな時、なんとなく思い付きで導入するのではなく、しっかりと問題解決できるよう計画を立てる事がIT戦略です。
IT戦略には、次のような要素があります。
- 中長期的な目線で課題や目標を設定する
- 課題や目標に適したITを導入する
- 導入するための予算や期間を計画する
- 導入するための人員を確保し育成する
- 運用のための情報セキュリティ対策を行い、研修を行う
企業が解決したい課題や目標を定めた上で、それを叶えるためのITシステムやツールを選定し、導入計画を立てた上で、スムーズに導入することができれば、生産性の向上や業務の効率化に繋がります。
中長期的な目線で、ITを導入していくのがIT戦略です。
中小企業であっても、企業にはさまざまな解決したい課題があります。それを解決するための方法としてITを取り入れるのがIT戦略と考えると、身近なものとして考えられるのではないでしょうか。
1-2.IT戦略とDX戦略との違い
IT戦略と似ているのがDX戦略です。
IT戦略とDX戦略の違いは次の通りです。
IT戦略 | DX戦略 | |
---|---|---|
目的 | 既存業務を効率化する | 新しいビジネスモデルを生み出す |
手段 | ITシステムの導入と運用 | ITシステムの構築とデータ活用 |
企業に与える変化 | 仕事の負荷や量が変わる | 仕事の内容・本質が変わる |
DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、直訳すると「デジタル革命」になります。
DXとは、簡単に言うと「デジタル技術を使って、商品・サービス・ビジネスモデルを変革し、市場で勝てる新たな価値を造り出すこと」です。
DX化の具体例としては次のようなものが挙げられます。
- ストリーミング配信サービス
- タクシー配車アプリ
- フリーマーケットアプリ
これらDX化で行われたのは、「デジタル技術を使って新しいビジネス形態を生み出した」ことです。
例えばストリーミングサービスは、今までCDやDVDなどのメディア媒体を購入したり、借りたりして提供していた音楽や映画などのコンテンツを、データとしてインターネット上でやり取りするという新しいビジネス形態を生み出しました。
これに対してIT戦略は、「今企業が抱えている問題をITを使って業務を効率化し、生産性を上げて解決する」ためのものです。
新しいビジネスモデルを生み出すのではなく、今行っているビジネスをよりよいものにしていくための戦略がIT戦略なのです。
DXについて詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
2.中小企業にもIT戦略が必要な理由
IT戦略について理解できたものの、IT戦略なんて大企業のためのものと考えてしまう方もいるかもしれませんが、実はそれは間違いです。
中小企業であっても、事業を成功させたいと思うのなら、IT戦略を立てることはとても大切です。
中小企業にもIT戦略が必要な理由は次の3つです。
それぞれ詳しくみていきましょう。
2-1.生産性の向上や業務の効率化に役立つ
中小企業にもIT戦略が必要な理由の1つめは、「生産性の向上や業務の効率化に役立つ」からです。
人手不足に悩まされることの多い中小企業にとって、生産性の向上や業務の効率化は必須です。
IT戦略をきちんと立てて遂行することは、生産性の向上や業務の効率化に繋がります。
2018年度版中小企業白書・小規模企業概要の調査結果によれば、「IT導入度が高い方が、直近3年間の経常利益額は増加傾向にある」という結果が出ています。
同じ調査では、「IT導入度が高い方が、直近3年間の売上高は増加傾向にある」という結果も出ており、利益も売上もIT導入によって上げられる可能性が高いという結果になっているのです。
業務の効率化という面でも、例えば会計業務の場合、クラウド型会計ソフトの導入の効果として、導入している企業の78.8%が「経理・会計業務にかかる業務時間の削減」の効果を得られたと回答しているという結果が出ています。
このようなデータをまとめた総務省の「ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」(平成30年)によれば、ICT(IT)による労働生産性の上昇効果は、業務の省力化で1.1倍、業務プロセスの効率化で2.2倍、既存製品やサービスの高価値化や新規製品やサービスの展開は4.0倍という計算もあるのです。
出典:ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」(平成30年)
このように、IT戦略を立て、きちんとITを導入することは中小企業にとって生産性を向上させ、業務を効率化させるためにとても効果的なものとなるのです。
2-2.スモールスケールで取り入れることが可能
中小企業にもIT戦略が必要な理由の2つめは、スモールスケールで取り入れることが可能だという点です。
IT戦略というと大規模なシステム導入をイメージしがちですが、「企業が抱える課題をITツールを活用して解決する」という点で考えれば、小規模なものでもIT戦略となります。
例えば、
- テレワークができるようWeb会議システムを導入する
- クラウドストレージを導入して書類をクラウド上に保管する
- スケジュール共有がしやすいようカレンダーアプリを利用する
といったこともIT戦略として挙げられます。
例えばWeb会議システムなら、小規模なオフィスで短時間なら無料で利用することも可能ですし、クラウドストレージサービスなら、月額利用料が数千円のものもあります。
このように予算が少なくとも利用できるITツールは数多くあり、会社規模に合わせてIT戦略をスモールスケールで取り入れることが可能なのです。
大切なのは、「企業の課題をピックアップし精査する」「それを解決できるITツールを検討する」という点です。
IT戦略は中小企業でもスモールスケールで取り入れていくことが可能ですから、まずは自社の課題を見つめなおすことから始めてみるのがおすすめです。
2-3.課題のない企業は存在しない
中小企業にもIT戦略が必要な理由の3つめは、「課題のない企業は存在しない」からです。
大企業はもちろん、中小企業であっても、
- 業務をもっと効率的にしたい
- 顧客の満足度を上げたい
- 売上をさらにアップしたい
- コストを削減したい
といった課題を必ず抱えています。
IT戦略は、これら企業の抱える課題を「ITを使って」解決できないか検討し、解決が可能であれば予算に合わせてITを効率的に導入するための計画です。
課題に合わせて解決法を検討し、探っていく計画を立てる事は、企業規模を問わず、事業発展のためにとても重要です。
中小企業でも、現在の企業活動に課題があれば、それを解決しよりよいものにしていかなくては、企業を成長させ、事業を成功させることは出来ません。
その点でIT戦略は中小企業でも必要なものなのです。
経理・会計の業務に係る業務時間が減り、業務が効率化されることで、他の仕事にかけられる時間が増えるのも大きなメリットです。
このように、IT戦略をきちんと立て、自社に合ったITシステムやツールを導入することは、中小企業にとって生産性の向上や業務の効率化をもたらすという大きなメリットがあるものなのです。
3.中小企業でのIT戦略取り組み事例
IT戦略が中小企業でも有効であることを理解するために、中小企業でIT戦略が活用されている取り組み事例を紹介します。
いくつかのパターンに分けて、それに合わせた事例を紹介していきますので、自社の状況や課題に合った事例を参考にしてみてください。
3-1.パターン①生産性の向上を目指した事例
業種 | 製造業(板金加工業) |
---|---|
会社規模 | 中小企業(従業員数12名) |
課題 |
短期間に大量の種類の発注がFAXで届き、工場への加工指示に時間がかかる 納品書と現物を照らし合わせる納品作業に時間がかかる |
取り入れたITツール |
生産管理システム 写真データベース |
効果 |
生産管理システムの導入で工場への指示がスムーズになり生産性がアップ 納品にかかる時間も大幅に短縮できた |
板金加工業を行うA社では、FAXで部品の発注を受注していました。
得意先は大型機械の製造を主としており、一度発注がくると多い場合に1台あたり200個の板金加工の発注がありました。また同時に同じ機械のために10台分の発注が来る場合もあり、2000個の板金加工を短期間で行わなくてはならない状態でした。
数が多いため、工場への加工指示に時間がかかること、また納品時に、納品書と現物をひとつひとつ照らし合わせて確認するため、出荷作業にも大幅な時間がかかっているのが課題でした。
そこで、IT戦略を立て、クラウド型EDI生産管理システムと写真データベースを導入したのです。
生産管理システムの導入で工場への指示がスムーズになり、作業効率が大幅にアップ、納品作業に係る時間も短縮でき、大幅に生産性がアップしました。
3-2.パターン②業務の効率化を目指した事例
業種 | 運輸業 |
---|---|
会社規模 | 中小企業(従業員数16名) |
課題 |
Excelでの請求書作成業務に時間がかかる 勤務管理のために一度本社に寄る必要があり無駄な時間がある |
取り入れたITツール |
請求管理クラウドシステム クラウド出退勤管理 |
効果 |
請求管理クラウドシステムの導入で請求書作成の負担が大幅に削減 クラウド出退勤管理で直行直帰が可能になり作業効率アップ |
運輸業を行うB社では、請求書の作成を社長自らExcelで行っていました。
80件ほどある取引先への請求書をExcelで作成するには時間がかかり、時には夜中まで作業をすることもありましたが、Excelシートの作成などを社長が行ったため、業務が属人化してしまい、他の社員に任せることが出来ない状態でした。
そこで請求管理クラウドシステムを導入、取引ごとに現場で担当者がシステムに入力していけば請求書が自動で作成できるようになりました。
請求書の作成の負担が大幅に削減され、メールで送付することも出来るため請求業務が効率的に行えるようになりました。
また、現場で働く社員は出退勤管理のために一度本社に出勤してからその日の現場に行く必要がありましたが、クラウド出退勤管理を導入し、直行直帰を可能にしました。
スマホでアプリを開き、出退勤を入力するだけでよいため、現場での作業時間が増え、作業効率がアップし、業務がより効率的になりました。
事務作業もアプリで入力されたデータを集計できる為、社員の出退勤管理に係る事務作業の時間を大幅に削減出来ました。
3-3.パターン③顧客満足度を上げることを目指した事例
業種 | 不動産仲介業 |
---|---|
会社規模 | 中小企業(従業員数11名) |
課題 |
ホームページに掲載する物件情報が少なくアピールができない ホームページの閲覧数を増やしたい |
取り入れたITツール |
不動産業向け販売支援システム ホームページの内容を充実 |
効果 |
物件情報を充実させることで顧客へのアピール力アップ ホームページの内容を充実させて閲覧数が上がった |
新築・中古住宅の売買仲介に特化しているB社では、多くの人に物件を見つけてもらえるよう、自社ホームページの充実が課題だと考えていました。
ホームページはあるものの、その時使っていた不動産業向け販売支援システムで作成していると、物件写真が2枚しかアップできず、物件の詳細がわかりにくいのが課題でした。
そこで、顧客満足度をあげてホームページ閲覧数を増やすためのIT戦略を立て、新しい販売支援システムを導入しました。
新しいシステムでは、物件の画像を20枚ほどアップでき、物件の内観、外観、間取り図、周辺環境についてもわかりやすくアピールすることができるようになりました。
同時にホームページの内容を充実させることにも着手、物件情報だけでなく、住宅ローンの毎月の支払額のシミュレーションも簡単にできるようにしています。
また週に一度のペースで、季節などに合わせた物件情報を日記形式でアップする、社員紹介を行うなどのページも作成し、より閲覧数を上げることができました。
4.IT戦略の立て方
IT戦略の必要性を理解し、自社でもIT戦略を立ててみようと思ったとき、具体的にどのようにIT戦略を立てていけばいいのでしょうか?
IT戦略を立てるには、次のように進めていくのがおすすめです。
それぞれ詳しくみていきましょう。
4-1.IT戦略で解決すべき経営課題や営業目標を定める
IT戦略を立てる時、まず最初に行うのが、IT戦略で解決すべき経営課題や営業目標を定めるということです。
IT戦略とは、企業が抱える課題や目標をITツールを活用して解決するための計画です。
ですから、まず第一に
- どんな課題があるのか
- どんな目標を達成したいのか
という点を明確にしておかなければ、計画を立てることができません。
課題や目標を定める場合は、現場の意見を取り入れておくことが大切です。
まずは現場の社員に、日々の仕事の中で感じている問題意識をヒアリングしていきましょう。
現場の声をヒアリングするには、次のような方法があります。
- アンケートを行う
- 個別でヒアリングを行う
ここでできるだけ多くの社員からヒアリングを行うことで、課題が見えてくるため、なるべく多くの社員の声を聞くようにしましょう。
また、この時現在のITシステムに対する意見や問題を集めるのではなく、ITに関係ない現場での問題を聞くようにすることも大切です。
なぜなら、ITシステムに対する問題だけを集めてしまうと、現在使用しているシステムの問題点だけが挙げられ、根本的な仕事の効率化に繋がらない場合があるからです。
ITシステムは関係なく、現場で働いている時に感じる問題点、課題を教えてもらうようにしましょう。
現場の声をヒアリングしたら、それを分析し、問題や課題を明確にしていきます。
共通する問題点などを集めて、分類していきましょう。
4-2.現状を診断し問題を明確にする
現場の声をヒアリングし、ある程度分類することができたら、現状をさらに詳しく診断して問題とその原因を明確にしていきます。
例えば「月末は事務作業の負担が大きく残業が増える」という課題に対して、なぜ事務作業が増えるのかという原因を探ります。
原因を見ていくと、請求書の作成に時間がかかっていることがわかりました。
問題と原因が明確になることで、解決するにはどうすればいいのかが見えてきます。
4-3.課題とその解決の方向性の検討
解決すべき課題とその原因が明確になったら、どのように解決するのかという方向性を検討します。
例えば先ほどの例で考えると、「月末に事務作業が増えて残業が増える」といった課題に対して、「請求書作成の負担を減らす」以外にも、月末に行う請求書作成以外の事務作業に無駄がないのか、削減できるものがないのかなどを検討します。
ひとつの課題に対して、解決できる方法はないのか、無駄な作業が行われていないかなどを確認していくことで、本当に必要な解決策だけを導入することができるのです。
4-4.実現できるITシステムやITツールの導入検討
課題と解決の方向性が決まったら、それを実現できるITシステムやITツールを検討します。
先ほどの「月末に事務作業が増えて残業が増える」という課題の場合であれば、請求書の作成の負担を減らすことができるITシステムやITツールを探していきます。
ITシステムやITツールを検討する際は、まずはインターネットで必要なツールの種類を検索し、比較検討して選んでいきましょう。
中小企業におすすめなのは、導入コストが安いクラウド型のITシステムやITツールです。
使い勝手や機能はそれぞれ異なりますから、まずは公式サイトから問い合わせを行い、無料でお試しを行うのがよいでしょう。
お試し期間では、実際にシステムを使う社員に使ってもらい、使い勝手などをヒアリングします。
実際に使う社員の声を聞いたうえで、利用するシステムやツールを決定しましょう。
IT戦略で用いられる主なITシステムやITツールについては次の章で紹介しますので参考にしてください。
4-5.ITシステムの導入・運用開始
いくつかのITシステムやITツールを見積もりし、試した後に自社に導入するものを選んだら、いよいよ導入・運用を開始します。
導入前にはスケジュールを立て、使う社員に対して研修を行い、使い方などを覚えてもらう時間をとることも大切です。
運用開始後は、担当部署にヒアリングを行い、導入したシステムやツールの効果などを確認しておきましょう。
5.IT戦略に用いられる主なITシステムやITツール
IT戦略の立て方はわかったけれど、実際にどのようなITシステムやツールを利用すると良いのかイメージが湧かない、という方のために、この章ではIT戦略に用いられることの多い主なITツールやITシステムについて紹介していきます。
ツールの種類 | 主な目的 |
---|---|
業務管理ツール | 個人やプロジェクトの業務内容や進捗状況をわかりやすく可視化し、管理する |
顧客管理(CRM)ツール | 顧客に関する情報を一カ所に集約し、顧客との関係性を維持、向上させる |
生産管理システム | 製造業において生産管理業務を効率化する |
ITツールやITシステム選びの際に参考にしてみてください。
5-1.業務管理ツール
主な目的 | 個人やプロジェクトの業務内容や進捗状況をわかりやすく可視化し、管理する |
---|---|
主な機能 | スケジュール管理・経費精算・ガントチャート機能・チャット機能など |
おすすめのケース |
プロジェクトのスケジュール管理をスムーズにしたい 外部のスタッフも含めて業務の進捗状況をわかりやすくしたい |
サービス具体例 | サイボウスOffice、Backlog、Trello |
- サイボウスOfficeは、サイボウズ株式会社の商標です。
- Backlogは、株式会社ヌーラボの商標です。
- Trelloは、Atlassian, Inc.の商標です。
業務管理ツールとは、個人やプロジェクトの業務内容や進捗状況をわかりやすく可視化し、管理するためのツールです。
スケジュール管理や経費精算などを行ったり、プロジェクト管理を行ったりするなど、さまざまな業務の管理を行うことができます。
主な機能として、今日行わなくてはならない業務をチェックできるTODO機能、業務の行程を全体スケジュールに照らし合わせながら確認できるガントチャート機能などがあります。
またプロジェクトのチーム内でのコミュニケーションに役立つチャット機能や、情報共有ができる掲示板機能などがついているものもあります。
業務管理ツールには、業界特化型のものもあり、建築業向け、旅館・ホテル向けなどさまざまなものがありますので、自社に合ったものを選びましょう。
5-2.顧客管理(CRM)ツール
主な目的 | 顧客に関する情報を一カ所に集約し、顧客との関係性を維持、向上させる |
---|---|
主な機能 | 名刺管理・メール配信機能・取引内容記録機能・データ分析機能など |
おすすめのケース |
顧客の情報を一元管理して情報を共有したい 営業活動やマーケティングを効率的に行いたい |
サービス具体例 | kintone、Sansan、Fullfree |
- kintoneは、サイボウズ株式会社の商標です。
- Sansanは、Sansan株式会社の商標です。
- Fullfreeは、株式会社フリースタイルの商標です。
顧客管理(CRM)ツールとは、顧客に関する情報を一カ所に集約し、顧客との関係性を維持、向上させるためのツールです。
顧客の基本情報や取引の商談日時などを記入し共有することや、メールで顧客に情報を配信する機能、問い合わせ内容を保存・蓄積して管理する機能があります。
また、蓄積したデータを分析し、成約率の高いアプローチ法や既存顧客の購買傾向などを分析し、経営に役立てることも可能です。
クラウド型名刺管理ツールや顧客管理ツールなどがあります。
5-3.生産管理システム
主な目的 | 製造業において生産管理業務を効率化する |
---|---|
主な機能 | 生産計画機能・管理機能・仕入管理機能・在庫管理機能など |
おすすめのケース |
発注された製品の納期や工程を管理し生産管理を効率化したい 在庫管理や原価計算を正確にして利益率を上げたい |
サービス具体例 | rBOM、WorkGear、TECHS-BK |
- rBOMは、株式会社IT Worldの商標です。
- WorkGearは、モリックス株式会社の商標です。
- TECHS-BKは、 株式会社テクノアの商標です。
生産管理システムとは、製造業において生産管理業務を効率化するためのシステムです。
- 計画
- 生産
- 販売
- 在庫
- 原価計算
- 品質
を管理し、受注した仕事を生産するための計画から、材料調達、製造、出荷納品までの業務をスムーズに行えるようにすることができます。
納期や品質をしっかりと管理し、在庫を把握しやすくすることで、生産性を向上することが可能です。
6.IT戦略を立てる時の注意点
せっかくIT戦略を立てたものの、使いにくかったり結局問題が解決できなかったり、といった失敗をしてしまうことがあります。
IT戦略を失敗しないためには、次の注意点に気を付けることが大切です。
それぞれ詳しくみていきましょう。
6-1.IT導入を目的にしない
IT戦略を失敗させないために注意したい1つめのポイントは、「IT導入を目的にしない」ということです。
IT戦略は、あくまで企業が抱える問題や課題を解決するために、ITを活用するための計画です。
しかし、目的と手段が逆になり、とにかくITを導入しよう!ITさえ導入すればなんとかなる!としてしまうことがあります。
これでは、本当に必要なITシステムやITツールを選ぶことができず、企業の課題解決にはつながりません。
これを防ぐには、「4-1.IT戦略で解決すべき経営課題や営業目標を定める」で紹介したように、今現場で抱えている問題や課題をしっかりと見極め、整理しておく必要があります。
まずは自社が抱えている課題や問題をしっかりと見極め、どうすれば解決できるのかを考えた上で、それに合わせたITシステムやツールを選ぶという手順を行いましょう。
6-2.自社に合わせたスケールで導入する
IT戦略で注意したいポイントの2つめは、自社の規模や予算に合わせたスケールで導入する戦略を立てるということです。
IT戦略を立てているうちに、あれもこれもと機能を求め、オーバースペックのシステムやツールを選んでしまうことがあります。
機能が増えればそれだけコストも高くなり、費用対効果を考えると無駄が出てしまうのです。
これを防ぐためには、まずは自社の規模や課題をしっかりと見極めたうえで、必要な機能だけを選んで導入することです。
例えばクラウドサービスを利用するなら、まずは利用人数や機能を制限したもので導入し、必要に応じて利用人数や機能を増やすなどして、自社に合わせたスケールでの導入をしていきましょう。
7.IT戦略に迷った時はNTT東日本にご相談ください!
「IT戦略の必要性はわかったけれど、自社の担当者だけで遂行できるかが不安」
「IT戦略で問題は明確になったけれど、それに合うシステムやツールがわからない」
IT戦略で自社の解決すべき課題は決まったけれど、どのようなツールが適しているかわからないといった方には、NTT東日本のクラウド導入・運用 for AWS / Microsoft Azureにご相談ください。
NTT東日本のクラウド導入・運用 for AWS / Microsoft Azureは、次のような特徴があるサービスです。
①ビジネス課題や業務課題の整理からサポート
②お客さまの要望に合わせてAWS・Azureの専門家がNTT東日本のサービスをご提案
③日々の運用・保守もサポート
それぞれ詳しくご紹介します。
7-1.ビジネス課題や業務課題の整理からサポート
NTT東日本のクラウド導入・運用 for AWS / Microsoft Azureでは、IT戦略で最初に行うべきビジネス課題や業務課題の整理からサポートいたします。
IT戦略で最も大切なのは、ITを使って「どんな課題を解決するか」という点です。
この課題設定をきちんと行っておかなければ、自社に合ったITシステムやITツールを導入することはできません。
NTT東日本では、初回相談でビジネス課題や業務課題の整理のご支援を行います。
きちんとビジネス課題や業務課題を整理することで、より明確で有効なIT戦略を立てることが可能です。
課題整理からしっかり支援できるのは、中小企業を数多くサポートしてきたNTT東日本ならではの強みです。
7-2.お客さまの要望に合わせてAWS・Azureの専門家がNTT東日本のサービスをご提案
NTT東日本のクラウド導入・運用 for AWS / Microsoft Azureでは、AWSとMicrosoft Azureの専門家がお客さまの要望を丁寧にヒアリングし、そのうえでご要望にあったNTT東日本のサービスをご提案いたします。
「解決すべき課題はIT戦略で見えてきたものの、どんなツールが合うのかわからない」
そんなお悩みをお持ちの方に対して、
- システムの現状
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- 予算
- 導入希望スケジュール
などをお伺いした上で、それに合わせたNTT東日本のサービスをご提案させていただきます。
ご相談は無料、オンラインまたは対面でご要望をお伺いいたします。
7-3.日々の運用・保守もサポート
IT戦略でシステムやツールを導入しても、日々の運用や保守を行う担当者が不足してしまいそう、という中小企業の方にも安心していただけるのが、NTT東日本のクラウド導入・運用 for AWS / Microsoft Azureが行っている、運用・保守のサポートです。
NTT東日本のクラウド導入・運用 for AWS / Microsoft Azureでは、24時間365日の監視・保守対応を行っています。
定期的にセキュリティパッチを適応する、障害が起きた時は24時間対応する、といった安心の運用・保守サポートで、システム担当者が不足している中小企業のサポートを行っております。
IT戦略で不安がある方は、ぜひ一度NTT東日本にご相談ください。
8.まとめ
IT戦略についてご紹介しました。
IT戦略とは、企業がITを経営にどのように活用していくのかという戦略・計画のことです。
具体的には次のようなものがIT戦略の例として挙げられます。
【IT戦略の具体例】
- 今まで手書きで行っていた業務日報をクラウドサービスを使って自動でできるようにする
- FAXで行っていた発注業務をパソコンやタブレットを使ってオンライン上でできるようにする
- 電話のみで受け付けていたお客さま相談室の業務をメールやLINEでも受け付けるようにする
IT戦略は、次の3つの理由で中小企業であっても必要なものです。
IT戦略を立てることで、より業務を効率化し、事業を発展させることに繋がります。
ぜひIT戦略を活用し、事業を発展させるために役立ててみてください。
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