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クラウドファーストとは?意味やメリット、企業・政府の実例を解説

クラウドファーストとは、システムの開発や更新をするときに、クラウドサービスを最優先で検討するあり方のことです。クラウド市場の拡大とともに、クラウドファーストの考え方に沿ってシステム導入をする企業が増えており、政府も積極的なクラウド化を推奨しています。

従来は、システムを開発・運用する際は、自社でサーバーなどの設備を所有・管理するオンプレミス型が主流でした。現在でも、オンプレミスでシステムを運用するケースはありますが、敢えてクラウドファーストが推奨されるようになった背景には、クラウドサービスの運用基盤を選択することによるメリットの多さがあります。

クラウドファーストのメリットの一例を見てみましょう。

◆クラウドファーストのメリットの一例

  • システム導入までの期間が短い
  • 運用の負担を軽減できる
  • 導入時の初期費用を抑えられる

上記以外にもクラウドファーストのメリットは豊富にある一方で、注意すべき点もあります。

◆クラウドファーストの注意点

1. クラウドが合わないケースがある

2. システムをクラウドに集約させるリスクがある

3. ランニングコストは増大する可能性がある

以上のことからわかるとおり、システムの開発・更新時は基本的にクラウドファーストを採用すべきですが、きちんと検討することなく画一的にクラウドを採用していたのでは、かえって不都合が生じる場合があるでしょう。

そこで今回は、現在、主流となっているクラウドファーストを取りいれながらも自社に最適なシステムの運用基盤を選択できるようになるために必要な、クラウドファーストの概要やクラウドに関するメリット・デメリットなどをご紹介します。

【この記事の内容】

  • クラウドファーストとは?
  • クラウドファーストのメリット
  • クラウドファーストの注意点
  • クラウドファーストの実践例

この記事では、クラウドファーストの基礎知識に加え、クラウドファーストが政府や企業でどのように実践されているのかについても解説しています。これからクラウドファーストを本格的に取り入れていこうと考えている方にも、具体的にイメージしやすい内容になっていますので、ぜひご確認ください。

1. クラウドファーストとは?

クラウドファーストとは、企業や政府などがシステムを導入・更新する際に、クラウドサービスを運用基盤とするシステムを最優先で検討すべきとする考え方です。

従来は、自社でシステムに必要な設備を管理するオンプレミスの運用基盤が主流でしたが、近年ではオンプレミス一辺倒ではなく、できる限りクラウド化していくことが推奨されています。

システム開発時の検討の仕方の違い
クラウドファーストで検討する場合 一番目に、クラウド運用基盤でシステム開発できないかどうかを検討してみる
クラウドファーストで検討しない場合 これまでのシステム開発方法など、やりやすい方法から検討を始める

ここでは、クラウドファーストを実践するうえで欠かせない基礎知識である、

  • なぜ、クラウドファーストは推奨されるようになったのか
  • クラウドファーストと似ているクラウドネイティブ・クラウドスマートとはどう違うのか

の2点について確認しておきましょう。

1-1. クラウドファーストはなぜ注目されるのか

クラウドファーストが注目される背景には、2018年6月に政府が発表した「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」、及び、DX推進などデジタル化を推奨する潮流があります。

◆「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」とは

  • 情報システムを導入する際にクラウドサービスの活用を推進する方針
  • クラウドサービスを利用するメリットや具体的な検討方針について定めてある

政府がクラウドサービスなどの活用を推進する理由の一つは、世界的に見て、日本ではICTの利用が進んでいないことです。

SoR(System of Record)のシステムを例に挙げて見てみましょう。独立行政法人情報処理推進機構「DX白書2021」によると、SoRにクラウドサービスを導入している企業は、米国では42.5%ですが、日本では24.1%にとどまります

少子化で人材不足の傾向にある現代においては、クラウドサービスを運用基盤として導入するなど、ICT化を進めることで運用負荷を減らすことが競争力確保には欠かせません。また、システムをクラウド化することで、災害時にも業務継続しやすい環境を構築できます。

このような事情から、クラウドファーストが現在大きな注目を浴びているのです。

◆ポイント

  • クラウドサービスの活用はメリットが多く、さまざまな課題の解決に役立つ
  • 政府も、システム導入時のクラウドサービス活用を推進している

1-2. クラウドファーストとクラウドネイティブ・クラウドスマートなどの違い

クラウドファーストと似た言葉に、クラウドネイティブやクラウドスマートなどがあります。それぞれの大きな違いは、導入方針か設計のあり方かという点と、方向性の2点です。

「自分たちが実践すべきなのは、どのようなあり方か」を明確にするためにも、それぞれの違いを確認しておきましょう。

クラウドファーストとクラウドネイティブ、クラウドスマート、クラウド・バイ・デフォルト
クラウドファースト
  • システムの開発・更新時に、クラウドサービスの運用基盤を優先して検討すること

※方針

クラウド・バイ・デフォルト
  • システムの開発・更新時は、クラウドサービスを活用する前提で考えること
  • クラウドファーストよりクラウドを優先する度合いが高め

※方針

クラウドスマート
  • クラウドの利点を課題解決に活かせるような導入の仕方をすること

※方針

クラウドネイティブ
  • クラウドの利点を最大限活用できるように設計したシステム

※システムのあり方

クラウドサービスに関する考え方や用語を正しく理解し、自社のニーズに最適なクラウド化の方向性を明確化していきましょう。

2. クラウドファーストのメリット

システムの開発・更新時にクラウドファーストを取り入れることで、次のようなメリットがあります。

クラウドファーストの主なメリット

1. 導入までの期間が短い

2. 仕様の変更が簡単

3. 運用の負担を軽減できる

4. 初期費用を抑えられる

5. BCP対策になる

クラウドファーストを実践すべき理由を具体的に把握し、これからのシステムの開発・更新時の参考にしてください。

2-1. 導入までの期間が短い

クラウドサービスを運用基盤としてシステムを導入することで、オンプレミスと比べて、導入までの期間を短くすることができます

すでに整備されたサーバーやソフトウェアをそのまま利用するクラウドサービスでは、オンプレミスで必要な設備の選定・調達・セッティングにかかる時間を削減できるからです。

オンプレミスでは数ヶ月から1年以上かかることも多いシステム構築も、クラウドサービスを利用することで、数週間もあれば構築を完了させられるでしょう。

システム開発・更新にかける時間を短縮し、他の業務に人的リソースを有効活用したい場合など、クラウドサービスは最適な選択肢と言えます。

2-2. 仕様の変更が簡単

システムの運用基盤をクラウドサービスにしておけば、後々、仕様の変更が必要になってもスムーズに対応できます

クラウドサービスでは、機能の変更やサーバーの容量変更など仕様の変更が、利用契約内容の変更だけでできるからです。オンプレミスのように時間や費用をかけて、設備やソフトウェアを変更する必要はありません。

将来的に利用規模や求められる機能が変わる可能性のあるシステムなら、クラウドサービス基盤で構築することで、コストを抑えてシステムをカスタマイズできます。

2-3. 運用の負担を軽減できる

システムをクラウドサービス基盤で導入しておくと、保守管理にかかる労力を大幅に削減することができます。

クラウドサービスでは、設備の保守管理やソフトウェアのアップデート作業などを、すべてクラウドサービスを提供する事業者が担うからです。そのため、システムの運用時に専門の要員を準備しなくてもよくなります。

また、何もしなくても最新の更新状態でシステムを使えるため、セキュリティ面でも安心です。

2-4. 初期費用を抑えられる

システム導入時の初期費用を大幅に抑えることができるのも、クラウドファーストの大きなメリットです。

クラウドサービスでは、システムの稼働に必要な設備やソフトウェアを自分で保有しないので、その調達にかかる費用が不要になるからです。クラウドサービス提供事業者が保有する設備やソフトウェアを、利用料を払って使用します。

オンプレミスのハードウェア・ソフトウェアなどにかかるコストを何とかしたいと考えているなら、クラウドサービスを検討してみましょう。

2-5. BCP対策になる

BCP対策になるという点でも、システムの運用基盤にクラウドサービスを活用する価値があると言えます。

クラウドサービスは、以下のような点で災害に強いからです。

  • サーバーなどの設備が強固なデータセンターで管理されている
  • バックアップを自動的に行うので、万一の時にもデータを守れる
  • 災害時の復旧作業は、クラウドサービス提供事業者がすべて行う

災害に強いシステムを構築したい場合、クラウドサービスを活用するとよいでしょう。

3. クラウドファーストの注意点

クラウドファーストでシステムの導入検討を行う際には、注意すべき点もあります。

クラウドファーストの注意点

1. クラウドが合わないケースがある

2. システムをクラウドに集約させるリスクがある

3. ランニングコストは増大する可能性がある

「政府が推奨しているし」と安易にクラウドサービスを選択して後悔することの無いよう、上記の注意点を踏まえて検討をしたうえで、運用基盤を選びましょう。

3-1. クラウドが合わないケースがある

クラウドサービスは多くのメリットがあり、運用基盤として非常に優秀ですが、合わないケースも存在することに注意しましょう。

例えば、次のような場合は、クラウドよりオンプレミスの方が向いている可能性があります。クラウドサービス提供事業者が準備する範囲でしかカスタマイズができないクラウドでは、以下のような特殊なニーズには十分に対応できないリスクがあるからです。

◆ニーズが特殊であるため、クラウドが合わない可能性のあるケース

  • 自社独自の特殊なカスタマイズが必要な仕様である
  • 高度なセキュリティポリシーがあり、スタンドアロン型のシステムにしたい
  • 複雑な演算処理が必要で、非常に高性能なリソースが必要である

現代では、可能な限りクラウド化するのがトレンドですが、上記のような場合は慎重に検討しておかないと、かえってシステムが使いにくくなるリスクがありますので注意が必要です。

3-2. システムをクラウドに集約させることにはリスクもある

すべてのシステムを、同じクラウドサービスの基盤上に構築することには、リスクもあるということを、覚えておく必要があります。

クラウドサービスに依存するシステム構成だと、そのクラウドサービスに何かあったときに、すべてのシステムに影響が出てしまうからです。

◆クラウドにシステムを集約することのリスク例

  • クラウドサービスに機器トラブルなどの障害が発生し、システムが使用不能になる
  • 接続回線のトラブルで、システムにアクセスできなくなる
  • クラウドサービスが脆弱性を狙ったサイバー攻撃を受け、自社のシステムの情報が漏えいする
  • データセンターが少数しかないクラウドサービスを契約してしまい、災害の影響でクラウドサービスが停止した

クラウドサービスにシステムを集約するリスクは、信頼性の高い実績あるクラウドサービス提供事業者を選ぶことで、ある程度は回避可能です。それでも心配な場合は、オンプレミスとクラウドサービスや、複数種類のクラウドサービスを併用するハイブリッドクラウドを検討しましょう。

3-3. ランニングコストは増大する可能性がある

クラウドファーストでシステムの導入を検討する際に必ず確認しておきたいのが、ランニングコストです。

クラウドサービスを利用すれば、初期費用は大幅に削減できますが、システムを利用する限りサービス利用料金が発生し続けるからです。特に、長期間利用し続ける場合は、クラウドサービスの利用料金の合計額が、まとまった金額になります。

ランニングコストは、利用するサービス内容によって変わるので各クラウドサービスで、利用内容に合わせて試算する必要があります。以下に、代表的なクラウドサービスについて、試算ができるページを参考までにご紹介しますので、ご活用ください。

Amazon Web Services
(AWS)

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/pricing-calculator/latest/userguide/getting-started.html

Microsoft Azure
(Azure)

https://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/calculator/

Google Cloud

https://cloud.google.com/products/calculator?hl=ja

クラウドファーストを実践するときは、利用する予定のクラウドサービスについて、年間どれくらいの料金が発生するのか試算をするようにしましょう。

4. クラウドファーストの実践例と成功のポイント

それでは、実際に政府や企業ではどのような形でクラウドファーストを実践しているのか、確認してみましょう。

政府については、公的機関全体がクラウドファーストで動ける下地をつくる取り組みである「ガバメントクラウド」を、企業については、大手ガス会社のクラウド化推進の取り組みをご紹介します。

クラウドファーストを実際に取り入れるにあたっての具体的なイメージをつかんだり、クラウド化のプロセスを検討したりするための参考にしてください。

4-1. 政府|ガバメントクラウドでクラウドファーストの基礎を構築

クラウドファースト(クラウド・バイ・デフォルト)を、公的機関でもスムーズに実践できる基礎をつくるために行われている施策の一つが、ガバメントクラウドです。

かねてより、政府は公的機関全体のデジタル化を推進していましたが、公的機関で使用するシステムには高いセキュリティなど独自の基準が多く存在し、クラウド化が気軽に行えないという課題がありました。

そこで、ガバメントクラウドという、国や地方団体・関係機関が共通で使えるセキュリティなどの基準を満たすクラウドの政府共通基盤を整備し、クラウドファースト実践のハードルを下げたのです。公的機関でも安心して使えるガバメントクラウドが準備されたことで、現在、さまざまな自治体で戸籍や税などの主要なシステムのクラウド化が進みつつあります。

クラウドファーストの実践には、最初に、クラウドファーストをスムーズに行える周辺環境や基準作りが欠かせないことが、読み取れる実践例といえるでしょう。

なお、デジタルガバメント推進にあたって策定された政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針には、クラウド化検討のプロセスの解説があり、一般の企業でも流用しやすい内容となっています。

◆「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」とは(再掲)

  • 情報システムを導入する際にクラウドサービスの活用を推進する方針
  • クラウドサービスを利用するメリットや具体的な検討方針について定めてある

クラウドファーストを実践する際は、上記の基本方針を参考にすることで検討から導入までの流れをスムーズに進められるでしょう。

◆事例からわかるクラウドファースト実践のポイント

  • 事前に、クラウドファーストを実践しやすくなる基準を決める(セキュリティポリシーを踏まえ、選ぶべきクラウドサービスの基準を決めるなど)
  • 「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」を参考にする

4-2. 企業|マインドチェンジから始めるクラウドファースト

関東圏を中心に事業展開する大手ガス会社では、2030年までに最大限のクラウド化を進めるべく、クラウドファーストを実践するため、最初に社内のマインドチェンジに着手しています。

多くの企業でよくあることですが、クラウド化には「何となく不安」という大きな障壁が立ちはだかります。「セキュリティは大丈夫なのか」「余計なコストがかかるのではないか」という根拠のない不安から、クラウド化を止めてしまいがちなため、クラウド化が進まなくなるのです。

そこで、こちらの企業では、経営陣及び技術者に対し正しい知識を身に付けるための講演や説明会などを催し、クラウドに対するマインドチェンジを行うことから始めました。

正しい知識が身に付けば、クラウド化のリスクを正確に把握して回避する方法もわかり、メリットを最大化することが可能です。同社でも、クラウドのメリットを企業の成長促進につなげるクラウド化が進みつつあります。

◆事例からわかるクラウドファースト実践のポイント

  • 経営陣を含む社内でクラウド化に関する正しい知識を身に付け、漠然とした不安を払拭する

参考:https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NXT/20/microsoft0830/vol2/

5. クラウドファーストを強力サポートするクラウドを導入するなら、NTT東日本

「クラウドファーストで検討したいけれど、そもそもクラウドに詳しくない」

「コストや手間を抑えて開発環境をクラウド化したい」

このようにお考えでしたら、まずはNTT東日本にご相談ください。クラウドのプロによるアドバイスとサポートで、コストを抑えて悩みや課題を解決することができます

NTT東日本のクラウド導入・運用サービスは、次の3つの特長で、クラウドに関する困りごとの解決を徹底サポートしています。

NTT東日本のクラウド導入・運用サービス3つの特長

1. AWS・Azure認定クラウドのプロ多数在籍!中立的なアドバイスで安心

2. 見えないコストも可視化!総合的な高コストパフォーマンスを実現できる

3. すべてワンストップ!クラウド化一元サポートで労力の最小化が叶う

5-1. AWS・Azure認定クラウドのプロ多数在籍!中立的なアドバイスで安心

NTT東日本には、AWS(Amazon Web Services)・Microsoft Azureの認定資格者が多数在籍し、中立的な立場からご提案をさせていただいております。

例えば、次のような検討段階の疑問にも、クラウドのプロの見地から明確なご提案が可能です。

  • 自社ではオンプレとクラウド、コストパフォーマンスが良いのはどちらか?
  • どの社内システムからクラウド化をはじめるべきなのか?
  • AWSとAzureで、目的を達成するために必要かつベストなサービスはどちらか?

無理なくコストパフォーマンスのよい方法でクラウド化を検討したいとお考えなら、まずは、NTT東日本のクラウドの専門家をご活用ください。

5-2. 見えないコストも可視化!総合的な高コストパフォーマンスを実現できる

NTT東日本では、初期コストはもちろんのこと、導入開始後の保守管理や周辺環境のコストまで含めて、最適なプランをご提案しています。

例えば、

  • システム運用時にかかる人的なコスト
  • 潜在的なリスクによる機会損失

など、見逃しがちなコストもまとめて見える化します。

だから、「導入費用は安かったけれど、労力がかかった」「関係するシステムやソフトウェアの調整で、かえって高くついた」などの失敗がありません。

導入時にリーズナブルなのは当たり前、導入後や関連する部分も含めて業務全体で総合的にコストパフォーマンスを最適化するのが、NTT東日本です。

5-3. すべてワンストップ!クラウド化一元サポートで労力の最小化が叶う

NTT東日本のクラウド導入・運用は、導入前・導入・導入後のすべてのフェーズについて、一元サポートであることが特徴です。

NTT東日本ならすべて一元サポートで快適さが段違い
1. 検討段階~導入後まで一元サポート 導入検討段階のご提案から導入時の設定や環境構築・導入後の各種フォローまで、すべてをNTT東日本にお任せでよいので、担当者の負担が最小限になります。
2. ネットワーク環境から端末・クラウド環境まで一元サポート クラウド・ネットワーク・端末と関連するすべての分野について、まとめて相談し一回で解決できるので、非常に効率的です。

「クラウド化は興味があるけれど、対応できる時間がない」などの場合でも、導入・運用の省力化に優れたNTT東日本なら安心です。

ご相談は無料で承っております。お気軽に現在の課題などをお聞かせください。

6. まとめ

クラウドファーストとは、企業や政府などがシステムを導入・更新する際に、クラウドサービスを運用基盤とするシステムを一番最初に検討すべき、とする考え方です。

政府が2018年6月に政府が発表した「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」でクラウド化を推進していることや、DX推進などデジタル化を推奨する潮流を背景に、クラウドファーストがトレンドとなっています。

クラウドファーストのメリットは、以下のとおりです。

クラウドファーストの主なメリット

1. 導入までの期間が短い

2. 仕様の変更が簡単

3. 運用の負担を軽減できる

4. 初期費用を抑えられる

5. BCP対策になる

一方で、クラウドファーストには注意点もあります。

クラウドファーストの注意点

1. クラウドが合わないケースがある

2. システムをクラウドに集約させるリスクがある

3. ランニングコストは増大する可能性がある

基本的には、クラウドを最優先に検討するという方向性で間違いありませんが、検討を十分に行えていないと、使い勝手の悪いシステムに仕上がるリスクがあることを覚えておきましょう。

クラウドファーストをスムーズに進めるには、政府や企業の実践例を参考にするのがおすすめです。今回ご紹介した実践例から読み取れるポイントを再掲します。

◆クラウドファースト実践のポイント

  • 事前に、クラウドファーストを実践しやすくなる基準を決める(セキュリティポリシーを踏まえ、選ぶべきクラウドサービスの基準を決めるなど)
  • 「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」を参考にする
  • 経営陣を含む社内でクラウド化に関する正しい知識を身に付け、漠然とした不安を払拭する

新しい運用基盤であるクラウドサービスをシステムに活用することは、コストや安全性について不安で、二の足を踏みがちです。しかし、クラウド化を進めることで、業務効率化や生産性の向上・災害への耐性強化など、確実に多くのメリットがあります。

正しい知識を持っておくことで、クラウド化の不安は解消することができますので、基礎知識を身に付けて、クラウドファーストを実践していきましょう。

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