COLUMN
ICT活用とは何か?6つの中小企業事例・メリット・導入方法を解説
ICT活用の中でもNTT東日本のクラウド導入事例を8選集めました。ぜひダウンロードしてご活用ください。
「ICT活用ってどんなもの?」
「ICT活用でどんなことができるの?」
ICT活用とは、簡単に言うと、インターネットやパソコン・スマートフォンなどの情報伝達技術を使ってコミュニケーションできる技術を活用するということです。
例えばインターネットを通じて人とコミュニケーションをとることができるSNSを使うこと、Web会議のアプリを使って実際に集まるのではなく、オンライン会議を行うことも、ICT活用の事例のひとつです。
ICT活用と聞くと、大それたもの、中小企業には難しいものと思うかもしれませんが、インターネットを活用することはすでに当たり前のこととなっており、中小企業であってもICT活用を避けたままではいられません。
それを知らず、「うちの会社には関係なさそう」だからと導入しないままにしてしまえば、取引先とのコミュニケーションがうまく進められなくなってしまったり、社員の仕事がしにくくなったりと、企業として事業を発展させることが難しくなります。
そこでこの記事では、ICT活用について詳しく解説します。
この記事を読めば、
- ICT活用とはなにか
- ICTの活用事例
- 企業がICT活用をするメリット
- 企業がICT活用をするデメリット
- ICT活用を企業で導入するステップ
- ICT活用を始める時の注意点
がわかります。
この記事を読み、ICT活用について深く理解することで、自社に最適なICTの活用法がわかります。そして適切なICT活用を取り入れることで、よりビジネスを活性化し、スムーズに進めていくことができるのです。
ぜひ最後までお読みください。
目次:
- 1.ICT活用とは
- 1-1.ICTとは「Information and Communication Technology(情報通信技術)」
- 1-2.ICTとIT、IOTとの違い
- 1-3.ICT活用が重要な理由
- 2.ICTの活用事例
- 2-1.製造業でのICT活用事例
- 2-2.農業でのICT活用事例
- 2-3.建築業でのICT活用事例
- 2-4.医療・介護でのICT活用事例
- 2-5.運輸業でのICT活用事例
- 2-6.飲食・サービス業でのICT活用事例
- 3.企業がICT活用するメリット
- 3-1.業務の効率化ができる
- 3-2.生産性を上げることができる
- 3-3.多様な働き方を実現できる
- 3-4.コミュニケーションを取りやすくなる
- 3-5.サービスの質を向上させることができる
- 4.ICT活用のデメリット
- 4-1.ICTを使いこなせない層への対応が必要となる
- 4-2.セキュリティリスクが高くなる
- 4-3.導入コストがかかる
- 5.ICT活用は中小企業であっても事業拡大に必要不可欠
- 5-1.ICT活用が中小企業の抱える課題の解決に繋がる
- 5-2.中小企業向けの低コストなICTツールやICT導入補助金もある
- 6.ICT活用を企業で導入するステップ
- 6-1.ICT導入計画を立てる
- 6-2.業務フローを見直す
- 6-3.ICT導入後の実施体制を考える
- 6-4.社員への説明・研修を行う
- 6-5.導入後にICT活用について検証する
- 7.ICT活用を始める時の注意点
- 7-1.社内でのICT活用スキルを均一化する
- 7-2.ICT化が目的にならないようにする
- 7-3.現場で働く社員の声を大切にする
- 8.ICT活用にお困りの方はNTT東日本のクラウド導入・運用サービスをご利用ください
- 9.まとめ
1.ICT活用とは
ICT活用とは、簡単にいうとインターネットやパソコン・スマートフォンなどの情報伝達技術を使ってコミュニケーションできる技術を活用するということです。
ICT活用を自社で取り入れていくには、まずはICTについてどんなものなのか、ICTと似ているITやIOTとの違いについてきちんと理解していかなくてはなりません。
そこでこの章では、
- ICTとはなにか
- ICTとIT、IOTとの違い
- ICT活用が推進される理由
について紹介します。
1-1.ICTとは「Information and Communication Technology(情報通信技術)」
ICTとは、「Information and Communication Technology」を略した言葉で、日本語にすると「情報通信技術」です。
身近な例を挙げてみると、
- スマートフォンのメール機能で同僚にメールを送る
- SNSに自分の撮った写真をアップして他の人に見てもらう
- Web会議のアプリを使ってオンライン会議を行う
といったものがICTになります。
インターネットの普及により、文章のやりとりや画像のやり取りなどを気軽に行うことができるようになりました。
ICTはインターネットを通じて、より気軽に多くの人とコミュニケーションするための技術なのです。
1-2.ICTとIT、IOTとの違い
ICTと似た概念として使われている、ITとIOTとの違いは次の通りです。
ICT | IT | IOT | |
---|---|---|---|
正式名称 | Information and Communication Technology | Information Technology | Internet of Things |
日本語 | 情報伝達技術 | 情報技術 | モノのインターネット |
意味 | 情報伝達技術を活用し人やモノが繋がっていくこと | 情報伝達技術そのもの | 家電など「モノ」が人を介さずにインターネットに接続すること |
ITは「Information Technology」を略した言葉で、日本語にすると情報技術です。
ICTとほぼ同じ意味ですが、ITは情報を伝達する技術そのものを指す意味合いが強いのに対し、ICTは情報技術を使って情報を共有する「コミュニケーション」がより強調されます。
ITの方が広い概念となるため、ICTという言葉で説明されることは、ITと言い換えても意味が通ります。
IOTは「Internet of Things」の略語で、日本語にすると「モノのインターネット」です。
パソコンやスマートフォンなどの情報伝達機器でない、エアコンやテレビなどの家電がインターネットに繋がり、モノが相互通信し、遠隔からも操作などができることを指します。
住宅、車、家電などさまざまな「モノ」に通信機能を持たせることで、自動認識や自動制御、自動測定などができるようになります。
1-3.ICT活用が重要な理由
ICT活用が重要な理由は、ICTを活用することで、労働生産性を高めてより事業を発展させることができるからです。
総務省の通信利用動向調査によれば、
- クラウドサービスを利用している事業者のほうが、利用していない事業者と比較して労働生産性が高い
- テレワークを利用している事業者のほうが、利用していない事業者と比較して労働生産性が高い
というデータが出ています。
図表1-2-1-7 クラウドサービスの利用と労働生産性の関係(推移)
上記の図は、総務省の通信利用動向調査の調査結果ですが、平成22年から令和2年まで一貫して、クラウドを利用している企業の方がクラウドを利用していない企業よりも労働生産性が高いという結果になっています。
図表1-2-1-8 テレワークの導入と労働生産性の関係(推移)
こちらの図は、テレワーク導入済みの企業とテレワーク未導入の企業を比較していますが、こちらも同じく平成23年から令和2年まで、テレワーク導入済み企業の方が労働生産性が高いという結果が出ているのです。
こちらの2つのデータからも、ICT活用は企業が事業を発展させる上で欠かせないものであることがわかります。
日本ではすでに7割以上の企業がICTを導入しています。しかしアメリカやイギリスなどと比較すると、これはまだ低い数字です。
今後は、ますますICT活用が求められる社会となっていきます。
ICTを活用することは事業を発展させ、生産性を高めるためには中小企業であっても必要なのです。
2.ICTの活用事例
ICT活用とは、「インターネットを通じて人とコミュニケーションをとる技術を活用すること」であることを解説しましたが、よりICT活用について理解するために、中小企業でのICTの具体的な活用例をみていきましょう。
この章では、ICTを活用し、事業を発展させているさまざまな業種の中小企業の事例をご紹介します。
- 製造業
- 農業
- 建築業
- 医療・介護業
- 運輸業
- 飲食・サービス業
の事例をそれぞれ紹介していきますので、自社に近い事例から、活用方法や改善できる点を学んでいきましょう。
2-1.製造業でのICT活用事例
業種 | 製造業(プラスチック製品製造) |
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事業規模 | 中小企業 |
導入した内容 |
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効果 |
|
出典:FAX受信の自動PDF化&クラウド化により本格テレワーク可能体制へ 信越工業(新潟県)
プラスチック加工を行う信越工業株式会社では、取引先からの注文をFAXで受け付けていましたが、FAXで受信した朱蒙用紙を複合機でスキャンし、PDF化して保存していました。
この業務をさらに効率化できないかと考え、取り入れたのがFAXで送られてきたデータをプリントせず、自動でPDF化し、クラウド上にアップするICT活用法です。
これにより、受信したFAX用紙をスキャンし、データをアップする手間を削減し、業務を効率化することができました。
また、自動でクラウド上にアップされることで、送られてきたFAXに気付かず、受注に対応するのが送れてしまうことを防ぐこともできます。
事務所での作業が減ったことで、テレワークをしやすい環境を整えることも出来ました。
また、外回り中の営業担当者や工場の製造担当者がクラウド上の注文票を共有し、すぐに確認できることで、より効率的な営業活動や生産管理の助けにもなっています。
2-2.農業でのICT活用事例
業種 | 農業(ワイン用ブドウの栽培) |
---|---|
事業規模 | 高齢化が進む農村 |
導入した内容 |
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効果 |
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出典:醸造用ブドウの品質向上にスマート農業を活かす「信州ワインバレー構想」〜長野県高山村の例
ワイン醸造用のブドウを栽培している長野県高山村では、ICT活用した「スマート農業」を進めています。
例えばブドウ農園にはセンサーがあり、ブドウ畑の気温・湿度・日射量・葉の濡れ具合を自動で記録しています。
記録したデータをAIが国や都道府県の農業試験場での栽培データと照らし合わせることで、ブドウに起こる「べど病」などの病気の発生の可能性を導き出してアラートを送るため、病気が発生する前に殺菌剤などを撒いて病気を予防することができるのです。
また収穫に適した時期などを導き出すことも出来るため、あらかじめ収穫のための人手を確保しておくなど、計画的に農作業を行うことも可能となりました。
またクラウド型農業生産管理ツールも導入しており、農地ごとの作業を記録しています。
マネージャーがあらかじめどの農地で誰がどの作業をするかを入力しておくことで、スタッフはスマートフォンを見て無駄なく作業を進めることが可能です。
2-3.建築業でのICT活用事例
業種 | 建設業(注文住宅の建築会社) |
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事業規模 | 中小企業 |
導入した内容 |
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効果 |
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出典:正直に王道を行くために不可欠なICT はなおか(徳島県)
注文住宅の建築を行う株式会社はなおかでは、それまで電話やFAX、紙ベースで行っていた現場の管理のために施工管理アプリケーションを導入しました。
常時80から90の現場が同時進行しており、それぞれの現場や協力会社との連絡を電話やFAXを使って行っていたため、社員の負担が大きく、伝達ミスによるトラブルもありました。
そこでICT活用を行い、現場の管理を施工管理アプリケーションによって行うことにしたのです。
現場の図面や写真の管理、報告書や工程表の作成がアプリで行えるようになり、事務所での作業が減り、社員の負担を減らすことができました。
また、チャット機能を使って協力会社とコミュニケーションをとることが可能なため、伝達ミスなども減りました。
2-4.医療・介護でのICT活用事例
業種 | 介護業(特別養護老人ホーム運営) |
---|---|
事業規模 | 中小企業 |
導入した内容 |
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効果 |
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出典:ICT活用で介護現場に与えられるメリットとは?【実際の8事例を元に解説】
特別養護老人ホームを運営するみちのく荘では、介護記録ツール、見守りセンサー、勤務シフト自動作成システムを導入するなどのICT活用を進めています。
介護業は深刻な人手不足となっており、それを補いつつ高品質の介護を実現するため、業務の効率化を図ることが必要です。
みちのく荘では、モバイル端末(タブレット)を使って介護記録を入出力できるため、入居者とコミュニケーションをとりながらいつでもどこでも事務作業を進めることが可能です。
また文字だけでなく画像も手軽に記録することができ、他のスタッフとの情報共有もスムーズに行えます。
またベッド近くに予測型見守りセンサーを設置しています。
赤外線センサーで利用者の動きを見守り、転倒や転落などの危険が予測された時はスタッフの持つモバイル端末に通知が送られるため、迅速かつ無駄のない見守りと安全確保ができるようになりました。
スタッフのシフトは自動作成システムを導入し、シフト作成者の負担を大幅に軽減、また希望休の書き写しミスなども減り、公平で効率的なシフトを実現しています。
2-5.運輸業でのICT活用事例
業種 | 運輸業(軽貨物の運輸業) |
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事業規模 | 中小企業 |
導入した内容 |
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効果 |
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出典:運輸業向け日報請求管理システムとWeb配車システムを連携させ、業務管理の生産性が大幅にアップ
軽貨物の運輸を主に行っている有限会社T・トレジャーでは、業務の効率化のためにICTを活用しています。
有限会社T・トレジャーで導入したのは運輸業向け日報請求管理システムとWEB配車システムです。
それまではExcelで取引先との取引記録を管理、手書きで配車手続きを管理していましたが、2つのシステムを導入したことにより、多くの業務をスマートフォンで行うことができるようになりました。
配車業務はシステムを導入したことでWEB上で一元管理でき、より管理がしやすくなっています。
ドライバーはスマートフォンで自分の配車を確認、配送後は同じくスマートフォンで配送完了を入力するだけで日報が作成できるため、今まで手書きで作成していた日報の業務負担が大幅に削減されました。
また、請求のためにドライバーが手書きした日報を事務担当者がパソコンに入力、そのデータを元に請求書を作成していましたが、日報を入力する作業を無くすことができました。
さらに請求書は日報のデータを元に自動で作成ができるため、これまで5、6名の社員が月末に2日がかりで行っていた請求書作成業務が2名で1日で行うことができるようになり、作業の負担が激減出来ました。
2-6.飲食・サービス業でのICT活用事例
業種 | サービス業(旅館) |
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事業規模 | 中小企業 |
導入した内容 |
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効果 |
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出典:顧客管理・情報共有のIT化で、現場スタッフのストレスを大幅に軽減
旅館を運営している株式会社松井旅館本館では、ICTを活用しより働きやすい環境を整えるため、ホテル旅館向け予約・顧客管理システムと従業員用コミュニケーションチャットを導入しました。
それまで予約の管理は紙の台帳と日報、さらにパソコンの共有フォルダで管理しており、予約業務を行うには、3回ほど記入・入力の業務が必要となっていました。
しかし予約管理システムを導入したことで、予約の入力作業は1回になり、作業負担を減らすことができました。
予約担当者の残業が減り、働く環境を整えることにもつながっています。
また、それまではフロントで予約状況を確認するには、社内の予約センターに問い合わせする必要がありましたが、予約管理システムを導入したことで、フロントにある端末ですぐに確認できるようになり、問い合わせなどの応対もスムーズに行えるようになったのです。
同時にチャットを導入したことで、スタッフ同士での情報共有が行えるようになり、伝達ミスなども減らすことができました。
3.企業がICT活用するメリット
今後ますます重要となるICT活用ですが、具体的に企業がICT活用するとどのようなメリットがあるのでしょうか?
ICT活用で企業が得られるメリットは次の5つです。
それぞれ詳しくみていきましょう。
3-1.業務の効率化ができる
企業がICT活用を行ったときに得られるメリットの1つめが「業務の効率化ができる」という点です。
ICTを活用することにより、今まで手作業で行っていた作業を自動化するなどして、効率化することが可能です。
例えば「2-5.運輸業でのICT活用事例」で紹介した事例では、手書きだった日報をスマートフォンで配送完了と入力するだけで作成できるようになり、業務がぐっと効率化できました。
事務作業が減ることで従業員の負担も減り、主な業務である運送に集中することもできます。
また、請求書作成の業務も5、6名の社員が月末に2日がかりで行っていた請求書作成業務が2名で1日で行うことができるようになるほど効率化できています。
ICTを活用することで、今まで行っていた業務を効率化することで、働きやすい環境を整え、人員不足を補うことにも繋がるのです。
3-2.生産性を上げることができる
企業がICT活用するメリットの2つめは、「生産性を上げることができる」です。
「2-2.農業でのICT活用事例」のように、ICT活用を行うことでブドウの病気を防ぎ、収穫に適した時期を遅くして作業計画を立てておくことができれば、同じ業務であってもより生産性を上げることに繋がります。
その他にも、基幹業務システムや各種申請書類の電子化など、さまざまなICT活用により、仕事を効率化して生産性を上げることができます。
今後、少子高齢化が進む日本では、生産性を上げることは重要になっていきます。
生産性を上げることで、同じ時間働いてもより大きく事業を拡大することに繋がり、企業の発展を大きく左右することになるのです。
3-3.多様な働き方を実現できる
企業がICT活用をするメリットの3つめは、「多様な働き方を実現できる」です。
働き方改革や新型コロナウイルス感染拡大などの影響により、日本ではテレワークなど多様な働き方が急速に広がっています。
従業員のワークライフバランスを実現し、多様な働き方を実現することは、今後の企業にとって重要な役割です。
「2-1.製造業でのICT活用事例」でも紹介したように、紙ベースで管理されていた業務をICT活用することで、場所を問わず仕事を進めることができるようになり、テレワークなど多様な働き方を実現することに繋がるのです。
これからの働き方を実現するためにも、ICT活用は有効なのです。
3-4.コミュニケーションを取りやすくなる
企業がICT活用するメリットの4つめは、従業員や外部の取引先とのコミュニケーションが取りやすくなるという点です。
チャット機能やWEB会議アプリなどを利用することで、対面以外でもコミュニケーションがとれるようになり、伝達事項を素早く漏れなく伝えたり、改善案などを気軽に提案したりすることが可能となります。
「2-6.飲食・サービス業でのICT活用事例」でも、チャット機能を活用することで、従業員同士の連携がとれ、伝達ミスを減らすことができています。
他にもSNSを活用して顧客とのコミュニケーションをとる、クラウドストレージでスムーズに画層や動画などのやり取りをする、などさまざまなICT活用をすることで、よりコミュニケーションをとりやすくなるのです。
3-5.サービスの質を向上させることができる
企業がICT活用をするメリットの5つめは、「サービスの質を向上されることができる」という点です。
ICTは従業員の働きやすさや効率化するだけでなく、顧客へのサービスをよりよいものにすることもできます。
例えば、美容院で顧客管理システムを導入することで、来店前に効率的に顧客情報を確認することが可能となり、顧客情報に基づいたきめ細やかな施術の提案ができるようになります。
顧客の髪質、好み、来店サイクルを把握した上で、その方に合った施術を提案することで、より満足度の高いサービスを提供することができるのです。
また、業務を効率化しできた時間をサービス向上に当てることで、さらにサービスの質を上げることにもつながります。
より顧客満足度の高いサービスを提供するためにも、ICT活用は有効なのです。
4.ICT活用のデメリット
ICT活用には、メリットだけでなくデメリットもあります。
企業がICT活用を行うデメリットは次の3つです。
それぞれ詳しくみていきましょう。
4-1.ICTを使いこなせない層への対応が必要となる
企業がICT活用する時のデメリットの1つめは、「ICTを使いこなせない層への対応が必要となる」という点です。
ICTを導入する場合、ただ導入しただけでは無駄になってしまうため、業務に関わる従業員全員がきちんとシステムなどを使えるようになる必要があります。
特にデジタル機器などを使うことになれていない社員には、使い方を覚えるまで丁寧にサポートを行うなどの対応が必要です。
従来のやり方を変えることに対する反対が起こる場合もありますから、あらかじめ従業員に対してICT活用するメリットや目的を周知し、使い方のサポートはどのように行うのかを説明しておくことも大切になります。
従業員が全員、導入したICTの使い方を身に着けるまで、導入担当者の業務は増えてしまうのもデメリットです。
ただし、ある程度使いこなせるようになれば、先ほど挙げたメリットを得ることができますから、あらかじめ研修計画などを立てておき、なるべくスムーズに導入できるようにすると良いでしょう。
4-2.セキュリティリスクが高くなる
企業がICT活用をする時のデメリット2つめは、「セキュリティリスクが高くなる」ということです。
紙ベースでアナログで行っていた業務をICT活用するには、インターネットへの接続が必要となります。
データがインターネットに接続することで、サイバー攻撃を受ける、従業員によるミスで情報が流出してしまう、などのセキュリティ事故が起こる可能性が高くなってしまうのです。
これを防ぐには、ICT導入時にセキュリティ対策についてもきちんと行っておく、データを取り扱う社員に対してセキュリティ意識を高めるための講習を行う、データ取り扱いのルールをきちんと決めておくなど、さまざまな対策を行う必要があります。
4-3.導入コストがかかる
企業がICT活用する時のデメリット3つめは、導入コストがかかるという点です。
入力などの業務を行うためのデジタル端末の購入費用、基幹システムなど導入するシステムの費用、通信環境を整えるための費用など、さまざまな費用がかかります。
ただし、費用はかかりますが、業務の効率化や生産性の向上の実現などが出来れば、あらかじめ予算を組んで導入するメリットはあります。
また中小企業向けに自治体がICT導入の補助金を出している場合もあります。
補助金について知りたい場合は、「会社がある自治体 ICT活用 補助金」とWeb検索すると情報を得ることが可能です。
各地自体が行っている補助金について調べることができるポータルサイトもあります。
補助金なども活用し、コストを計算した上でICTを導入すると良いでしょう。
参考:スマート補助金
5.ICT活用は中小企業であっても事業拡大に必要不可欠
ICT活用は、今後企業が事業を拡大していくうえで必要不可欠です。
ICT活用と聞くと、大企業が取り入れるもので、中小企業では難しい、使いこなせないと考える人もいます。
しかしそれは間違いです。
ICT活用は決して大企業や最先端のIT関連企業だけのものではありません。中小企業であっても、ICT活用は今後確実に必要となります。
中小企業にとってICT活用が必要不可欠な理由は次の2つです。
それぞれ詳しくみていきましょう。
5-1.ICT活用が中小企業の抱える課題の解決に繋がる
ICT活用は、中小企業が抱える課題の解決に繋がる、有効な手段です。
【中小企業が抱える課題】
- 人手不足
- 働き方改革の実施による残業規制や有給休暇取得の義務化による労働時間の減少
少子高齢化の影響もあり、働く世代が減る中、中小企業は深刻な人手不足に陥っています。
また働き方改革が実施され、残業規制や有給休暇取得の義務化などで、従業員一人当たりの総労働時間は減少しています。
そんな中、事業を維持し、より拡大するには、
- 労働の効率化
- 生産性の向上
が必要不可欠です。
ICT活用は、この2つの実現に大きな役割を果たします。
例えば「2-5.運輸業でのICT活用事例」で紹介した事例では、5、6名の社員が月末に2日がかりで行っていた請求書作成業務が2名で1日で行うことができるようになりました。
つまり、最低でも5人の社員が必要だった業務が、2人の社員で半分の日数で行うことができるようになったのです。
労働が効率化し、一時間あたりにできる仕事が増えたことで、人手不足も解消され、労働時間を短縮することにも繋がっています。
このように、中小企業が抱える課題解決に、ICT活用は有効なのです。
5-2.中小企業向けの低コストなICTツールやICT導入補助金もある
中小企業がICT活用を行う時に問題となる費用ですが、中小企業でも取り入れやすい低コストなシステムやサービスも多数あり、さらにはICT導入の補助金もあります。
クラウドツールやスマートフォン向けアプリの普及によって、以前よりも低コストで中小企業でも利用しやすいサービスが増えてきました。
また、ほとんどのクラウドやサービスは、無料トライアル期間などを設けているため、あらかじめコストをかけずに使い勝手などをチェックすることも可能です。
まずは低コストでICT活用を始めてみて、自社に合うようなら導入コストをかけた場合の費用対効果などを計算し、無理なくICT活用を進めることも出来ます。
また、政府の「IT導入補助金」を始めとする、中小企業がICT活用を始める場合に利用できる補助金もあり、交付を受けることでよりコスト削減して導入することも可能です。
中小企業であっても、ICT活用をぜひ始めてみることをおすすめします。
参考:IT導入補助金
6.ICT活用を企業で導入するステップ
ここまでお読みいただき、ICT活用を始めてみようと思われた場合、どのようにICT活用を導入していけばいいのでしょうか?
ICT活用を企業で導入する場合は、次のようなステップで進めていくのがおすすめです。
それぞれ詳しく見ていきましょう
6-1.ICT導入計画を立てる
ICTを導入する場合、まずはICT導入計画を立てて、計画的に進めていくことが大切です。
導入計画では
- 社内のどんな業務をICTを活用して効率化するのか
という点を考慮して計画を立てていきましょう。
ICT活用と言っても、むやみやたらに導入すればいいというわけではなく、自社の課題に合ったシステムやサービスを選ばなければ、無駄になってしまいます。
- 請求書を起こすのに3日かかってしまうのを効率化したい
- 顧客管理を紙の台帳で行うことで空いた時間に確認ができない
- Excelで顧客管理するとパソコンのないフロントでは予約状況が確認できない
など、具体的な解決したい課題を挙げた上で、解決につながるツールを探していくことで、より自社に合ったICT活用法が見えてきます。
まずはICTで解決したい課題を整理していきましょう。
6-2.業務フローを見直す
解決したい課題が見えてきたら、その業務が現在どのように行われているのか、業務フローを見直しておきましょう。
ICTを導入することで、どの部署にどんな影響があるのか、どのスタッフに業務内容の変更や研修が必要となるのかをあらかじめ把握しておくことで、必要となる研修や説明会がわかります。
また同時に実際にシステムやサービスを使う現場スタッフの意見も取り入れておくと、より現状に合ったサービスを選ぶことができますから、ぜひ現場の声も聞いておきましょう。
6-3.ICT導入後の実施体制を考える
どの課題をICT活用で解決するのか、どんな業務で活用するのかが決まったら、導入後の実施体制を考えておきます。
- 誰がどのような業務を行うのか
- 使い方などの研修や説明会はどのように行うのか
- 導入スケジュールはどのような期間を設けるのか
といった内容をあらかじめ決めておくことで、スムーズに導入を進めることができるのです。
担当者や役割分担、スケジュールを決めておき、それに合わせて進めていきましょう。
6-4.社員への説明・研修を行う
実施体制が決まったら、導入前に社員に対してICT活用に対する説明の機会を設け、研修を行います。
ICTを活用し、今までのやり方と変えることに対して反発する社員がいる場合もあります。
その場合にも、なぜICT活用を進めるのか、どんな課題を解決したいのか、なぜICT活用が有効なのかをあらかじめ説明しておくことで、社員も納得して導入を受け入れることができるのです。
あらかじめ必要性や有効性を理解してもらったうえで導入していきましょう。
また、ICTツールの研修を行い、導入後のサポート体制についても整えておきましょう。
6-5.導入後にICT活用について検証する
ICT導入後は、必ず導入後の状況について検証しておきましょう。
ICTは導入したら終わりという訳ではなく、自社が抱える課題を改善するために行っていくものです。
導入後、課題がきちんと達成されているかを検証し、達成されていない場合は再度改善していく必要があります。
導入後は実際に使っている社員に聞き取りを行う、業務の効率化が進んでいるかデータなどで確認するなどして、状況を検証し、問題点が見つかったら再度改善のための計画を立てていきましょう。
7.ICT活用を始める時の注意点
ICT活用を始める時は、次の3つの注意点に気を付けて進めていくのがおすすめです。
それぞれについて詳しくみていきましょう。
7-1.社内でのICT活用スキルを均一化する
ICT活用を始める時の注意点の1つめは、「社内でのICT活用スキルを均一化する」ということです。
どんなに自社に合ったツールを導入したとしても、使える人が限られているようでは、業務の効率化や生産性の向上には繋がりません。
そのツールを必要とする業務に関わる社員全員が、同じように活用できるスキルを身に着けていくことで、はじめて仕事の効率化が実現できます。
そのためには、社内でツールの研修を行う、ITスキルが低い人に対してはサポート体制を整えてフォローしていく、などの施策を行い、社内でのICT活用スキルを均一化していくことが大切なのです。
きちんと研修を行うことで、ITスキルの低い人でもICTツールを活用し、業務を進めていくことができている事例も多くあります。
研修は自社で行うだけでなく、外部のプロにお任せすることも可能です。
また導入するツールによっては、社員向けの研修を行ってくれる場合もあります。
まずは自社が導入するツールの担当者に相談してみるのも良いでしょう。
7-2.ICT化が目的にならないようにする
ICT活用を始める時の注意点の2つめは、「ICT化が目的にならないようにする」ということです。
ICT活用は、あくまで現在企業が抱えている課題を解決するための手段です。
ICTを導入したとしても、自社の課題が解説していなければ、導入のメリットはありません。
ICT化を目的にしないためには、「6-1.ICT導入計画を立てる」でも紹介したように、
- 社内のどんな業務をICTを活用して効率化するのか
という点をまずはしっかりと考え、それを解決するツールを選ぶようにしましょう。
また、導入後は検証を行い、課題が解決されているのかをきちんと見極め、問題がある場合は改善するための計画を立てていきましょう。
7-3.現場で働く社員の声を大切にする
ICT活用を始める時の注意点の3つめは、「現場で働く社員の声を大切にする」です。
どんなにいいツールであっても、現場の状況に合っていなければ使い勝手が悪く、結局は無駄になってしまいます。
それを防ぐためには、無料トライアル期間などを利用し、実際にツールを使う現場の社員に試してもらって感想をレポートしてもらうなど、現場の社員の声を聞く体勢を作っておきます。
また、導入後は定期的に使い勝手などを聞き取り、改善点や活用してみてどのように業務が変化したのかを確認していきましょう。
8.ICT活用にお困りの方はNTT東日本のクラウド導入・運用サービスをご利用ください
「ICT活用はしたいけれど、どのようなツールを選べばいいのかわからない」
「ICT活用はしたいけれど、社内に担当者がおらず不安」
そんな方はぜひ一度、NTT東日本にご相談ください!
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まずは一度お気軽にお問い合わせください。
9.まとめ
ICT活用についてご紹介しました。
ICT活用とはインターネットやパソコン・スマートフォンなどの情報伝達技術を使ってコミュニケーションできる技術を活用するということです。
身近な例を挙げてみると、
- スマートフォンのメール機能で同僚にメールを送る
- SNSに自分の撮った写真をアップして他の人に見てもらう
- Web会議のアプリを使ってオンライン会議を行う
といったものがICTになります。
企業がICTを活用することで、次のようなメリットがあります。
ICT活用は、中小企業にとっても、企業が抱える問題解決に有効な方法であり、今後の事業の維持・拡大には必要となります。
ぜひ活用して、仕事を効率化し、生産性を上げて事業を拡大するために役立ててみてはいかがでしょうか。
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- システムインフラの維持にかかるトータルコストがあまり変わらない。。
- 情シス担当者の負担が減らない。。
- セキュリティ性・速度など、クラウド期待する効果を十分に享受できない。。
理想的なクラウド環境を実現するためにも、
最低限の4つのポイントを
抑えておきたいところです。
-
そもそも”クラウド化”とは?
その本質的なメリット・デメリット - 自社にとって
最適なクラウド環境構築のポイント - コストを抑えるための
具体的なコツ - 既存環境からスムーズにクラウド化を
実現するためのロードマップ
など、この1冊だけで自社のクラウド化のポイントが簡単に理解できます。
またNTT東日本でクラウド化を実現し
問題を解決した事例や、
導入サポートサービスも掲載しているので、
ぜひダウンロードして読んでみてください。
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- クラウド導入を
0からワンストップでサポート可能! - 全体最適におけるコスト効率・業務効率の改善を
中立的にご提案 - クラウド環境に問題がないか、
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特に以下に当てはまる方はお気軽に
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- さまざまな種類やクラウド提供事業者があってどれが自社に適切かわからない
- オンプレミスのままがよいのか、クラウド移行すべきなのか、迷っている
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