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ナレッジベースとは?メリット・デメリットやおすすめな企業を紹介

ナレッジベースとは、企業の知識をまとめて管理・共有できるデータベースのことです。企業の知識とは、社員が業務の中で長年培ってきた経験に基づくノウハウや感覚などを指します。

ナレッジベースは近年、企業から注目されており、その理由は、社員間における知識の引き継ぎが難しくなってきているからです。

今までは社員同士が一緒に働くことで、ノウハウや感覚といった知識は自然と引き継がれてきました。しかし現代においては、人材の流動化やリモートワークの促進により、知識の引き継ぎに支障が出ている企業も少なくありません。

そこでナレッジベースを導入すれば、蓄積された膨大な知識を社内全体に共有できるほか、誰もがいつでもどこにいても必要な知識を確認できるので、ビジネスに活用しやすくなります。また業務の効率化につながるなどのメリットもあります。

しかしナレッジベースの導入を実際に考えている場合、メリットだけでなくデメリットや、ツールの選び方を知らないまま導入するのはおすすめしません。自社に導入すべきかきちんと見極めなければ、コストや労力をかけた割に、社内での使用率が低いといったことになりかねないからです。

そこで本記事では、

  • ナレッジベースの必要性
  • 実際にどんなシーンで活用されているのか
  • ナレッジベースを導入するメリット・デメリット
  • 導入すべき企業の特徴
  • ナレッジベースのツールの種類
  • ツールを選ぶ際のポイント

といった項目を、徹底的にわかりやすく解説しています。

この記事を読めばナレッジベースを自社に導入すべきかの判断の助けとなるので、ぜひ最後まで目を通してみてください。

目次:

1.ナレッジベースとは?
2.ナレッジベースの必要性
2-1.暗黙知の継承が難しい現代
2-2.ナレッジベースで暗黙知を共有
3.ナレッジベースの活用シーン
3-1.OJTトレーニングをする場合
3-2.システムを開発する場合
4.ナレッジベースを導入するメリット3つ
4-1.他部署間の情報共有がスムーズになる
4-2.業務の効率化につながる
4-3.顧客応対品質が向上する
5.ナレッジベースを導入するデメリット3つ
5-1.社内に浸透させるのが難しい
5-2.検索性が優れていなければ使われない
5-3.操作の簡便性が低ければ社員の負担になる
6.ナレッジベースの導入がおすすめな企業
6-1.部署間のコミュニケーションや連携が上手くいっていない
6-2.人材流動による引き継ぎや新人教育に支障が出ている
7.ナレッジベースのツールの種類
7-1.データベース
7-2.データマイニングツール
7-3.文書管理システム
7-4.ヘルプデスクツール
7-5.社内wikiツール
7-6.グループウェア
8.ナレッジベースのツールを選ぶ際のポイント
8-1.業務の活用シーンに合わせたツール選びが重要
8-2. 自社に合ったツールを選ぶためのポイント
8-3.複数の機能を掛け合わせて使いたい場合はクラウドがおすすめ
9.クラウドでナレッジベースを構築するならNTT東日本にご相談ください
9-1.AWS・Azure有資格者のプロがベストなクラウド環境をご提案
9-2.ナレッジベースの構築にかかるすべてのコストを可視化
9-3.ワンストップサポートによって時間や手間を最小化
10.まとめ

1.ナレッジベースとは?

冒頭でもお伝えした通り、ナレッジには「知識」といった意味合いがあります。そして企業の知識とは、個人が業務の中で長年培ってきた経験に基づく知識や感覚などを指します。

たとえば以下のような知識です。

  • 各部署のノウハウ(営業部なら交渉ノウハウ、販売部なら接客ノウハウなど)
  • 業務マニュアル
  • 問い合わせ内容や対応方法

上記のような知識を1箇所にまとめたデータベースを、ナレッジベースと呼びます。

たとえば企業によっては、各部署によって知識を管理するシステムが異なっていたり、各社員が持っている知識を社内に共有できていなかったりする場合もありますよね。その結果、支店や社員によって業務のやり方に違いが出るだけでなく、売上などにも影響する可能性があります。

しかしナレッジベースを導入すれば、蓄積された膨大な知識を社内の誰もがスムーズに検索して確認でき、ビジネスに活用できる状態にできます。

商品情報や顧客情報をはじめとしたデータと同じく、社員1人1人が持っているノウハウや知見も企業の大事な知的財産です。そのため知的財産である知識を一括で管理し、社内に共有できるナレッジベースは、近年、企業に注目されています。

2.ナレッジベースの必要性

ナレッジベースがなぜ企業に注目されているかというと、現代は昔と比べ、次世代への知識の継承が難しくなっているからです。個人の持つ知識や感覚を、誰もが理解できるように言語化し、社内で共有できる仕組みづくりが必要です。

以下でくわしく説明していきます。

2-1.暗黙知の継承が難しい現代

まず企業の知識は、「暗黙知」と「形式知」の2つに分けられます。

  • 暗黙知:ベテラン社員が備えている経験や直感に基づく知識、熟練職人しか分からない感覚(長年練習することで身につく感覚)などで、簡単には言語化できない知識のこと。
  • 形式知:誰が見ても理解できる文章や表などを使って言語化できる知識のこと。

以前は暗黙知がベテラン社員や職人から次世代の人材に、長年かけて引き継がれていくことが一般的でした。

しかし現代では雇用制度や働き方の変化により、新卒入社から定年退職するまで、1つの企業に留まる人材というのは少なくなっています。またテレワークが普及し始めた今、ベテラン社員と一緒に仕事をしながら、必要な知識や感覚を学ぶといった機会も減りました。

そのため昔は普通に働いていれば、暗黙知は自然に引き継がれていきましたが、現代においては次世代の人材に上手く継承できていない企業が多いのが現状です。

このまま何も手を打たなければ、企業が長年培ってきた知的財産である暗黙知が消滅する恐れがあります。

2-2.ナレッジベースで暗黙知を共有

以前は自然に引き継がれてきた暗黙知も、意識的に形式知に変換して、社内に浸透させていく必要があります。

そこで注目されているのが「ナレッジマネジメント」です。ナレッジマネジメントは各個人が持っている知識や感覚を社内で共有することで、新たな技術革新を生み出したり、生産性を向上させたりする経営手法のことを言います。

そんなナレッジマネジメントを行うにあたって欠かせないツールが、さまざまな知識を共有できるナレッジベースなのです。

ナレッジベースの導入により、暗黙知を誰もが理解できるような形式知に変換し、その知識を誰もが必要なときに取り出せ、ビジネスに活用できるようにすることが、今後の企業の課題と言えます。

3.ナレッジベースの活用シーン

ナレッジベースはさまざまな業務の中で活用できます。たとえば以下のような場合です。

  • OJTトレーニングをする場合
  • システムを開発する場合

以下でそれぞれについて、説明していきますね。

3-1.OJTトレーニングをする場合

OJTトレーニングは社内の研修方法の1つで、熟練の社員から若手社員や新人に、実際に業務を行いながら知識やスキルを伝授する方法です。

OJTは高度成長期あたりから、効果的な研修方法として多くの企業で活用されています。しかしトレーナーや研修生のレベルや相性によっては、ノウハウやスキルの伝授が上手くいかないケースもあります。

またリモートワークが進む現代において、現場で時間をかけて研修を行うのではなく、なるべくオンラインで研修を行いたいといった企業も多いのではないでしょうか?

上記のような場合に、ナレッジベースが役に立ちます。ナレッジベースを活用すれば、言語化しにくい独自のノウハウや業務のやり方も、言語化してデータとして社内に共有できます。ツールによっては画像や動画も共有できるので、文章だけでは伝わりにくい知識の共有も可能です。

またナレッジベース上で共有された知識はいつでもどこでも閲覧できるので、オンラインで研修するときに役立つだけでなく、研修生が事前に予習できたり好きなときに復習できたりするのもメリットの1つです。

3-2.システムを開発する場合

ナレッジベースを活用してシステムを開発すれば、業務の効率化に役立つたけでなく、顧客満足度の向上にもつながります。代表的なシステムは以下の2つです。

  • 自動音声応答システム
  • FAQシステム

以下でそれぞれについて、説明していきます。

①自動音声応答システム

自動音声応答システムは、企業の問い合わせ窓口に電話をした際に、顧客の目的に応じて電話をつなぐオペレーターへの割り振りを行うシステムです。以下の例のように、最初から直接オペレーターにつなぐのではなく、問い合わせ内容によって各プッシュ番号で割り振られます。

例)通販商品の問い合わせをした場合

自動音声:「商品についての問い合わせは1、月額サービス退会についての問い合わせは2、その他についての問い合わせは3を押してください。」

過去から現在までの問い合わせ内容と適切な回答を、ナレッジベースにすべて蓄積することで、自動音声応答システムに活用できます。ナレッジベースを活用した自動音声応答システムを取り入れれば、以下のように業務の効率化や顧客満足度の向上につながります。

  • 業務の効率化:よくある問い合わせ内容であれば自動音声によってすべて説明し、極力オペレーターに繋ぐ回数を減らすことで、オペレーターの負担を軽減するだけでなく、人員削減にもつながる。
  • 顧客満足度の向上:ナレッジベースに蓄積された過去の問い合わせ内容と対応方法を、全オペレーターに共有し、いつでも閲覧できる状態に。そのため誰でもスムーズに対応することができ、オペレーターによって対応や回答の質が異なるといったクレームを減らせる。

②FAQシステム

FAQは「Frequently Asked Questions」の略で、「頻繁に尋ねられる質問」を意味します。企業のサイトの「よくある質問」といったページにFAQシステムが用いられています。

過去の電話やメールなどの問い合わせ内容と、適切な回答をナレッジベースに蓄積し、サイトのFAQページに反映させます。FAQシステムも前述で説明した自動音声応答システムと同様、企業への問い合わせを極力減らし、業務を効率化させます。

また電話やメールの問い合わせは少なからず返答に時間がかかりますが、あらかじめ企業サイトにFAQのページを用意しておけば、顧客の好きなタイミングで確認できるのもメリットの1つです。

最近ではFAQの内容を基に作ったチャットボットを、サイトのTOPページに設置している企業も多く見受けられます。

4.ナレッジベースを導入するメリット3つ

ここからはナレッジベースを導入するメリットについて説明します。メリットは以下の3つです。

  • 他部署間の情報共有がスムーズになる
  • 業務の効率化につながる
  • 顧客応対品質が向上する

以下でそれぞれについて、説明していきます。

4-1.他部署間の情報共有がスムーズになる

部署ごとに使用している情報管理システムが異なっている場合、他部署管轄の情報が必要な際に、すぐに確認することはできません。他部署の情報が必要な場合は、他部署の社員にメールや電話で聞くなど手間もかかります。

しかしナレッジベースは1箇所に社内すべての情報を集約できるため、誰もが必要なタイミングで必要な情報をすぐに閲覧できるようになります。

その結果、

  • 他部署間の情報伝達ミスが防げる
  • 今まではチームや部署、支店ごとにバラつきのあったノウハウや技術を統一化できる
  • 新たに生まれたノウハウや技術をすぐに共有できるため、支店や個人において大きく差が開かない
  • 他の部署やチームの情報・知見を、新たなアイデアの参考にできる

といったことも可能になります。

またツールによっては、タスクの進捗やスケジュールといった情報もリアルタイムで共有できるため、部署間の連携を促進させるのに役立つでしょう。

4-2.業務の効率化につながる

ナレッジベースを活用すれば、たとえば以下のような業務の効率化につながります。

  • 情報システム担当:ナレッジベースによくある質問と回答をあらかじめ共有しておくことで、直接対応する回数を減らせる。
  • 新人研修担当:ナレッジベースに蓄積しているマニュアルやノウハウをいつでも誰にでも共有できるので、新人が入社した際に付きっきりで教える時間を減らせる。
  • 社内全体:ナレッジベースを活用すれば急な休職や退職の場合でも、引き継ぎがスムーズにできるほか、引き継ぎ漏れも減らせる。

上記のような業務の効率化は人員削減にもつながり、コストカットも可能になります。

また業務のコツや成功体験、ベテラン社員のノウハウなどを共有できることで、社内全体の業務の質が上がるといったメリットもあります。

4-3.顧客応対品質が向上する

ナレッジベースを活用したシステムを導入すれば、顧客応対品質が向上します。具体的な内容は以下をご覧ください。

①属人化を防げるので、問い合わせ窓口担当者の対応を統一化できる

特定の社員しか対応できない問い合わせ内容の場合、その社員が席を外していたり休みだったりする場合はすぐに対応できず、結果、顧客を待たせてしまいます。

しかしナレッジベースを活用した社内wikiなどのシステムを活用すれば、すべての問い合わせ内容と対応方法を蓄積し、全社員に共有できるので、誰もがどんな問い合わせ内容でもすぐに対応できるようになるのです。

その結果、問い合わせ窓口担当者によって、対応や回答の質が異なるといったクレームも減らせます。

②顧客が好きなタイミングで知りたい情報を確認できる

今までは顧客は何か分からないことや困ったことがあった場合、すべて電話やメールで企業に問い合わせていました。しかし電話は長時間待たされ、メールの返信にも時間がかかっていました。問い合わせが膨大な数にも関わらず、対応する社員数が足りていなかったからです。

しかしナレッジベースを活用したFAQページやチャットボットを企業サイトに設置することで、よくある質問や回答を、顧客が自分の知りたいタイミングで確認できるように。顧客は電話やメールで問い合わせなくても、自力ですぐに解決できるようになります。

その結果、企業側も膨大な問い合わせに追われることは減り、問い合わせ窓口担当者の負担も軽減されます。

5.ナレッジベースを導入するデメリット3つ

新しいシステムやツールを社内に浸透させる度に、どの企業も苦労をしてきたのではないでしょうか?

ほとんどの場合、慣れ親しんだシステムやツールの方が使いやすいと感じるでしょう。そのため業務を行う過程でとくに不備を感じていない社員にとっては、「なぜわざわざ新しいシステムやツールを使わなければならないのか?」と不満を感じさせてしまうケースもあります。

ナレッジベースを導入する場合も同じで、以下のようなデメリットがあります。

  • 社内に浸透させるのが難しい
  • 検索性が優れていなければ使われない
  • 操作の簡便性が低ければ社員の負担になる

以下でそれぞれについて、解説していきます。

5-1.社内に浸透させるのが難しい

ナレッジベースを社内に導入しただけでは、社員は活用してくれません。前述でもお伝えした通り、現在使っているシステムやツールの方が慣れ親しんでいるからです。

そのため社内に浸透させるには、ナレッジベースを本格的に導入する前に、

  • ナレッジベースを活用することでどんな問題が解決できるか
  • 今まで使っていた各部署の情報管理システムと比べて何が優れているのか
  • どんなメリットがあるのか
  • 使用する上でのルール
  • ビジネスにどう活用できるのか

といった情報を全社員に周知して、理解してもらう必要があります。

5-2.検索性が優れていなければ使われない

社内にナレッジベースの必要性が周知できたとしても、導入するシステムやツールの検索性が優れていなければ、社員は活用してくれません。

そのため以下のような工夫を凝らすことが重要です。

  • 目次ページを設置する
  • カテゴリやタグを設定する
  • ファイルのタイトルや見出しにもキーワードを含めておく
  • 類似キーワードや関連キーワードの検索にも対応できるよう設定する
  • 閲覧数の多いページのランキングを作成する

社員が「探している情報が検索でヒットしない」「知りたい情報がバラバラな箇所に散らばっている」といったストレスを感じず、スムーズに知りたい情報をピンポイントで見つけられるよう、検索性を高めましょう。

5-3.操作の簡便性が低ければ社員の負担になる

ナレッジベースを導入する場合、各部署で蓄積している情報をナレッジベースに移行して終了ではありません。

情報や知識はこれからも増え続けていくため、たとえば新たに作成したマニュアルやノウハウなどもナレッジベース上にアップロードし、社内で共有できるようにする必要があります。また変更点や追加事項が発生した場合は、もちろん情報のアップグレードも欠かせません。

しかし新たな情報のアップロードや、既存情報のアップグレード作業が難しかったり、面倒な手順を踏む必要があったりする場合、社員の負担になってしまいます。またIT関連のシステムやツールが苦手な社員でも、スムーズに作業ができるような簡便性が必要です。

たとえば、

  • スマートフォンからも簡単に作業できる
  • テンプレートに沿って入力するだけでアップロードできる
  • 他のシステムで作成したファイルもそのままアップロードできる

といったように、誰でも簡単かつ直感的に操作できるナレッジベースを構築する必要があります。

6.ナレッジベースの導入がおすすめな企業

メリットやデメリットが分かったところで、実際にナレッジベースの導入を考えている企業もいるかと思います。その中でもとくに以下の問題を抱えている場合は、ぜひナレッジベースの導入を検討してみてください。

  • 部署間のコミュニケーションや連携が上手くいっていない
  • 人材流動による引き継ぎや新人教育に支障が出ている

以下でくわしく説明していきます。

6-1.部署間のコミュニケーションや連携が上手くいっていない

たとえば中小企業などは各部署が小さかったり、はっきりと区別されていなかったりすることも多いため、部署間のコミュニケーションや連携に困るケースはそんなに多くないかもしれません。

しかし企業が大きくなるにつれて部署の人数が増えたり、新しい部署が次々と新設されたりすることで、部署間の意思疎通が以前より難しくなってしまうほか、連携が上手くいかず業務に支障が出るケースもあります。

そんな場合はナレッジベースの導入がおすすめです。ナレッジベースは暗黙知を形式知に変え、各部署に蓄積された知識を社内全体で共有できるだけではありません。ツールによっては、各部署では現在どんなプロジェクトが動いているのかや、タスクの進捗状況、スケジュールなどもリアルタイムで共有できるので、部署間における連携ミスを減らせるでしょう。

また社内報や日報を作成できるツールを使えば、各部署や社員の考え、想いなども気軽に発信・共有できるので、コミュニケーションの円滑化に役立ちます。

部署間でのコミュニケーションや連携に問題を感じている場合は、ぜひナレッジベースの導入を検討してみてください。

6-2.人材流動による引き継ぎや新人教育に支障が出ている

転職やフリーランスへ転身する人が多くなり、人材の流動化が進んでいる近年では、1つの会社に定年退職するまで社員が残ってくれるとは限りません。そのため昔に比べると、数年で転職や独立してしまう社員は多く、その度に業務の引き継ぎが必要になります。

転職だけでなく出産や病気などによる休職、人事異動による転勤などでも、業務の引き継ぎは欠かせません。しかしデータ化されていない個人のノウハウや知見を、完璧に引き継ぐのは難しいのが現状です。

また新人を教育するにあたって、マニュアルやノウハウが全体に共有されておらず、教える社員によってバラバラの状態であれば、以下のような問題が発生する可能性もあります。

  • 中途採用者の教育:同じ業界から転職してきた場合、以前勤務していた企業のやり方やノウハウをそのまま活用してしまう。
  • 新卒の教育:業務のやり方やノウハウやの習得に個人差が出るほか、企業への信用度も下がる。

しかしナレッジベースを導入すれば、各業務のマニュアルや各社員が使っているノウハウなどをデータ化し、社内全体で共有できるため、情報や知識を統一化できます。そのため人材流動による業務の引き継ぎや、新人教育にそのまま活用できます。

業務の引き継ぎがスムーズにできていない場合や、新人教育に支障が出ている場合は、ぜひナレッジベースの導入を検討してみてください。

7.ナレッジベースのツールの種類

ナレッジベースと一概に言っても、データを整理して管理するだけのシンプルなツールや、情報分析機能を搭載したツール、社内や社外からの質問・回答を蓄積できるツールなどさまざまです。

本章では代表的なナレッジベースのツールを6つ紹介していきます。

  • データベース
  • データマイニングツール
  • 文書管理システム
  • ヘルプデスクツール
  • 社内wikiツール
  • グループウェア

以下でそれぞれのツールの特徴や活用例などを解説するので、ナレッジベースの導入を検討している場合は、ぜひ参考にしてみてください。

7-1.データベース

データベースは、決まったルールや形式によって整理された、膨大なデータの集合体のことを指します。

組織図や家系図のようなデータ構造をしている階層型のデータベースや、関連性のあるデータを結び付けて管理するネットワーク型のデータベースなどがあります。

誰でも必要なときに必要な情報をピンポイントで検索できるのが特徴です。たとえば以下のような検索も可能です。

  • 顧客情報から、30代女性だけをリストアップ
  • 商品情報から、現在値下げ中の商品だけをリストアップ
  • 購買履歴情報から、商品Aを2回以上買っている顧客だけをリストアップ

紙やExcelなどでデータを管理する方法もありますが、データベースを活用すれば膨大なデータを一括で管理できるだけでなく、瞬時に必要なデータだけを取り出せます。

<活用例>

  • 営業リストの作成:企業の基本情報だけでなく財務情報もすぐに検索可能にすることで、売掛金の未回収リスクや倒産リスクがないかなど把握できる
  • 顧客データの管理:商談中の案件内容や資料、進捗度などを社内で共有できることによって、部署の垣根を超えた提案が可能になる

7-2.データマイニングツール

データマイニングツールとは、企業に蓄積されている大量のデータを統計学や人工知能を用いて分析し、企業にとって有益な情報を見つけ出すツールのことです。

データは蓄積するだけではビジネスに活かせません。たとえばデータには以下のような階層があります。

  • データ:文章や数値、画像や動画など整理されていないデータ
  • 情報:上記のデータをカテゴリーごとに整理し、分析した情報
  • 知識:上記の情報から得られる知見や、体験から得られる理解
  • 知恵:上記の知識を習得することで得られる判断力や発想力

データマイニングツールを使えば、バラバラに集められたデータを整理・分析し、そこから発見したノウハウや知見を企業の「知恵」とすることで、初めてビジネスに活かせるようになるのです。

<活用例>

  • マーケティング:顧客の購買パターンや行動心理を紐解くことで、今後のマーケティングに活かせる
  • 商品の品質改善:SNSや口コミ、アンケートから集計した顧客の声を分析して、商品の品質改善に活かせる

7-3.文書管理システム

文書管理システムとは、作成した文書を電子化して管理するシステムです。

企業には企画書や営業資料、社内マニュアルをはじめとしたさまざまな重要文書が存在します。しかしそれぞれの文書がバラバラな場所に保管されていたり、保管場所が分からくなっていたりするケースもあり、ビジネスに活用できていない企業も多いです。

そこで文書管理システムを利用すれば、社内の誰もが必要なタイミングで必要な情報を、スムーズに取り出し活用することができます。

また機密書類の情報漏えいや、重要書類の紛失なども防げるため、セキュリティ面も強化できるといった特徴もあります。

<活用例>

  • 領収書や請求書をすべて電子化することで、経理部署が今まで探すのにかかっていた手間や時間を減らせる
  • 電子書類であればどこにいても管理できるため、リモートワークの場合も出社する必要がなくなる

7-4.ヘルプデスクツール

ヘルプデスクツールとは、顧客や社員からの質問や要望などに関しての対応業務を管理するツールです。

たとえば企業のヘルプデスクには、以下のような問い合わせがあります。

  • 社外:顧客から購入した製品についての質問や、クレームをはじめとした問い合わせ
  • 社内:社員から管理システムの使い方や、トラブル発生時の対応方法などの問い合わせ

上記の問い合わせ内容を、Excelなどで管理している企業もありますが、似たような問い合わせがあった場合、探すのに時間や手間がかかってしまい、結果、顧客や社員に迷惑をかけてしまうケースも少なくありません。

しかしヘルプデスクツールを導入すれば、過去の問い合わせ内容や対応方法を知りたいときに、すぐに確認できます。またよくある質問への回答をテンプレート化できるので、担当するスタッフによって受け答えが違うなどのトラブルを防ぎ、対応品質を一定に保つことができるのも特徴です。

<活用例>

  • FAQページ:問い合わせの多い質問を集計して、企業サイトの「よくある質問」ページに反映させることで、顧客がすぐに確認できる
  • チャットボット:質問に自動で答えられるので、顧客が電話やメールで問い合わせる回数が減り、問い合わせ窓口の負担を減らせる

7-5.社内wikiツール

社内wikiツールとは、インターネット百科事典の「Wikipedia」の要素を取り入れた、社内の業務用百科事典として活用できるツールです。

社内の誰もが自由に書き込むことができ、業務のノウハウや、マニュアルをはじめとした知識を蓄積し、全社員で共有できるのが特徴です。

また「Yahoo!知恵袋」のように、分からないことがあれば専用の掲示板に書き込み、分かる人が回答を書き込み全体で共有するといった機能があるツールもあります。

7-4.ヘルプデスクツールの中でお伝えした「FAQページ」は、ヘルプデスク担当のスタッフが作成しますが、社内wikiは社員であれば誰でも気軽に書き込めるのもメリットです。

<活用例>

  • 研修:あらかじめ知識を共有しておくことで研修がスムーズに行えるほか、リモートでの研修も可能になる
  • 引き継ぎ:異動や退職時に口頭で教えるだけでなく、蓄積された知識を基に伝えられるため、業務のやり方やノウハウの引き継ぎがスムーズに行えるほか、引き継ぎ漏れを減らせる

7-6.グループウェア

グループウェアは、さまざまな情報を共有できるソフトウェアです。社員のコミュニケーションを円滑にできるほか、業務を効率化するのに役立ちます。

たとえば以下のような機能が備わっています。

  • 個人やグループ間のスケジュール管理
  • プロジェクトの進捗やタスク管理
  • 画像ファイルや書類の共有
  • チャットや掲示板でのコミュニケーション
  • 各種申請や承認手続き
  • 会議室や備品などの予約管理

グループウェア内で、ファイルなどの作成・保管、情報共有、連絡、各種手続きが一括で管理できるため、外部システムとの連携が最小限で済むのも特徴の1つです。

<活用例>

  • チャットやSNSで社内投票:何かを決める際に、メールで内容の送信や回答の集計をするのではなく、チャットツールやSNSの機能で回答を集計することで、手間や労力を減らせる
  • スケジュールの共有:リアルタイムで社員全員のスケジュールを共有できるため、相談したい場合や会議をしたい場合に、日時の提案をスムーズに行える

8.ナレッジベースのツールを選ぶ際のポイント

ナレッジベースのツールをせっかく導入しても、「社内になかなか浸透しない」「浸透はしたけど上手く活用できていない」といったケースもあります。

実際にどんな業務にツールを活用できるのか理解できていなかったり、選ぶときのポイントを確認していなかったりすると、ツール選びに失敗する恐れがあるのです。

そこで本章では、各ツールの活用シーンや、ツールを選ぶためのポイントについて解説していきます。ツール選びに苦戦している場合や、自社に合ったツールを選びたい場合はぜひ参考にしてみてください。

8-1.業務の活用シーンに合わせたツール選びが重要

7章でお伝えした通り、ナレッジベースのツールはおおまかに6種類あり、それぞれで機能や特徴が異なります。

そのため業務の活用シーンに合わせたツールを選ぶことが重要です。以下で各ツールの業務の活用シーンをまとめたので、自社のどんな業務にナレッジベースを活用したいのかイメージしながら確認してみてください。

ツール 業務の活用シーン
データベース 営業リストの作成、顧客データの管理など
データマイニングツール マーケティング、商品の品質改善など
文書管理システム 領収書や請求書、契約書の管理など
ヘルプデスクツール 社内や社外からの問い合わせ対応など
社内wikiツール 社内教育や新人研修、異動や退職時における引き継ぎなど
グループウェア 部署間のコミュニケーション、スケジュールの共有など

8-2. 自社に合ったツールを選ぶためのポイント

ツールを選ぶ際は、以下の5つのポイントを意識して確認しておけば、失敗するリスクは減るでしょう。

ポイント 確認すべき点
検索性
  • 関連キーワードや類似キーワードからも情報にたどり着けるか
  • 知りたい情報をピンポイントで探せるか
操作の簡便性
  • ITシステムが苦手な人でも直感的に操作できるか
  • パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットからも簡単に操作できるか
他システムとの連携性
  • チャットツールと連携できるか
  • 他のシステムで作成したファイルやドキュメントをそのままアップロードできるか
コスト面
  • コストパフォーマンスは高いか
  • 運用コスト以外に追加料金が発生したり人件費が増えたりしないか
セキュリティ面
  • 外部からの侵入や攻撃から機密情報を守れるか
  • アクセス権限の細かい設定や不正操作の早期発見は可能か

どの種類のツールを選ぶ場合でも、上記5つのポイントを意識して精査すれば、ツール導入後に大きな問題が発生することはないでしょう。

8-3.複数の機能を掛け合わせて使いたい場合はクラウドがおすすめ

もし複数の場面でナレッジベースを活用したい場合は、クラウドでナレッジベースを構築するのがおすすめです。

たとえばクラウドを導入すればデータベースを簡単に作成でき、膨大な企業の情報や知識を蓄積できます。また蓄積されたデータを社内で共有するだけでなく、AIによる分析できるなど複数の機能を掛け合わせての活用が可能です。

AWSやAzureといったクラウドであれば、他システムとの連携性も高いほか、セキュリティ面においても万全の対策が施されています。またさまざまな検索方法や機能を実装することにより、検索性も高められます。

しかしクラウドを導入するにも、どんなクラウドが自社に適しているのか判断が難しいほか、コスト面なども心配ですよね。そこでおすすめなのが、クラウド導入運用支援サービスを活用してクラウドを導入する方法です。

クラウドの専門知識や資格を持つプロが、企業が現在抱えている課題の把握からクラウドに関わる課題解決まで、徹底サポートしてくれます。クラウドを活用してナレッジベースを構築したい場合は、ぜひ利用してみてください。

9.クラウドでナレッジベースを構築するならNTT東日本にご相談ください

ナレッジベースを構築するにあたって、以下のような悩みを抱えてはいませんか?

  • 「ツールの選定や導入、データの移行など、日々の業務に加えてやることが多すぎる」
  • 「ナレッジベースを構築するにあたって、どのくらいコストがかかるのかよく分からない」
  • 「自社だけでナレッジベースを構築できたとしても、セキュリティ面が心配」
  • 「クラウドでナレッジベースを構築したいが、社内に相談できる人がいない」

もし上記のように悩んでいる場合は、ぜひ一度NTT東日本へご相談ください。

NTT東日本では豊富な実績や資格を持つ技術者が、企業が現在抱えている課題の把握から現在使用しているシステムおよび希望システムのスペックの確認、クラウド化の課題解決までお手伝いいたします。

9-1.AWS・Azure有資格者のプロがベストなクラウド環境をご提案

NTT東日本では大手クラウドサービス3社の内、AWSとAzureの資格を持った技術者が、徹底的にサポートいたします。

  • クラウドを導入する目的
  • コストパフォーマンス
  • どの社内システムから始めるべきか

上記のような細かなところまで要件を伺い、御社に適したサービスの選定から最適な移行の順序までしっかりと見定めた上で、本当にベストなクラウド環境を提案いたします。

クラウドでナレッジベースを構築する場合、企業によって目的が異なるかと思います。たとえば「成功事例やノウハウを蓄積していき、分析したデータを今後の戦略に活かしたい」といった場合や、「顧客や社内からの問い合わせ内容や対応方法を整理して、いつでも検索できるようにしたい」といった場合などです。

NTT東日本では目的に必要なサービスの選定や、予算内でいかにコストパフォーマンスを最大化できるかなど、ご一緒に考えさせていただきます。

9-2.ナレッジベースの構築にかかるすべてのコストを可視化

NTT東日本にご相談いただければ、以下のような目に見えるコストから見えづらいコストまで、徹底的に可視化できます。

ツール 業務の活用シーン
  • 環境の設計・構築費用
  • 移行費用
  • 障害・トラブルによるビジネス機会損失
  • 都度対応する情報システム担当者の人的コスト
  • クラウドシステムの無駄なリソース利用コスト
  • 最適化されていない回線コスト

ナレッジベースを構築する場合、クラウドを導入したら終了というわけではありません。たとえばデータベースの作成や設定、検索性の高い検索ソリューションの導入や設定なども必要です。

また現時点で情報システムを担当する人が少ないのであれば、ナレッジベースを管理する人材やトラブルや障害に対応できる人材を確保しなければならないケースもあります。そのためできるだけ抑えられるコストは抑えたいところです。

NTT東日本では、クラウド導入時の初期コストだけでなく、運用時の人的コストや潜在リスクによる機会損失まで可視化できるため、コスト効率の改善につなげることが可能です。

またNTT東日本のNTT東日本のクラウド導入・運用サービスを導入すれば、目に見えないコストを減らせる可能性があるので、限られた予算の中で高品質なクラウドを導入・運用できるでしょう。

9-3.ワンストップサポートによって時間や手間を最小化

NTT東日本ではクラウドの導入前から導入作業、導入後までワンストップでサポートいたします。

ナレッジベースを構築する場合、やるべきことはかなり多いです。

  • ツールの選定や導入
  • 各情報管理システムからデータの移行
  • 各システムとの連携作業
  • 情報セキュリティ対策
  • 導入後のトラブルや障害の対応など

また自社でクラウドを導入する場合も、確認すべき項目やシステムの設計・構築など、やらなければならないタスクが膨大にあります。導入作業を完了した後もさまざまな管理や対応に追われ、本来やるべきことに集中できません。

しかしNTT東日本であれば、クラウド導入の企画から構築、運用までをトータルで支援可能です。そのため情報システム担当者が少ない場合でも、日々の業務への影響を心配することなく、安心してクラウドを導入できます。

10.まとめ

ナレッジベースとは、企業の知識をまとめて管理・共有できるデータベースのことです。企業の知識は、社員が業務の中で長年培ってきた経験に基づくノウハウや感覚などを指します。

ナレッジベースを導入すれば、蓄積された膨大な知識を社内全体に共有できるほか、誰もがいつでもどこにいても必要な知識を確認できるので、ビジネスに活用しやすくなります。

メリットとデメリットは以下の通りです。

ツール 業務の活用シーン
  • 他部署間の情報共有がスムーズになる
  • 業務の効率化につながる
  • 顧客応対品質が向上する
  • 社内に浸透させるのが難しい
  • 検索性が優れていなければ使われない
  • 操作の簡便性が低ければ社員の負担になる

ナレッジベースのツールは、おおまかに以下の6種類に分けられます。

  • データベース
  • データマイニングツール
  • 文書管理システム
  • ヘルプデスクツール
  • 社内wikiツール
  • グループウェア

ツールを選ぶ際のポイントは、以下の通りです。

ポイント 確認すべき点
検索性
  • 関連キーワードや類似キーワードからも情報にたどり着けるか
  • 知りたい情報をピンポイントで探せるか
操作の簡便性
  • ITシステムが苦手な人でも直感的に操作できるか
  • パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットからも簡単に操作できるか
他システムとの連携性
  • チャットツールと連携できるか
  • 他のシステムで作成したファイルやドキュメントをそのままアップロードできるか
コスト面
  • コストパフォーマンスは高いか
  • 運用コスト以外に追加料金が発生したり人件費が増えたりしないか
セキュリティ面
  • 外部からの侵入や攻撃から機密情報を守れるか
  • アクセス権限の細かい設定や不正操作の早期発見は可能か

メリットやデメリット、ツールを選ぶ際のポイントを理解した上で、自社に取り入れるべきかを判断してみてください。

※Microsoft Azureは、Microsoft Corporationの米国及びその他の国における登録商標または商標です。 ※Amazon Web Services(AWS)は、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。

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