COLUMN
フリーアドレスとは?社員が働きやすくなる導入方法と成功のコツ
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「社員の働き方を見直したいが、フリーアドレスで良い効果が得られるのか?」
「そもそもフリーアドレスとはどんな働き方なのか?」
フリーアドレスというものについて考えたとき、このような疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
フリーアドレスとは、オフィスの中で固定の席を持たずに、自分の好きな場所で働くというワークスタイルのことです。
情報のデジタル化が進んで場所を選ばず仕事ができるようになったことや、テレワークなどの多様な働き方に注目が集まったことをきっかけに普及し、今では多くの企業がフリーアドレスを導入しています。
スペースコストの削減など、さまざまなメリットがあるフリーアドレスですが、「会社にとっての利便性」よりも「そこで働く社員が本当に働きやすくなるのか」を重視して導入を検討する必要があります。
本記事では、フリーアドレスの導入を検討している企業に向けて、導入前に知っておくべき知識を完全解説します。
最後まで読むことで、あなたの会社にとってフリーアドレスの導入が本当に必要かどうかがわかるようになります。
目次:
- 1.フリーアドレスとは何か?押さえておきたい基礎知識
- 1-1.フリーアドレスとは自分の好きな席で仕事をする働き方のこと
- 1-2.フリーアドレスには2種類ある
- 1-3.フリーアドレス化が成功するかどうかは相性次第
- 2.フリーアドレスのメリット
- 2-1.部署を超えたコミュニケーションが活性化する
- 2-2.社員一人ひとりの自律的な働き方を促進する
- 2-3.急な組織変更があっても柔軟に対応できる
- 2-4.スペースコストを削減できる
- 3.フリーアドレスのデメリット
- 3-1.社員が疎外感やストレスを感じる可能性がある
- 3-2.導入にコストがかかる
- 3-3.部下の管理が難しくなる
- 3-4.社員に荷物管理の負担がかかる
- 4.【事例付き】フリーアドレスの導入に成功しやすい企業の特徴
- 4-1.社員の在籍率が低い
- 4-2.部署の壁をまたぐ業務が多い
- 4-3.業務のデジタル化・クラウド化に積極的
- 4-4.フリーアドレスの成功事例
- 5.フリーアドレスの導入に失敗しやすい企業の特徴
- 5-1社員の在籍率が高い
- 5-2.機密情報を多く取り扱う
- 5-3.仕事道具を個人のデスクに置く社員が多い
- 6.【7ステップ】フリーアドレス導入の流れ
- 6-1.フリーアドレス導入の目的を決める
- 6-2.社内アンケートを取る
- 6-3.運用方法を決める
- 6-4.フリーアドレスの座席数を決める
- 6-5.必要な備品を揃える
- 6-6.運用ルールを作る
- 6-7.テスト運用を行う
- 7.フリーアドレスを成功させるポイント
- 7-1.導入するかどうかの最終判断は社内全体で決定する
- 7-2.フリーアドレスが機能しているかどうかを定期的にチェックする
- 7-3.便利グッズを活用して社員の快適な働き方をサポートする
- 8.フリーアドレス導入に欠かせないクラウド化はNTT東日本「クラウドソリューション」にお任せ
- 9.まとめ
1.フリーアドレスとは何か?押さえておきたい基礎知識
この章では、前提として知っておきたいフリーアドレスに関する基礎知識について解説します
- フリーアドレスとは自分の好きな席で仕事をする働き方のこと
- フリーアドレスの運用方法
- フリーアドレス化が成功するかどうかは相性次第
上から順に、しっかりとチェックしていきましょう。
1-1.フリーアドレスとは自分の好きな席で仕事をする働き方のこと
フリーアドレスとは「オフィスの中で固定の席を持たず、ノートパソコンなどを活用して自分の好きな席で働く」というワークスタイルのことです。
固定の席で仕事をする場合と比べてスペースが有効に活用できるため、既存の枠にとらわれない自由な働き方が可能になります。
多くの企業でペーパーレス化・クラウド化が進んで固定の席を持たずに仕事がしやすくなったこと、新型コロナウイルスの影響でテレワーク等の働き方改革が進んだことから、フリーアドレスを導入する日本の企業は増加傾向にあります。
1-2.フリーアドレスには2種類ある
フリーアドレスの運用方法は、大きく分けて「完全フリーアドレス」と「グループアドレス」の2種類があります。
運用方法 | 完全フリーアドレス | グループアドレス |
---|---|---|
基本ルール | 部署や組織を問わず社員全員が自由に席を選ぶ | 同じ部署や組織の中で自由に席を選ぶ |
メリット |
|
|
「複数の部署で連携しながら進めるプロジェクトが多いため、他部署同士で活発に交流できる完全フリーアドレスを導入」
「できたばかりのチームで結束を強めることが最優先なので、グループアドレスを導入」
といったように、会社の現状に適した方法でフリーアドレスを運用することが重要です。
1-3.フリーアドレス化が成功するかどうかは相性次第
フリーアドレス化すればどんな企業も業績がアップするというわけではなく、成功するかどうかは社風や業務形態といった「企業との相性」にかかっています。
上の例のように、フリーアドレス化に成功する企業もあれば、従来の働き方が適している企業もあります。
万能な手法ではないからこそ、フリーアドレスの良い面と悪い面を知って、自社が導入するのに適しているのかを見極めることが重要なのです。
2.フリーアドレスのメリット
ここからは、フリーアドレスのメリットとして代表的なもの4つを紹介します。
あなたの会社にとって必要なメリットかどうか、確認しながら読み進めていきましょう。
2-1.部署を超えたコミュニケーションが活性化する
席を自由選択することで、これまで顔を合わせる機会がなかった他部署の社員と交流しやすくなるというのは、フリーアドレスの大きなメリットです。
【コミュニケーションが活性化するとどうなる?】
- お互いが抱えている仕事の進捗を報告し合って、社内全体の仕事の流れが把握できる
- 違った視点や立場の人間と雑談することにより、新しいアイデアが浮かぶ
フリーアドレス化されたオフィスは、固定の席で仕事をしていた時では得られなかった情報や知見を得るチャンスの場として機能するのです。
2-2.社員一人ひとりの自律的な働き方を促進する
働く場所を自由に選択することで、社員一人ひとりが自分の働き方と向き合えるようになる、というメリットです。
【社員一人ひとりが自律的な働き方ができるとどうなる?】
- 「誰にも邪魔されず集中したい時は個室へ、高さの調節ができるデスクで快適に仕事をする」など、快適な環境を選ぶことで仕事の生産性が上がる
- 席を移動する度に荷物も移動させなければないため、仕事道具の整頓や管理をする能力が上がる
社員への働き方改革を推し進めたい企業にとっては、特に大きなメリットと言えるでしょう。
2-3.急な組織変更があっても柔軟に対応できる
新しい部署を作る・特定の部署のメンバーを大幅に増員するなど、組織に変更があった際も対応しやすいのは、フリーアドレスの大きな強みです。
レイアウトを大きく変える、部署ごと別室へ移動するといった手間がかからないため、人員の増減や新部署の立ち上げといった動きが多い企業にとっては嬉しいメリットです。
2-4.スペースコストを削減できる
フリーアドレスでは、1人につき1台デスクを用意する必要がなくなり、従来の働き方よりも省スペース化が可能です。
空いたスペースは休憩室やコミュニケーションスペースとして活用できるため、オフィス内でできることの幅が広がります。
3.フリーアドレスのデメリット
続いては、フリーアドレスの代表的なデメリットについて解説します。
フリーアドレスのプラス面だけではなく、マイナス面も押さえたうえで導入を検討しましょう。
3-1.社員が疎外感やストレスを感じる可能性がある
自由な働き方を促進するフリーアドレスですが、「いつどこに座っても良い」という性質そのものが、一部の社員にとっては不安やストレスの原因になることもあります。
【フリーアドレスがマイナスに作用してしまう社員の一例】
- 自分の席が用意されていないことで、会社の一員として認めてもらえていないような気になり、疎外感を覚える
- オープンスペースで仕事をしていたら近くの席で打ち合わせが行われ、話し声で集中力が途切れてストレスになる
こういったデメリットを補うためには、社員一人ひとりに対する個別のケアが必要です。
このデメリットの対処法 |
---|
チームのリーダーが孤立している社員はいないか定期的に目を配り、話しかけることで疎外感を取り除く
オフィス内に電話や私語の禁止エリアを設置する、パーテーションを設けるなど |
3-2.導入にコストがかかる
フリーアドレスを導入する際、クラウド化に伴うシステム構築費用や社員へ支給する備品の費用など、これまではかからなかった新たなコストが発生する可能性があります。
【フリーアドレス導入にかかるコストの一例】
- 経済的コスト
クラウド導入費用・デスク・椅子・ノートパソコン等の備品の費用など
- 時間・肉体的コスト
オフィスのレイアウト変更・社内ルールの変更など
社員一人につき1台デスクを用意する必要がないため、長期的に見ればコスト削減に繋がるフリーアドレス化ですが、導入自体にもコストがかかることを念頭に置いておかなければなりません。
3-3.部下の管理が難しくなる
社員一人ひとりが好きな時に好きな場所で仕事をするフリーアドレスでは、固定の席が決まっている場合と比べて、誰がどこにいるのか把握するのが難しくなります。
【 フリーアドレスにより部下の管理が難しくなる一例】
部下に頼みたい仕事があった場合…
従来の働き方(固定席)
同じフロア・スペースで仕事をしている部下にすぐに声をかけられる
離席していても、頼みたい仕事を席に置いておける
フリーアドレス
部下がどのフロア・スペースにいるのか瞬時に把握できず、探す手間がかかる
意見交換等のやりとりを部署内で頻繁に行う会社の場合、チームの連携が取りづらくなるというのは、大きなデメリットになり得ます。
このデメリットの対処法 |
---|
社内メール・チャットツールの活用
誰がどこにいるのかが把握できる「在籍・所在管理システム」の活用 |
3-4.社員に荷物管理の負担がかかる
フリーアドレスを導入すると、仕事をするデスクは社員全員の共有物になるため、自分の荷物は都度自分で管理しなければなりません。
毎日の退社時はもちろん、会議や外出で一時的に席を外す際も、荷物を持って移動する負担がかかります。
このデメリットの対処法 |
---|
社員に荷物管理用のツールを支給する モバイルロッカー・荷物持ち運び用のバッグなど |
デスクに置いておかなければならない仕事道具が多い職種ほど、移動の負担は特に大きくなると考えておきましょう。
4.【事例付き】フリーアドレスの導入に成功しやすい企業の特徴
ここからは、フリーアドレスの導入に成功しやすい企業の特徴について解説します。
メリットとデメリットを比較しただけではわからない、フリーアドレス化の「向き不向き」をより具体的に解説するので、あなたの会社が当てはまるかチェックしてみましょう。
4-1.社員の在籍率が低い
オフィスで同時に仕事をする社員が少ない企業は、フリーアドレスの導入が比較的しやすいと言えるでしょう。
上の図のように、フリーアドレスでは「日常的にオフィスにいる社員」の分だけ席を用意すればいいので、在籍率が低ければ低いほど必要なスペースは小さくなります。
【社員の在籍率が低い企業の例】
- 外回りの営業職など、席を外す社員が多い
- 交代で出社するなど、社内に人が集まりすぎない働き方をすでに導入している
上の例のような企業の場合、フリーアドレスのメリットである「省スペース化」の効果を最大限に発揮できるため、導入後の成功を実感しやすいのです。
4-2.部署の壁をまたぐ業務が多い
他部署間で連携する業務が多い企業も、フリーアドレスの導入に向いています。
【部署の壁をまたぐ業務が多い企業の例】
- 複数の部署が合同でひとつのプロジェクトを行っている
- 部署内でアイデアが煮詰まった際、他部署の社員の意見を聞くことがよくある
このような企業の場合、他部署の社員と隣り合わせで働くことも可能なフリーアドレスを導入することで、より円滑に仕事が進むようになります。
4-3.業務のデジタル化・クラウド化に積極的
業務のデジタル化・クラウド化を進めたいと考えている企業も、フリーアドレスの導入に向いています。
紙の書類を持ち歩く、データをデスクトップパソコンにローカル保存するといった働き方が難しくなるため、必然的に業務のデジタル化・クラウド化が促進させられるのです。
「数年以内に完全なペーパーレス化を実現させたい」
「将来的にはABWを意識した働き方に会社をシフトさせたい」
こういったビジョンを持つ企業にとって、フリーアドレス導入は目標達成のきっかけづくりとして有効な方法だと言えるでしょう。
【ABWとは?】
ActivityBasedWorking(アクティビティ・ベースド・ワーキング)の略。
「時間」と「場所」を自由に選択できる働き方のこと。
自宅やカフェ、コワーキングスペースなど、オフィスの外で働くケースがあることから、「進化系フリーアドレス」とも呼ばれる。
4-4.フリーアドレスの成功事例
成功しやすい企業の特徴を把握したところで、実際にフリーアドレスの導入に成功した企業の事例を見てみましょう。
【カルビー株式会社の場合】
導入年 | 2009年 |
---|---|
導入の目的 |
|
導入方法 |
|
成果 |
|
注目ポイント | 社員が自分の席を持たないことで、紙の書類を作らない・持たない・こまめに捨てる習慣が定着している |
※出典:フリーアドレスから働き方改革へ。オフィス改革を進めるカルビーの思想
【株式会社内田洋行の場合】
導入年 | 2011年 |
---|---|
導入の目的 |
|
導入方法 |
|
成果 |
|
注目ポイント | 「外出が多い部署のフロアには、立ち話でコミュニケーションが取れるよう階段付近に休憩スペースを設置」など、特性に合わせて社員をケアする取り組みが行われている |
※出典:テレワークが急増!アフターコロナを見据えたオフィスづくり
【環境省 環境再生・資源循環局の場合】
導入年 | 2022年 |
---|---|
導入の目的 |
|
導入方法 |
|
成果 |
※資料の電子化は進行中 |
注目ポイント | 個人ロッカーに入れられる荷物の量を「一人ダンボール1箱分」と具体的にルール化することで、不要な書類の処分に踏み切るきっかけに |
※出典:環境省はフリーアドレス化でこうなった。“資料が山積み”の霞が関は変わるのか?
上の事例から、ペーパーレス化や働きやすさの向上といった明確な目標を設定し、目標達成に向けて導入を進める企業がフリーアドレス化に成功していることがわかります。
5.フリーアドレスの導入に失敗しやすい企業の特徴
続いて、フリーアドレスの導入に失敗しやすい企業の特徴をご紹介します。
前章「4.【事例付き】フリーアドレスの導入に成功しやすい企業の特徴」と見比べて、あなたの会社がどちらに近いのかを判定しましょう。
5-1社員の在籍率が高い
社員がオフィスの外に出ることがめったにない企業の場合は、フリーアドレスを導入しても効果を感じにくい可能性が高いです。
また、社員の在籍率が高いオフィスでは空席を探す手間がかかるため、指定の席で仕事をする従来のスタイルの方がスムーズに機能するでしょう。
【考えられる失敗例】
- 省スペースの効果が得られず不満
フリーアドレス化による省スペースの効果を期待したが、スペースいっぱいの人数の社員が在籍しているため、どんなレイアウトにしても空きスペースを作ることができなかった
- 空席を探すのに一苦労
集中して取り組みたい作業を抱えている社員が、私語禁止エリアで空席が見つからず、フロアを行き来して時間のロスに
5-2.機密情報を多く取り扱う
クレジットカード番号の登録が必要なサービスを展開しているなど、外部に漏れてはならない情報を多く取り扱う企業も、オフィス内での社員の移動が多いフリーアドレスには向いていないと言えるでしょう。
【考えられる失敗例】
機密情報の漏洩
- プリントアウトしていた部外秘の資料をデスクに置いたまま移動し、新たに席に付いた他部署の社員が資料の内容を見てしまう
- 社員数が多い企業で毎日席が入れ替わるため、たまたま打ち合わせに来ていた他社の社員の近くで社外秘のデータを開いてしまう
人事や顧客情報の管理といった、機密情報を取り扱う部署が限定されている企業の場合は、
- 該当部署のみを固定の席にして、その他はフリーアドレス化する
- 部署内でのみフリーアドレス化する
といった対応もできます。
5-3.仕事道具を個人のデスクに置く社員が多い
デスクトップパソコンが必要なクリエイターや電話対応が多い受付など、簡単には移動できない仕事道具をデスクに置く社員が多い場合は、フリーアドレスを導入してもうまくいかない可能性が高いです。
【考えられる失敗例】
- 仕事道具の持ち運びが不便
固定電話が業務上必須なコールセンターでフリーアドレスを導入したところ、これまで自席の見やすい場所に置いたままでよかったマニュアルやメモを持ち歩かなければならなくなった
- 「どうしても移動できないもの」が発生してフリーアドレス化できず
デスクトップパソコンを一箇所に集め、使用する社員間でのフリーアドレス化を実施。性能や操作方法は同じだが、社員が各自よく使うデータをデスクトップに置くといったカスタマイズをするようになり、結局席が固定化されてしまった
以上の3つが、フリーアドレスの導入に失敗しやすい企業の特徴です。
成功しやすい企業の特徴よりも、こちらの方が当てはまるものが多いという場合は、フリーアドレスの導入はおすすめできません。
6.【7ステップ】フリーアドレス導入の流れ
ここからは、フリーアドレスの導入を決断した企業に向けて、実際に導入するまでの流れを7つのステップで解説します。
6-1.フリーアドレス導入の目的を決める
まずは、フリーアドレスをなぜ社内に導入するのか、その目的を明確にすることから始めます。
下の例を参考に、導入する本来の目的を言語化してみましょう。
【フリーアドレス導入目的の例】
- 部署を超えたコミュニケーションの活性化
- 社員一人ひとりが「自分の働き方」と向き合い、働きやすさを向上させる
→これらを実現することで社員の生産性・創造性を高め、業績アップを目指す
新しい制度を持ち込むことで、これまで通りの働き方ができなくなることに不安を抱える社員もいます。
社員が納得してフリーアドレスという働き方に取り組めるよう、はっきりとした目的が必要なのです。
6-2.社内アンケートを取る
目的を明確化・共有したら、フリーアドレス化に賛成か反対か、社員全員の意見を募りましょう。
社員一人ひとりがフリーアドレス化に対してどんな意見を持っているのかを前もって把握しておき、その後の運用方法に反映することができます。
6-3.運用方法を決める
続いて、フリーアドレスの運用方法を決めます。
部署や組織を問わず社員全員が自由に席を選ぶ「完全フリーアドレス」か、同じ部署や組織の中で席を選ぶ「グループアドレス」のいずれかを選択しましょう。
社内アンケートの内容や各部署の特性を考慮して、以下の図のように、フリーアドレスとグループアドレスを組み合わせることも可能です。
業務の性質上フリーアドレスに適応しづらい部署や、フリーアドレスに反対な社員の意見は可能な限り取り入れることで、「社員一人ひとりが自分の選んだ働き方を実現する」という理想的な職場環境を構築できます。
6-4.フリーアドレスの座席数を決める
おおよその運用方針が固まったら、フリーアドレス用の座席の数を決めます。
「6-3.運用方法を決める」で決めたフリーアドレス対象者のうち、日々の業務で常に社内にいる人数はどのくらいかを把握し、座席数を設定しましょう。
イレギュラーで社内にいる人間の数が増えて席が足りなくなる等のトラブルを防ぐため、ややゆとりを持って設定しておくと安心です。
6-5.必要な備品を揃える
「6-4.フリーアドレスの座席数を決める」で決めた座席数を参考に、机や椅子といった備品を用意します。
【フリーアドレス化で用意する備品一例】
- デスク&椅子
レイアウト変更しやすいよう、キャスター付きのものがおすすめ
- ノートパソコン・タブレット・スマートフォン
業務上必要な社員に適宜支給する
この段階で、デスクのサイズを考慮して大まかなレイアウトを決めておくと、その後の工程がスムーズに行えます。
6-6.運用ルールを作る
続いては、フリーアドレスの使い方のルールを作ります。
「自由にどの席も使って良い」と言われても、明確なルールがなければ、社員は使い方に戸惑ってしまいます。
以下の例を参考に、運用ルールを決めてそれを元に「フリーアドレスマニュアル」を作りましょう。
【ルールの一例】
- 同じ席を3日以上利用しない
- 帰宅時、長時間の離席時は荷物をデスクに残さない
- 通話・私語・飲食は決められたブースで行う
マニュアルを公開したタイミングで一度社員からの意見を募り、反対意見の多い箇所は改訂も視野に入れましょう。
完成したマニュアルは、クラウド内など全社員がいつでも見られる場所に置くことで、社内に浸透しやすくなります。
6-7.テスト運用を行う
最後は、いよいよフリーアドレスのテスト運用を実施します。
【テスト運用のフロー一例】
1. 実施期間・開始日を社員に告知
※数日やってみただけでは良い点と悪い点が表面化しづらいため、1ヶ月等のある程度まとまった期間で行う
2. オフィスのレイアウトをフリーアドレス仕様に変更する
3. 実施
※ルール通りに機能しているか、社員の様子を定期的に観察する
4. 社内アンケートを取る
※実際にフリーアドレスで働いてみた感想や、従来のワークスタイルとどちらが良いかをヒアリングする
「当初は賛成だったが実際にやってみたら合わなかった」と感じる社員がいれば、フリーアドレス対象者の変更を検討するなど運用方法をアップデートしてから、本格的に始動します。
7.フリーアドレスを成功させるポイント
導入したフリーアドレスを社内に定着させるためのポイントは、以下の3つ。
- 導入するかどうかの最終判断は社内全体で決定する
- フリーアドレスが機能しているかどうかを定期的にチェックする
- 便利グッズを活用して社員の快適な働き方をサポートする
具体的にどんなことをすればいいのか、ひとつずつ見ていきましょう。
7-1.導入するかどうかの最終判断は社内全体で決定する
フリーアドレスを導入するかどうかは、社内の上層部に決定権があると思うかもしれませんが、最終的な決断は社員を含めた社内の人間全員で決めることが重要です。
企業のフリーアドレス化は「上層部が決定し、社員に発表するもの」ではなく「上層部が提案し、社員に意見を募って全員で決定するもの」だと認識しておきましょう。
【フリーアドレス導入を社内全体で決定する方法】
- 導入前に目的とビジョンを社員に説明する場を設ける(説明会の開催など)
- テスト運用前に社内アンケートを取って、フリーアドレスに対する社員の意向を確認しておく
- テスト運用後に社内アンケートを取って意見を募る
フリーアドレスは社員に自律的な働き方を促すワークスタイルであり、「会社が決めたことだから仕方なく適応する」という参加の仕方は望ましくありません。
社員が納得してから本格的にフリーアドレス化へと移行することで、上手く機能する可能性が高まるのです。
7-2.フリーアドレスが機能しているかどうかを定期的にチェックする
フリーアドレス化を成功させるには、導入後にきちんと機能しているかチェックすることも重要です。
上手く機能していないシーンを見つけたら、その都度ルールを見直すことで、「自社にぴったりのフリーアドレスの運用方法」が確立されていきます。
【フリーアドレス導入後に見るべきポイント】
- 導入前と比べて社員同士のコミュニケーションは増えたか
チーム内のコミュニケーションが不足しているようなら、グループアドレス運用への切り替えも検討
- 新しいオフィスの使い方に戸惑っている社員はいないか
周囲のケアが必要な新入社員などがいれば、一定の期間席を固定化させる
- 禁止エリアでの私語や飲食といったルール違反はしていないか
「食事をしながら打ち合わせしたい」という社員が多ければ、飲食OKのスペース拡大なども検討
「社員がマニュアル通りに利用できているか」ではなく、「本当にフリーアドレスを導入した意味があるかどうか」に注目して、社内の様子に目を配りましょう。
7-3.便利グッズを活用して社員の快適な働き方をサポートする
フリーアドレス化によって社員が不便を感じるケースも少なくはないため、そういったデメリットを解消するようなグッズを活用しましょう。
【便利グッズの一例】
- モバイルロッカー
オフィスの隅に小型の個人用ロッカーを設置し、退勤時にはそこへ全ての荷物を入れるようルール化することで、整頓されたオープンスペースを保ちます。
- モバイルバッグ
社内で席移動する際に荷物を持ち運ぶためのバッグです。
移動の度にロッカーを行き来する手間が省けるうえに、書類の紛失や放置も防止できます。
- パーテーション
複数の部署の社員が出入りする・同じエリアでミーティングが行われるといったシーンで、簡易的な間仕切りを設けることでオープンスペースならではの集中力の低下を防止します。
荷物の管理や頻繁な人の出入りといった、フリーアドレスならではの細かいデメリットをケアすることで、社員により快適な環境づくりを提供できます。
8.フリーアドレス導入に欠かせないクラウド化はNTT東日本「クラウドソリューション」にお任せ
フリーアドレスをオフィスに導入する場合、社内のどこにいても仕事ができるよう、以下のように情報システムをクラウド化させる必要があります。
【フリーアドレス導入前にやっておくべきクラウド化の一例】
- ソフトウェアのクラウド化(SaaS)
PCに直接インストールしていたソフトウェアをブラウザからアクセス・使用できるようにする
- 社内インフラのクラウド化(IaaS)
共有サーバーや内部ネットワークなど、自社運用していたインフラ機能をインターネット上で構築する
→それまで固定のパソコンでしか行えなかった作業が、インターネットに接続さえしていればどのスマートフォン・タブレット・ノートPCでも行えるようになり、フリーアドレスでの仕事が可能になる
とはいえ、次のような理由からクラウド化に踏み切れない場合も多いのではないでしょうか。
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9.まとめ
最後に、本記事の要点のおさらいをしましょう。
フリーアドレスとは、オフィスの中で固定の席を持たず、ノートパソコンなどを活用して自分の好きな席で働くというワークスタイルのことで、スペースの有効活用や既存の枠にとらわれない自由な働き方が可能になります。
フリーアドレスのメリットとデメリットは、以下の通りです。
メリット |
|
---|---|
デメリット |
|
フリーアドレスのメリットを感じやすいのは「社内で仕事をする社員が少ない企業」「部署の壁をまたぐ業務が多い企業」「業務のデジタル化・クラウド化に積極的な企業」などです。
フリーアドレスを社内に導入するには、次の7つのステップが必要です。
【フリーアドレス導入の7ステップ】
- 1. フリーアドレス導入の目的を決める
- 2. 社内アンケートを取る
- 3. 運用方法を決める
- 4. フリーアドレスの座席数を決める
- 5. 必要な備品を揃える
- 6. 運用ルールを作る
- 7. テスト運用を行う
導入前から社員の声に積極的に耳を傾け、導入後はうまく機能しているか定期的にチェックすることで、フリーアドレスを定着させられる可能性が高まります。
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